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AMD,ノートPC向けAPU「Ryzen 6000」やノートPC向けGPU「Radeon RX 6000S」シリーズなどを発表
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印刷2022/01/05 01:00

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AMD,ノートPC向けAPU「Ryzen 6000」やノートPC向けGPU「Radeon RX 6000S」シリーズなどを発表

ノートPC向けRyzen 6000を掲げるLisa Su氏(President and CEO,AMD)
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 北米時間2022年1月4日,AMDは,独自のオンラインイベント「AMD 2022 Product Premiere」を開催し,2022年の製品ラインナップを紹介した。
 既存のCPUアーキテクチャを改良した「Zen 3+」ベースのノートPC向けAPUや,ノートPC向けGPU「Radeon RX 6000M」の拡充など,ノートPC向け製品がメインであるが,新技術採用のデスクトップPC向けCPUも取り上げられているなど,見どころは多い。


ノートPC向けAPU「Ryzen 6000」


 まずは,ゲーマー向けPCや薄型筐体のクリエイター向けPCをターゲットにした新APU「Ryzen 6000」シリーズ(Ryzen 6000 series Mobile,以下 Ryzen 6000M)の話題から始めよう。

 Ryzen 6000Mは,GPU統合型のCPUで,既存のRyzen 5000H/Uシリーズの後継モデルである。名前がややこしいが,2022年中に登場する次世代CPUアーキテクチャ「Zen 4」をベースとしたCPUではなく,既存の「Zen 3」世代コアの物理設計を改善した進化版「Zen 3+」へと進化しており,統合型GPUもRadeon RX 6000シリーズと同世代の「RDNA 2」アーキテクチャベースへと進化したのが特徴だ。

「6nm版のZen 3がZen 3+」という理解でよさそうである
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 CPU部のZen 3+は,Zen 3のアーキテクチャをベースとしながらも,製造プロセス技術を先代Ryzen 5000H/Uシリーズの7nmから,若干微細化されたTSMCの6nmプロセスに変更した。それにともない,物理設計を6nmプロセス向けに刷新したうえで,50種類もの新規あるいは改良版の電力制御機能を組み込んだものとなっている。
 こうした改良により,動作クロックは5GHzに達するという。動作クロック向上により,CPU性能とGPU性能は,既存のノートPC向けRyzen 5000シリーズに対してそれぞれ130%,200%向上したというから相当なものである。

Ryzen 6000Mの最上位モデルは,8コア16スレッド対応。AMDは,実行ユニットなどの改良をアピールしておらず,性能向上は主に動作クロック向上に起因したもののようだ
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同クラスAPU間で比較すると+10%から+30%の性能向上が期待できる
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 GPU部がRDNA 2ベースとなったため,PC向けのCPU統合型のGPUとしては初めてハードウェアレイトレーシング対応をはたしたのが,Ryzen 6000Mの大きなポイントだ。
 当然だが,GPU側も6nmプロセス化の恩恵を受けており,動作クロックはデスクトップ版GPUに匹敵する最大2.4GHzに対応する。これは,理論性能値で約3.7 TFLOPSとなり,ざっくり言えばPlayStation 4(1.8 TFLOPS)の2倍,PlayStation 4 Pro(4.2 TFLOPS)にはやや及ばない程度といったところだ。Ryzen 6000Mは,内蔵GPUもなかなか高性能を期待できそうである。

Ryzen 6000M最上位モデルは12 CU(Compute Unit)仕様。理論性能値は約3.7 TFLOPSあたりと,なかなか高性能である。GeForceでいえば「GeForce GTX 1650」あたりと拮抗しそうだ
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解像度1920×1080ドットでのゲームプレイを想定しており,Tiger Lake世代の「Core i7-1165G7」を大きくしのぐ性能を有する。なお,映像出力は8K/60Hzにまで対応するとのこと
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 メモリコントローラは,DDR5メモリに対応しており,Intelの第12世代Coreプロセッサと並んだ。
 また,I/Oインタフェースやネットワーク周りもアップデートされている。具体的には,USB4(≒Thunderbolt 3)やWi-Fi 6E,Bluetooth LE 5.2などに対応して,競合であるIntelの第12世代Coreプロセッサに追いついてきた。また,統合GPUの映像出力インタフェースも,HDMI 2.1やDisplayPort 2.0(※Ultra High Bit Rate 10モードの38Gbpsまで)などにも対応する。
 なお,PCI Expressは5世代ではなく,4.0までだ。

USB4やDDR5対応は,うれしい強化ポイントだ
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Ryzen 6000Mシリーズは,ハードウェアセキュリティ機能としてMicrosoftの技術「Pluton」を標準搭載する
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 Ryzen 6000Mの製品ラインナップは以下のとおり。

製品ラインナップ一覧。なお,薄型ノートPC向けAPUの「U」シリーズは,先代のRyzen 5000Mシリーズが一部残っているのに注意
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 Ryzen 6000M搭載のノートPC製品は,LenovoやAcer,ASUSTeK Computer,DellやHP,Razerなどから発売される見込みで,早いものは2022年2月から出荷されるとのことだ。

2022年内には,200機種を超えるRyzen 6000M搭載PCがリリースされる見込み
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ノートPC向け「Radeon RX 6000」のラインナップを拡充


 ノートPC向けGPU「Radeon RX 6000」シリーズは,2021年5月に「Radeon RX 6800M,6700M,6600M」が発表済みであるが,AMDは今回,新たに8製品をラインナップに追加した。

  • Radeon RX 6800S
  • Radeon RX 6700S
  • Radeon RX 6600S
  • Radeon RX 6850M XT
  • Radeon RX 6650M XT
  • Radeon RX 6650M
  • Radeon RX 6500M
  • Radeon RX 6300M

 まず,Radeon RX 6000Sシリーズであるが,2021年モデルのGPUコアをベースに電力制御機構を改良して,消費電力あたり性能の向上を図ったリファイン版になる。
 リファイン版は,2021年モデルに対して,最大動作クロックを7%ほど向上できるようになり,メモリ性能は最大で14%高くなったとのこと。そのため,2021年モデルより,Sモデルのほうが若干だが高性能だ。薄型で高スペックなゲーマー向けノートPCへの搭載を狙ったGPUである。

Radeon RX 6000Sシリーズは,2021年モデルのGPUコアのリファイン版だ
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 ややこしいのは,リファイン版にはSモデルだけでなく,型番が50だけ増えたモデル,Radeon RX 6850M XT/6650M XT/6650Mも含まれることか。開発コードネームで言えば,Radeon RX 6850M XT/6800S/6700Sは「Navi 22」改,Radeon RX 6650M XT/6650M/6600Sは「Navi 23」改というわけだ。

型番に「+50」したモデルもリファイン版だ
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 一方,Radeon RX 6500M/6300Mは,6nmプロセスで製造された新GPUダイを採用しているとのこと。AMDは,新ダイの開発コードネームを明らかにしていないのだが,おそらくは「Navi 24」であろう。
 いずれにせよ,Radeon RX 6600系よりもさらに下のエントリー市場向けにも,リアルタイムレイトレーシング対応のRDNA 2ベースGPUが登場したことは重要なところだ。


デスクトップPC向けRadeon RX 6000にエントリー市場向けが登場


 デスクトップPC向けRadeon RX 6000シリーズの新GPUとして,「Radeon RX 6500 XT」が発表となった。
 デスクトップPC向けRadeon RX 6000シリーズとしては,これまでNavi 23ベースのRadeon RX 6600が最も下位のモデルだったが,今回発表されたRadeon RX 6500 XTはこれよりもさらに下の,エントリー市場向けモデルとなる。

Radeon RX 6500 XTの主な仕様。Infinity Cache容量は16MBと少なめ。グラフイックスメモリ容量は明言されなかったが,4GBや8GBとなるのではないだろうか
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 Radeon RX 6500 XTは,おそらくノートPC向けRadeon RX 6500M/6300Mと同一のダイ(Navi 24?)を採用しており,動作クロック(Game Clock)は2.6GHz,CU数は16基とのこと。理論性能値は約5.3 TFLOPSとなる。これはXbox One X(6 TFLOPS)より低く,Xbox Series S(4 TFLOPS)よりは高いといった性能となる。もちろん,リアルタイムレイトレーシングにも対応する。
 発売は2022年1月19日とのことだ。

Radeon RX 6500 XTは,GeForce GTX 1650やRadeon RX 570に対して20〜60%ほど高性能という。今どきゲームをフルHD解像度で,そこそこ高いグラフィックス設定でプレイできることを想定した製品のようだ
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3D V-Cache技術を採用したRyzen 7が登場へ


 デスクトップPC向けCPUにも新製品が登場した。それが,Ryzen 7 5000シリーズに「3D Vertical Cache」(以下,3D V-Cache)を組み合わせた「Ryzen 7 5800X3D」だ。製品の発売時期は2022年春の予定である。

3D V-Cache搭載版のRyzen 7 5800X3Dが登場。ソケット仕様はAM4のままで,チップセットもAMD 500/400シリーズに対応する
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 3D V-Cacheとは,2021年5月にAMDが行ったオンライン発表会で紹介され,2021年11月に発表となったサーバー向けCPU「EPYC」(開発コードネーム Milan-X)で採用された3Dチップレット技術だ。CPUダイとは別に製造したキャッシュメモリ用SRAMダイを,「TSV」(Through Silicon Via,シリコン貫通ビア)技術によってCPUダイと立体的に接続する技術で,これを用いて既存の「Ryzen 7 5800X」に3D V-Cacheを接続することにより,大容量のキャッシュメモリ搭載を実現したのがRyzen 7 5800X3Dというわけだ。
 なお,3D V-Cache技術を適用したRyzen製品をほかにも用意しているのかについては,とくに言及されなかった。

 Ryzen 7 5800X3Dは,8コア16スレッド対応で,ベースクロック3.4GHz,ブーストクロック4.5GHz,TDP 105Wというスペックが明らかになっている。ベースとなっているRyzen 7 5800Xと比べて,CPUコアや対応スレッド数は同じでTDPも変わらないが,動作クロックが微妙に下がっている(※Ryzen 7 5800Xは,ベースクロック3.8GHz,ブーストクロック4.7GHz)。
 最大の特徴は,やはりL3キャッシュの容量で,Ryzen 7 5800Xが容量32MBなのに対して,Ryzen 7 5800X3Dでは,64MBを追加した総容量96MBとなっている。

「Ryzen 9 5900X」(12コア32スレッド)とRyzen 7 5800X3D(8コア16スレッド)の性能比較。キャッシュメモリの増量は性能向上に効くというわけだ
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Alder Lakerベースの「Core i9-12900K」(16コア24スレッド,L3キャッシュ 30MB)とRyzen 7 5800X3D(8コア16スレッド,L3キャッシュ 96MB)との性能比較
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 TSV技術の採用やキャッシュメモリの増量は,性能向上には効果的でも製造コストが増加するので,EPYCシリーズのようなサーバー向けCPUで採用されるのではないか,という予想もあった。それが,早々に一般用途向けCPUで採用されたことには驚かされる。


Zen 4ベースのRyzenが2022年後半に発表。CPUソケットはAM5へ移行


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 2022年登場予定の次世代CPUアーキテクチャ「Zen 4」についての発表も行われた。

 Zen 4は,5nmプロセスで製造され,DDR5メモリに対応するのはもちろんのこと,PCI Express 5.0にも対応するそうだ。また,ユーザー目線で大きなポイントは,Zen 4世代のRyzenからは,CPUパッケージとCPUソケットが,Ryzenシリーズで長く使われてきたAM4から,新しい「AM5」へと刷新されるという点だろう。

5nmプロセスで製造され,2022年後半に登場の予定だ
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 ただ,これ以上の新情報はなかった。当然ながら,対応コア数やスレッド数といった重要な点も言及はない。2021年11月の新EPYC発表時に,AMDは,Zen 4世代のCPUダイは通常版だけでなく,「Zen 4C」と呼ばれる高効率ダイも存在することを明らかにしたが,一般消費者やゲーマー向けのRyzenではどうなるのかが気になるところである。

2016年に登場して長らく現役を務めたAM4ソケットも,ついにAM5へ世代交代となる。ただし,AM4対応クーラーはAM5でも引き続き使えるとのこと
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次世代Radeon Softwareには3つの新機能が加わる


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 ハードウェア新製品のほかにもAMDは,AMDプラットフォームユーザー向けに提供している無料のコンパニオンソフト「Radeon Software Adrenalin Edition」(以下,Radeon Software)に実装予定の新機能を紹介した。

 将来のRadeon Softwareには,今回紹介した新しいRyzen,新Radeon GPUに対応するのに加えて,以下に挙げる3つの機能を新たに実装する。

  • SmartShift Max
  • SmartShift Eco
  • SmartAccess Graphics

 これらのうち,SmartShift MaxとSmartShift Ecoは,これまでにも存在した電力制御機能「SmartShift」のバリエーションである。

Radeon Softwareは2022年も順当に進化していく
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 SmartShiftとは,実行しているアプリケーションのGPU負荷に応じて,CPUとGPUそれぞれへの電力供給を動的に調整する技術だ。たとえば,グラフィックス負荷が高いゲームをブレイしているときには,GPUのクロックを上げる代わりに,CPUクロックを下げるといった制御を行う。
 SmartShift Maxは,SmartShiftに元々あった機能の発展型で,省電力制御は二の次にして,とにかくゲーム性能を最優先するようにSmartShiftで制御するモードだ。ただ,このモードを使うかどうかの判断は,ユーザーに委ねられる。

とにかくゲーム性能を優先した電力制御を行うSmartShift Maxは,SmartShiftよりも高いフレームレートを発揮できるというグラフ
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 SmartShift Ecoはその逆で,バッテリー駆動時間が最大限になるようにSmartShiftを行うモードだ。たとえば,CPUに統合GPUがある場合は,単体GPUを使わずにそちらを積極活用するようになるという。なお,SmartShift Ecoがどう動くかは,ユーザーがカスタマイズできるそうだ。

バッテリー駆動時間が最大限になるよう電力制御を行うSmartShift Eco
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 3つめの新機能であるSmartAccess Graphicsは,単体GPUとCPUの統合GPUを使い分けているときに,描画された映像をディスプレイ機器に出力するときのスイッチング動作において,遅延が発生していたのを低減する機能だという。これは,SmartShift MaxやSmartShift Ecoとは異なり,PCがSmartAccess Graphicsに対応していれば,自動的に適用される。

SmartAccess Graphicsが効果的に働くと,ゲームなどの性能が平均15%も向上するという
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 なお,これらの機能を実装したRadeon Softwareのリリース時期は,2022年第1四半期を予定しているとのことだ。

AMD公式Webサイト

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