プレイレポート
[プレイレポ]「ディアブロIV」のOBTに参加。ネクロマンサーにドルイドにワールドボスにと新要素が目白押しの3日間だった
ビルドの幅が広がった「ネクロマンサー」と「ドルイド」
ナンバリングタイトルとしては11年ぶりとなる本作は,ダークな雰囲気とキャラクター育成システムに,「ディアブロ」と「ディアブロII」のエッセンスが取り入れられており,注目を集めている。これまでにも招待制クローズドβテストが行われているが,3月25日から3月27日まで実施されたOBTでは,条件なしに誰もが「ディアブロIV」に触れることができた。
OBTでアクセスできる「破砕山脈」は,序盤のエリアでありながら広大で,あちこちにダンジョンやイベントが散りばめられていた。
ダンジョンは一部屋だけの小規模なものから,メインクエストで訪れる大規模なものまでさまざま。本筋に関係ないダンジョンでも,探索を進めるとスキルの特性を変化させられる「力の古文書」が手に入ることもあって,目に付いたダンジョンには片っ端から挑戦したくなる。
また,マップを探索して「エリア」や「サイドクエスト」,点在する「リリスの祭壇」などを発見すると「名声」が増加する。これが一定値に達するたびに,すべてのキャラクターのスキルポイントや能力値,ポーション使用回数が増えるといったメリットがあるため,ただフィールドをウロウロしているだけでも楽しい。
キャラクターの育成システムは,「ディアブロII」のようなスキルツリーに,「ディアブロIII」に登場した“スキルの特性を変えるルーンやレジェンダリーアイテム”のエッセンスを組み合わせたもの。いろいろなスキルの組み合わせを試してビルドを模索していく面白さと,お目当てのレジェンダリーアイテムを求めて戦闘を繰り返すハック&スラッシュ的な楽しさが両立している。
スキルポイントはわずかな出費で振り直せるので,ボスに勝てないときに見直したり,新しく手に入れたレジェンダリーアイテムに合わせたスキル構成にしたりと,気軽に試行錯誤できるのがうれしい。
今回のOBTで登場したネクロマンサーとドルイドは,「ディアブロII」とその拡張版「ディアブロII ロード オブ デストラクション」に登場した人気クラス。どちらも幅広いビルドが可能なのは「ディアブロIV」でも同じだ。
●ネクロマンサー
死霊術師。いかにも悪役めいた感じだが,「ディアブロ」の世界では生と死のバランスを保つために戦っている。これまでのシリーズにおける設定を読み込んでいる人には,感慨深い展開が待ち受けているのも注目ポイントだ。
ネクロマンサーは,「スケルトン」や「ゴーレム」といったペットを召喚して戦うのが基本となる。孤高の戦士のような風貌でいて,死者の軍団を率いてにぎやかに戦えるギャップが面白い。シリーズにおいてスケルトンはもろいイメージがあったが,今回のOBTではとくに特化したビルドでなくても,ワールドボス戦である程度持ちこたえてくれた。ペット型のビルドにするとどうなるのか,今からとても楽しみである。
ちなみに,本作ではペット関連のシステムが大きく変更されている。彼らを召喚するためのスキルは,これまでのような通常スキル扱いではなく,「死者の書」と呼ばれる独自システムに統合された。
具体的には,ネクロマンサーのレベルが上がると召喚できるスケルトンやゴーレムの種類が増えるといった仕様になっている。ガイコツの戦士「スケルタル・ウォーリア」枠から1種,ガイコツの魔術師「スケルタル・メイジ」枠から1種,ゴーレム枠から1種を選んで召喚ができるといった感じだ。
スケルタル・ウォーリアはデフォルトで5体召喚できる。スタンダードだが脆い「散兵」,防御力に優れた「ディフェンダー」,大鎌で高い攻撃力を発揮する「Reapers」のいずれかを選択可能だ。スケルタル・メイジは3体召喚でき,シャドウ属性のダメージを与える「シャドウ」,冷気属性の「冷気」,自身のHPと引き換えに大ダメージを叩き出す「骨」の3タイプが存在。ゴーレムは敵を挑発する「骨」のほか,レベルを上げれば「血」や「鉄を打つ者」といったタイプも使えるようだ。
面白いのが,「スケルタル・ウォーリア」「スケルタル・メイジ」「ゴーレム」のそれぞれに「ペットを強化する」「ペットを召喚できなくなる代わりに,ネクロマンサー本体の能力がアップする」といった選択肢があり,スキルポイントなしにカスタマイズができるところだ。
例えば散兵なら,「散兵の召喚数が+1される」「ネクロマンサーがクリティカルヒットを出すと,散兵の攻撃もクリティカルヒットになる」「スケルタル・ウォーリアを召喚できなくなるが,ネクロマンサーのクリティカル率が上がる」のいずれかを選べる。
つまり,ネクロマンサー自身を強化する多彩なスキルを取りつつ,ペットのワラワラ感も楽しめるということで,ネクロマンサー好きのツボをおさえたシステムといえる。なお,スキルツリーにはペットを強化するパッシブスキルも存在するため,ペットか本体に全振りするといった極端な選択も可能で,いろいろなビルドを試したくなる。
ネクロマンサーのトレードマークである,敵の「死体」を利用する戦法も健在だ。死体を爆破する「コープス・エクスプロージョン」,死体から生えたツタで敵を引き寄せる「死食草」といったスキルは,死体というリソースを管理しつつ敵との位置関係を把握する必要があり,実にネクロマンサーらしい。
今回は敵を倒さずとも,各種のスキルやペットの攻撃で死体が出現する(死んでいないのに死体というのも妙だが,肉を引きはがすという説明がされている)ため,死体系スキルを存分に使えた。また,スケルトンやゴーレムを召喚した状態でゲームを終えると,次回のスタート時にそのまま残っているのも,痒いところに手が届く変更だ。全体的に制作者の“ネクロ愛”を感じられるのが,「ディアブロIV」におけるネクロマンサーといえるだろう。
●ドルイド
ドルイドは,人狼や人熊への変身能力,そしてエレメンタルとペットの力を駆使して戦うクラスだ。そして本作のドルイドは,スキルの組み合わせの自由度が増している。人熊の姿で攻撃してから人狼に変身して遠吠えを使い,再度人熊になってタックルするなんてことも可能だ。
ドルイドが初めて登場した「ディアブロII ロード オブ デストラクション」では,「変身」「エレメンタル」「ペット」といった3系列のスキルが存在した。狼や熊にはそれぞれ専用スキルが用意され,変身中はエレメンタルを使えないという特殊な制限もあった(のちのリメイク版「ディアブロ II リザレクテッド」で緩和)。
一方「ディアブロIV」のドルイドにはこうした制限が存在しない。また,変身についても“スキルを使うときに狼や熊に変身し,その後しばらくすると人間に戻る”演出に変更されている。ビルドによっては人,人狼,人熊と,めまぐるしく姿を変えながら戦うこともできる。
人狼系スキルはスピードに優れ,毒で攻撃できる。敵の懐に一気に踏み込む「切り裂き」,ライフを回復させる「血の遠吠え」,感染型の毒を与える「狂犬病」,敵の間を高速で駆け巡って切り裂く「裂傷」といったスキルを駆使すれば,モンスターの群れもものともしない。
変身中と解除後にしばらく移動速度が上がる「人狼の足どり」は,マップの広い本作ではとても便利だ。ブーツにたまについている「移動速度×%アップ」や「回避後しばらく移動速度アップ」といったオプションと組み合わせることで,快適な探索ができた。
一方,人熊系スキルは耐久力と攻撃力,制圧力に特化している。人熊への変身中と解除後にダメージ減少や最大ライフ上昇の効果を得られる「鉄の毛皮」と「猛獣の力」,そして使用時に「強化値」を得て被ダメージが減少する「爪撃(強化版)」や「弱体咆哮(強化版)」といったスキルにより,敵に囲まれても粘り強く戦い続けることが可能だ。
とくに強化値はさまざまなスキルで得られるため,意識すると耐久力アップにつながる。地面を叩きつけてダメージを与える「粉砕」は,スキルのリソースである「精神力」の消費こそ大きいが,火力と攻撃範囲に優れているし,「踏みつけ」を使えばタックルで敵を吹っ飛ばしながら包囲を脱することもできる。とにかくタフで頼りがいがあり,ワールドボス戦で攻撃パターンを覚える際にも役立ってくれそうだ。
そして「ディアブロIV」のドルイドは,「嵐」と「地」の自然魔法を使用できる。敵をスタンしたり,移動不能にしたりすることで特殊な効果を得られるものが多く,シナジーを組むのが面白い。
例えば「地滑り(原始)」。敵をスタンか移動不能にすると得られる「大地の欠片」を持っていれば,これを消費してクリティカルヒットによる大ダメージを狙える。大地の欠片を手に入れるために,スタンか移動不能を起こす「土の棘(強化版)」や「嵐の一撃(強化版)」と組み合わせれば,より効率的に戦えるといった感じだ。
もちろん「ディアブロ II」の時のように大岩も転がせる。本作では燃えていないのが残念だが,この辺りはスキルの特性を変えるレジェンダリーアイテムでの強化に期待したい。ペットも健在で,意志を持つ「ツタ」や「カラス」,そして「狼」を呼び出せる。
変身と自然魔法は自由に組み合わせられるので,竜巻を呼びつつ人熊になって敵陣に突っ込むなど,ディアブロ IIではできなかった戦法も採れる。人から人狼,人熊と姿を変えながら自然魔法で天変地異を起こす新たなドルイド像が提示されており,当時を知る人もスキルを懐かしみつつ新鮮な気持ちで遊べるはずだ。
気軽に共闘を楽しめるパブリックフィールド
「ディアブロIV」のマップはパブリックサーバーにつながっており,街やフィールドではほかのプレイヤーの姿を見ることもある。フィールドではパーティを結成しなくても,近くで戦うだけで恩恵を得られるのがポイントだ。戦力アップはもちろんのこと,経験値にはボーナスがかかり,ドロップは個別にと至れり尽くせりで,もはや共闘しない理由がないというくらい。
バトルも終わって一段落したあと,お互いの目的地が偶然一致してしばらく一緒に行動するも,気がつくと相手がいなくなっていた……なんてこともあり,オンラインならでは一期一会のドラマがある。近すぎず遠すぎずの距離感がイマドキな感じで,この辺りは「ディアブロ イモータル」の感覚に近く,経験者ならすぐになじめるだろう。
フィールドでは,襲撃してくるモンスターから民間人を守ったり,邪悪な儀式をしている集団を妨害したりといった突発イベントが起こる。こうした場所には多くのプレイヤーが集まってくるので,メリットはより大きなものとなる。手分けして敵に当たるなど,うまく連携できれば気持ちが良く,共闘の醍醐味を味わえた。
こうしたアクティビティの中でもとくに規模が大きいのが,今回のOBTで初お披露目となったワールドボス戦だ。決められた時間と場所に強大なボスが出現し,その場にいるプレイヤー同士で協力し合いながら討伐を目指す。MMORPGにおけるレイドに近いが,パーティを組まなくても個別にドロップが得られるため,特定のクランがワールドボスと報酬を独占するという事態は起こりにくいようだ。
もっとも,今回は複数回のワールドボス戦に参加したが,与えたダメージの量がドロップに影響するかどうかまでは検証できていない。仕様によっては,強いクランがワールドボスを瞬殺してしまい,ダメージをロクに与えていない自分は報酬も少ない……という事態があるかもしれない。そのため,現時点では“起こりにくい”という表現に留めておく。
OBTで登場したワールドボスは,「悪疫の王 アシャバ(以下,アシャバ)」。戦場になるのは「るつぼ」と呼ばれる広大な場所で,出現前には地面に奇怪な大穴が開き,その周囲でプレイヤーたちが準備を始める。初披露のワールドボス戦というだけあって,集まったプレイヤーたちがそわそわと動き回っていたのが印象的だ。
時間が訪れると,竜のような姿をしたアシャバが登場し,バトルがスタートする。さすがにワールドボスだけあり,真正面からぶつかったのでは一瞬でやられてしまう。重要なのは,アシャバの動きから攻撃パターンを見切り,回避するということ。
例えば,片腕のブレードを地面に突き立てたら一回転攻撃が来る。クラスによっては一発もらうだけでお陀仏になりかねないが,実は懐に飛び込めば当たらない。
両腕のブレードを突き立てたら近距離範囲攻撃の合図なのですぐに間合いを取る。頭をあげたら次に毒を吐いてくるので,側面に回り込んで回避する……といったように,攻撃パターンに応じた位置取りが重要だ。アシャバは巨体にもかかわらず動きは機敏なので,アシャバが飛び回るのに合わせて,こちらもあちこちをかけずり回らなければならない。
たとえやられても,装備の耐久値が減るだけですぐに復活できる。この場合は,近くにあるチェックポイントの小屋からの出発となるが,同じようにやられたほかのプレイヤーもいたりして,一緒に前線に向かって走る瞬間は妙な連帯感があって楽しい。
制限時間内に無事討伐できれば,お楽しみの報酬タイムだ。OBTのバージョンでは最高位のレジェンダリーアイテムがボロボロとドロップし,茶色い光の柱が立つ様は見ていて実に気持ちよかった。まさにハック&スラッシュの醍醐味といえるだろう。
といった具合で,ボリュームたっぷりのOBTは最後まで多くのプレイヤーで賑わったまま終わった。個性的な5つのクラス,ビルドの試行錯誤とトレジャーハンティング,気軽に楽しめる共闘など見どころが多く,製品版への期待が一気に高まった。馬への騎乗やキャラクターの強化システムなど,開放されていない要素もまだまだ多く,2023年6月6日の発売日が今から楽しみだ。
「ディアブロ IV」公式サイト
キーワード
(C)2019 Blizzard Entertainment, Inc. All rights reserved.
(C)2022 Blizzard Entertainment, Inc.
(C)2022 Blizzard Entertainment, Inc.