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スパイク・チュンソフトが贈る完全新作「ザンキゼロ」を紹介。“廃墟の島”を舞台に謎多き物語が進行する,新感覚のダンジョンRPG
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印刷2018/07/06 00:00

プレイレポート

スパイク・チュンソフトが贈る完全新作「ザンキゼロ」を紹介。“廃墟の島”を舞台に謎多き物語が進行する,新感覚のダンジョンRPG

 スパイク・チュンソフトは,PlayStation 4 / PlayStation Vita向けRPG「ザンキゼロ」を,2018年7月5日に発売した。
 “ノンストップ残機サバイバルRPG”とジャンル付けされた本作は,「ダンガンロンパ」シリーズでおなじみの寺澤善徳氏菅原隆行氏などが手掛ける,完全新規のタイトルだ。廃墟が島となって漂流している世界で,個性的な登場人物達が繰り広げるサバイバルを描いた作品となっている。そんな本作のプレイレポートをお届けしよう。

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 なお,本稿のプレイにはPlayStation 4版を使用している。また,ネタバレはなるべく避けているが,ゲームシステムの紹介部分には,ネタバレに近い情報も含まれているので注意してほしい。

「ザンキゼロ」公式サイト



さまざまな“罪”を抱える8人の物語は

衝撃のオープニングで幕が開く


 本作の物語は,1人の若者がビルの屋上の縁に佇む,不穏なオープニングで幕を開ける。若者の名は日暮ハルト。真面目な性格の25歳の編集者だ。その場で意識を失った彼だったが,不思議な声とゲーム音楽に導かれ,とある島の砂浜にて目覚める。
 この“とある島”こそが,本作の舞台となる「ガレキ島」だ。島の中央にあるガレージには,ハルトと似たような経緯で島にやってきた7人が集まっていた。ハルトを入れた8人は,謎の「エクステンドTV」から課せられるミッションに“人類最後の生き残り”として挑むという,サバイバル生活を送ることになる。

 この島に集められた人物は,全員が異なる職業や経歴を持ち,それぞれ「7つの大罪」「原罪」にまつわる特殊な境遇を抱えている。それらはゲームを進めていくことで少しずつ明らかにされていくが,どれもなかなか“エグい”内容となっているので,そのあたりは覚悟して挑んでいただきたい。

ビルから飛び降りたようにも見えるが……ハルトのオープニングはなかなか衝撃的だ
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島でハルトと最初に出会う比良坂サチカは,あどけない口調で幼さを感じさせる女の子だ。右手の義手,左足の義足が気になるところ
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島に集まった人間は,サチカを除いてほぼ同世代のようだ

 さて,ここまでの紹介だと,まるでハルトを主人公としたゲームのようだが,ハルトだけではなく“島に集まった人間全員が主人公”なのが本作の面白いところ。ハルトのチャプターをクリアすると,次は別のキャラクターが主役となり,ハルトは仲間として画面に登場するのだ。

 このように,主役となるキャラクターがチャプターごとに入れ替わるため,プレイヤーはそれぞれの心情をより感じ取れるようになっている。また,これによって,前述した彼らのエグい境遇が,プレイヤーの心に突き刺さるのである。
 主役となるキャラクターの順番は決まっているのだが,主役が交代するときの演出もストーリーに強く関わっているので注目してほしい。

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主人公が代わり,仲間として登場するハルト
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絵本のようなシルエットの絵柄で,主役となる人物の境遇が語られる


リアルタイムで進行するダンジョン探索

“死んで”“生き返り”難関を突破しよう


 ゲームを進めるうえでメインとなるのは,3Dダンジョンで構成された島の探索だ。寂れた海辺の田舎町のような雰囲気のガレキ島と,各キャラクターのステージとなる「漂流廃墟」が探索の舞台となる。
 “漂流していた廃墟が流れ着き,ダンジョンになる”という,その設定に驚かされる漂流廃墟では,さまざまな強敵やギミックが待ち受けている。また,オフィスビルやコテージのあるリゾート地など,そのときの主役キャラクターに関係する場所をイメージしたものとなっており,進めることで彼らの境遇が明らかになっていく。

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東西南北の4方向に分かれ,1マスずつ移動できる
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その場で使用できるものや,施設の建設や装備の製作に必要となる素材など,廃墟にはさまざまなアイテムが落ちている

 ダンジョン探索の特徴となっているのが,リアルタイムで進行するという点だ。これにより,敵の動きを見て有利な方向へと素早く移動して攻撃したり,ボタンを押しっぱなしにして「チャージ攻撃」を溜めつつ近づいて発動させたりといった,敵の動きや位置を意識した戦術が重要となる。

 敵となるのは,島にいる動物や「クリーチャ」と呼ばれる怪物達だ。探索は基本全員で行うが,バトルに参加できるのは4人で,いつでもメンバーの入れ替えが可能だ。
 生命力を回復する手段が休憩ぐらいしかない序盤は,細かくバトルのメンバーをチェンジしながらそれぞれの生命力消費をマネジメントするという手段も有効となる。
 リアルタイムでの探索は,不用意な行動によって敵を招いたり,注意を怠った状態でうろうろしたあげく,気づいたら周囲を敵に囲まれ袋叩きに遭う……といったこともあるので,なかなか気が抜けない。慎重に行動しよう。

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敵は,目の前にいるときに[□]を押すと攻撃できる
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[□]を押しっぱなしにするとチャージ攻撃となり,複数のキャラクターで行うと連携攻撃が発生する
チャプターの最後にはボスが登場。通常の敵とは異なる,特殊な攻撃を多用する強敵だ
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 ダンジョン探索のプレイ感を味わって思い出したのが,1980年代後半に登場したFTL GamesのRPG「ダンジョンマスター」だ。動き回る敵のモーションや向き,距離などを考慮しながらの戦闘や,時間経過で変化するパラメータ,その場で「休憩」することで回復する生命力,拾ったアイテムの重量がキャラクターの動きに関係する点など,かつての名作3DダンジョンRPGをプレイしたときと同じような感覚があった。

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休憩で休むと生命力が回復するが,スタミナが減ってしまう。周囲が見えないため,敵からの攻撃には無防備となる
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持てるアイテム重量には上限があり,それを超えると移動すらできなくなってしまうので要注意だ

 そういった部分に,「寿命」「エクステンド」といった独自のシステムが組み込まれ,ほかにはない手触りとバランスが生まれているのが本作ならではのポイントだ。
 主人公全員に設定された寿命は,ゲームを進めるうえで非常に重要なシステムとなっている。
 これはゲーム序盤で判明することなのだが,本作に登場するキャラクター8人は,元の人間の意識を持った“クローン人間”であり,わずか13日の期間で「幼年期」「青年期」「壮年期」「老年期」の順に発育し,これを過ぎると老衰で死んでしまう。ダンジョンのフロア移動を行うことで1日が経過し,場合によっては探索中に老衰で死んでしまうこともあるのだ。

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フロア移動により1日が経過。生後日数によって,顔つきが違うのが分かるだろう
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当然会話シーンは,現在の発育段階のキャラクターが登場する
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幼年期や老年期は力に限界があり戦いには向かないが,スキルを取得するればある程度カバーできる

 彼らが復活できるというのも,本作の特徴的なシステムだ。その生死を司るのが,拠点のガレージにある「エクステンドマシン」。敵の攻撃や老衰などで死んでしまったキャラクターは,死んだときに残る謎の物体「ペケ字キー」を仲間が持ち帰り,エクステンドマシンにそれを入れることで,これまでの冒険で得た力を受け継いだ状態で生き返る「エクステンド」を行えるのだ。

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全員のヘソに設置されたペケ字キー。死ぬとその人物は砂となって消え,ペケ字キーだけが残る
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アーケードゲームの筐体のようなエクステンドマシン。エクステンドは,敵を倒すことなどで手に入る「SCORE」を使用して行う。生き残っているキャラクター数は「ZANKI」として左上に表示されるので,こちらを確認しよう

 エクステンドの際,「シガバネ」というボーナスシステムによって,死んだときの状況でパラメータや特性が変化することがある。「毒で死んだ際は毒状態になりにくくなる」「野生動物にやられた際は,その動物の攻撃に強くなる」といった,まさに“死がバネ”になるシガバネは,レベルアップとは異なる重要な成長要素だ。

 エクステンドを行った際は幼年期に戻るため,総合的な戦闘力が一時的に下がってしまうが,ゲームを進める過程で必ず訪れる事態だ。メンバーがどの発育期にあるかや,死期が来るまでの日数といった“死んで”“生き返る”ことを含めた戦略を立てて,難関を攻略しよう。

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シガバネボーナスをありにすると,消費SCOREが若干増える。多くのSCOREが必要となるが,修得したスキルのリセットも可能だ
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ボーナスの内容は,さまざまな条件で変化する。寿命が延びるという嬉しいものも

 もう一つ見逃せない要素が,劇中で放映される謎の「エクステンドTV」である。これはヒツジのMC「ミライ」と,アシスタントの少年「テラシマ ショウ」による,モノクロのテレビショーで,島の各所に置いてあるブラウン管テレビから流れてくる。人をくったような演出で主人公8人を導いていく。
 彼らは島での行動におけるルールを詳しく知っていて,さらに主人公達のバックボーンを映像化した「攻略ビデオ」を持ってくるなど,ことの全てを知っている節があり,その正体も気にかかるところだ。

 「ダンガンロンパ」シリーズのモノクマやモノミなどの立ち位置に近いものを感じさせる2人だが,ミライを野沢雅子さん,ショウを中尾隆聖さんという,こちらもモノクマと同じくベテラン声優がCVを担当している。2人の味のある演技も注目ポイントだ。

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毎回異なる2人のやりとりにも注目。やたらと明るいのがまた腹立たしい
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主にショウがどこからから持ってくる「攻略ビデオ」。主人公達の境遇が映し出される

 ゲームシステムはかなり特殊なところがあるが,作り自体は非常に丁寧で,ゲーム序盤でストーリーを交えたチュートリアルが用意されている。難しすぎて投げてしまうことはないだろう。
 また,リアルタイムといっても,複雑な操作やアクションを求められるわけではないので,「ゲームに不慣れだからストーリーを進められない」という状況にはならないはず。5段階(初期は3段階)用意された難度から,プレイスタイルにあったものを選択しよう。

ほかにも,主人公達の身体に移植することでさまざまな能力が得られる「クリオネ」(写真)や,拠点の寝室で“あえて2人を1つの部屋で休ませる”ことで発生する「ソイネ効果」など,一癖も二癖もあるシステムが満載。こちらはゲームをプレイして体験してほしい
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 主人公達の境遇におけるエグい設定や,イベントによってはかなりキツいシーンがあるなど,演出的な部分では人を選ぶところはある。しかし,8人の主人公はそれぞれキャラが立っており,ゲームを進めていくと愛着がわいてきて,その裏側に隠された境遇に興味がわいてくるはずだ。
 完全新規タイトルとして,なかなか斬新な手触りがある本作。気になる人は,ぜひこの発売のタイミングで体験してほしい。

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