プレイレポート
カオスで自由なRPG「Elin」のアーリーアクセスがついに始まる。「Elona」以上にやり込める,むちゃくちゃな世界が君を待つ
※11月1日16:00にアーリーアクセスがスタートした。価格は2980円(税込)。
本作は,Lafrontierのnoa氏が2006年にリリースしたフリーゲーム「Elona」の後継作だ。Elonaは無料であること,もはやカオスな自由度の高さや独特の表現,そして遊び続けてしまう中毒性などで多くのファンを獲得したタイトルである。その人気は,Elinのクラウドファンディングの結果にも現れており,「フリーゲームの後継作に,約6000人のバッカーが出資し,6350万円もの資金調達に成功した」と言えば,熱量が伝わるだろう(関連記事)。
Elinが前作からどのような進化を遂げているかは「こちら」の記事で紹介しているが,今回は本作から始める人に向けて,おおまかな紹介と最序盤の動き方のヒントを書いておこう。
本作の場合,何も知らずにプレイしてみて苦労するのも楽しみの1つではあるので,過度な攻略情報やネタバレは避けておく。
とりあえず人っぽい種族が無難
ゲームをスタートすると,まずはキャラメイクを行う。設定項目がけっこう多いので補足しておこう。
本作の序盤でプレイヤーが得意なことは,種族とクラスで決まる。デフォルトだと主に前作に登場していた種族などしか表示されていないが,キャラメイク画面の右下にある「追加の種族と職業」にチェックを入れると,数が増える(ただし,バッカーの要望で追加されたものが含まれるため,ちょっと特殊なものもある)。
一部の種族やクラスは,ほかにはないフィートを所持していて,特殊な動きができるが,そのあたりに手を出すのはある程度このゲームを理解してからでいいだろう。最初は,人型っぽい説明文の種族を選びつつ,気に入ったクラスでスタートするのがワクワクしながら安定して遊べると思う。
まぁ,やってみたければどれを選んでもよいのだが,いきなり「観光客」や「かたつむり」で始めたりすると,その理不尽さに笑いながらすぐにキャラを作り直すことになるはずだ。とくにかたつむりは,本当にかたつむりって感じの強さしかない。
ちなみに,キャラメイク時の項目には異名や父親,母親,誕生地といったものがあるが,このあたりはフレーバー要素だ。ランダムで作成されるので,気に入ったものが出るまでリロールしまくろう。しょうもない異名をつけてもいいし,父親は聖女で母親はおじさんにしてもいい。なんでもアリだ。
身長や体重は,開始後に変動させられるのでご安心を(?)。
自分の土地を開拓して拠点を作ろう
本作の舞台は,イルヴァと呼ばれる世界の,ノースティリスという場所だ。なぜかここで行き倒れていたプレイヤーは,この土地を拠点に開拓を進めていくことになる。主なやるべきことは,最初にプレイヤーを助けてくれるNPCがクエストで教えてくれるので,それに沿って進めていけばいいだろう。
最初の拠点になる土地には,焚火以外にはなにもない。なので,まずは草を採取して床や壁を作り,生活基盤を固めるところから始めるといった展開になる。
クラフト系のサバイバルっぽくない? と思った人は,正しい。前作Elonaを遊んだ人もここで驚くと思うが,本作はローグライクRPGといいつつ,新要素として導入されたクラフト系の仕組みが,かなり大きく扱われている。木を切るには斧が,鉱石を掘るにはつるはしが必要だし,道具をよりよいものにすれば,取れるものも増える。
拠点にはさまざまな生産設備を設置でき,冒険して持ち帰ったものを使って,いろいろなものを作成可能だ。
さらに,拠点には住人を呼び込むことも可能で,彼らはさまざまな仕事と趣味を持っている。木こりなら木材を生み出してくれるし,釣り人なら魚を獲得してくれるといった具合に,プレイヤーが冒険に出ている間も,さまざまなメリットをもたらしてくれるのだ。
外観も含めて自分好みの拠点を作ろうと思うと,ものすごい勢いで時間が溶けていくし,そもそも拠点は複数持てるので,最初のうちはシステムの理解ということで,できたものを適当に置いておくぐらいでいい。とりあえず気ままに拠点運営してみよう。
ランダムダンジョンにお宝を求めて
さて,目玉である拠点運営とクラフトから紹介したが,本作のジャンルはローグライクRPGだ。もちろん,Elinの世界でどう生きるかは自由だが,ベーシックな遊び方としては,ランダム生成のダンジョン(本作ではネフィアという)に潜り,ボスを倒して戦利品を手に入れ,強力な装備品を狙うといったところになる。
ネフィアはグローバルマップ(拠点や街から出て活動する世界地図のようなマップ)上に自動で生成され,攻略済みのものにはクリアマークがつくが,ときどき地殻変動が発生して再生成されるので,「潜るネフィアがない」という状況にはなりえない。各ネフィアには危険度が設定されているので,序盤は低いところを選んで潜ることになる。
まぁ,おそらく死ぬと思うが,ゲームを初めてしばらくはデスペナルティがない。とりあえず挑戦してみるといいだろう。
ちなみに,ネフィアに限らず,序盤はフィールドで出会ったそのへんの敵でもだいたい死ねる。どのラインまで戦えるかは,キャラメイクによるのでなんとも言えないが,まずは弱そうなやつと交戦しながら勝てる相手を探すしかない。地道に強くなろう。
各街への探索はお早めに
ネフィア攻略を始めると,どうにかしてキャラクターを強くしたいと思うはずだが,そのためにやっておきたいのがグローバルマップを探索して,各街を訪れることだ。装備品を購入したり,新たなスキルを覚えたりできるし,何よりそのための通貨であるオレン(お金)やプラチナ硬貨(主にスキル関連で使う)を手に入れるのに手っ取り早い手段が,各街の掲示板で受けられる依頼だからだ。
依頼は,指定されたアイテムを納品したり,指定の街へアイテムを配達したり,指定の数の敵を討伐したりなど,内容はさまざま。これまたランダムで生成されるので,★の数で示される難度を確認しながら,簡単なものから受けていくといい。★の数があてにならない依頼もそれなりにあるが,そのあたりは失敗しながら覚えよう。クラスや種族にもよるが「これならいける」というものが見つかるはずだ。
街によってはギルドが設置されていることがある。戦士ギルド,魔術師ギルド,盗賊ギルド,商人ギルドがあり,ここに加入しないと覚えられないスキルもある。ロールプレイによっては,手に入れないと困るスキルもあるはずなので,早めに見つけておくと楽しく遊べると思う。
なお,本作ではギルドに複数所属できるので,見つけたら片っ端から入団試験を受けておくといい。
食べ物がないと死ぬ
ここからは,もう少し細かいヒントを紹介していこう。まずは序盤の冒険ではとくに意識したい食べ物関連だ。本作は食事を取らずに行動すると,やがて空腹になり,それを放置すると飢餓となり,それも放置すると餓死寸前となって,ダメージを受けて死んでしまう。
しかも,本作の食べ物の多くは時間の経過で腐敗していく。そのため,保存性のあるものを選んで持ち運べない序盤は,しっかりと食べ物を管理しておきたい。
序盤で調達しやすい食べ物は,平原のマップで手に入るブルーベリーやクリム,アピの実などだ。あまり腹の足しにはならないものの,花も食べられる。
敵を倒して手に入る死体のほうがお腹は膨れるが,序盤は関連フィートを所持しておらず,あまりドロップが狙えないので,落としてくれたらありがたく食料にしよう。
手に入れた食材は,料理したほうが効果も保存性も高い。焚火を持ち歩いておくと,死体を手に入れたらすぐに焼けるので便利だ。本当に空腹で困ったら,雑草を拾って「雑草煮」にしてもいい。あんまりな気持ちになるけど……。
また,序盤の食料調達手段としては,釣りも非常に優秀だ。敵を倒して得た適当なドロップアイテムを釣り餌に変えて,水場さえあれば手軽に釣れる。ただ,冬になると一部の海以外の水場は凍ってしまう。「釣りさえあれば食料は問題なし!」とか思っていると,悲しいことになるので覚えておこう。
荷物箱は持っていこう
拠点にはさまざまなやり取りで「荷物箱」が届く。見た目が段ボール箱のようなこの箱は,分類としてはコンテナであり,20個のアイテムを収納可能だ。放っておくと拠点に何個も溜まっていくので,通販で買い物をしすぎて部屋にあふれる段ボールのごとく,掃除してしまいたくなるだろう。
しかし,ちょっと待とう。これは拠点で使えるアイテム入れであると同時に,持ち歩いて使える拡張インベントリでもある。プレイヤーのインベントリは5×7の35(厳密には装備スロットなどでもっと持てるが)しかないが,ここに荷物箱を突っ込めば,1インベントリ内に20個のアイテムを格納できるというわけだ。
コンテナ分類のアイテムは製作することも可能だが,荷物箱は無料かつ自動でもらえるものであり,これを活用しない手はない。さすがに,コンテナの中にコンテナを突っ込むことはできないが,複数所持することはできるので,ありがたく使わせてもらおう。
金策に追われる
しばらく冒険をしていると,とても悲しいクエストが進行する。そう,税金の徴収だ。ノースティリスの地に拠点を構えたプレイヤーは,一定期間ごとに納税箱へと足を運び,税金を支払わなければならない。
……のだが,序盤はとにかくお金がない。ネフィアに潜って稼ぐほどの強さもないはずなので,達成可能な依頼をこなしつつ,どうにか工面しよう。金策方法を書いてしまうと面白さを奪ってしまうので,ここでは言及しないでおくが,本作にはせっかくいろいろな素材が登場するのだから,いろいろと試してみるといいだろう。
なお,税金は3か月まで滞納できるので,どうしてもお金に困ったら後回しにするのも手だ。4か月滞納したらどうなるか? もうめちゃくちゃに重罪なので,どうなるのか試してみたい人はやってみよう。
ちなみに,犯罪について補足しておくと,本作では悪そうなことをすると基本的にカルマが減少する。カルマは依頼の達成などで増加するもので,品行方正にすごしていれば,簡単に最大値の100まで溜まる。
逆に,街でものを盗んだり,壊したり,人を殺したりすれば下がるが,ぶっちゃけ,税金の未納以外は微々たるものである。「あー,犯罪だけど金になるから盗みたいなー」と思ったら,盗んでしまっても(見つかってNPCに倒されない限りは)とくに困らない。名誉を取るか金を取るかはロールプレイ次第だ。
名声は売れる
序盤は依頼をこなすと,手っ取り早くオレンとプラチナ硬貨が稼げるので,どんどんやりたくなる。ここでちょっと困るのが,一緒に名声も上がってしまうことだ。名声を上げること自体はいいことに思えるが,こいつが上がると,ネフィアの危険度が増したり,税金が高くなったりと,場合によっては困ったことになる。
税金のために依頼をこなしているのに,その依頼で税金が上がる。敵も強くなってネフィアも稼げない……などという事態に陥る可能性もあるのだ。
そんなときに思い出してほしいのが,名声は情報屋のNPCに売れるということ。手に入るオレンは大した金額ではないが,とりあえず名声は下がってくれるので,覚えておくといいだろう。
何かが起きても,対処法はある
そのほか,ノースティリスの地ではさまざまな困ったことが起きる。アイテムが燃えたり,厄介な病にかかったり,意外な死に方をしたり……。
ただ,本作は自由度が非常に高いゲームであり,基本的になにごとも対処法が存在する。なので,ぜひ「うわー,どうしよう!」というシチュエーションを楽しんでほしい。それがこの世界での,あなただけの冒険につながるはずだ。
……などと,初めてElinを遊ぶ人に向けて,全体的にキレイにまとめてみたが,Elonaや本作のβテストを体験している人ならご存じのとおり,この世界はあまりにむちゃくちゃでなんでもアリだ。
笑えるぐらい人としてどうかと思うこともできるし,作っちゃだめだろと思うような生産品も生み出せるし,あんまりな街も作れる。このカオスを楽しいと思えるようになれば,あなたも立派なノースティリス民だ。
ようこそ,底なしの沼へ。時間を盛大に溶かすがよい。
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