プレイレポート
「Ghostbusters: The Video Game Remastered」プレイレポート。ゴーストバスターズの一員となり,あのビームを使いこなして幽霊退治に挑む
本作は,映画でお馴染みの「ゴーストバスターズ」の4人と一緒に活躍できるアクションゲーム。“あの”テーマ曲に乗って,“あの”ビームを発射してゴーストたちと戦う,映画のような体験ができるのだ。
軽薄なピーター・ヴェンクマン,超常現象オタクのレイモンド・スタンツ(レイ),堅物のイゴン・スペングラー,臆病なウィンストン・ゼドモアが,幽霊退治会社「ゴーストバスターズ」の社員として,ニューヨークに跋扈する幽霊たちに立ち向かうのが,1984年に世界各国で公開された映画「ゴーストバスターズ」だ。
映画は日本でも大ヒットしたが,人気の秘密はやはり,ゴースト(幽霊)とコメディの融合にあったのではないだろうか。これまでオカルトの領域だった幽霊退治を現実的なものの象徴といえる会社が請け負い,そこに勤務するのは霊力や宿命といった設定に彩られたヒーローどころか,欠点だらけの中年男たちだ。
そして,彼らが扱うのも,聖水や魔剣,お札に呪文といったカッコイイ定番武器ではなく,どこかレトロでキッチュな「プロトンパック」という,掃除機のようなホースがつながる謎のデバイスだ。こうしたコントラストがおかしさと親しみやすさを生み出していく。
そんな彼らが相手にするのが,丸々と太った「マシュマロマン」をはじめとするゴーストたちだ。怖いだけでなくコミカルで,自由奔放に暴れる様はうっとうしくもあり,楽しそうでもある。当時の漫画やアニメでも独特のゴーストバスターズマークやマシュマロマンがパロディにされたものも多かった。
また,ファミコンやGenesis(海外版メガドライブ)で公式ゲーム化されたのに加え,任天堂の「ルイージマンション」シリーズでは,ルイージがプロトンパックのような「オバキューム」でオバケを退治するという,ゴーストバスターズをオマージュした内容になっているなど,ビデオゲームにも影響を与えている。
映画公開から25年を経ても愛され続けているゴーストバスターズを,2009年に再びゲーム化したのが「Ghostbusters: The Video Game」(PC / PS3 / Xbox 360 / PS2 / Wii / DS)。ピーター,レイ,イゴン,ウィンストンの4人が映画そのままの姿とボイスでゲームに登場し,レイ役のダン・エイクロイドさんと,イゴン役のハロルド・ライミスさんが脚本に参加したことで話題を呼んだ。
これをさらに10年後にリマスターしたのが,今回のGhostbusters: The Video Game Remasteredとなる。本作では,2009年版にはなかった日本語字幕が入っているため,英語が苦手な人も安心して遊べるだろう。
なお,今回はPlayStation 4版をプレイしているため,記事中のボタン表記もこれに則ったものになっている。
新人としてゴーストバスターズに入社,映画の中に入ったような体験を楽しむ
本作の舞台は,映画で描かれた後の1991年のニューヨークで,破壊神・ゴーザから世界を救ったゴーストバスターズに新人・ルーキーが入社する。
ゲームオリジナルの主人公が参加することになるが,ルーキーはあくまでプレイヤーの代理で,名前すらなく,顔も無個性でカットシーンで発言することもない。ゲーム内で見えるのも基本的に背中だけで,まれにしか映らず,映画の世界観が損なわれるようなことはないので,映画のファンも心配は無用だ。
ルーキーは当初,“いつ仕事を辞めるか分からない,当てにならない新人”扱いで,ピーターから「こいつと親密になるつもりはない」的なことまで言われてしまうが,ゲームでの活躍を通して徐々に認められていく。自分の分身であるルーキーが,名前が胸に入った“あのツナギ”を着て,背中に“あのプロトンパック”を背負って奮闘する姿には,ファンならグッとくるものがあるはずだ。
もちろん,4人は映画と同様に軽妙な掛け合いでプレイヤーを楽しませてくれる。前述の通り,ピーター役のビル・マーレイさん,レイ役のダン・エイクロイドさん,イゴン役のハロルド・ライミスさん,ウィンストン役のアーニー・ハドソンさんといったオリジナルキャストが担当しており,映画そのままの姿とボイスでゲームを彩っている。時間の流れに関係なく,当時の姿を再現できるのはゲームという媒体が持つ大きなメリットだ。とくにライミスさんは2014年に亡くなっており,4人の集結が実現不可能となっているだけに,これは貴重な機会といえるかもしれない。
“あの”ビームでニューヨークをブッ壊しつつ,ゴースト退治に励もう
ゴーストバスターズが通った後は無事では済まされない。プロトンパックから放たれるビームが当たると,家具や調度品は壊れてしまうからだ。
映画にも登場したニューヨーク市立図書館をはじめ,ホテルやパーティー会場,博物館に異次元空間などロケーションはさまざまだが,もう例外なくメチャメチャになっていく。壁に掛かった高価そうな絵画,オシャレな形をしたオブジェ,綺麗に盛り付けられた料理,座り心地の良さそうなソファー,貴重な収蔵物といった品々が次々と壊れ,壁や床にビームの焦げ跡が残っていく様は痛快の一語に尽きる。
ゴーストどもが暴れ回るからこっちもビームでなぎ払わざるを得ないわけで,もうこれはゴーストバスターズのせいではない……と叫びたくなるあたりは原作の再現といえるだろう。周囲のものが壊れると被害額が計上されていくが,手持ちのお金から支払うわけではないので,破壊の限りを尽くすのもいいだろう。
なお,本作には「被害総額を一定額以下に抑える」「一定額以上の被害を出してクリアする」という実績が存在する。1周目はあらゆるものをブチ壊し,2周目は被害を出さないようにして楽しむのもアリだ。
ゴーストとの戦いはなかなか激しく,作中の表現を借りると「鈍らせ,捕らえ,閉じ込める」という3ステップを踏む必要がある。
まずは[R1]ボタンや[R2]トリガーでプロトンパックからビームを放ち,ゴーストの体力がゼロになるまでビームを当て続けて“鈍らせ”る。ゴーストはあちこち飛び回るため,TPSの要領で右スティックでのエイミングが重要だ。
ゴーストの体力を充分に減らすと“捕らえる”フェイズに突入する。プロトンパックのビームは,自動的にゴーストを拘束するキャプチャービームに切り替わる。ここでゴーストは上下左右に飛び回って逃れようとするため,右スティックで反対側へ引っ張って弱らせなければならない。時間とともに蓄積される「スラムメーター」を使うと,ゴーストを叩きつけて,より弱らせることができる。
そして最後が“閉じ込める”だ。[□]ボタンであらかじめ仕掛けておいたトラップの上へゴーストを誘導し,吸引されるまでその位置をキープする。ゴーストが息を吹き返して暴れ出したら,再び引っ張ったり叩きつけたりして弱らせる。なかなか閉じ込められないゴーストを前に「もういい加減に吸い込まれろ!」と願ってしまうあたりは,まさにゴーストバスターズ体験。映画の4人もこんな気持ちで戦っていたのかと思うと胸が熱くなってくる。
ゴーストと戦うときは4人との連携や協力が不可欠だ。ついつい置くのを忘れがちになるトラップもキッチリ用意してくれるなど,「さすが先輩!」という貫禄で活躍してくれる。大物ゴーストを捕らえるときなどは,仲間と力を合わせて抑え込むこととなるので,協力しあっている感覚が嬉しい。ルーキーの体力が尽きても,先輩が生きていればこちらを蘇生してくれる。もちろん,こちらが4人を助けることもできるが,ルーキーが間に合わなくても,お互いで蘇生し合ってくれるため,とても頼りがいのある仲間たちだ。
また,ゴーストの中には4人に取り憑く奴もいて,なかなか厄介だ。レイからゴーストを追い出している間にウィンストンが取り憑かれ,2人と戦っていたらついにピーターまでやられてしまった……なんてこともあるから忙しい。
ゴーストとのバトルでは仲間との協力が不可欠 |
ゴーストの中には,先輩たちに憑依するものもいる |
なお,石像や本などに乗り移っている雑魚ゴーストは,ここまでの手順を踏む必要はなく,ビームを当てて体力をゼロにすればいいのでバリバリと倒せる。もちろん,あのマシュマロマンも登場し,巨体を活かしてニューヨークを破壊していく様は迫力満点。普通に戦っても構わないが,せっかくなので足元に行ってわざと踏まれてみるなど存分に戯れてみよう。
プロトンパックと並ぶ印象的なデバイスが,ゴーストの居所を探れる「PKEメーター」だ。ゴーストに近づくほど羽根状の部分が広がり,ランプがピカピカ光る様は映画そのままで嬉しい。PKEメーターは自分で操作でき,進むべき道や呪われた品を見つけ出すことも可能だ。呪われた品を手に入れると,プロトンパックの強化に使えるお金が手に入るだけでなく,ゴーストバスターズ本部に飾ることができるので,あちこちを探してみるといいだろう。
プロトンパックから発射されるビームには,赤・青・緑・黄の4モードがあり,ストーリーの進行とともに解除されていく。それぞれのモードごとに[R1]ボタンと[R2]トリガーでプライマリとセカンダリの発射モードが使い分けられる。
最初から使えるのが赤モードだ。プライマリの「ブラスト・ビーム」は映画でお馴染みの照射型ビームで,照準を合わせ続ければ連続でダメージを与えられる(先輩たちとビームを交差させることもできるのでお試しあれ)。セカンダリの「ボソン・ダーツ」は爆発する弾を撃てるので,雑魚ゴーストが密集した場所に使うのが有効だ。
青モードは「ショック・ブラスト」と「冷凍ビーム」が使用可能。ショック・ブラストはショットガンのような散弾が飛ぶため,接近戦で威力を発揮する。冷凍ビームを当て続ければゴーストの動きが鈍くなるため,先輩が近くにいるときにサポート用として使うといいだろう。
謎解きにも活用できるのが緑モードで,ベトベトしたスライムを放水する「スライム・ブロワー」は,直接攻撃のほかにゴーストが残した粘液も浄化できる。セカンダリの「スライム・テザー」は,スライムのヒモで2点間を結ぶことができ,ダメージこそ与えないものの,行く手を阻む瓦礫を引っ張ったり,ゴーストとトラップを直結するのにも使える。
面白い特性を持っているのが黄モードだ。プライマリの「メソン・コライダー」で敵をマーキングしてから,セカンダリの「オーバーロード・パルス」を撃つと,マーキングしたところへ誘導される。これを利用して障害物に身を隠しつつ攻撃するなど,使い手の力量や工夫が試される武器だ。
これらのビームを使い分けて戦うのが,本作におけるバトルの面白さになる。PKEメーターを使うと,ゴーストがどのモードに弱いかが分かるので,バトル中でもしっかりと調べて戦うと効率よく倒せるだろう。
なお,ビームを連続して使い続けるとプロトンパックが加熱し,オーバーヒートしてしばらく攻撃できなくなるため,[L1]ボタンで小まめに排熱するのがポイントだ。発熱量は,プロトンパックに取り付けられたディスプレイに表示されている。ここにはルーキーの体力も表示されており,ゲーム画面上に表示させるUIを極力少なくなるよう配慮されるなど,映画の雰囲気を重視する姿勢が感じ取れて面白い。
こうしてゴーストを退治すると賞金が手に入り,それを資金にビームの発射効率を上げたり,トラップがゴーストを吸い込むまでの時間を短縮したりと,プロトンパックやPKEメーターを強化できる。中でも「ブラスト・ビームの反動を低減」があると,ブラスト・ビームが操作しやすくなるので,早い段階で購入するのがオススメだ。
ゴーストを退治すれば賞金が手に入る |
賞金を使って,プロトンパックやPKEメーターをパワーアップできる |
映画をモチーフにしたゲームでは,原作の雰囲気が損なわれてしまうことも多いが,本作はオリジナルキャストの参加,出しゃばりすぎないルーキー,ゲーム的なUIを最小限にするなど,原作への愛に満ちたゲーム化がなされている印象だ。基本的には2009年のゲームであり,現世代の最先端グラフィックスではないものの,映画の雰囲気はしっかりと再現されており,原作映画に熱狂した人にオススメの作品になっている。
なお,ゴーストバスターズの映画は,2020年に新作が公開予定で,1984年の「ゴーストバスターズ」,1989年公開の「ゴーストバスターズ2」の監督であるアイヴァン・ライトマン氏の息子・ジェイソン・ライトマン氏がメガホンを取ることが明らかになっている。ストーリーとしては,女性ゴーストバスターが登場する2016年版「ゴーストバスターズ」ではなく,今回ゲームで再現されている1984年版の続きとなるようなので,本作で予習しておくのもいいかもしれない。
「Ghostbusters: The Video Game Remastered」公式サイト
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Ghostbusters: The Video Game Remastered
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"GHOSTBUSTERS" The Video Game Remastered: TM &(C)2019 Columbia Pictures Industries, Inc. "GHOSTBUSTERS" with the "GHOST DESIGN" is a trademark of Columbia Pictures Industries, Inc. "GHOSTBUSTERS" and "GHOSTBUSTERS 2" movies:(C)1984,(C)1989 Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved. Developed by Terminal Reality, Inc. Additional development by Saber Interactive. Published by Mad Dog Games. Facial Animation software provided by FaceFX.(C)2002-2007, OC3 Entertainment, Inc. and its licensors. All rights reserved. Copyright (C) 2002-2008 Xiph.Org Foundation and contributors. All other trademarks are the property of their respective owners. Appearance in this game does not imply sponsorship or endorsement. Published by H2 Interactive Co., Ltd.
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