インタビュー
“ダンボール戦機らしさ”を意識し,世界観や物語を一新。「装甲娘 ミゼレムクライシス」開発者インタビュー
「装甲娘 ミゼレムクライシス」は,「ダンボール戦機」に登場する「LBX」をモチーフとした装甲を身にまとった女の子たちが活躍するRPG。2018年1月にサービスが始まったが,同年6月からリニューアルのためサービス休止期間に入っている。
サービス再開への期待が高まる本作について,リニューアルを担当するDMM GAMESのプロデューサーである平井善久氏とディレクターの瀬川修平氏に話を聞く機会を得たので,そのインタビューをお届けしよう。より“ダンボール戦機らしさ”を意識したリニューアルとなっているようだ。
「装甲娘 ミゼレムクライシス」公式サイト
ファンの声に耳を傾け,より“ダンボール戦機らしさ”ある作品に
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。装甲娘は2018年1月にリリースされ,同年6月からリニューアル期間に入りました。その際,開発体制の変更が発表されましたが,あらためてこの辺りを聞かせてください。
平井善久氏(以下,平井氏):
もともと装甲娘は外部のデベロッパが開発を担当していたのですが,リニューアル以降は私たちDMM GAMES内部の開発チームが制作を進めています。私たちが任されることになったのが2018年5月ごろからですね。
4Gamer:
そもそも,なぜリニューアルを決めたのでしょうか。
平井氏:
PCブラウザ版には課題や問題点があり,また,プレイヤーの皆さんに満足いただけるようなサービスを提供できていませんでした。ですが,一方でダンボール戦機が好きで熱心に遊んでくれている人も多く,またサービスを控えていたアプリ版の事前登録も非常に好調で。「このまま装甲娘を終わらせることはできない」と。
まずは再始動に向けた新たな開発チームを作り,そこからリニューアルの方向性を決めていきました。
4Gamer:
お二人がそれぞれプロデューサーとディレクターを担当することになった経緯を聞かせてください。
平井氏:
私自身がダンボール戦機好きで,社内で話し合いがあったとき挙手したのが始まりですね。
瀬川修平氏(以下,瀬川氏):
私は平井に声を掛けられてチームに加わりました。会社として力を入れているプロジェクトであることは心得ていたので,メンバーを集めるときは信頼のおける人たちに声を掛けました。
4Gamer:
リニューアルはどのように進めていったのですか。
平井氏:
最初に,当初リリースされた装甲娘を遊んでいたプレイヤーの皆さんが,どの点を不満に感じていたのか。これの洗い出しをユーザーアンケートで行いました。
大きく「バトルシステム」「世界観」「イラスト」の3つのカテゴリに分けてアンケートを取ったのですが,バトルシステムは70%以上の方が”満足ではない”と答えており,これは全面リニューアルしなければと。世界観やイラストについても,不満の声はそう多くないものの,満足ではないという意見も少なくなかったので,アップデートは必要だろうと判断しました。
瀬川氏:
リニューアルは本来,もともとあったリソースをどう引き継ぐかが重要になるのですが,装甲娘に関してはほぼすべて作り直すことになりました。そういう意味で通常のリニューアル作品とは進め方自体も異なるものでしたね。
4Gamer:
世界観やメインストーリーがガラッと変わったことには驚かされました。なぜ一新しようと思ったのでしょう。
平井氏:
リニューアル前の装甲娘を遊んだ,いちプレイヤーの率直な感想として「ダンボール戦機要素が少ない」と感じていたんです。コアなターゲットとしてダンボール戦機のファンを想定しているので,“ダンボール戦機らしさ”を感じられる部分はもっとほしいと。
4Gamer:
SNSの反応をみていると,多くの根強いファンがいる作品だと感じます。よりそういった人たちに届く作品にしたいと。
平井氏:
はい。なので「ダンボール戦機要素をもっと取り入れたい」という点は大事にしましたし,レベルファイブさんへは何度も話し合いに行きました。もちろん,ダンボール戦機を知らない人でも楽しめるという点は気を付けています。ダンボール戦機要素を色濃くする一方,我々はオリジナルのIPとしての装甲娘を作り上げなければなりませんから。
4Gamer:
「プロデューサー・ディレクターレター」という動画配信では,開発の進捗を包み隠さず赤裸々に発信していた印象があります。配信はなぜ始めようと思ったのでしょう。
平井氏:
ダンボール戦機は知名度が高いタイトルですし,装甲娘のリニューアル期間も長期となってしまうことで,何の情報も発信しないままお待たせするわけにはいかないと。あとは,装甲娘を期待して待ってくださっているダンボール戦機ファンが多かったことですね。そんなファンの皆さんと交流しながらタイトルを育てていきたいという気持ちもありました。
瀬川氏:
開発中に仕様が変わることもあるので,情報を出すのは相当なプレッシャーでしたが,ファンの皆さんからの意見も取り入れて開発に活かせる点はやはり大きかったですね。
4Gamer:
一新されたという世界観とストーリーを教えてください。
平井氏:
「ダンボール戦機W」でミゼルが引き起こしたある事件の3年後を舞台とした,いわゆるパラレルワールドになっています。
本作の世界では”ミゼルクライシス”と呼ばれているのですが,この事件に似た出来事が起きていて,それがミゼル本人によるものなのか,または模倣犯によるものなのか……というのが物語の軸となっています。
瀬川氏:
パラレルワールドではありますが,ダンボール戦機のストーリーから続く物語になっているのがポイントですね。リニューアル前の世界観同様,荒廃した街並みもあるのですが,女の子たち個人にもスポットを当てていて,和気あいあいとした雰囲気もあります。指揮官として女の子たちの悩みを聞くようなシチュエーションもあるので,プレイヤーの皆さんはそれに萌えていただければと(笑)。
4Gamer:
バトルはどのように生まれ変わったのでしょう。
瀬川氏:
リニューアル前のシステムを徹底的に分析したうえで,多くの人に受け入れてもらえるようなバトルシステムを目指しました。「ダンボール戦機からアクション要素を取り払ってどう面白くするのか」はかなり悩まされたところで,カスタム要素などダンボール戦機らしさを感じられる部分はボリュームを増やしつつ,バトルは比較的シンプルな形に落ち着きました。
平井氏:
セミリアルタイムオートバトルと呼んでいるのですが,オートでバトルが進むなかで,プレイヤーが任意のタイミングで「必殺ファンクション」を放つというものです。
瀬川氏:
加えて「ACCM」という,ダンボール戦機のLBXの造形をしたキャラクターを召喚するような形で一緒に戦える機能を入れました。
ACCMとは「アシストCCM」の略で,ダンボール戦機のCCM(control&communication Manipulator)というLBXを操作するリモコン端末がモチーフになっています。操作はシンプルですが,ビジュアル的にはダイナミックなバトルになってます。
平井氏:
ACCMで召喚されるキャラクターは,正しくはLBXではなく試作型LBCSと呼ばれるもので,人間と同じくらいの大きさがあります。世界観の話ですが,試作型LBCSはもともと対ミゼル用に作られたもので,これをベースに,ダンボール戦機ファンならおなじみ山野博士こと山野淳一郎が,装甲娘たちが身にまとう装着型のLBCSに改造した……という設定があります。
4Gamer:
キャラクターの育成要素はいかがでしょうか。
平井氏:
かなり充実させています。やり込み部分は主に育成になり,バトルは育成したキャラの力を発揮させる場所として機能するようバランスを考えています。
4Gamer:
リニューアル前は,レアリティの低いキャラでも最高レアを目指せる形でした。リニューアル後もこの方針は変わらずですか。
瀬川氏:
レアリティという表現はしておりませんが,どのキャラクターも最大★5まで育成が出来るようになってます。
4Gamer:
リニューアル前は,最低レアのキャラを最高レアにするための手間が掛かることが気になりました。シナリオで「あなたは特別」と言われる主人公のカリナがなかなか強くならず,「彼女は特別な存在のはずでは……」と。
瀬川氏:
ストレスなく遊べるようバランスは調整しています。また,カスタムは1人1人のキャラクターで行えるように変更し,育成要素も増えています。「どう育成してカスタムするか」という時間を楽しんでもらえればと。
平井氏:
どのキャラクターも★5に到達できることに加えて,それぞれに活躍できる場面があるので,メンバーを入れ替えながらバトルを楽しんでください。
4Gamer:
現在の開発状況を教えてください。継続中のスマートフォン版に加えて,あらためてPCブラウザ版の事前登録も始まりましたが,リリースはいつごろになるのでしょう。
瀬川氏:
開発はほぼ終わっていて,現在は細かなチューニングやバグのチェックを入念に行っている状況です。
平井氏:
初夏までのリリース開始を予定しています。PCブラウザ版ではキャラクターたちを育成できる事前登録限定のイベントが始まりました。ゲーム開始時に有利になるアイテムをもらえるのでぜひ参加してください。
PCブラウザ版とスマートフォン版でデータの連携ができるので,PCブラウザ版の事前登録イベントで獲得した特典をスマートフォン版に活かすこともできます。詳しくはPCブラウザ版の事前登録イベントにてご確認ください。
4Gamer:
最後に読者やリリースを待っているファンにメッセージをお願いします。
瀬川氏:
お待ちいただいた皆さんに満足いただけるよう開発を進めてまいりましたので,どう変わったのか,実際にプレイして確かめてください。リリース後もプレイヤーの皆さんの声を開発に活かすよう努めてまいります。共に装甲娘を盛り上げていきましょう。
平井氏:
ダンボール戦機のファンに納得していただけるよう開発を行ってきました。豪華な声優さんやイラストレーターさんも参加しており,ダンボール戦機ファンはもちろん,ダンボール戦機を知らない人でも楽しめる作品になっていると思います。ゲーム以外のメディアミックス展開も行われますので,こちらにもご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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(C)2020 EXNOA LLC/LEVEL-5 Inc.
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