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  • 発売日:2017/12/15
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その内側に潜むは狂気か,救いか……。テキストの一切ないデザインが話題を呼んだ「INSIDE」iOS版プレイレポート
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印刷2017/12/23 12:00

プレイレポート

その内側に潜むは狂気か,救いか……。テキストの一切ないデザインが話題を呼んだ「INSIDE」iOS版プレイレポート

 薄暗い研究所を舞台に,1人の少年が脱出を目指す横スクロールタイプのアクションゲーム「INSIDE」は,2016年にSteamで配信が開始されたタイトルだ。そのiOS版が12月15日にリリースされたので,プレイレポートをお届けしていこう。

最後まで遊ぶには840円(税込)が必要となるが,アプリのダウンロードは無料。序盤をプレイしつつ購入を検討できる
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「INSIDE」公式サイト

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 ちなみに開発は,驚愕の展開で話題をさらったあの「LIMBO」を手掛けたPlaydeadということもあり,INSIDEもまたファンからの評価が非常に高い作品だ。PC版に関しては「インディーズゲームの小部屋:Room#441」で取り上げた過去もあるので,目にしたことはあるという読者も多いのではないだろうか。

 今回iOSへと移植されたINSIDEだが,もともとUIが存在しないゲームということもあり,スマホで遊ぶにあたって違和感はない。全体的に暗闇の演出が多いタイトルなので,液晶のヒビや汚れが目立ってしまい,人によってはやや気になるくらいだろうか。

ゲーム全編をとおして暗いので,画面の明るさを調節して遊びたいところ
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UIをすべて排除した極限のシンプルデザイン

操作に迷う点はないが,ギミックは高難度


 あらすじもなければ,ストーリーの導入も,バッグボーンが分かるテキストもないのがINSIDEという作品だ。アプリを起動すると,まずタイトル画面が立ち上がるが,タップしてゲームスタート後は,いきなり森林地帯らしき場所に放り出される。

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 移動は左右へのスワイプ,ジャンプは上へのスワイプ,アクション(スイッチを押すなど)はロングタップというのが基本的な操作方法だ。先に向かって移動しつつ,オブジェクトを見かけたらアクションを起こしてみよう。それでゲームを進行できるはず。

スワイプ操作は画面内ならどこでも大丈夫だ
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 ある程度ゲームが進むと,主人公(プレイアブルキャラ)が箱の裏に隠れるような体勢になる。ここでようやく,主人公は何かから逃げていて,逃げ切ることがゲームの目的だと分かる。

 その何かに「見つかる」とゲームオーバーになるが,以降は「高いところから落ちる」「ギミックの処理に失敗する」といった場合でも,同様の展開をたどることになる。ゲームの進行中,警備員や研究所の職員と思われる人物に追いかけられたり,犬に襲われたりといったシーンに突入し,いずれもあの手この手を使って切り抜けなければならない。

 どのシーンも本当に“ギリギリ”で間に合うかどうかの巧みな仕掛けで,ワンミスでゲームオーバーというシビアな難度だが,極度の緊張感を味わえる良きスパイスとなっている。なお,仮にゲームオーバーとなっても直前の状態からすぐにリスタートできるので,決して理不尽な設計の難度ではない。

警備員や研究所職員に接触しまうと即刻捕獲されてしまい,犬に追いつかれると彼らのエサになる。血しぶきや千切れた四肢など,ダイレクトに“主人公が死んだ”と連想させる描写も多いが,これもまた本作のテーマに感じられる
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 ギミックは豊富な種類が用意されており,パズルゲーム感覚で解いていくことになる。特定のオブジェクトを足場にしたり,ぶつけたりして進むというベターな答えもあれば,なかなか想像できないような突飛な攻略法も存在し,やり応えは十分。もし攻略に詰まったときは,思いつく限りの方法を片っ端から試してみると,意外とクリアできるかもしれない。

謎の人物と協力したり,潜水ポッドで移動したりといった展開も用意されている
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語られないゲームだからこそ

浮かび上がってくるテーマと,背景


 冒頭でも紹介したとおり,本作にはテキストが一切ない。ゲームをとおして得られる情報といえば,プレイ開始直後の鬱蒼とした森の中,主人公はまだ幼さを感じさせる少年,そして彼が何かから逃げていること。どうして森にいるのか,なぜ追われれるのか,彼の目的とは何なのかといった点は,ゲームプレイを通じてプレイヤーが推察するほかなく,エンディングを迎えても説明されることはない。

 これは制作者が説明を放棄したのではなく,あえてプレイヤーに考えさせることを意識して作られている。

背景やオブジェクト,主人公が迎える展開を通じて得られる情報は,プレイヤーの考察力次第となる
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 作品自体は左右移動がメインでパズル要素も加わった2Dアクションゲームだが,背景が非常に細かく描かれており,つい注目してしまうこと請け合い。そして,この背景にこそ物語の全貌を解くカギが隠されている。トラックに積み込まれる人々,何かの研究室らしき部屋,遠くからこちらを探す懐中電灯……。ゲーム内世界の異様さを感じ取らされるが,これは描写ではなく“痕跡”によって物語を伝えるという「環境ストーリーテリング」と呼ばれる表現方法だ。近年のインディーズゲームで多く採用されており,前作にあたる「LIMBO」も同様の手法で作られている。

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 多数の疑問をプレイヤーに抱えさせ,ゲームはあえて明確な答えを提示せず,あくまで世界の切れ端を見せるに留まる。必然的にプレイヤーは,世界観や物語を考察し,作品により向き合うことになるので,ゲームに没頭するわけだ。

 ただし,この作り方は「何を伝えたいのか分からない」という感想をプレイヤーに抱かせてしまう諸刃の剣でもある。LIMBOやINSIDEがこの手法で制作され,多くのファンに支持されるまでに至ったのは,匙加減が絶妙なバランスで成り立っているからだろう。

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実はやり込み要素もある


 変わった表現方法で物語やテーマに重点が置かれたINSIDEだが,実はやり込み要素も用意されている。ゲーム中には脇道や隠し通路が多数存在し,それぞれを突破した先で“隠し要素”らしきオブジェクトを発見できるのだ。もちろん,このオブジェクトが何なのかという説明もないが,アクションを起こすとGameCenterの実績が解除される仕組みになっている。全14個あるので,コンプリートを目指してみよう。

不思議な光を放つ謎の機械
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ポーズメニューからチャプターを選択して挑戦できるので,この機能を使って怪しい場所に行ってみよう
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 ちなみに全実績を解除して,とある謎を解いたあとでしか見られない“隠しエンディング”も存在する。どういった内容かは,ぜひその目で確かめてみてほしい。

エンディングを見終えたあと,あらためて本作のタイトルを思い出してほしい。INSIDEと名づけられた意味は見えてくるはずだ
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