プレイレポート
「ELDEN RING」プレイレポート。広大なフィールドと手ごわい敵,そして自由な攻略が,死闘と冒険を色取る
発売前に製品版相当のバージョンに触る機会を得たので,プレイレポートをお届けしていきたい。なお,本稿のスクリーンショットは,いずれもPS5の「画質優先モード」によるものである。
本作の舞台となるのは,「狭間の地」と呼ばれる場所だ。プレイヤーは「褪せ人」と呼ばれる存在として,「エルデンリング」を求める旅に出る……と言われても何も伝わらないと思うのだが,このあたりの“断片的な物語が,ゲームを進めていくとなんとなく分かっていく感”(分かるとは限らないが)はフロム・ソフトウェアらしいところでもあるので,あえてストーリーに言及するのはやめておこう。とにかく過酷すぎる旅が待ち受けている。
本作の大きな特徴が,オープンフィールドが採用されていることだ。狭間の地は,これまでの同社のアクションRPGと比べて,桁違いの広さを持っており,そこかしこに敵の拠点やダンジョンが存在している。いつでも呼び出せる霊馬「トレント」にまたがり,気の向くままにあちこちさ迷い歩くのは,とても面白い。敵の小隊がうろついているかと思えば,守りを固めた野営地や拠点があったり,ダンジョンや洞窟が口を開けていたりする。
もちろん,どこも侮れない……というか,普通に死ねるのだが,本作では「行き詰まった時に外へ出て,気分転換できる」ことが助かる。例えば,ボスにコテンパンにされた時,これまでは心が折れるまでひたすら挑み続けるしかなかったが,本作では外に出てしまえばいい。オープンフィールドを散策していると,新たなロケーションや見落としていたダンジョンが発見でき,新鮮な気分で探索やバトルを楽しめる。
フィールド上には,馬を高高度にすっ飛ばしてくれる「霊気流」が吹きだしていたり,並ぶ足場を飛び渡る場所があったりと,移動ギミックが用意されたポイントも多い。霊気流で勢いよく飛ぶのは非常に爽快だ。ポーン!という感じで,空から周囲がよく見えるため,次の探索先を探す助けにもなる。
そうこうしているうちに,新たな装備が手に入ったり,「ルーン」(本作における経験値&お金。「DARK SOULS」におけるソウルと同じく,死ぬとその場に落としてしまうため,回収の必要がある)が溜まってレベルアップできたりして,「これなら,さっきのボスに勝てるかな」なんて気分になるし,時には“ひとまずボスをスルーして先へ進める脇道”が見つかったりもする。死にゲーで行き詰まった時の特有のプレッシャーが,かなり軽減されているように感じる。
本作の絵作りは大変に美しく,特に背景はイラストがそのままゲーム画面になったかのようだ。彼方には黄金に輝く巨大な樹木がそびえ立ち,あたりには,鎧兜に身を固めた兵士,鳥や鹿に狼といった野生動物,奇怪な魔物たちが棲む。胸に杭を打ち込まれた2体の巨人が,巨大な棺を思わせる真っ黒な車を引き,その後ろに兵士たちが付き従ってどこかへ歩いて行く。無数の石球が蛇のように連なった生き物たちが,何かを求めるかのように夕暮れの空へ頭をもたげている。雨が降る夜に,全身甲冑の騎士が馬にまたがって走っている。森の中,巨大な卵にも肉の塊にも見える生物は,毒々しい色をした気体を吐いている。巨大な人の頭に車輪が付いた物体が行き過ぎていく。草原では魔物と人間が戦っているが,人間に加勢しても感謝されるわけではなく,襲われる。
そこかしこに,無言のドラマを感じさせる奇妙な光景があり,世界観について断片的にしか語られないことと合わせ,神話的な雰囲気が漂っているのである。
もう,どこを見てもスクリーンショットを撮影したくなる,“映える”光景ばかりなのだ。
人の頭に車輪が付いた物体が行き過ぎる |
美しくも奇怪な植物が光を放つ |
もちろん,バトルも面白い。“攻撃や回避に「スタミナ」を消費するため,敵の観察とペース配分が重要になる”という「DARK SOULS」シリーズでおなじみの戦闘システムは,本作にも引き継がれている。
加えて,オープンフィールドは広く,地形には高低差があり,プレイヤーには新アクションのジャンプが与えられているため,プレイフィールはこれまでの作品とひと味違ったものとなった。ジャンプ攻撃は威力が高く,敵の体勢を崩しやすいメリットがある。体勢の崩れた敵には,高威力の「致命の一撃」を叩き込めるため,ぜひ狙いたい。もちろん,ジャンプとジャンプ攻撃のそれぞれにスタミナが必要になるため,これまで以上にペース配分が重要になっているという印象だ。
本作の戦闘で印象深いのが,オープンフィールドであるが故に,多彩な戦術や侵攻ルートを採れること。そして逃げが肯定されていることだ。例えば,街道沿いに砲台が設置され,その間を兵士が巡回しているという,危険な地形があったとしよう。普通の死にゲーなら真正面から戦いを挑むしかないが,本作では砲台の死角である後ろから回り込んでもいい。草むらに隠れて背後から敵を突き刺して1体ずつ仕留めたり,高台から飛び道具で狙撃したり,馬で疾走しつつのヒットアンドアウェイを繰り返したりというように,バリエーション豊かな戦法を楽しめる。
敵の数が多いなら,とりあえず馬で走り抜けてしまうなんていうのもアリだ。敵が追ってくる範囲は決まっており,逃げようと思えば徒歩でもなんとか逃げ切れることも多い。戦い方を考える楽しさがあり,見ず知らずの敵に挑むという試行錯誤も気軽に行える。
砲台を置いて待ち構える敵。しかし後方から回り込めば,砲台の攻撃は無効にできる |
真正面から攻めることもできるが,とんでもない目に遭わされる。しかしながら,選択が自由であることが重要だ |
本作の敵は,ルックスが恐ろしいものが多い。慣れていないうちはどいつもこいつも中ボスやボスの類に見え,思わず腰が引けてしまう。しかし,スルーしてもいいし,逃げてもいいとなれば,ちょっと戦ってみようかという気にもなる。“何か,新しいことを試したがゆえに死んだ”というストレスはだいぶ軽減されているのではないだろうか。
もちろん,多彩な侵攻ルートや逃げの肯定というのは,本作が発明したものではない。多くのオープンワールドゲームも持っている特徴である。重要なのは,フロム・ソフトウェアの濃密な戦闘システムで,こうした遊びができるということだ。普通に戦えば死が待つだけの相手でも,本作は多彩な戦い方を許容してくれる。
特に強調したいのが,マップの作りと敵配置の面白さである。死にゲーでは,プレイヤーにミスさせる,作り手の殺意ばかりが強調されがちだ。しかし,個人的に,フロム・ソフトウェアのマップ作りと敵配置は,殺意ばかりではない,感情を揺さぶる巧みさに魅力があると感じている。
例えば,とある場所には無力な一般人っぽい敵が何人かうろついている。こちらが攻撃しても,反撃するどころか,頭を抱えてうずくまってしまうようなヤツだ。「コイツ相手なら,絶対に負けねえ! 簡単にルーンを稼げるぜ!」とばかりに大暴れしていると,突然強烈な一撃が。巨大なクマのような敵が現れ,こちらをブン殴ってきたのだ。狩る側だったはずが,いつの間にか狩られる側になってしまったというわけで,為す術もなく殺られてしまった。きっとクマの方も「コイツなら,簡単にルーンを稼げるぜ!」と思っていたことだろう。まさに因果応報というわけだ。
難所を切り抜けられるか否かだけでなく,“いろいろあって,最後にはオチがついて死んだ”みたいなドラマが用意されているのは,死にゲーをより面白いものにしてくれる重要なポイントだと思う。
ほかにも,人に話したいやらかしエピソードはたくさんあるのだが,ネタバレになってしまうので,皆さんにも同じ気持ちを味わってもらえるよう,何も言わないでおこう。とにかく視線や気持ちの誘導が巧みで,神の手のひらで踊らされているというか,「してやられた!」と苦笑してしまう体験ができる。
もちろん,どうにかして倒すしかない強大なボスもいる。相変わらず歯ごたえがあり,繰り返し倒されつつ攻略法を掴んでいくしかない。ビビりながら戦っていたのが,動きに慣れると少しずつ余裕が出てくるという,あの感覚も健在だ。モーションのカッコ良さはもちろんのこと,ボスが輝くハンマーを構えて大ジャンプした背後に例の黄金樹が見えたりもして,実に絵になる。
本作では,これまでよりも「ダンジョンに潜る」という感覚が強いが,もちろんダンジョン攻略はフィールドよりも難度が高い。何が起こるか用心しながらジリジリと歩みを進めていく,「DARK SOULS」のプレイフィールに近い場所だ。殺意に満ちた敵配置に,死にゲーらしさを堪能できるだろう。
本作は,フロム・ソフトウェアのこれまでの“死にゲー”を踏襲した激しい戦闘に,広大なフィールド探索を追加し,遊びの幅が大きく広がったタイトルだ。できること,やりたいことが増えたので,「ボスの攻撃,うまくやれば避けられたんじゃないか?」「レベルを上げて,あの武具を装備すれば大分違うんじゃないか?」「そういえば,気になる建物があったから,今度探索してみようかな?」といった具合に,ゲームを終えた後でもELDEN RINGのことをつい考えてしまう。
濃密な体験と数多の死にあふれた新しい冒険を,ぜひ堪能してほしい。
「ELDEN RING」公式サイト
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(c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc. / (c)2021 FromSoftware, Inc.
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