紹介記事
「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」を紹介。プレイヤー好みに設定できるモードや改造カードの再現が嬉しい一作
好みのセッティングでプレイできる機能やイラストギャラリー,ミュージックプレイヤーなどの新要素が加わり,より2つのシリーズ作品を楽しめるようになった本作の魅力をお伝えしよう。
「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」公式サイト
ロックマンXから連なる未来を舞台とした名作6タイトル
「ロックマン ゼロ」シリーズは,2002年から2005年までゲームボーイアドバンス向けに4作品が,「ロックマン ゼクス」は,2006年と2007年にニンテンドーDS向けに2作品がそれぞれリリースされた「ロックマン」のシリーズ作品だ。「ロックマン ゼロ」はWii U向けのバーチャルコンソール版やDS用ソフト「ロックマンゼロ コレクション」が販売されているが,「ロックマン ゼクス」シリーズが復刻されるのは今回が初である。
ロックマン ゼロ |
ロックマン ゼクス |
「ロックマン ゼロ」は,主人公エックスと人類滅亡をもくろむシグマの戦いを描いた「ロックマンX」にて,エックスの親友として登場したゼロを主人公とするシリーズ作品だ。「ロックマンX」から数百年後を舞台とした「ロックマン ゼロ」では,長い眠りから目覚めたゼロが,人類から不当な扱いを受けるレプリロイドたちを救うため戦う姿が描かれる。
さらに数百年後の世界を舞台とした「ロックマン ゼクス」では,謎の金属「ライブメタル」との出会いにより,ロックマンとなって戦うことになった少年少女の物語が展開するのだ。
ロックマン ゼロ2 |
ロックマン ゼロ3 |
ここからは,収録されている6タイトルの物語やゲームの特徴をお伝えしよう。
■ロックマン ゼロ
「ロックマンX」から数百年後に目覚めたゼロが,レプリロイドを弾圧する「ネオ・アルカディア」に立ち向かう物語が描かれる。ゼロとともに戦う,科学者シエルが率いるレジスタンスが絶望的な戦いを続けるダークな世界観が特徴だ。なかでも印象的なのが,ゼロをサポートしてくれるサイバーエルフたちの存在。使用するとライフ回復や移動サポート,特定地形の無効化といった効果を与えてくれるが,それがサイバーエルフの命と引き換えになっているという,なかなかショッキングな設定となっている。カーソルを合わせた際の悲しい呟きはトラウマものだ。自分の宿命を理解し,覚悟をもってサポートしてくれるサイバーエルフたち。それを知っていても使用するのは辛いものを感じるが,先へ進むために使わざるを得ないというジレンマがプレイヤーの心を苛むのだ。
封印されていたゼロは,サイバーエルフのパッシィの命と引き換えに目覚める | |
サイバーエルフたちの思いを胸にさらなる戦いに挑む |
■ロックマン ゼロ2
勢力を伸ばしたレジスタンスは,新リーダーのエルピスのもとで反攻作戦を開始。平和を求めるシエルが心を痛めるなか,さらなる力を求めるエルピスが闇へと墜ちていく。ボスを倒すと「EXスキル」が手に入り,武器の攻撃が変化するのが本作の特徴だ。バトル時の行動に応じてさまざまな「フォーム」を習得でき,被弾時のノックバックがなくなる「ディフェンスフォーム」や,移動速度が早くなる「アクティブフォーム」など,その特徴に応じた戦い方も可能となっている。
本作で新たに登場した「チェーンロッド」が,オブジェクトにぶら下がってターザンのように移動できる面白い武器だったが,残念ながら次回作からは消えてしまった。
危険な反攻作戦に踏み出す,レジスタンスの新リーダー・エルピス(左)。レプリロイドが弾圧される理由がエネルギー問題であることが判明(右) | |
地形や敵に突き刺してスイング移動できる「チェーンロッド」(左)。個性的なボスは本作でも健在。「ヒューレッグ・ウロボックル」はヘビ型の足場をさまざまな形に組み替える恐ろしい技を使う(右) |
■ロックマン ゼロ3
レジスタンスとネオ・アルカディアが争う原因となっていたエネルギー問題を解決する,「システマ・シエル」が完成。和平が成立するかと思われたが,そこに現れた悪の科学者ドクター・バイルの奸計が世界を再び戦火に巻き込んでいく。サイバーエルフに関するシステム面が大きく緩和されたのが特徴だ。ゼロに従って飛ぶ「サテライト」として装備した場合や,ステージ中にある「サイバー空間」にいるときはサイバーエルフは死ぬことなく,その能力を発揮できるようになった。また,ゼロの頭や胴,足に「チップ」をセットすることで,特殊効果が発動するのもポイントとなっている。新武器は「リコイルロッド」。チャージして地面に撃ち込むことでハイジャンプでき,それが攻略の助けとなる。
新エネルギー「システマ・シエル」によって和平が成立する直前,悪の科学者ドクター・バイルが世界を更なる混沌に陥れる | |
サイバー空間で能力を発揮するサイバーエルフ(左)。今回もボス戦は趣向が凝らされている(右) |
■ロックマン ゼロ4
人類の理想郷だったネオ・アルカディアは混乱に陥り,今やドクター・バイルが支配する地獄となった。ドクター・バイルはアインヘルヤル八闘士を率い,ネオ・アルカディアを逃げ出した人々を攻撃する。正義のためだったはずの戦いが人々を苦しめ,人間とレプリロイドの対立が決定的なものになるという,これまでに増して重い展開だ。システム面での特徴となっているのが,ゼロの新武器として登場する「ゼロナックル」。この拳で敵にとどめを刺すと,パーツを奪って自分の武器にできる。「ロックマン」シリーズの原点にある「倒した敵の武器を使って戦う」という要素を感じさせる武器で,新たな武器探しが楽しい。敵を倒して入手するパーツを組み合わせて,ゼロを強化するチップを作成できるのも面白いポイントだ。サイバーエルフはさらに緩和され,ゼロに付き従う1体が3系列の能力を使えるように。命と引き換えにサポートするという設定は過去のモノとなった。
■ロックマン ゼクス
ボスを倒して手に入れた能力を使い,行動範囲を広げていくという,現代でいうところの“メトロイドヴァニア”に近い要素も加わったシステムとなった。ボス戦では,弱点に攻撃を当てると効果的に耐久力を減らせるが,相手のライブメタルも傷ついてしまうため,入手時の武器のエネルギーが低くなってしまう。弱点を狙うか,ライブメタルを優先するかの判断も重要となる。街で変身を解除せずにいると,住民から怖がられるというユーモアある要素も。
■ロックマン ゼクス アドベント
男女主人公の選択式やゲームシステムなどは前作を継承しつつ,新システム「トランスオン」で戦いと探索がより面白いものとなった。トランスオンは,倒したボスそのものに変身し,その特殊能力を自由に使えるというものだ。カブトガニ型の「クロノフォス」なら水中を自由に動けるようになり,ガゼル型の「ディアバーン」は敵対した際に脅威となった強力な攻撃「3WAY火矢」を撃てるなど,その特徴もさまざま。「このボスはどんな能力なのだろう」と,これまでの作品とは違ったボス戦の楽しみが生まれた。
グレイとアッシュという男女の主人公は,性別だけではなくその能力も異なる | |
グレイは謎の施設で眠っていた記憶喪失の少年。「ライブメタル・モデルA」に選ばれて新たなロックマンに変身する |
倒したボスそのものに変身し,強力な技を使用できるできるトランスオン | |
トランスオンを使えばボス対ボスの戦いも可能だ。とはいえ万能ではなく,例えばクロノフォスは水中用ボスのため陸上では動けなくなるので,ボスの特性を理解することも重要 |
プレイヤー好みの設定でより遊びやすく
タイムアタックが楽しめる新モードも
本作は,オリジナル版をそのまま移植しただけではない。好みの設定で快適にゲームを進められるモードや,イラストを閲覧できるギャラリーのようなお楽しみ要素なども搭載されており,単なる復刻に留まらない内容になっているのだ。
まずは高画質フィルターと画面レイアウト。ドットを滑らかにする高画質化フィルターが用意されており,さらにオリジナル版のグラフィックスも選択できる。画面比率を変更してゲーム画面を大きくできるので,熟練のドット絵技術で描かれたゼロや敵キャラクターたちが躍動する姿を眺めることも可能だ。「ロックマン ゼクス」シリーズの下画面はオプションから7種類のレイアウトから選べるので,自身がプレイしやすい設定にするといいだろう。
今回の目玉の一つが「Zチェイサー」モード。6作品から選ばれた12のステージを舞台に,対戦相手とクリアタイムを競うという,これまでのシリーズ作品にありそうでなかったモードだ。
CPUが相手となる1人用の「シングルチェイサー」では,5段階の難度設定により自分の腕前に合わせて競争できるのが楽しい。とくに最強の「ZZ」ランクCPUは,最低レベルの「B」ランクなら3分弱掛かる「スクラップ処理場」を52秒ほどでクリアするというスゴ技を見せてくれる。「こんな戦い方があったのか!」と,その芸術的な動きに見とれてしまうこと間違いなしだ。
今回は体験できなかったが,2人用のローカル対戦「ダブルチェイサー」や,各ステージのオンラインランキング1位のリプレイデータをダウンロードして対戦できる「WWレコードチェイサー」もあるので,タイムアタック好きなプレイヤーならかなり熱くなれるモードだろう。
あまりアクションが得意ではない人や,ストーリーをメインに楽しみたい人にとって嬉しいのが「カジュアルシナリオモード」と「アシストセーブ」の存在だろう。
カジュアルシナリオモードは,難度が非常に低くなっているうえ,敵から受けるダメージも非常に少ない。「ロックマン ゼロ」シリーズならサイバーエルフやパーツ類,体力回復の「サブタンク」を所持しているといったように,ゲームを進めるうえで有利となるアイテムも最初から所持している。
便利なのがアシストセーブ。フィールド上に新設されたセーブポイントに近づくだけでオートセーブされ,その先でやられても機数が減らず,直近のセーブポイントからすぐにプレイを再開できる。再開時は体力も満タンまで回復しているため,任意のタイミングでのセーブ(ステートセーブ)よりも使い勝手がいい。事実上,残機の制限がなくなるので,なかなかに強烈だ。
どちらも個別にON / OFFできるので,物語に集中したい人から手応えあるアクションが楽しみたい人まで,どのように設定するかはプレイヤー次第。アシストセーブだけを使うと現代のゲームに近いテンポで遊べるので,こちらもオススメだ。
オリジナル版のプレイヤーにとって嬉しいのが,懐かしの「改造カード」を使った連動機能が,ゲーム内で再現されているところだろう。
「ロックマン ゼロ3」に導入されていた改造カードは,TCGのようなパッケージで販売されたカードをGBAの周辺機器「カードeリーダー+」を使って読み込ませると,能力が強化されたりゲーム内容が変化したりする機能だ。それが本作では,ゲームを進めることで手に入り,一覧から選択した状態でカードの効果を反映できるのだ。
改造カードを買い漁っては読み込ませた人や,コレクションとして集めたが「カードeリーダー+」を持っていなくてその効果を確かめられなかった人……。当時を知るプレイヤーは,思い出に浸りつつ楽しんでほしい。
さらに熱いのが,「ロックマン ゼクス」を遊ぶ際,DSに「ロックマン ゼロ3」「ロックマン ゼロ4」を差し込むと追加ボスと戦えるという,オリジナル版の機能が再現されているところ。「ゼロ3 プラスモード / ゼロ4 プラスモード」というモードで2作品の追加ボスとの戦いがまとめて楽しめるので,こちらもチャレンジしてみよう。
お楽しみ要素となるギャラリーとミュージックプレイヤーの充実ぶりも見逃せない。ギャラリーには,650点を超えるイラストや設定画,改造カードを収録。それが高解像度で堪能できる。ミュージックプレイヤーには200以上の楽曲が収録されており,マイミュージックの機能でお気に入りの楽曲を集めたプレイリストを作成し,それを聴きながらギャラリーを楽しむことも可能だ。
オリジナル版からのファンは思い出に浸れること間違いなし。初めて「ロックマン ゼロ」と「ロックマン ゼクス」に触れる人にとっても,シリーズの魅力を知る機会となるだろう。
「ストーリーをメインにアクションは気軽に楽しみたい」という人から,「とにかくハードなアクションを堪能したい!」という腕自慢まで,プレイヤーの好みに合わせた設定でゲームが楽しめる本作。とくに,13年以上前の作品を現在のゲームに近いテンポで遊べるアシストセーブはありがたい機能で,良いアレンジといえるだろう。
ダークな世界を舞台とした「ロックマン ゼロ」から,冒険要素を前面に押し出した“変身モノ”の「ロックマン ゼクス」という,「ロックマン」シリーズの変遷を1つのソフトで体験できる点は,興味深いものを感じる人も少なくないはず。当時を知る人はもちろん,遊び応えのあるアクションを求めている人はプレイしてみてはいかがだろうか。
「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」公式サイト
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