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【情報追加】「リネージュM」現役プレイヤーが参加した「リネージュM プレイヤー座談会」の模様をレポート
昨年5月に正式サービスをスタートしたリネージュMは,さまざまなアップデートを積み重ねて進化を続けているが,人間関係やコミュニティを大事にするゲームということで,オフラインイベントや公式生放送など,ゲーム外での取り組みも積極的に行われている。
今回の座談会もその一環であり,現役プレイヤーの声をヒアリングしつつ,開発/運営のことを身近に感じてもらおうという目的で行われた。
※2020年2月17日追記
記載の一部を削除しました。
※2020年2月26日正午頃追記
情報解禁に伴い,合同インタビューの内容を記事末に掲載しました。
「Lineage M」公式サイト
「Lineage M」ダウンロードページ
「Lineage M」ダウンロードページ
座談会に出席したのは,リネージュMのプロジェクトプロデューサー 大河内卓哉氏,運営プロデューサーの川南 巌氏,開発元のNCSOFTからリードプランナーのイ・ジフン氏,司会進行役として公式生放送などでおなじみの反王ケンラウヘル氏,そして現役リネージュMプレイヤーの7名だ。ちなみにプレイヤーの7名は,SNSや配信などでリネージュMの情報を発信している人にエヌシージャパン側から連絡を取って集まってもらったそうだ。
なお7名の内訳はPC版リネージュの経験者が5名,リネージュMから始めた人が2名となっていた。
開発の関係者もいるということで,激論が交わされるのかと思いきや,そこはリネージュ愛にあふれていたのか,座談会はおだやかに進行していった。以下,約2時間にわたって行われた質疑応答の内容をまとめておこう。
座談会の質疑応答まとめ
最初の質問は,「韓国版リネージュMが高いセールスランキングをキープしているのに対して,日本のリネージュMのランキングが低いことをどう分析していますか」という厳しいものだった。大河内氏は,「JRPGでゲーム文化が作られてきた日本においては,韓国ほどの知名度がなく,日本ではリネージュというIPの認知度がどうしても低い」と説明し,プレイヤーの母数が多いことを前提にしたゲームであることからも,IPを広げていく方針で今後も動いていくと答えた。
プレイヤー側からは「日本専属の開発チームを作るなどして,改善施策が迅速に実行できる環境にしてほしい」との意見も飛び出た。川南氏は,「エヌシージャパンはパブリッシャという立場なので,開発に手を出すのは難しい」としたうえで,それでも迅速な改善は必須であるとの見解を示した。不具合が見つかった場合,その不具合を再現できる手順を確定したうえで修正という流れになり,どうしても時間がかかってしまいがち。日本運営チームとしては,常にゲーム内にログインし,ゲーム内チャットなどで不具合の報告があれば即座に対応できるような体制を取っているとした。
「ダウンロードするクライアントのサイズがあまりに大きいので,これがユーザー数が伸び悩む原因なのでは? 改善する予定はありませんか」との質問には,「これでも改善しています」と大河内氏は話した。ほかの国では頻繁(ひんぱん)にアップデートが行われ,その都度数ギガサイズのダウンロードが行われていたものを一度にまとめているとのこと。フリーWi-Fiの環境の整備が遅れぎみな日本ならではの悩みといったところだろうか。
「ツール対策として,ユーザーにツールチェックなどの権限を与えることはできませんか」との質問には,大河内氏が「日本のユーザーでツールを使っている人はほとんどいない」としたうえで,虚偽通報が少なくない状況もあって,今は止めておくべきと運営サイドは判断しているという。ただし良いプレイ環境にしたい気持ちは大きいので,不正対策には今後も力を入れていくとのことだ。不正対策にもなる電話番号認証だが,現状では番号認証を徹底するのは難しいようで,その代わりに認証を済ませている人がメリットを受けられるようなシステムを考えていきたいとコメントしていた。
「PC版リネージュのときはチートも多かったですが,リネージュMではチート対策,大丈夫ですか?」という質問には,川南氏が「クライアント改変のチートはありません。今対策しているのは外部ツールです」と回答した。外部ツールにもいろいろなパターンがあるので,いたちごっこにはなるが,継続して対策していくとのことだ。
続いては「PvPに対してネガティブなイメージを持つプレイヤーもいますが,運営チームはPvPにどんな見解を持っているのでしょうか」との質問が出た。長くリネージュに携わっている川南氏は「リネージュにとってPvPはあってしかるべきもの」と発言するも,PvPに興味がない人にもアピールできるように導線をしっかりする必要がだろうとした。
また,大河内氏からは,リネージュ自体対人戦がメインにあるという認識を持っていない,リネージュに初めて触れる人も多く「PvPをする理由が日本では定着しない」と説明した。これに関してプレイヤー側からは,「ボスからのドロップがそう期待できるものでもないので,無理にPvPをする必要性を感じられない」との意見も挙がった。イ氏によると,韓国版リネージュMではボスのドロップ率が高い時期もあったそうだが,その分アイテムの希少価値が下がって市場が崩れてしまったことがあったという経緯が明かされ,なかなか難しい問題であることが明るみになった。それでも貴重な意見として,イ氏は持ち帰って検討するとのことだ。
「公式認定の動画や配信を増やすなど,公式の人が前に出てきてほしい」との意見には,大河内氏は「ユーザーの不利益になることは絶対に言えない」という前提があるため,“公式”と銘打っての攻略系の情報を出すことは難しいとした。ただしシステム的に難解な部分もあるゲームなので,なんらかのフォローはしていくべきだと運営チームは考えているようだ。
この話題に関してプレイヤー側からは,各サーバーの歴史が分かる/残るような動画があってもいいんじゃないかとの意見もあった。大河内氏によると,実はリネージュM立ち上げ当初には,攻城戦の歴史が残るような企画もあったが,諸事情により頓挫していたそうだ。この話を聞き,大河内氏は再びトライしてみると前向きに答えてくれた。
「ラスタバドのホットタイムを昼と夜に開催してほしい」という要望には,川南氏は「報酬の問題もあって単純に開催の回数を増やすことは難しい」と前置きしつつも,期間限定のイベントなどで対応できればと返答していた。ちなみに,日本ではラスタバドのボスは出現から数分で倒されてしまうようだが,韓国だと30分以上かかるそうだ。それは,ボスを殴らずに近くのプレイヤーと喧嘩するからなんだとか。
「『傲慢の塔』のドロップ率を修正する話はどうなったのか」との質問には,韓国版の傲慢の塔がインターサーバー(※)化されたこともあって,現在調整中とのこと。日本では,まだ傲慢の塔のインターサーバー化は早いと運営チームは判断しているようだ。
※インターサーバーでは,1つのマップ上にすべてのサーバーのプレイヤーが同時に接続して遊べる
「インターサーバーにギラン城が実装されるのはいつ頃ですか?」との質問には,大河内氏が回答。日本版リネージュMは「今年はインターサーバーの年」と設定しているそうで,その最終コンテンツとして「ギラン城」の実装を目標としているとのこと。ちなみに,インターサーバーのコンテンツの1つ「崩れる島」実装の際は,イ氏が相当尽力してくれたそうだ。イ氏は「(作業が大変すぎて)私も一緒に崩れました」とコメントし,座談会の席からは笑い声も聞こえた。
「ケレニスサーバー(※)に,ボス狩り以外のみんなで参加できるコンテンツが欲しい」との意見には,大河内氏が回答。インターサーバーに入れることはなんとかできたものの「特殊なサーバーであることから,できないイベントもある」とのことで,別サーバーとの兼ね合いもあり,ほかの部分で多少の優遇処置は必要であると考えているそう。
なお,ケレニスのプレイヤーからは,「まったりした空気で楽しいサーバーだが,人はやや少ない」との不満の声も出た。開始時期が違うため,ほかのサーバーからケレニスにサーバーを移動をするのは難しいようだが,特定のレベル以下のプレイヤーを迎え入れるような体制を取るなど,細かな代替案が運営とプレイヤーの間で議論されていた。
※2019年12月5日に実装された新サーバー「ケレニス」。日本国外からの接続と判断されたアカウントに対して使用停止などの対処が行われるのが特徴
ケレニスサーバー関連では,「攻城戦はいつ頃実装ですか?」との質問もあった。イベントが走っている関係でインターサーバーを先に実装したが,攻城戦はプレイヤーが戦えるような状況になってから導入したい。もうしばらくお待ちくださいと大河内氏は説明した。
「伝説級のアイテムが課金で簡単に作成できるのは止めてほしい。作成する楽しみは潰さないで」との意見も挙がった。作成数制限もあり,実は“簡単”には作れないとしつつ,売られているものについては,本来その価値を示すための展示物に近いものだったが,そこでミスリードが生まれてしまったと大河内氏が説明した。
質疑応答のあとは,参加者全員によるフリートークが行われた。プレイヤーとしては,細かなところで不満はあるものの,リネージュMは本当に面白いゲームであり,もっと多くの人に遊んでほしいという意見が多いのが印象的だった。実は細かな不満も,人が多くいれば解決するものが大多数であり,それは運営サイドも熟知していて,プレイヤーと運営/開発双方が同じ方向を向いていることが再認識できた座談会となったのではないだろうか。プレイヤーから出された意見が,今後のアップデートにどう生かされるのか注目したい。
座談会後にリネージュM開発/運営への合同インタビューを実施
座談会の終了後,大河内氏,川南氏,イ氏の3名に,Appliv Games,AppMedia,アルテマ,そして4Gamerの4社による合同インタビューを実施したので,その内容もお伝えしていこう。
──座談会お疲れさまでした。まずは座談会を終えて率直な感想をお聞かせください。
川南氏:
今日来てくださったプレイヤーの皆さんは,本当はもっと言いたいこともあったと思うのですが,大人の対応をしていただき,和やかに進行できました。参考になる意見も多く,今後の運営に生かしていきたいですね。
イ氏:
座談会は韓国でも実現したことがないイベントで,直接プレイヤーの皆さんと会ってお話ができ,いろいろな意見を聞けて大変有意義な時間になりました。皆さんリネージュMを愛してくださっていることが伝わりましたし,本当に感謝しています。
大河内氏:
今の日本におけるリネージュMが抱えている問題点を見抜いている方が多く,それを含めて前向きな話ができたので良かったです。今後行うであろう施策に対して,どんな意味を持っているのか理解いただけると思いますし,一緒にできることもあるだろうな,と感じました。
──この座談会を行うに至った経緯とはなんでしょうか?
大河内氏:
ユーザーの意見を直接聞く場として,昨年「守護騎士の集い」(関連記事)という初の公式ファンミーティングを開催しましたが,よりコアな層からの意見も直接聞きたいと思いまして,リネージュMに関する情報を発信している人を招待し,この座談会を開催させていただきました。「エヌシージャパンって何をやっている会社なの?」と思われているかもしれませんが,この座談会で我々が何を考え,何をやっているのかをある程度示せたのは大きいかなと思います。
──これから一周年に向けて盛り上げていく時期になると思いますが,一歩踏み出せた感じですね。
大河内氏:
サーバーの移動や大型アップデートがあったあとで,サーバーごとの色もつき始めているなか,インターサーバーが活性化し出したこの節目の時期に座談会ができたのは,大変意義があり,良かったです。
──韓国と日本間でゲームの調整で苦労したことがあれば教えてください。
イ氏:
韓国の難度をそのまま日本でアップデートするのは難しいのではないかという意見が多かったので,初めてリネージュに触れる人でも遊びやすいような調整を行いました。韓国のバランスをそのまま実装したもののほうが少ないくらいです。また,韓国よりも日本が先に実装したコンテンツもあったりします。「ログアウトプレイ」や,韓国でイベントとして開催されたことのある「試練の塔」の常設化などですね。韓国のコミュニティを覗くと,「日本版リネージュMはすばらしい」と言われたりするほどです(笑)。
──イ・ジフンさんから見て,日本のリネージュMプレイヤーの印象はいかがですか?
イ氏:
日本版リネージュMが始まる前は,PVP自体そんなに発生しないのではないかと思っていたのですが,実際にサービスが始まるとそんなこともなく,PVPが行われていて,そこから物語ができていることは嬉しく思います。ただ,PVPを敬遠している人を放置するかといったら,それはダメだと思っていて,血盟レイドなどプレイヤー同士の協力型コンテンツも用意しています。今日の座談会で話された内容は本社に持って帰り,今後の開発に役立てたいですね。
──ゲーム系のメディアとしては新情報も持って帰りたいですが……この場で発表できる新情報はありませんか?
イ氏:
「3か月連続インターサーバーコンテンツ追加」として,第1弾「ラスタバド」と第2弾「崩れる島」が実装され,第3弾の「テーベラス」までは情報を出していますが……。
川南氏:
実は“4か月”連続アップデートを目標としており,「テーベラス」に続く第4のアップデートコンテンツの実装に向けて動いておりますので,ご期待ください。ヒントとしては,4個目はインターサーバー関連ではありません。
──今後日本独自のコンテンツが実装されることはありますか?
大河内氏:
日本のユーザーからの意見としては,傲慢の塔の改善をしてほしいという声が大きいので,まずはそこからですね。
川南氏:
日本独自というよりは,既存コンテンツを日本向けのバランスにすることを優先していくと思います。
──本日はありがとうございました。
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