インタビュー
「クイズマジックアカデミー ロスト ファンタリウム」で,のんさんがゲーム声優に初挑戦。収録の感想や,挫折感を味わったことなどを聞いた
昨年末(2017年12月25日)に発表された本作は,魔法使いを養成する「マジックアカデミー」から奪われた秘宝,「ファンタリウム」を取り戻すべく,マジックアカデミーの生徒として冒険をするという,クイズに加えてRPG要素の強い作品となっている。
育成や収集,ほかのプレイヤーとの共闘といった,スマートフォン向けのRPGではおなじみの要素に加え,QMAシリーズならではのストーリー展開,大量のクイズ(スマートフォン向けとしては世界一の問題数になる見込みだとか),さらにはアーケード版との連動など,かなり遊び甲斐のある作品になりそうな気配だ。
さらに,メティスのラフデザインの選考にものんさんが関わり,そのときの意見がキャラクターデザインの参考にもされているのだそうだ。
4Gamerでは昨年,収録直後ののんさんに独占インタビューを行い,ゲームの声優に挑戦してみての感触などを聞いてきた。そのときの模様をここに公開しよう。
「クイズマジックアカデミー ロストファンタリウム」公式サイト
「クイズマジックアカデミー ロストファンタリウム」ダウンロードページ
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メティスの無邪気さや好奇心旺盛さは
のんさんにもってこいの役
4Gamer:
よろしくお願いします。
まずは,今回のんさんが演じられた,メティスというキャラクターの印象から教えてください。
メティスは男の子か女の子かも分からないような中性的な感じで,しかも年齢不詳で。
4Gamer:
それはまた不思議な存在ですね。
のんさん:
ゲームの中ではマジックアカデミーの生徒と一緒に冒険することになるんですが,生徒達の何十倍も生きているようなんですよ。だけど,ずっと一人で「賢者の書」を管理するために閉じこもっていたので,いろんなことを経験したことがないから精神的には未熟で。その分,子供のように無邪気で,旺盛な好奇心を持っていたりするんです。
そのあたりは,24歳になりながら,「まだ中学生役もいけるんじゃないか?」と言われるのんに通ずるところがあるというか,もってこいの役だと思いました(笑)。
4Gamer:
これまでのんさんが演じられてきた役に比べて,今回は世界観も役柄もまるっきりのファンタジーですが,そのあたりで戸惑いはありませんでしたか?
のんさん:
難しかったですね。ファンタジーというもの自体も初めてでしたし,ゲームの場合は絵の動き方もアニメーションとは違って,静止しているシーンも多いので,これまでの役柄のような感じで演じると薄味になってしまって。
4Gamer:
声だけで表現することの難しさというか。
のんさん:
はい。これまではとくに,ナチュラルに演じることを追求してきたので,そことのギャップはありました。声の抑揚だったり強弱だったりをもっと強くしないと,ゲームを遊ぶ方に伝わらないんだなって。
これまで不得意と思っている部分だったので,それを求められることがすごく刺激にもなっていますし,勉強にもなっています。なんだか,新しいやり方を挑戦させていただいているという気がしています。
4Gamer:
それは素敵ですね。ちなみに収録中,スタッフからはどんな注文がありましたか?
のんさん:
キャラクターの可愛さを出すセリフのときは,説明的なセリフよりももっと言葉を立たせてほしい,というようなアドバイスはいただきました。そうすることで,キャラクターの魅力が浮き出るから,と。
これまで演じさせていただいてきた役柄だと,セリフに加えて表情や動きを意識していたんですけど,それを声だけに込めて……というのは自分の中にまったくない考え方だったんです。
4Gamer:
だからこそ,刺激があったと。
はい。メティスは生徒達のサポート役という立ち位置なので,自分の持つ知識を駆使して何かを教えたり,注意したりすることも多いんです。その中でも照れながらとか,興奮しながらとか,怒りながらとか……それをセリフだけで決めていくために,声の使い方についてのディレクションもいろいろいただいて,とても難しかったです。
最初のうちはそれでたくさん時間を使ってしまいました。後半はちょっとずつ感覚を掴めていったかな……? という感じでした。すごく難しくて悩みながらではあったんですが,とても楽しかったです。
4Gamer:
成長の実感みたいなものが得られると楽しいですよね。
のんさん:
はい。本当に今まであまりやってこなかった演技法に挑戦させていただけて,自分の中で開発している,発掘している感じがありました。
4Gamer:
それは実際にゲームでのんさんのお芝居を聞くのが楽しみになりますね。
のんさん:
ああっ,ハードルが上がってる(笑)。
やりたいことをやるのは楽しい
だけどインスタは……?
4Gamer:
ところで,のんさんは女優や声優,さらには音楽活動なども含め,さまざまな表現に取り組んでいらっしゃいますが,それらを通じて見ている人達にどんなことを伝えたいと思っているんですか?
のんとして一番のモットーは,"自分のやりたいことに尻込みしない"ということです。表現方法がどうであれ,そこに自分の中でブレない気持ちがちゃんとあればいい。
のんを見てくださっている方にも,「自分のやりたいことに突き進んでもいいんだ」と思ってもらえると嬉しいです。
4Gamer:
お芝居も音楽も絵画も,表現活動という点では共通していると思いますが,のんさんの中でそれらはどういった違いがあるのでしょうか。
のんさん:
役を演じるときは,その役やキャラクターを感じて楽しんでいただくのが一番なんですが,音楽や絵のときは自分自身がその瞬間に感じた形にならないものをそのままぶつけています。そういう違いはありますね。
ただ,何をするにも見てくれる人,聞いてくれる人に楽しんでもらうためには,その中でのんらしいと思える充実感はどう出せるか,という挑戦が毎回あります。
ジャンル関係なく面白そう,楽しそうと思ったことにどんどん突っ込んで行ってしまうので,ちょっとはブレーキかけたほうがいいかもですけどね。
4Gamer:
そのままで良いと思います!
では「これは楽しそう!」と思って取り組んでみたものの,「思ったほどでもなかったかな……?」なんて経験はありませんか?
のんさん:
あっ,あります(笑)。秋や冬,ニットの季節が近付いてくると編み物をやりたくなって,毛糸を買い込んで編んでみるんですけど,途中で変な色になってきたり面倒になってきたりして諦めちゃうんです。ポイって。
たぶん,編み物のセンスはないんです。
4Gamer:
そういうときは無理に続けても,なかなか楽しくはならないですよね。
のんさん:
はい。あ,あと最近苦戦しているのは,インスタです。
4Gamer:
えっ!? Instagramに?
のんさん:
やっぱり今の時代はインターネット,SNSなんかで存在を示していかなければ……ということで,ブログを開設したり,インスタをやったりしているんです。
4Gamer:
はい,存じ上げております。
スタッフの方のTwitterもありますよね。
のんさん:
あります。話すのが苦手なので,Twitterで誰かと交流したりするのはまだ早いかな? と思って,そちらはスタッフにお任せしているんですけど。
今思うと,インスタよりTwitterのほうが向いているのでは? という気もしていて。
4Gamer:
それは写真を撮るのが面倒とか,そういうことですか?
いや,それは全然面倒じゃないですし,それっぽい写真を撮っているつもりなんです。それっぽいフィルターをかけて加工したりもして。
でも最近,“インスタ映え”っていうのが大事らしいじゃないですか。ところがのんの場合,全然映えていないということに気付いてしまって。
4Gamer:
それはインスタ的な世界と感性が合わないということでしょうか?
のんさん:
そうかも知れない,ということに気付きました。自分では,けっこう頑張っているつもりで,うまくいっていると思っていたんですけど……。
4Gamer:
な,何があったんですか……。
のんさん:
「WORLD HAPPINESS 2017」に出演させていただいたときに,母と妹を招待したんですね。そのときに妹もインスタをやっていることを知って,見せてもらったんです。そうしたら,ものすごくインスタ映えしていて(笑)。
ああ,のんのは全然映えてなかった……ということに気付いて,もう映えさせることは諦めようかなと思っているところなんです。
4Gamer:
とくに若い女性なんかだと,インスタ映えをさせることを目的に行動を決めたりすることもあるそうで。
のんさん:
そういえば,「どこに遊びに行く?」みたいな話になったときに,「インスタ映えするところ!」って選んだりするというのも,妹から聞きました。
4Gamer:
つまりのんさんは,それは本当に楽しいんだろうか? と疑問を持ってしまう側なんですね。
のんさん:
やりたいことを素直にやるというのを大事にしているんですけど,そのやりたいことがインスタ映えをするかどうかは別なんですよね。
……というところで,ちょっと挫折感を味わっています。
4Gamer:
……切ないエピソードですね。
妹にも「のんのインスタはどう?」って聞いてみたんですが,「芸能人やなって思う」って。「えっ? 芸能人はインスタ映えしないの?」って聞いたら,「いや,そんなことはないと思う」とは言ってくれたんですけど。
「じゃあ,のんの顔が写っていない食べ物とかを撮ったらいいの?」と聞くと,「いきなりインスタ映えを意識し出したみたいで,脈絡がないと思う」とも言われてしまって。
4Gamer:
なかなか厳しい妹さんですね。
ただ,インスタ映えの定義もきっとこれから変わる可能性はあると思うんですよ。のんさんの思うインスタ映えに,世間の感性が寄ってくるかもしれないですから。
のんさん:
それがいい! それを提示していきたいですね!
4Gamer:
ええ。それまでぶれず,妹さんにも相談せずで。
のんさん:
はい,自由にやります!
一つの仕事の結果が次につながる
その実感がとても嬉しい
4Gamer:
そういえばのんさんは,ゲームで遊ぶことはあるんですか?
のんさん:
昔は家族や友達と「マリオカート」や「ボンバーマン」なんかをやっていました。あとは……ゲームボーイで「ポケットモンスター」なんかもやっていましたね。
「桃太郎電鉄」で夜更かししちゃって,次の日ぐったりしてしまったこともあります。
4Gamer:
多くの人が通る道ですね。
どちらかというと,みんなで一緒に遊ぶツールとして,ゲームに触れていた感じでしょうか。
のんさん:
はい,そんな感じです。
4Gamer:
ちなみに,クイズゲームのご経験は?
実はあまりないんです。でも今回,スマホで遊べるバージョンに出させていただけたので,ダウンロードして遊ぶのが楽しみです。先ほども少し遊ばせていただいたんですが,すごく楽しかったです。
そこに素晴らしい声優さん達の声が流れてきて,毎日手元に置いて遊べるのが素敵ですよね。クイズマジックアカデミーのファンの方,スマホで初めて参加する方,たくさんの人に楽しんでいただけると嬉しいです。
4Gamer:
あ,きれいにまとまりましたね。
では最後に一つ聞かせてください。今回,ゲームの声優という初めての挑戦をされたわけですが,オファーを受けたときはどんな気持ちだったんですか?
のんさん:
凄く嬉しかったです。
のんが初めて声優として挑戦させていただいた「この世界の片隅に」の,真木(太郎)プロデューサーを通じてのお話だったんです。お仕事で通じた方にまた誘っていただけるのは,とても嬉しいことです。
4Gamer:
それもこれも,一つ一つのお仕事にきちんと取り組んでいるからこそ,ですよね。今回のQMAリウムでのお仕事も,また次の何かにつながっていくかもしれません。
のんさん:
そうなると嬉しいですね!
4Gamer:
ありがとうございました。
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