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伊藤賢治氏とStella Magnaが対バン形式で人気曲を披露。ゲーム音楽イベント「FACE to FACE vol.1  〜Kenji Ito & Stella Magna〜」をレポート
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印刷2019/01/23 14:00

イベント

伊藤賢治氏とStella Magnaが対バン形式で人気曲を披露。ゲーム音楽イベント「FACE to FACE vol.1 〜Kenji Ito & Stella Magna〜」をレポート

 2019年1月19日,ゲームミュージックライブイベント「JAPAN Game Music Festival」(以下,JGMF)のスピンオフライブ「FACE to FACE vol.1 〜Kenji Ito & Stella Magna〜」が,東京の日本橋三井ホールにて開催された。本ライブでは,「サガ」シリーズや「パズル&ドラゴンズ」などの楽曲を手がける“イトケン”こと伊藤賢治氏と,「グランブルーファンタジー」などの楽曲を手がける成田 勤氏の率いるバンド・Stella Magnaが,対バン形式で演奏を披露した。

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「JAPAN Game Music Festival」公式サイト


●FACE to FACE vol.1 〜Kenji Ito & Stella Magna〜 出演者(敬称略)
伊藤賢治(Key.)
成田 勤(Gt.&Key.)
上倉紀行(Gt.&Key.)

〈Stella Magna〉
Gt. 宮崎大介
Ba. アベノブユキ
Key. 藤岡久瑠実
Dr. 岡島俊治
Vn. 伊藤友馬
Vo. 遠藤フビト

Guest Vocalist
MICHI
STEVIE(44magnum)
CHICO(ACE)
霜月はるか

 冒頭の挨拶では,伊藤氏と成田氏,そしてJGMFの主催者の一人で伊藤賢治スペシャルバンドのメンバーでもある上倉紀行氏がライブを開催することになった経緯を語った。
 本ライブは上倉氏から,伊藤氏にJGMFのスピンオフ企画をやらないかと声をかけたことが始まりだという。そこで対バン形式のライブをやってみたいと思った伊藤氏が,10年来の知人である成田氏に声をかけ,今回のライブが実現したそうだ。

左から上倉紀行氏,成田 勤氏,伊藤賢治氏
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 なおStella Magnaのメンバーは,伊藤氏の楽曲を演奏した伊藤賢治スペシャルバンドのメンバーとほぼ同じだ。成田氏はその経緯を,「3年前に伊藤賢治スペシャルバンドの演奏を聴いて感銘を受け,いろいろありつつも伊藤氏の了承を得てそのメンバー達を自身のStella Magnaに招聘した」と説明した。会場では,伊藤氏と上倉氏が「俺達も伊藤賢治スペシャルバンドのメンバーなのに,なぜStella Magnaに呼ばれなかったんだろう?」「要らない人材だった?」と冗談交じりにコメントし,観客を沸かせていた。

 ライブ前半に演奏を披露したのは,伊藤賢治スペシャルバンドだ。オープニングナンバーは,「パズル&ドラゴンズ」の「ファイナルファンタジー」コラボで使われた「Fight The Fanatics」。2曲めは「ブレイブフロンティア2」の新曲で,初演奏となる「闇との決戦」。今回は伊藤氏がバンド向けのアレンジを施している。
 どちらもノリのいい楽曲だけに立ち上がろうとする観客も少なくなかったが,「最初から立つと最後まで持たないから,今は座って聴いてください」と制する一幕もあった。

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 続いて,伊藤氏がスクウェア(現スクウェア・エニックス)から独立し,フリーランスとして初めて手がけた「カルドセプト セカンド」の楽曲の中から,「Bookmark」が演奏された。この曲はもともとオルゴール調の曲だが,今回はその静かな雰囲気をアコースティックギターを使ったアレンジで再現していた。

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 4曲めは「あかねさす少女」から「いけない世界」。バンドの演奏と,ゲストとして招かれたMICHIさんのパワフルなボーカルに煽られた観客は,ついに立ち上がることとなった。
 続く「乖離性ミリオンアーサー」の主題歌「Million Ways=One Destination」。前山田健一氏と伊藤氏の共作によるハードロック調の楽曲だ。原曲は水樹奈々さんがボーカルを担当したが,今回はバイオリンをフィーチャーしたインストゥルメンタルアレンジが披露された。こちらも今回が初演奏とのこと。

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 ライブ前半のラスト2曲は,「聖剣伝説〜ファイナルファンタジー外伝〜」から「最後の決戦」,そして「ロマンシング サ・ガ2」から「七英雄バトル」が続けて演奏された。いずれも伊藤氏の代表曲であり,曲名が告げられただけで会場はヒートアップ。実際の演奏でも,“イトケン節”の効いたハイテンポでメロディアスなバトル曲がバンドアレンジで披露され,ライブ全体のハイライトの1つとなっていた。

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 ライブの前半と後半をつなぐトークコーナーには,伊藤氏と成田氏,上倉氏が再び登壇。成田氏が「グランブルーファンタジー」の熱心なプレイヤーであることや,上倉氏が「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」を数日でクリアしたというエピソードが明かされた。
 一方,伊藤氏はRPGが苦手なので,自身が楽曲を手がけたゲームをきちんと遊べないことが多いという。スクウェア在籍時には研究を兼ねてRPGのデバッグ作業を手伝うこともあったが,ボスが倒せず苦労したそうだ。ちなみに伊藤氏が得意なゲームジャンルは,スポーツやアクションとのこと。

 また成田氏はRPGのレベル上げが好きで,とくにボスバトルは推奨レベルを10以上も上回った状態で臨むことも多いのだとか。そのため,自分が強いと敵も強くなるシステムの「ロマンシング サ・ガ2」の攻略には苦労したと話していた。
 なお「ロマンシング サ・ガ2」や「3」当時の伊藤氏は,実はスランプ状態だったという。とくに「3」のときは,同僚から「なぜバトル曲にエレキギターを使わないのか」という疑問を提示されたとのこと。そこにはスーパーファミコンの音源の仕様という壁があったのだが,その同僚からの「お前が作るかどうかの問題だ」という言葉をきっかけに,半ばヤケになって(?)「四魔貴族バトル」を完成させたそうだ。

 ライブ後半では,Stella Magnaが「グランブルーファンタジー」の楽曲を披露。冒頭から,原曲のメロディをキーボードとバイオリンによる印象的なイントロに落とし込んだ「ユグドラシル・マグナ」,原曲の特徴的な笛の音を見事に再現した「リヴァイアサン・マグナ」,そして前面にギターをフィーチャーした原曲をさらにパワフルにアレンジした「プラチナ・スカイ」とバトル曲が立て続けに披露され,会場は否応なしに盛り上がった。

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 幻想的な雰囲気で始まる「二十二の使徒」は,ギターサウンドとCHICOさんのスキャットによって,静謐とも不穏とも思える独特な世界観を展開する。
 続く「新世界秩序」は,一転してハードロックテイスト。STEVIEさんとCHICOさんのツインボーカルが観客を煽っていく。

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 ドラマチックな展開が特徴の「ローズクイーン」では,ボーカルの霜月はるかさんが原曲収録時のエピソードを披露した。それによるとこの楽曲の歌詞は,成田氏の作った架空の言語で書かれており,しかも1番と2番でリピートするフレーズがないという,歌い手にとってはかなりハードルの高いもの。霜月さんは「そんな歌詞をまさか覚えて,生で披露することになるとは」と話していた。

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 いかにもなハイテンポのバトル曲の中に,キーボードとバイオリンによるゆったりとしたパートを挟み込んだ「ラスト・グローミング」に続いては,ボーカルに遠藤フビトさんを迎え,ライブ本編ラストの曲「ジ・アルティメット」が披露された。壮大なオーケストラから展開していく原曲とは異なり,最初からハードロックテイストでトバしていく演奏と遠藤さんの熱唱が,ゲームでの白熱したバトルを再現していた。

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 アンコールでは,伊藤賢治スペシャルバンドとStella Magnaのコラボバンド(もともとメンバーは被っているが……)が4曲を披露することに。
 1曲めの「Red Nail」は,伊藤氏がクロマチックハーモニカ奏者・南 里沙さんのアルバム「Canvas」に提供した楽曲。「ロマンシング サガ ミンストレルソング」の「熱情の律動」を思わせるスパニッシュなアレンジ,アコースティックギターとバイオリンが織りなす妖しげな調べが印象的だ。
 続いて披露されたのは,「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」から「冥魔・堕とされしものども」。これまた“イトケン節”のバトル曲だが,会場ではプログレ調の展開もあるアレンジで演奏された。またギター×3,ベース,バイオリンの面々がステージ前方でパフォーマンスを繰り広げる演出も圧巻だった。

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 アンコール3曲目は,「グランブルーファンタジー」から人気曲の「バトル3」。この楽曲は汎用バトル曲という依頼を受けて成田氏が作曲したもので,実際にどこに使われるかは知らされていなかったという。フタを開けて見れば,週末の曜日クエスト・スライム戦で流れており,プレイヤーから「世界一格好いいスライム戦のテーマ」と評価されることになったとのこと。成田氏は,伊藤氏の手がけた「ロマンシング サ・ガ」の楽曲「下水道」が「世界一カッコイイ下水道」と評されていることを引き合いに出し,「光栄です」と話していた。
 また演奏では,バンドメンバー紹介に合わせて各自がソロパフォーマンスを披露。成田氏は,「まさかイトケンさんにピアノソロを弾いていただけるとは」と喜びを隠せない様子だった。

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 アンコールの最後を飾った「グランブルーファンタジー」の「黒銀の翼」は,遠藤フビトさんのボーカルが入るパートの直前からスタート。観客とのコールアンドレスポンスや,ボーカリスト5名の再登壇,そして何よりバトルを思い起こさせるハイテンポな楽曲の展開に,会場はこの日一番の盛り上がりを見せていた。

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 アンコール終了後には,伊藤氏と成田氏が来場した観客に感謝を述べるとともに,「今後もFACE to FACEを続けていきたい」とコメント。そして観客の鳴り止まない拍手とともに,ライブは幕となった。

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●FACE to FACE vol.1 〜Kenji Ito & Stella Magna〜 セットリスト

・伊藤賢治
1. Fight The Fanatics(パズル&ドラゴンズ)
2. 闇との決戦(ブレイブフロンティア2)
3. Bookmark(カルドセプト セカンド)
4. いけない世界(あかねさす少女)
5. Million ways=One Destination(乖離性ミリオンアーサー)
6. 最後の決戦(聖剣伝説〜ファイナルファンタジー外伝〜)
7. 七英雄バトル(ロマンシング サ・ガ2)

・Stella Magna
8. ユグドラシル・マグナ(グランブルーファンタジー)
9. リヴァイアサン・マグナ(グランブルーファンタジー)
10. プラチナ・スカイ(グランブルーファンタジー)
11. 二十二の使徒(グランブルーファンタジー)
12. 新世界秩序(グランブルーファンタジー)
13. ローズクイーン(グランブルーファンタジー)
14. ラスト・グローミング(グランブルーファンタジー)
15. ジ・アルティメット(グランブルーファンタジー)

・アンコール
1. Red Nail(Canvas)
2. 冥魔・堕とされしものども(サガ スカーレット グレイス 緋色の野望)
3. バトル3(グランブルーファンタジー)
4. 黒銀の翼(グランブルーファンタジー)

「JAPAN Game Music Festival」公式サイト

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