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印刷2019/08/07 16:00

プレイレポート

おっぱいだけがすべてじゃない。本格派のローグライクが楽しめる「ラビリンス ライフ」プレイレポート

 D3パブリッシャーは2019年8月1日,ローグライクRPG「ラビリンス ライフ」(PlayStation 4)と「オメガラビリンス ライフ」(Switch)を発売した。

 本作は,少女達がダンジョン探索を行う「オメガラビリンス」シリーズの最新作で,“毎回レベル1からスタート&死んだらアイテムすべてを失う”というローグライクの基本部分はそのままに,バスタイムなども含めた女学園生活も同時に楽しめるという,いろいろな意味で欲張りな作風が特徴となっている。

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 PS4版の「ラビリンス ライフ」とSwitch版の「オメガラビリンス ライフ」は,一部のグラフィックスや演出のみが若干異なる“姉妹作”となっているが,今回は演出が若干控えめな方となる前者のラビリンス ライフをプレイできたので,そのレポートをお届けしたい。ちなみにどちらを選んでもゲーム部分はそのまま変わらないとのことなので,その辺りの心配はご無用だ。

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乙女の園「ベルフルール女学園」で美少女に囲まれながら大庭園の謎に迫ろう


 本作の舞台は“永遠に枯れることなく花が咲き続ける庭園”を敷地内に有する,お嬢様学校の「ベルフルール女学園」。創立100年もの歴史があるこの学園に,主人公の「紅月ひなた」は学園初の転校生として転入することになっていた。ひなたは期待に胸膨らませ学園への一歩を踏み出すものの,途端にモンスターのうろつく不思議なダンジョンに迷い込んでしまう。

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花が咲き乱れる学園に入学……と思いきや,なぜかモンスターと罠が溢れるダンジョンへ。このダンジョンはごく基本的なチュートリアルとなっており,アイテムの入手方法や罠の存在,足踏みによる回復などを学べる
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 わけもわからないうちに万事休すになるかと思いきや,意外に度胸と腕力があったひなたは謎の声に導かれ,無事にダンジョンを脱出。学園で新たなクラスメイトとの生活を始めることに。ところがその翌日,学園のシンボルでもある大庭園が一面枯れ果て,またもや謎のダンジョンが発生していたのだ。ひなたとそのクラスメイト達は,大庭園が荒れ果ててしまった原因を突き止め,そして元の姿に戻すため,「聖洞」と呼ばれる不思議なダンジョンに挑んでいく。

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 冒頭でも触れたとおり,本作は基本のゲーム部分が“ローグライクRPG”,それ以外の部分が“スローライフ”と表現されているが,まずは前者の方を紹介していこう。“ローグライク”というジャンル自体にはいろいろな定義があるが,日本だとトルネコやシレンが活躍する「不思議のダンジョン」シリーズがとくに有名で,端的に特徴を表せば「プレイするたびにランダムなダンジョン(フィールド)が生成され,道中で死亡するとすべてを失うターン制のRPG」といった感じになるだろう。実際,まさに本作もそういったルールとなっている。

例によって敵とお宝でいっぱいの「モンスタールーム」。慌てず騒がず通路に戻ってタイマン勝負で切り抜けてもいいが,利用回数が残っているなら後述のアクティブスキル(必殺技)を使うのも手
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 ひなた達は大庭園の謎に迫るべく何度も聖洞と呼ばれるダンジョンに潜ることになるが,常にレベルは1から始まり,それまでの冒険で得た経験値は引き継がれない。前述のとおりダンジョンの作りはもちろん,落ちているアイテムもランダムで決まるため,普通のRPGのように事前にダンジョンを下見しておくとか,レベルを上げて戻ってくるということはできない。
 動作自体もターン制で,自分が動けばお腹は減って必ず敵も(等速なら)何かアクションを行うし,やられてしまえば道中でゲットした装備や薬などもすべてパーだ。

 場所にもよるが,仕掛けられている見えない罠は致命的なものこそ少ないが,数は多めに感じるし,例によって嫌らしい特殊攻撃をしてくる敵や,大量のモンスターとアイテムが待っている「モンスタールーム」などもあり,ちょっと軟派な見た目に反して「想像以上にしっかりとローグライクしているな」と個人的には感じた。

 振ると特殊な力が発揮される杖はもちろん,名前は壺でなく巾着だが「アイテムを入れられる特殊アイテム」なども序盤から登場するし,「足踏みで回復」「武器を素振りして罠チェック」「腹が減っては戦どころではない」といった基本部分は,従来のローグライクと同じだ。以前に不思議な感じの洞窟やテーブルっぽい山に挑んだことがあるゲーマーなら,恐らくほとんど迷うことなくゲームを進められるのではないかと思う。

巻物……じゃなくて本を読めばフロアのマップを瞬時にオープンにしたり,罠を解除できたりする。便利だが杖と違って使い捨てなので,薬と同じくインベントリを圧縮しがちなのが玉にキズ
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 とはいえ,そういった歴戦の武器屋のオヤジや風来坊といった人ではない,新規のプレイヤーでも大丈夫だ。本作にはさまざまな成長システムや救済要素といったものが存在するので,初心者はまず死にまくってルールを覚えなくてはいけない……といったスパルタな展開を覚悟する必要はない。

 まず一番分かりやすい救済ポイントは,「最初から仲間と冒険できる」ことだろう。ダンジョンに挑む前に,仲間にしているメンバーを1人最初から連れていけるので,敵が単体なら2人で数的優位に立てるし,近くにさえいればその仲間へ操作を即座に切り替えることもできる。
 装備やアイテムは持てる範囲なら(拾えるものはその分減るが)好きなだけダンジョンに持ち込むことができるし,装備やスキルは学園で鍛えられる。詳しくは後述するが,装備は追加効果なども付与できるので,基本的には「プレイを続けるほど強くなっていく」といった仕組みなのだ。

仲間はダンジョン突入前に誰にするか決めておけるし,内部で出会えばチェンジすることも可能。ちなみに主人公のひなたを外すこともできる
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聖洞の中では学園の理事長が店を開いていたりする。当然アイテムの売り買いが可能だが,黙って持ち出せばもちろんキツいお仕置きが待っている
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ダンジョンのクリア時にはリザルト画面が表示され,指定されたミッションなどをクリアすると報酬が増える。一種のやり込み要素とも言えるだろう
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 さらに前半はダンジョンの階層が少なく,最後にボスがいることが多いものの,無事に帰ってくるのは難しくない。ストーリー自体も,主にダンジョンをクリアしていくことによって進んでいくので,サクサク進められる。
 また,ダンジョンの中には連れてこなかった味方がいて敵を倒してくれたり,入ると体力が回復したりバフが付与されたりする温泉が湧き出ていたりと,冒険者に優しい仕組みも数多い。初心者でも「先に進めず女の子とイチャイチャできない!」なんてことは起きないので安心,といった感じだろうか。

温泉に入ると入浴姿が拝めるだけでなく,体力が回復しリーダーのキャラにバフが付与されるなど実用的な効果も高い。ちなみに事前にリーダーを切り替えておくと,そちらが入浴対象になる
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大庭園を復活させ,キャラクターと装備を強化しよう。花を育てることが強くなる秘訣


 もうひとつの要素“スローライフ”を見てみよう。主な要素は大庭園の復活(発展)およびカスタマイズと,それで入手したリソース(材料)を使ってのキャラと装備の強化だ。それぞれは基本的に連動していて,庭園を発展させるとリソースが手に入り,それを消費してさまざまな強化を行い,次の冒険に役立てるといった流れになっている。

 前述のように,ベルフルール学園は敷地内に広大な庭園を持っているが,序盤でなぜか突如枯れ果ててしまう。物語を進めると,この復活には「ソーマ」と呼ばれる液体が必要であることが分かり,ひなた達はそれを集めるために聖洞と呼ばれるダンジョンに潜っていくことになる。無事にソーマを入手し力を失った精霊に与えると,庭園は徐々に元の姿に戻っていき,その場所に花の種を植えて育てることができるのだ。

 花の種はダンジョンで拾ったり購入したりという形で入手し,エリア別に分かれた花壇に蒔いて水を与えると後は勝手に成長していく。ちなみに学園ではリアルタイムに時間が進んでいくので,咲くまで会話を楽しんだりボーッと待っていてもいいし,新たなダンジョンに潜っていくのもいい。またシナリオがある程度進めば,収穫物の(花の)「みつ」を使って好きなだけ時間を進めることもできるようになる。

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最初は枯れ果てていた大庭園も,ダンジョンをクリアするたびに元の姿を取り戻していき,花を育てられるエリアが増えていく
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種を蒔いて水を与えしばらく待つと,庭園に新たな花々が咲く。種は購入したり収穫時に入手もできるが,ダンジョン内の特殊な部屋で拾えることもある
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 花が咲けば「収穫」することによって,花の種や花実といったものが入手できるし,日付が変わると育てている花の量に応じて「みつ」を回収できる。収穫時の種や花実の種類と量は,蒔く種の数と使用する水で決まり,よりたくさんの種を一度に蒔き,レアで高価な水を与えるほど報酬も大きくなるという案配だ。
 花の栽培や手入れ自体は直接キャラを操作して花壇で行うが,ゲームを少し進めると「掲示板」からエリアを決めて一気に作業を行えるようになり,効率が上がる。大庭園は名前に恥じないくらい広いので,利用可能なエリアが増えてきたら,なるべく掲示板から作業するようにしたいところ。

掲示板を使うと庭園のエリアをまとめてお世話可能で,収穫も同様に一括で行える。収穫物はクラフトの材料に使おう
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入手した装備は合成して基礎能力を上げたり,花錬成で追加効果を付与したりと強化の幅は意外と広い
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 収穫した花実やブーケは「お願い」という名称のお使い(ミニクエスト)などに使うこともあるが,主な用途は装備の強化だ。シナリオがある程度進むと,所有する装備に効果を追加できる「花錬成」が可能になり,素材さえあればダンジョンで拾ったイマイチな武器などにも,好きな追加効果を付与できる。また,装備自体も「合成」によって段階的に能力を強化したり,別の装備に変化させることも可能だ。

 前述のようにレベルはダンジョンに潜るたびに1に戻ってしまうが,装備は強化して“次の冒険に生かす”ことができる。最初は育てられる花に限りがあるので,自由に効果が選べるというわけではないが,それでも手元の装備に効果を付与しておくと,冒険は楽になるだろう。

 さらに前述の「みつ」は学園内でのお金と経験値を合算したようなもので,庭園用のアイテムの購入に使うほか,キャラクターの「スキル開華」と呼ばれる強化に使用できる。これは,キャラクターごとに用意されたランク別のスキルを「開発」すると,ダンジョン内で任意のタイミングで発動できる必殺技のような「アクションスキル」を習得/強化したり,キャラクターのステータスを恒常的に上昇させたりできる「パッシブスキル」をアンロックするものだ。

 開発を行うと特別なグラフィックスが表示されると共に,「みつ」を消費しただけスキルが強化されて,よりダンジョンの攻略がしやすくなる。それなりに力を入れて庭園で花を育てていれば,みつはまとまった量が入手できる。だが,スキルはレベルが上がるほど強化に必要なみつが増えて,さらにプレイアブルなキャラも多いため,積極的にステータスの強化を目指す場合はいくらあっても足りない。
 前述の装備の強化も含めて,「ダンジョン探索 → 庭園の開発 → 材料やリソースの入手 → キャラの強化 → 強くなってダンジョンを探索」という流れが自然とできるため,学園での活動は“スローライフ”とはいいつつも,個人的にはなかなか力が入ってしまう感じだ。

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「開華」で取得できるスキルはキャラによって違うため,見た目と能力の両方で気に入った子をスタメンに選びたいところ。また終了時には副産物として,庭園で使用できる特殊な水が手に入る
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学園内にある変更できるタイプのオブジェクトは,プレイヤーの好みで自由に置き換えられる。元々街灯があった場所にもベンチが設置できたりと,自由度は高め
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 なお,こういったダンジョンの攻略に直接関係するものとは別に,学園内の一部のオブジェクトはプレイヤーが自由に置き換えることができる。こちらは見た目が変化するだけで,ゲームを進めるのに有利になったりはしないようなのだが,自分でテーマを決めてカスタマイズしていくと,より学園に愛着もわいてくるだろう。


見た目のインパクトとは裏腹に,ゲームの中身は“しっかりとした”ローグライクRPG


 本作は公式サイトやプロモーションムービーを見ると,「おっぱいと女の子全開!!」といった印象をまず持つだろう。それはダンジョン内で頻繁に温泉に入ったり,盾以外の防具がブラとパンツだったり,「オメガパワー」という力が原因でキャラクターの胸がどんどん大きくなって,それに応じて能力も向上していったりと事実ではあるのだが,実はキモとなるゲーム部分はかなり基本に忠実なローグライクRPGだ。

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「おっぱいが大きくなると強くなる」というシステムなので,ステータス画面の右上には現在のバストサイズが表示される。画面にはそれ以外にも,現状の装備の「セット効果」なども表示されるので,たまに確認しておこう
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 いろいろな救済要素も多いので,余裕があるうちは気を抜いてプレイしてもとくに問題はないのだが,急に罠にハマったり,嫌らしい敵と立て続けに戦うハメになったりすると,自分のミスでさらに傷口を広げてしまうようなことも起こる。
 著者の場合は,焦って毒ポーションを飲んでしまったり,味方に投擲武器を当ててさらに弱らせてしまったりと,凡ミスをやらかすたびに「ああっ!」と声が出てしまうこともあった。

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 また学園部分も単なる会話パートやRPG風の情報収集で終わることなく,「大庭園の復活」という目的があり,その作業自体がキャラクターや装備の強化に直接的に結びついているのも好印象だ。花の手入れ自体は続けていると若干面倒に感じることもあるが,それは掲示板を使って一元管理すれば手間は減るし,何より収穫物で色々な強化を行えるのがモチベーションになるのが嬉しいところ。また一部の演出はスキップも可能なので,見飽きてしまったら飛ばしてしまえばテンポよくゲームを進められる。

 前述のとおりに全体の雰囲気的として,ハードでシリアスな作風を求めている人にはちょっとオススメしにくい気はするが,基本のローグライク部分はしっかりとできているので,好きな人はとことんのめり込めるはずだ。おっぱい目的な人もそうでない人も,気になったら手にとって実際にプレイしてほしい。

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