プレイレポート
デモニカスーツを着る時が来た。「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」は,よりディープに遊びやすく“過酷で奇妙な旅”が楽しめる
本作は真・女神転生シリーズの外伝的作品として2009年10月に発売された,ニンテンドーDS用RPG「真・女神転生 STRANGE JOURNEY」のリメイク作品だ。オリジナル版は,3Dダンジョンの探索,悪魔会話や悪魔合体,マルチエンディングといったシリーズおなじみの要素を持ちながら,これまでのシリーズ作品になかった世界観やストーリー,次世代戦闘装備“デモニカスーツ”の成長といったゲームシステムで,新たな“メガテン”の魅力を打ち出している。
そんな,メガテンファンから一目置かれる作品が,より遊びやすく,そして“ディープ”に生まれ変わり,シリーズ25周年タイトルとして本日発売される。
同シリーズ作品のファンやオリジナル版を未プレイという人,そして「またデモニカスーツを着用できると聞いては,黙っていられない」というオリジナル版のプレイヤーに,「メガテン史上最もディープな悪魔体験」ができるという本作の魅力や新要素を紹介していこう。
「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」公式サイト
人類最後の希望「シュバルツバース調査隊」の物語は
新規イラストやボイスによりドラマチックに展開する
その繁栄の代償なのか,突如南極に,あらゆる物を分子崩壊させながら恐るべきスピードで拡大していく亜空間「シュバルツバース」が出現した。滅亡の危機にさらされた人類は,生き残りをかけた最終計画「シュバルツバース合同計画」を立案。謎深き“滅びの地”に,全世界から選りすぐりの兵士や科学者,最先端の技術を集めた「シュバルツバース調査隊」を送り込むが,そこには戦火に燃える街や,人の心を惑わす歓楽街といった,南極とはほど遠い風景が広がっており,さらに,神話や物語に出てくる「天使」や「悪魔」の姿をした異形の存在があった――。
このように,SFホラー映画のようなストーリーが展開するのが本作の特徴の一つだ。イベントシーンには,リーダーシップに優れた隊長のゴア(CV:石塚運昇)や,粗野な性格だが高い戦闘能力を見せる元軍人のヒメネス(CV:櫻井孝宏),卓越した知識で隊をサポートする科学士官のゼレーニン(CV:坂本真綾)といった主要キャラクターに加え,今回新たに10人以上の隊員にバストアップイラストが追加。さらにボイスも加わり,絶望的な状況を迎えたときの緊張感や,混乱の中で揺れ動く心理状態,決意をもって困難に立ち向かう姿などが,よりドラマチックに描かれる。
より美しく,怪しい雰囲気となったダンジョン
プレイヤーの「スタンス」が人類の未来を左右する
これはストーリーの要所で選択した行動によって,秩序を重んじる「Law」,自由であることに重きを置く「Chaos」,どちらにも属さない中庸を行く「Neutral」のいずれかに変化するもので,仲魔と同じく,真・女神転生シリーズの特徴と言えるシステムだ。これによってエンディングも変化するので,何かの選択に迫られたときは,後悔のない,自分の信じる道を選ぼう。
探索の舞台となるシュバルツバースは「アントリア」「ボーティーズ」といったいくつもの区域に分かれており,それぞれ一人称視点の3Dダンジョンとなっている。
ダンジョンのポリゴンモデルは,ほぼオリジナル版のデータのままということだが,テクスチャのクオリティ向上や新たなエフェクト効果によって,より美しく,そして怪しげな雰囲気あるものへと進化していた。画面の比率もワイドになっているので,オリジナル版以上にダンジョンの深さも感じられるだろう。
また,クラシックをベースに,男性コーラスが入った荘厳なBGMも,DSから3DSへとハードが変わったことによって音質も向上。緊迫感や不安,絶望,そして希望といったプレイヤーの心をよりかきたてるものとなり,没入感を高めてくれている。
主人公達の拠点となるレッドスプライト号の艦内のほか,シュバルツバース探索中にもさまざまな出来事が待っている。天使を名乗り,調査隊への助言や手助けをするマンセマット(CV:森川智之)や,ヒメネスが保護した,言葉もままならない謎の悪魔バガブーなどの登場シーンといったイベントは,静止画をベースとしたアニメーションによる演出で,より印象的なものとなっていた。
イベントのほかに,本編の物語が進行するメインミッションとは異なる「EXミッション」も発生する。探し物や特定の悪魔の討伐といった依頼を達成すると,報酬としてアイテムやお金(マッカ)などがもらえるので,本編を進めつつこちらもこなしていこう。
悪魔の弱点を突くことで有利に展開するバトル
共に戦う仲魔はよりプレイヤー好みの育成が可能に
本作では,初めて出会う悪魔はUNKNOWN(正体不明)として登場し,弱点はおろか,どのような姿をしているのかすら分からない。一度倒してその正体を見極め,戦ったり仲魔にしたりすることで解析度が上がっていき,苦手属性や使用するスキルが分かってくる。
また,敵の弱点を突く攻撃をした際,同じスタンスのパーティメンバーが追撃する「デビルCO-OP」が発動する。デビルCO-OPのレベルは3段階あり,同スタンスのメンバー数に応じて威力が大きくなるので,パーティ編成の際は仲魔のスタンスも気にしつつ,デビルCO-OPを活用しよう。
仲魔は共に戦ってレベルアップしたり,パラメータを向上させるアイテム「香」を使ったりすることで強化できるほか,戦闘終了後,仲魔からスキル変化を提案された際に,より良いスキルに変えることもできる。
このスキル変化だが,オリジナル版には,何に変化するか分からないというギャンブル性があり,「攻撃に特化した仲魔に育てたかったのに,補助系スキルに変わってしまった」といったことがあった。しかし本作では,提案された時点で変化後のスキルが分かるようになり,それを確認したうえで変化させるかどうかを選択できるという,ありがたい仕様に進化している。
また,育てた仲魔は,悪魔全書に登録できるほか,「悪魔パスワード」を書き残すことで再召喚やほかのプレイヤーと共有できる。修正が入ったスキルを持った一部の悪魔などを除き,DS版のパスワードも使えるとことなので,オリジナル版のプレイヤーは,かつて一緒に戦った愛着ある悪魔達と,もう一度旅することができるのだ。
メガテンと言えば高い難度設定が特徴だが,中でも本作のオリジナル版は,ダンジョンの広大さや凶悪な悪魔,そしてあちこちに仕掛けられたトラップによって,多くのプレイヤーが苦しめられた作品として知られている。
本作では3つの難度があり,メガテンに不慣れな人やストーリーを読み進めたい人は「CASUAL」,オリジナル版に近い難度で遊びたい人には「STANDARD」,「絶望的に苦労してこそメガテン」という人は「EXPART」といったように,メガテンならではの歯ごたえはそのままに,初心者でも遊びやすい難度が用意されている。
ゲームを進めてからも変更できるので,「慣れてきたから上げてみよう」,もしくは「高難度すぎて本当に絶望したから下げよう」といった調整も可能なので,それぞれのプレイスタイルに合わせた難度で,シュバルツバース探索に挑んでみよう。
最新兵装「デモニカスーツ」を強化し
シュバルツバースの難関を突破せよ
主人公を含めた調査隊の隊員は,全員が基本AIを搭載した戦闘服を装着している。これは正式名称「DEMOuntable Next Integrated Capability Armor」,通称「デモニカスーツ」と呼ばれる,人類の最先端技術を結集した着脱拡張型・次期能力統合兵器だ。ある出来事で「悪魔召喚プログラム」がこのデモニカスーツにインストールされたおかげで悪魔との会話や仲魔の召喚を行えるようになるので,まさに人類の生命線ともいえる最新兵装なのだ。
デモニカスーツは,装着した者の戦闘経験に応じてシステムが向上するという成長性と,アプリケーションを追加することで,各種機能を増強できるという拡張性を特徴とする“クレバーで,進化する戦闘服”だ。悪魔との戦いでレベルを上げながら探索して,ダンジョンにある未知の物体フォルマを回収し,それを原料に新たな装備やアプリを製作して自身を強化し,新たな区域へと進んでいこう。
サブアプリには,バトル時に主人公が使用することで「先制行動」や「攻撃力上昇」といった,パーティ全体にさまざまな効果を与える「コマンダースキル」や,探索や罠対策といった前作で不便だった部分を補う便利なアプリが新たに追加。3つの難度設定とアプリ使用有無の兼ね合いで,さらにプレイヤー好みの難度調節が可能だ。
装着できるかぎりのアプリを取り入れ,人類の英知を集めた科学力によって悪魔を蹂躙してもいいし,あえて使用するアプリを限定して,オリジナル版に近い状況でシュバルツバースの凶悪さを味わってもいい。その楽しみ方もプレイヤー次第だ。
そのデザイン性が強烈な存在感を放ち,“バケツを被ったような姿”と形容され物議をかもした(?)デモニカスーツだが,選ばれし者がまとう聖なる武具ではなく,いかにも量産型という感じが何ともたまらない。
悪魔に襲われ,同じデモニカスーツをまとった姿で横たわる隊員を見ると,「自分は特別な存在ではなく,あくまでこの場に集められた大勢の中の一人。次は自分がこうなってもおかしくない立場なのだ」という気持ちも沸くという,本作の世界や物語への没入感も得られるという効果があると,筆者は感じている。
オリジナル版の後に発売された「真・女神転生IV」でもそのモチーフが出てくるが,やはりこれを着用してのシュバルツバース探索は格別だった。オリジナル版のプレイヤーにはまたぜひ体験してほしいところだ。
新ダンジョン「嘆きの胎」と謎の少女アレックスが登場
新たに3つのエンディングが追加に
シュバルツバースの探索を進めていくと,本作の新キャラクターで,主人公を命を狙うアレックス(CV:潘 めぐみ)と出会う。
調査隊よりも高度なテクノロジーで作られたデモニカスーツを着用するこの謎の少女を中心に,本編とは別の新たな物語と,そして新ダンジョン「嘆きの胎」の探索が始まる。
通称「牢獄」と呼ばれる嘆きの胎。今回のプレイでは冒頭部分しか触れられなかったが,多くの新悪魔が登場し,前作のラストダンジョン以上の規模を誇る“超凶悪”なダンジョンになっているという。さらに新たなエンディングが3種類追加されるとのことなので,嘆きの胎で何が待ち構えているのか,そしてアレックスの物語がどう展開するのか期待も高まるところだ。
ほかにも,ダンジョン内のどこでもセーブ機能や,仲魔のスキル表示順序の入れ替え機能,インタフェースやシステム面の大幅なリファインなど,あらゆる面が“メガテンファンが期待している手強い面はそのままに,新規プレイヤーに向けて遊びやすい形”へと進化している印象を受けた。
初めて真・女神転生シリーズ作品を手にするという人は“メガテン”ならではの空気感やゲーム性を感じてもらい,そして,オリジナル版で狂喜乱舞(もしくは阿鼻叫喚)したというかつての“隊員”は当時の体験を思い出しながら,よりディープに進化し“過酷で奇妙な旅”を楽しめる本作をプレイしてほしい。
「真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY」公式サイト
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