フリューは本日(2019年10月10日),
PlayStation 4/
Nintendo Switch用ソフト
「アライアンス・アライブ HD リマスター」を発売した。
本作は2017年にニンテンドー3DSで発売されたRPG「
アライアンス・アライブ」に,グラフィックスの高画質化や,1画面化にあたっての各種調整を加えたもの。9人の主人公が織りなす王道かつ壮大な物語と,「サガ」シリーズを想起させるゲームシステムで人気を博したタイトルは,HDリマスター化を経てどう変化したのだろうか。ゲームの概要を改めて紹介しつつ,本作のPS4版を遊んでみてのインプレッションをお届けしよう。
青い空が失われた世界を舞台に
9人の主人公達の冒険が再び始まる
まずはゲームの基本的な情報をおさらいしていこう。物語の舞台となるのは,強大な力を持つ
“魔族”によって支配された世界だ。かつて人間は魔族との戦争に敗北し,階級社会における最下層として扱われている。
戦争に勝利した魔族は大地を
「大結界」によって分断したため,人間は団結することも許されないまま,数百年にわたって魔族に隷属する存在として生き永らえてきた。
結界の影響によって世界から「青い空」は失われ,言い伝えとして一部の人々の間で語られるだけの存在となっている
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そんな世界に住む,9人のキャラクターが本作の主人公だ。登場する主人公は物語の進行具合によって変化し,視点を切り替えながら,それぞれのストーリーは進んでいく。最初はそれぞれ個別の目的を持って動いている主人公達が集まり,最終的には一つの物語へと集束していくのだ。
対魔族のレジスタンス組織に所属する人間や,人間の世界に興味を持つ魔族の貴族など,登場する主人公の思想や立場はさまざま。それぞれの世界に対する見方を“はしご”することで,世界の全体像が見えてくる仕掛けになっている
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戦闘はターン制のコマンドバトル形式が採用されているが,キャラクター自身のレベルは存在せず,戦闘を繰り返すことで各能力が向上していく仕組みになっている。また,各キャラクターはそれぞれ2種類の武器を装備でき,同じタイプの武器を使い続けると一定確率で
「覚醒」が発生して新たな技を習得できる。
戦闘シーンは,通常,2倍,4倍の3段階のスピードに切り替え可能で,RPGに慣れたプレイヤーであればかなりテンポよくゲームを進められる
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特定の武器や戦技を使い続けると発生する「覚醒」は,相対する敵が強いほど発生しやすい。フィールドに出現する強敵とわざとエンカウントし,新たな技の習得を目指すのもアリ
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こうした育成システムからは,本作のゲームデザインを担当した,「サガ」シリーズでお馴染みの
小泉今日治氏のカラーを存分に感じ取ることができる。ゲームシステムの詳細に関しては,以前に掲載した3DS版のインプレッションで詳しく紹介しているので,気になる人はそちらも合わせてチェックしてほしい。
バトル中に累積する「イグニッションゲージ」が最大値になると,必殺技「ファイナルストライク」が使用可能になる。極めて強力な技だが,装備している武器は壊れてしまうので使いどころには注意が必要だ
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千年前に魔族が施した大結界によって青い空が失われ,人間が魔族に支配された世界で9人の主人公達が冒険を繰り広げる,フリューのニンテンドー3DS向けRPG「アライアンス・アライブ」。2017年6月22日の発売が予定される本作を一足先に遊んでみたので,そのインプレッションをお届けしたい。
[2017/06/10 00:00]
本作について個人的に強く推したいポイントは,各所に散りばめられた“小さなこだわり”の数々だ。例えば,街中でアイテムを発見した際には,単純なシステムメッセージでなく,発見したキャラクターの感想を交えて拾ったアイテムが表示される。
それなりのアイテムを発見すれば驚くし,ガッカリな内容ならため息混じりに懐にしまう。そういった,世界観やキャラクターを演出する小さなこだわりの積み重ねが,本作独特の雰囲気を構築しているように感じられた。
宝箱などからアイテムを発見したときの,キャラクターのリアクションにも要注目。こうしたメッセージの1つ1つからも世界観を感じとれるので,探索が単なる作業にはならない
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3DS版と同様にボイスは実装されていないが,こうした機微をとらえた表現はプレイヤーの想像を掻き立て,自由なイメージを膨らませてくれる。まさに
“古き良きRPG”の正統進化版と言えるだろう。
本作の世界では,現実でも近世に存在した腕木通信の変化型が世界観に合わせて運用されている。ちょっとしたフレーバーにもしっかりと意味付けがなされているので,聞き慣れない言葉を検索してみると新しい知識を得られるかも
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高精細なグラフィックスの実現により
作品全体の臨場感がグッとパワーアップ
それでは,HDリマスター版ならではの要素について見ていきたい。多くのプレイヤーが最も注目しているポイントといえば,やはりグラフィックス面の変化だろう。
正直なところ,プレイ前には「高解像度への対応でローポリゴン特有の粗が見えてしまうのではないか」と不安を感じていたが,実際に動いている様子を見ると違和感を覚えることはなかった。高解像度化に合わせてリファインされたビジュアルは細かに作り込まれており,最初からPS4やSwitch向けに開発されたゲームのように感じられる。
キャラクターのグラフィックスは全般的に線がクッキリと見えるようになり,スクリーンショットでは服の細かなデザインまでしっかりと確認できる
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街中で立ち止まると,カメラが引いて街の全体像が映される。大画面表示に対応したことで,引きの視点でも住人達の細かな動きまで捉えられるようになった
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ダンジョンに差し込む光が舞い散る埃を照らす表現など,各種エフェクトもより効果的に感じられるようになった
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また,イベントシーンでは解像度に合わせて画角なども細かく調整されているようで,今回のHD化の影響がとくに大きい。細やかなエフェクトもハッキリと見えるため,既存のイベントシーンも大幅に臨場感を増しているのだ。
手前のキャラクターに対して,奥のキャラクターにぼかしが入っているのがハッキリと見える。映像の高精細化によって,こうした演出がより効果的に感じられるようになった
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左が3DS版,右がHDリマスター版で撮影した,同じ場面のムービーシーンだ。より大きな画面で表示した際に印象がボヤけないよう,HDリマスター版ではキャラクターの輪郭が強調されているのが分かる
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巨大な構造物を活かしたスケール感のあるシーンなどは,映像の高精細化と大画面表示による恩恵を強く受けている。静止画では伝わりにくいと思うので,ぜひ大画面でこの迫力を堪能してほしい
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もう1つの大きな変更点は,3DSでは2画面に分かれていた画面を統合し,遊びやすく再調整したUI部分だ。とくに分かりやすいのがマップ表示で,3DS版では下画面に常時マップが表示されていたが,本作ではミニマップが導入された。街中ではL1ボタンで詳細マップを呼び出せるなど,1画面化に伴ってゲームを快適に楽しめるように調整が加えられているのが分かる。
もちろん取ってつけたような印象は一切なく,ミニマップは必要十分な機能を果たしており,それ以外のUI最適化に関しても「最初からこういう画面設計でした」と言われても納得してしまうほど。これから本作を遊ぶ人も,違和感なく楽しめることだろう。
ミニマップは画面右下に小さく収まるレイアウトとなっている。地名や地形などの情報はしっかりと詰まっており,一度訪れた施設やダンジョンなども記載される
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詳細マップを表示した際の画面はこんな感じ。半透明に処理されているので,表示したまま移動しても邪魔にならないのがありがたい。ただし,敵の位置は表示されないので,マップばかり見ていると不意打ちを食らうことも
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以前は上下に分かれていたメニュー画面は1画面に統合され,より一覧性が高くなった
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バトル中に必要な情報は,画面下部に表示された各種ボタンを押すことで呼び出せる
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極めて丁寧なリマスターにより美しく生まれ変わったビジュアルと,より遊びやすいUIの構築に成功した本作は,RPGとして正統な進化を遂げている。「サガ」シリーズや「幻想水滸伝」シリーズのような,多彩なキャラクターによる群像劇を好んできたRPGファンには,ぜひプレイしてほしい作品だ。