プレイレポート
本日発売「スーパーマリオメーカー 2」を紹介。“コース職人”もプレイ専門の人も楽しめる新要素が盛りだくさん
ハテナブロックや土管,クリボーにノコノコといったおなじみのパーツやキャラクターを自由に組み合わせて配置し,自分だけのコースが制作できる“夢のツール”として2015年9月に登場した「スーパーマリオメーカー」(Wii U。2016年12月には「for ニンテンドー3DS」が発売)。その最新作となる本作は,100種類以上あるというパーツや任天堂が制作したコースが楽しめる「ストーリーモード」,最大4人で楽しめる対戦や協力プレイなど,前作からかなりパワーアップした内容となっている。
本校では,コース作りを体験してみた感想とともにゲームの魅力を紹介していこう。
「スーパーマリオメーカー 2」公式サイト
自分好みの「スーパーマリオ」が作れる夢のツールが
パワーアップして帰ってきた
まずは基本となるコース作りからお伝えしよう。コースを作るのは簡単だ。グラフィックスの基本スタイルを決める「ゲームスキン」を,前作に引き続き登場する「スーパーマリオブラザーズ」(以下,スーパーマリオ),「スーパーマリオブラザーズ3」(以下,マリオ3),「スーパーマリオワールド」(以下,マリオワールド),「New スーパーマリオブラザーズ U」(以下,マリオU),そして本作で新たに加わった「スーパーマリオ 3Dワールド」(以下,マリオ3Dワールド)という5種類からいずれかを選択。「地上」や「水中」「おばけやしき」といったコースの種類を「シーンスキン」で選び,そこに地形や仕掛け,敵といったパーツや敵を配置していけばいい。
シーンスキンは,新たに「さばく」「空」「雪原」「森」が追加されて全部で10種類となり,同じ地形や仕掛けを配置したコースでも,ガラリとその雰囲気は変わる。
よく使うパーツを長押しすることでピン止めできる機能や,携帯モード時の画面を指やペンでなぞるだけでパーツを配置できるタッチパネル操作など,前作に引き続き操作性は良好だ。細かな点だが,パーツの種類を変える「シェイク」はボタン長押しになっており,より直感的に作業が進められる。
前作からの大きな変更点は,最初からすべてのパーツが使用できることだろう。前作はパーツや敵をアンロックするためにコース制作やプレイを繰り返さなければならなかったが,今回はその手間がなく,最初から自身がイメージしたコースを作れるのはかなり嬉しい。
「マリオ3Dワールド」以外のゲームスキンとシーンスキンには互換性があるため,例えば「『スーパーマリオ』の地下でコースを作っていたけれど,気が変わったので「マリオU」の海中面に変えてみよう」といった大きな変更も,ボタンを数度押すだけで簡単に切り替えられる。
ファミコンの限られたグラフィックス環境で,匠のドット絵によりその世界が描かれていた「スーパーマリオ」や「マリオ3」,スーパーファミコンのビビッドな色彩が美しい「マリオワールド」,3D化で動く絵本的な趣も生まれた「マリオU」……と,それぞれのグラフィックスに違った味がある。一方で,グラフィックスが変わってもマリオの普遍的なおもしろさというものがあり,ゲームスキンの切り替えでそれが再確認できるのも面白い。
「マリオワールド」からは「スピンジャンプ」,「マリオU」からは「ヒップドロップ」,「マリオ3Dワールド」では「しゃがんでいどう」「はばとび」といったアクションが増えており,それらのアクションの進化に思いを馳せるのも楽しいだろう。
100種類を超えるパーツは新しいものも多数追加されており,いずれも面白い使い方ができる。中でも印象的だった新パーツを挙げていこう。
まずは「坂道」。方向と長さを定めることで,なだらかな坂から急こう配の坂まで自分の好みに設置でき,メリハリのあるコースが作れるようになった。「スーパーマリオ」のスキン以外だと坂道を滑り降りることもできるので,坂に配置した敵を滑り降りながら体当たりをして倒していくというアクションも楽しめる。
背景だと思っていたら突然襲いかかり,ゴールするまで追いかけてくる。「マリオ3」をプレイした人を大いに楽しませた(?)「太陽」が,なんと本作に登場。もちろん“あの”軌道で飛んでくるので,アイテムや地形の構成次第でかなり嫌らしいコースが作れそうだ。
太陽の特別な要素として,「月」に切り替えることでコースが夜になるというものがある。夜になると一部のコースで重力が逆転したり,向かい風や追い風が吹くなどの大きな変化が起こる。また,その役割がガラッと変わるパーツもあり,月自体も,触れることで敵が一掃されるという,太陽の逆でマリオにとって有利となるパーツになのだ。
一方で、特定のシーンスキンを夜にすると、1UPキノコが取るとダメージを受けてしまう「くさったキノコ」になるのが面白い。取らずに回避してもずっとついてくるという恐ろしい存在で,試しに適当に作ったコースに配置しただけでも,そのプレッシャーは相当なものがあった。
果たして“コース職人”がどのように夜の要素を活用し,クセのあるコースを制作するのか。恐ろしくも期待が高まる。
「カロンこうら」は本作のオリジナルアイテムで,骨となった甲羅を被って無敵状態となる「死んだふり」ができたり,これを“履いて”溶岩を渡ったりできる。昔から苦しめられ続けた溶岩の中を移動できるというのはなかなか新鮮で,溶岩の水位を変える新機能と合わせれば一風変わったコースを作れそうだ。
本作オリジナルのパーツで気になったものの1つが「ブランコクレーン」だ。ゲームセンターにあるクレーンゲームのアームを思わせるパーツで,マリオが掴まると振り子の要領で勢いを付けて遠くまで飛べる。たくさん配置してアームからアームへ飛び移っていくコースを作ると気持ちよさそうだ。もちろん敵も掴めるので,パーツの組み合わせ次第でかなり変わったギミックが作れるだろう。
ほかにもマグナムキラーやブンブンといったおなじみのキャラクターも新たに追加されており,なんとなく配置してみるだけでもかなり楽しめる。いろいろな組み合わせを試してコース作りに活かそう。
冒頭でお伝えしたとおり,コース制作の操作性はよく,ある程度慣れれば気軽にコースを作ることができるのが本作の特徴だ。筆者もひととおりのパーツを試してみたところで,オリジナルのコース作りに挑戦してみた。
筆者が制作に挑んだのは,ファイアボールを撃つクッパJr.クラウンを自機に見立てた“横スクロールシューティングゲーム風のコース”だ。
敵はクリボーを選択。羽を付けてパタクリボーにすればジャンプしながら移動するが,それでは面白くないので,ちょっとひねりを加えることに。空中に「レール」を敷いてそれにクリボーを乗せ,シューティングの序盤に出てくる雑魚のように列をなして出現するようにしてみた。さらに変化を与えるべく,列の最後尾の1匹に「オトアソビ」の「えんしゅつ」から「花火」を仕込み,倒すと画面に花火が上がるように設定。さらにゴール前のクリボーを倒すと,画面上に「オーディエンス」が出現して祝福してくれるようにした。
このままでもなかなか面白かったが,シューティングらしくボスっぽいものも入れてみたい。そこで,ゴールの前にハンマーブロスを配置し,さらに行く手をさえぎる壁を作ってフライパスできないようにした。
強制スクロールと速度調整を行えば高速コースを作れるし,壁で周囲を囲いスクロールを止めることで密室でのボスバトルも表現できる。「まだまだいじれる余地は沢山残っているなあ……」と,イメージしたコースの制作や改良が即興的に行えるのはとても魅力的だ。
さらにコース制作の可能性を広げてくれるのが「ゴール条件」だ。敵を倒したり,コインを集めたり,さらには「1回もダメージを受けないでゴール」といったものまで,特定条件を満たさないとクリアにならないというルールを設定できる,これまでありそうでなかった機能だ。
画面上にコインを沢山配置し,すべて回収できないとゴールできないようにしたり,見つかりにくいところに敵を配置し,これを探しだして倒すことをゴール条件とするなど,いろいろなルールが思いつく。とくに印象的だったのが「1回地面からはなれたら着地しないでゴール」というもの。つまりジャンプを1回に制限するというわけで,これを活用すれば,かなりプレイヤーを悩ませるコースが作れそうだ。後述する「ストーリーモード」にもゴール条件を使ったコースが多数収録されているので,まずはこちらで実際に経験するのもいいだろう。
前作でもパズル的な要素を含んだ「謎解き」系コースが多数作られていたが,ゴール条件と組み合わせることでどんなコースが生まれてくるのかがとても楽しみだ。
直感的な操作でコースが作れる本作に満足だが,気になる点がある。それは敵キャラクターの検索性だ。
例えばファイアクッパクラウンを使いたい場合,クッパクラウンを長押ししてメニューを呼び出し,そこからファイアクッパクラウンを選ぶ。子連れゲッソーの場合はゲッソーを,カキボーならクリボー,赤ノコノコは緑ノコノコ……というように,前作と同じく関連するキャラクターを選んでそれを切り替える必要がある。
すべてメニューに出しても逆に視認性や操作性が落ちるし,慣れてしまえば問題はないのだが,例えば一覧表や検索機能などがあると個人的には嬉しい。
コースを作って試遊し,アイテムや敵の位置を調整してさらにプレイ。気になったところを再調整し「より面白くなるのでは?」と思ったものを追加してまたテスト……と,実際にコースを作ってみると,あらためて気軽に楽しめるゲームとして親しんできたスーパーマリオが,さまざまな試行錯誤と調整の繰り返しで生まれたのだとあらためて認識できた。気軽にコース作りを楽しめるだけではなく,こういった学びもあるのが本作の魅力のひとつだろう。
コース職人もプレイ職人も楽しめる新要素が追加
「さまざまなコースへのチャレンジをメインに遊びたい」という人には,「ストーリーモード」がオススメだ。マリオが「おねがい」(ミッション)を受けてさまざまなコースに挑んでお城を再建していくという新モードで,任天堂が制作した100以上のコースが収録されている。
収録コースは,おなじみの感覚で楽しめるものから新要素を活かした一風変わったコースまでさまざま。中にはかなり手ごたえのあるコースもあり,なかなかクリアできないこともある。そんなときはルイージが持ってくるお助けパーツをコース制作と同じ要領で配置し,ゴールへの道を作ろう。
任天堂制作という点では,ちょっとしたマリオの新作と言ってもいいだろう。「どんなコースを作ると面白いのか」という基本的な部分も学べるので,コース職人を目指す人もプレイしてほしい。
コース作りを学ぶのに最適なのが「ヤマムラ道場」だ。前作のプレイヤーにはおなじみである鳩のヤマムラさんが,新パートナーのニナと一緒にコース制作のノウハウを教えてくれる。ツールとしての操作を覚えられるのはもちろん,コンセプトを定めたうえでコース作りを教えてくれるのでとても分かりやすい。“職人あるある”満載の遊びにくいコースの例などは,読んでいて思わず笑ってしまう。“モノづくり”の考え方も学べるので,個人的には書籍化してほしいくらいだ。
オンライン要素も見逃せない。今回は擬似サーバーでオンライン要素を事前に体験できた。
関係者に限定された範囲で公開されたものだが,世界中の職人たちがほんの数日で作ったコースがズラリ。「限られた人がアクセスできる状況でこれなのだから,本番ではどれだけの規模になるのだろう」と,かなり期待が高まった。
コースは前作同様,挑戦したプレイヤーのミスした場所に×マークが表示される。自分がミスした場所に沢山の×があれば何となく心が慰められ,自分だけが妙な場所でミスしていたら軽く落ち込んだりといった,世界中のプレイヤーたちとの“程よいつながり”を感じつつ,お気に入りや苦戦したコースなどにスタンプを使ってメッセージを残そう。コースをローカル環境に保存できるので,好きなときに遊ぶことも可能だ。
オンラインでは,世界中の職人たちが作ったコースをランダムで遊び続ける「どこまでマリオチャレンジ」というモードもある。これに挑戦すれば,スーパーマリオの腕前は相当鍛えられるだろう。
より豊富になったパーツやゴール条件などの新要素で,前作以上にバリエーション豊かなコースが作成可能になっているところが,コース職人にとって何より嬉しいポイントだろう。
オンラインにアップされる世界中の職人たちによるコースやストーリーモードによって“プレイ職人”(コース挑戦をメインに遊ぶ人)も十分楽しめる。Switch本体1台でJoy-Conおすそわけを活用したローカルプレイを楽しめたり,オンラインでも最大4人での協力プレイや対戦ができたりするので,こちらも盛り上がりそうだ。
また,「自分でもコースを作ってみたい」となったときに気軽に始められる操作性やゲームシステムからは,“プレイヤーから職人へ”という導線が見事に出来上がっていると感じた。本作を手にした際は,さまざまなコースに挑戦し,そして職人を目指しどんどんコースを作って腕を上げてほしい。
「スーパーマリオメーカー 2」公式サイト
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