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Huawei,ハイエンドスマートフォン「Mate 20」シリーズを発表。7.2インチ有機EL&Kirin 980搭載の「Mate 20 X」はSwitchを超える?
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印刷2018/10/18 20:02

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Huawei,ハイエンドスマートフォン「Mate 20」シリーズを発表。7.2インチ有機EL&Kirin 980搭載の「Mate 20 X」はSwitchを超える?

 英国時間2018年10月16日,Huawei Technologies(以下,Huawei)は,英国・ロンドンで独自イベントを開催し,ハイエンド市場向けスマートフォン「Mate 20」「Mate 20 Pro」「Mate 20 X」の3製品を世界市場に向けて発表した。ヨーロッパ市場では,16日に販売も始まっている。

Mate 20シリーズのラインナップは,PORSCHE DESIGNモデルを含む4種類となる
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 今回発表となった3製品は,いずれも7nm製造プロセスで製造されるHiSilicon Technologies(以下,HiSilicon)製のハイエンド市場向けSoC(System-on-a-Chip)「Kirin 980」(関連記事)を搭載するのが特徴だ。イベントの様子と新製品の概要をレポートしよう。

Mate 20 Proの前面。ディスプレイは有機ELパネルで,左右端が湾曲したカバーガラスで前面を覆っている
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専用ゲームパッドと合体できる7.2インチ級ファブレットに注目


 新製品に話を戻そう。
 今回の3製品は,いずれもハイエンド市場向けの製品だが,シリーズ中の位置付けは異なる。“無印”のMate 20は,ラインナップの中でもスタンダードなモデルで,Mate 20 Proがフラッグシップモデルとなる。

Mate 20の概要。画面解像度は1080×2244ドットで,9:18.7という縦長アスペクト比の6.53インチ有機ELパネルを採用。前面における画面占有率では,フラッグシップモデルのMate 20 Proを上回る
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Mate 20 Proの概要。サイズはMate 20よりわずかに小さい6.39インチだが,画面解像度は1080×3120ドットで,アスペクト比は9:19.5と若干縦長だ。前面上側に深度センサーを含めたカメラユニットを搭載するため,Mate 20よりも切り欠き部分が大きい
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 最後のMate 20 Xは,Mate 20無印とMate 20 Proの中間といったスペックに,7.2インチという大画面有機ELパネルを採用したファブレットモデルだ。

Mate 20 Xの概要。Mate 20と同じ解像度とアスペクト比だが,画面サイズは7.2インチのファブレットモデルである
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 ゲーマーからの注目を集めそうなのは,Mate 20 Xであろう。Mate 20 Xは,スマートフォン本体をはめ込んで使う専用ゲームパッドをオプションとして用意しているのだ。

専用ゲームパッドと合体した状態のMate 20 X。アナログスティックとD-Padのほか,ショルダーにトリガーボタンもあるようだ
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 かなり突飛な比較ではあるが,Mate 20 XとNintendo Switch(以下,Switch)の比較も行われている。Huaweiによると,Mate 20 Xの画面サイズは,Switchの6.2インチサイズよりも大きく,バッテリー駆動時間でも勝るという。
 使い勝手や対応ゲームの数次第ではあるが,大画面&専用ゲームパッドを組み合わせたMate 20 Xは,見逃せない製品となる可能性を秘めているかもしれない。

比較に意味があるかはさておき,Mate 20 Xは,スクリーンサイズやバッテリー駆動時間でSwitchを上回るという
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Mate 20 Xの内部構造を示したスライド。平たいヒートパイプのVapor Chamberと,放熱シートとなるGraphene Filmの採用がポイントだ
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 高性能を支える冷却機能の改良も,Mate 20 Xにおける見どころの1つ。HuaweiはMate 20 Xにおける高負荷時の熱対策として,従来の銅製ヒートパイプに代えて,「Vapor Chamber」構造と,熱伝導シートとして「Graphene Film」(グラフェンフィルム)を採用したそうだ。

専用スタイラス「M-Pen」を使うと,4096段階の筆圧検知に対応したペン入力が可能だ
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 専用スタイラス「M-Pen」によるペン入力に対応する点も,Mate 20 Xの大きな特徴と言えよう。ただし,スタイラス対応スマートフォンの先駆者であるGalaxy Noteシリーズとは異なり,M-Pen自体は別売で,スマートフォン本体に収納する機能もない。
 スタイラス入力にフォーカスしたGalaxy Noteシリーズとは,方向性が異なるわけだが,代わりの製品となりうる端末の登場は,歓迎できるだろう。


Leicaと共同開発したトリプルレンズ式カメラを搭載


 Mate 20シリーズにおけるカメラ機能は,従来通り独Leicaと共同開発したものとなっている。
 Mate 10シリーズにおけるLeica銘のデュアルレンズは,モノクロセンサーとRGBセンサーの組み合わせたものであった。一方,今回のMate 20シリーズは,3機種ともトリプルレンズ式のカメラモジュールを採用しているが,モノクロセンサーはなく,すべてがRGBセンサーによる標準(27mm相当),ウルトラワイド(16mm相当),望遠(光学3倍,80mm相当)という構成だ。

 カメラ用のセンサーは,Mate 20 ProとMate 20 Xが同一の構成で,メインカメラに約4000万画素のセンサーを採用している。3つのレンズは,LEDフラッシュライトと合わせて四角形になる独特の配置を採用しているのだが,Mate 20 ProとMate 20 Xは,左上から時計回りにフラッシュ,標準,ワイド,望遠という配置なのに対して,Mate 20だけは,左上からワイド,フラッシュ,望遠(光学2倍),標準と,なぜか反転した配置になっているのも違いだ。

似て非なるMate 20(写真左)とMate 20 Pro(写真右)のレンズ配置
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 Huaweiは,Mate 20シリーズのポイントとして,生体認証機能もアピールしていた。
 中でも注目に値するのはMate 20 Proで,生体認証機能として,フロントパネル直下にセンサーを組み込んだ指紋認証機能を採用している点だ,これは,2018年3月に発表となった高級スマートフォン「PORSCHE DESIGN Huawei Mate RS」で先行採用となった技術で,画面に触れるだけで指紋認証を行えるため,Mate 20 Proには独立した指紋認証センサーが存在しない。
 一方,Mate 20とMate 20 Xは,背面のアウトカメラ下側に指紋認証センサーを配置したよくある構成を採用している。

Mate 20 Proでは,有機ELパネル直下に指紋認証センサーを埋め込んだ。センサー部分は10段階の圧力を感知できる
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 ちなみに,Mate 20 Proの指紋認証センサーは,スリープ状態からスマートフォンを持ち上げたり,画面に一度タッチしたりすることで,センサーの位置を画面上に表示する仕組みとなっていた。
 また,Mate 20 Proでは指紋認証に加えて,iPhone Xシリーズが採用する「3D Face Unlock」(3D顔認証)にも対応する。基本的な仕組みはiPhone Xシリーズと同じで,赤外線による不可視のドットを顔に照射することで深度を検出する赤外線センサーを使うものだ。そのため,Mate 20とMate 20 Xでは小さな逆三角形の切り欠きで済んでいるのに対して,Mate 20 Proでは台形を逆さにした大きめの切り欠きとなっている。

顔認証として,ドットプロジェクターと赤外線カメラ機能による深度情報も含んだ3D顔認証を採用
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Mate 20 Proのみ,IP68準拠の防塵,防水仕様である
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 外観面でもMate 20 Proはほかの2製品と異なり,有機ELパネルの四辺がカーブしたデザインを採用しているのがポイントだ。そのため,見た目だけでなく,握った感じも「Galaxy S9」や「Xperia XZ3」などと似た印象を受ける。ちなみに,3機種の中でMate 20 Proだけは,IP68準拠の防塵,防水仕様であるとのことだ。

日本で販売される可能性が濃厚なMate 20 Proは税込み1049ユーロ。日本円にするとざっと13万6000円といったところ
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 冒頭でも触れたとおり,Mate 20とMate 20 Proは,欧州地域ですでに発売中だ。メーカー想定売価は,Mate 20がメインメモリ容量4GB,内蔵ストレージ容量128GBの構成で799ユーロ(税込,約10万3600円),メインメモリ容量6GBのモデルは849ユーロ(税込,約11万円)となっている。
 Mate 20 Proは,メインメモリ容量6GB,内蔵ストレージ容量128GBの最小構成で1049ユーロ(税込,約13万6000円)。Mate 20 Xは,メインメモリ容量6GB,内蔵ストレージ容量128GBで899ユーロ(税込,約11万6600円)とのこと。いずれも日本円で10万円を超える高価な製品だ。

 ちなみに,日本市場に投入されたことはないが,ラグジュアリーモデルである「PORSCHE DESIGN Mate 20 RS」になると,メインメモリ容量8GB,内蔵ストレージ容量256GBの下位モデルでも1695ユーロ(税込,約21万9700円)と,価格もラグジュアリーとなっている。欧州では11月16日から発売とのことだ。

 スペックに関わる話の最後に,3製品の主な仕様をにまとめておこう。

表 Mate 20,Mate 20 Pro,Mate 20 Xの主なスペック
Mate 20 Mate 20 Pro Mate 20 X
メーカー Huawei Technologies
OS Android 9.0(Pie)
ディスプレイパネル 6.53インチ有機EL,解像度1080×2244ドット,381ppi 6.39インチ有機EL,解像度1440×3120ドット,538ppi 7.2インチ有機EL,解像度1080×2244ドット,346ppi
プロセッサ HiSilicon製「Kirin 980」
・CPUコア:Cortex-A76(最大2.6GHz)×2+Cortex-A76(最大1.92GHz)×2+Cortex-A55(最大1.8GHz)×4
・GPUコア:Mali-G76
・AI処理プロセッサ:NPU×2
メインメモリ容量 4GB,6GB 6GB,8GB 6GB
ストレージ 128GB 128GB,256GB 128GB
アウトカメラ 三眼式,光学式手振れ補正機能搭載
標準:約1200万画素,F1.8
ワイド:約1600万画素,F2.2
望遠:約800万画素,F2.4
三眼式,光学式手振れ補正機能搭載
標準:約4000万画素,F1.8
ワイド:約2000万画素,F2.2
望遠:約800万画素,F2.4
インカメラ 約2400万画素,F2.0
対応LTEバンド FDD LTE Band 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28
TDD LTE Band 34/38/39/40/41
FDD LTE Band 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32
TDD LTE Band 34/38/39/40
FDD LTE Band 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26
TDD LTE Band 34/38/39/40
対応3Gバンド Band 1/2/4/5/6/8/19
バッテリー容量 4000mAh 4200mAh 5000mAh
待受時間 未公開
連続通話時間 未公開
無線LAN対応 IEEE 802.11ac
Bluetooth対応 5.0
USBポート USB 3.1 Gen.1 Type-C
公称本体サイズ 77.2(W)×158.2(D)×8.3(H)mm 72.3(W)×157.8(D)×8.6(H)mm 85.4(W)×174.6(D)×8.15(H)mm
公称本体重量 約188g 約189g 約232g


先進的な仕様の実装で差別化を図る

ワイヤレス給電は面白いが,独自メモリカードには疑問符


 Huaweiの製品戦略は多彩だ。例年,数回の新製品発表を行って数多くのラインナップを維持し続け,市場セグメントに応じた製品を次々と投入していく。今回発表されたMateシリーズや,高機能カメラスマートフォンとして話題を呼んだP20シリーズなど,ハイエンド市場向けにも複数のシリーズを用意しており,ときには1つのモデルを市場別に異なる名称で販売するといった手法も駆使して,ラインナップを展開しているのだ。

 ただ,Huaweiのブランド戦略と販売戦略が必ずしも一致しないように見えることもある。たとえば,今回のイベントはMate 20シリーズのローンチイベントなのだが,欧州市場においては,シリーズの下位モデルである「Mate 20 lite」が,2018年9月上旬に発売済みだ。しかもMate 20 liteは,ミドルクラス〜エントリー市場向けSoCの「Kirin 710」を採用する製品で,今回発表のMate 20シリーズとはまったく別物である。
 一般論としては,上位モデルから順に製品を投入してシリーズのイメージを確立していくのが定石なのだが,Huaweiはそういう展開にはとらわれないようだ。こうした貪欲な動きが,結果としてAppleを抜き,Samsung Electronics(以下,Samsung)に次ぐ世界2位のスマートフォンメーカーとなった販売実績につながったのだろうか。

 とはいえ,猛烈な速さで高機能化とコモディティ化が同時進行するハイエンド市場向けスマートフォンでは,メーカーごとや製品ごとの差異は,年々小さくなっているのが実情だ。差別化のために新奇をてらった結果,空振りに終わることも珍しくない。
 実際のところ,Mate 20シリーズでも,スマートフォンそのものに驚くほどの機能はないのだが,それでもブランドのハイエンドモデルに,挑戦的な機能を果敢に実装してくるところがHuaweiのすごさでもある。

iPhone XSにワイヤレス給電ができるMate 20シリーズ
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 イベント中に,最も会場が沸いたのは,ワイヤレス充電機能「Reverse Charging」を紹介したタイミングだった。
 ワイヤレス充電の採用では,Huaweiは後発のメーカーで,今回のMate 20シリーズが初めてとなる。ワイヤレス充電の規格にはいくつかあるが,スマートフォンの世界では,SamsungやAppleが対応する「Qi」(チー)が業界標準になりそうだ。
 ワイヤレス充電の採用自体は,ごく当たり前の展開だが,今回のHuawei製品で面白いのは,Mate 20シリーズから他のスマートフォンやQi対応デバイスに給電することも可能な点だ。理論は昔から存在していたし,実際に中国や台湾のODM,OEMメーカーが,5年ほど前からCOMPUTEX TAIPEIのような展示会などで,ワイヤレス給電機能を持たせたバッテリー内蔵のスマートフォンケースを展示してはポシャるのも見てきた。そんな機能を,フラッグシップモデルに実装してきたことに驚かされたものだ。

 Huaweiがイベントで披露したスライドや製品プロモーション映像では,スマートフォンからスマートフォンへの充電がクローズアップされていた。大容量バッテリーを内蔵するMate 20シリーズからiPhoneへ給電できるという話が,ウケないはずはない。
 ただ,実際には緊急避難的運用はまれで,実用上は,たとえばフルワイヤレスタイプのインイヤーヘッドフォンやスマートウオッチ,スマートバンドといったスマートフォン関連デバイスの充電に応用できるのが将来的なメリットになるだろう。

10V 4Aで急速充電可能なHuawei Super Charge。容量4000〜5000mAhのバッテリーを,約30分で0%から70%まで充電可能だ
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 充電関連でもう1つのトピックだったのは,独自の充電技術という「Huawei Super Charge」だ。10V,4Aで最大40Wの給電が可能になるというもので,4000〜5000mAhの内蔵バッテリーを,より高速に充電できるという。
 Huaweiの調査によると,iPhone XS MAXの充電速度と比べて,Mate 20シリーズでは440%の速い充電スピードを達成したとのこと。スマートフォンへの給電としては,ちょっと不安を感じるほどの大電力だが,充電の安全性は第三者機関の評価を得たものという説明があった。
 ちなみに,最大40Wの給電はUSBケーブル接続の場合であり,ワイヤレス充電では最大15Wとなる。

 メモリーカード周りでも,よく言えば先進的,悪く言えばかなりバクチな新機能が導入された。Mate 20シリーズは,2枚のSIMカードを装着し,同時待ち受けできるデュアルSIMデュアルスタンバイに対応するのだが,SIMカードスロットのセカンダリSIM側に,nanoSIMカードとの排他で「Nano Memory Card」(以下,NM Card)という独自のフラッシュメモリカードを装着できるのだ。

Mate 20シリーズは,microSDに代わってNM Cardに対応する
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Mate 20シリーズのSIMカードスロットは,トレイの表裏両面にSIMを装着するという新しい構造を採用してきた。NM Cardはセカンダリ側のnanoSIMカードと排他利用になる
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 デュアルSIM対応製品で,2枚目のnanoSIMカードとmicroSDカードを排他式に装着できるものはよくあるが,独自規格のNANDメモリを搭載可能とするのは,なかなか大胆なチャレンジだ。形状をnano SIMと同一にすることで,トレイの表と裏の両面にSIMカードを装着できるようにして,SIMカードスロットをコンパクトにすることには成功しているが,それ以外のメリットはというと,今ひとつ思い浮かばない。
 microSDカードのように,規格化団体によって標準化された規格ではなく,あくまでもHuawei独自規格なので,サードパーティの広がりや価格競争と言った点でも厳しいと思われる。現時点では,Huaweiブランドから容量128GBと256GBの2製品が登場するだけという状況だ。加えて,少なくとも現時点ではPC用のカードリーダー・ライターも存在しないので,スマートフォンをリーダー代わりにすることになるだろう。
 考えられるのは,NM Cardは事実上差しっぱなしにして,本体のストレージを拡張したり,機種変更時にデータの物理的な移行手段に使うといったあたりだろうか。PlayStation Vitaの専用メモリカードの例を挙げるまでもないが,こうした独自規格を,メモリーカード関連業界との連携もなしでいきなり投入するというのは,かなり無理があるのではないだろうか。


デュアル化したNPUで食べ物のカロリーを計算?


 2018年8月末に発表となったKirin 980は,AI処理専用ユニット「NPU」を,「Kirin 970」の1基から,2基に倍増したことがポイントであった。
 Mate 20では,Kirin 980が搭載するNPUを,端末側でのAI処理「エッジAI」の強化に利用している。たとえば,カメラで捉えた被写体を認識して,絵画や建築物であれば,その名称や情報をGoogle検索で導くといった具合だ。
 被写体となった食べ物のカロリー計算を行う機能も面白い。被写体の食べ物を認識して種類を割り出し,AR(拡張現実)機能で実物の大きさを認識すると,おおよそのカロリーを計算できるという。

絵画や建物,ランドマークを認識する「Camera Eye」機能を搭載(左)。食べ物を認識して,その大きさと分量を認識。カロリーを推測する機能も(右)
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 スマートフォンのカメラを使った被写体の認識機能は,5年以上前にソニーモバイルコミュニケーションズが,Xperiaシリーズで「ワインのラベルから情報を表示する」機能を実装していたが,成功した機能とはいえない。エッジAIによる認識精度の向上と通信の高速化によって,こうした認識機能も再び進化を始めていくのだろう。

 イベントレポートは以上のとおり,Mate 20シリーズのハンズオンについては,別途レポートする予定だ。

Huaweiのスマートフォン製品情報ページ(英語)

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