プレイレポート
9人の主人公が織りなす群像劇ふたたび。丁寧な復活を果たした「アライアンス・アライブ HD リマスター」インプレッション
本作は2017年にニンテンドー3DSで発売されたRPG「アライアンス・アライブ」に,グラフィックスの高画質化や,1画面化にあたっての各種調整を加えたもの。9人の主人公が織りなす王道かつ壮大な物語と,「サガ」シリーズを想起させるゲームシステムで人気を博したタイトルは,HDリマスター化を経てどう変化したのだろうか。ゲームの概要を改めて紹介しつつ,本作のPS4版を遊んでみてのインプレッションをお届けしよう。
「アライアンス・アライブ HD リマスター」公式サイト
青い空が失われた世界を舞台に
9人の主人公達の冒険が再び始まる
まずはゲームの基本的な情報をおさらいしていこう。物語の舞台となるのは,強大な力を持つ“魔族”によって支配された世界だ。かつて人間は魔族との戦争に敗北し,階級社会における最下層として扱われている。
戦争に勝利した魔族は大地を「大結界」によって分断したため,人間は団結することも許されないまま,数百年にわたって魔族に隷属する存在として生き永らえてきた。
そんな世界に住む,9人のキャラクターが本作の主人公だ。登場する主人公は物語の進行具合によって変化し,視点を切り替えながら,それぞれのストーリーは進んでいく。最初はそれぞれ個別の目的を持って動いている主人公達が集まり,最終的には一つの物語へと集束していくのだ。
戦闘はターン制のコマンドバトル形式が採用されているが,キャラクター自身のレベルは存在せず,戦闘を繰り返すことで各能力が向上していく仕組みになっている。また,各キャラクターはそれぞれ2種類の武器を装備でき,同じタイプの武器を使い続けると一定確率で「覚醒」が発生して新たな技を習得できる。
こうした育成システムからは,本作のゲームデザインを担当した,「サガ」シリーズでお馴染みの小泉今日治氏のカラーを存分に感じ取ることができる。ゲームシステムの詳細に関しては,以前に掲載した3DS版のインプレッションで詳しく紹介しているので,気になる人はそちらも合わせてチェックしてほしい。
「サガ」「幻想水滸伝」の主要スタッフが手がける新作RPG「アライアンス・アライブ」インプレッション。工夫しがいのあるバトルと壮大な物語が見どころ
千年前に魔族が施した大結界によって青い空が失われ,人間が魔族に支配された世界で9人の主人公達が冒険を繰り広げる,フリューのニンテンドー3DS向けRPG「アライアンス・アライブ」。2017年6月22日の発売が予定される本作を一足先に遊んでみたので,そのインプレッションをお届けしたい。
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- ライター:御簾納直彦
本作について個人的に強く推したいポイントは,各所に散りばめられた“小さなこだわり”の数々だ。例えば,街中でアイテムを発見した際には,単純なシステムメッセージでなく,発見したキャラクターの感想を交えて拾ったアイテムが表示される。
それなりのアイテムを発見すれば驚くし,ガッカリな内容ならため息混じりに懐にしまう。そういった,世界観やキャラクターを演出する小さなこだわりの積み重ねが,本作独特の雰囲気を構築しているように感じられた。
3DS版と同様にボイスは実装されていないが,こうした機微をとらえた表現はプレイヤーの想像を掻き立て,自由なイメージを膨らませてくれる。まさに“古き良きRPG”の正統進化版と言えるだろう。
高精細なグラフィックスの実現により
作品全体の臨場感がグッとパワーアップ
それでは,HDリマスター版ならではの要素について見ていきたい。多くのプレイヤーが最も注目しているポイントといえば,やはりグラフィックス面の変化だろう。
正直なところ,プレイ前には「高解像度への対応でローポリゴン特有の粗が見えてしまうのではないか」と不安を感じていたが,実際に動いている様子を見ると違和感を覚えることはなかった。高解像度化に合わせてリファインされたビジュアルは細かに作り込まれており,最初からPS4やSwitch向けに開発されたゲームのように感じられる。
また,イベントシーンでは解像度に合わせて画角なども細かく調整されているようで,今回のHD化の影響がとくに大きい。細やかなエフェクトもハッキリと見えるため,既存のイベントシーンも大幅に臨場感を増しているのだ。
もう1つの大きな変更点は,3DSでは2画面に分かれていた画面を統合し,遊びやすく再調整したUI部分だ。とくに分かりやすいのがマップ表示で,3DS版では下画面に常時マップが表示されていたが,本作ではミニマップが導入された。街中ではL1ボタンで詳細マップを呼び出せるなど,1画面化に伴ってゲームを快適に楽しめるように調整が加えられているのが分かる。
もちろん取ってつけたような印象は一切なく,ミニマップは必要十分な機能を果たしており,それ以外のUI最適化に関しても「最初からこういう画面設計でした」と言われても納得してしまうほど。これから本作を遊ぶ人も,違和感なく楽しめることだろう。
極めて丁寧なリマスターにより美しく生まれ変わったビジュアルと,より遊びやすいUIの構築に成功した本作は,RPGとして正統な進化を遂げている。「サガ」シリーズや「幻想水滸伝」シリーズのような,多彩なキャラクターによる群像劇を好んできたRPGファンには,ぜひプレイしてほしい作品だ。
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(C)FURYU Corporation.
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