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Tiger Lakeこと第11世代Coreプロセッサは「10nm SuperFin」で大きく進化。注目すべきポイントをIntelが紹介
Tiger Lakeは,米国時間2020年9月2日に,Intelが発表した最新プロセッサで,既存のIntel製10nm製造プロセスをベースに改良を施した「10nm SuperFin」を初めて採用した製品だ。新しい「Willow Cove」マイクロアーキテクチャのCPUコアを最大4基と,開発中の単体GPU「Xe」の低消費電力版である統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)「Iris Xe Graphics」(以下,Xe)を説明している。
まずは10nm SuperFinの特徴から見ていこう。10nm SuperFinでは,トランジスタのゲート長を広げることで,ゲートに流れる電流が増えた。また,ソースとドレインを改良することで抵抗値を下げたことで,トランジスタのスイッチング速度が向上している。
また,メタルスタック(配線層)では,半導体に近い低層部の抵抗値を下げたほか,高層部のキャパシタ容量を4倍に増やすことで,これまでよりも安定した電力供給が可能になったそうだ。
こうした改善により,10nm SuperFinは既存の10nm製造プロセスから,約18%の性能向上を実現。既存のノートPC向け第10世代Coreプロセッサである「Ice Lake」(開発コードネーム)と同じ動作クロックであれば消費電力を低く,同じ消費電力であれば動作クロックを引き上げられるようになった。
Tiger Lakeは,動作クロックの範囲もIce Lakeより広がっているそうだ。Ice Lakeが採用するSunny CoveベースのCPUコアは,最大3.9GHz駆動だが,Willow Coveコアでは最大4.8GHz駆動まで可能になったという。
統合GPUのXeも,10nm SuperFinの採用により,動作クロックの引き上げが可能となり,電力当たりの性能が大幅に向上している。加えて,Ice Lakeの統合GPUである「Iris Plus Graphics」と比べて,実行ユニット(Execution Unit,EU)数が1.5倍と大幅に増えた。そのほかにもLLC(Last Level Cache)の増強や,メモリコントローラの強化によるメモリ帯域幅の向上といった改善が行われている。
Tiger Lakeは,競合と目する「Ryzen 4000」シリーズを上回る性能を実現したというのが,Intelの主張だ。
Tiger Lakeは,メモリ周りも大幅に強化しており,現状はLPDDR4-3200,およびLPDDR4x-4267まで,将来はLPDDR5-5400までのメモリに対応する予定だという。メインメモリの動作クロックが統合GPUの性能に与える影響は大きく,より高速なメモリが利用可能になったことで,統合GPUの性能が向上する。
AI処理を担うハードウェアアクセラレーター「Intel GNA」も第2世代となり,これまでよりもさらに電力消費を抑えたという。音声のノイズ除去や,画像の超解像処理など,機械学習を利用した処理のニーズはますます高まっている。Intelは,こうした分野でもTiger LakeがRyzen 4000シリーズに対して優位に立つとアピールした。
また,Intelは,これまで「Project Athena」と呼んでいた新世代の薄型軽量ノートPC規格を「Intel Evo Platform」(以下,Evo Platform)というブランド名で展開する。今回の説明会では,ノートPCがEvo Platformと認められるための要件も公開した。
Evo Platformは,Tiger Lakeの採用だけでなく,バッテリー駆動時の性能や長時間のバッテリー駆動,起動の速さ,高速充電への対応が柱になるという。Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)への対応やThunderbolt 4といった,最新インタフェースの搭載なども要件に含まれている。将来的にはこれらの要件に加えて,AI処理や5G通信に対応した製品も登場してくるとのことだ。
Intel日本語公式Webサイト
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第11世代Core(Rocket Lake,Tiger Lake)
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