プレイレポート
「NieR Re[in]carnation」CBT版を先行プレイ。時と人を超えて断片的に描かれる,新たなニーアの物語
今回は先んじてCBT版を遊ぶことができたので,シリーズのはじまり「ドラッグオンドラグーン」から約17年。赤目の病に侵された(と思い込んでいる)筆者なりの感想とともに,その内容をお届けしよう。
なお,ゲーム内のテキストは【伏字】になっている部分も多いが,これはCBTテスターが実際にプレイする画面そのものである。
正式配信後に明かされるのか? それも含めて期待してほしい。
また,本稿には【序盤の物語のネタバレ】も含まれているため,CBT当選者ならびに配信を待ちたい人は,ストーリー部分の記述に関してはササっとスクロールして飛ばしていただけると幸いだ。
※本稿はクローズドβテストのプレイレポートとなるため,ローンチ時にテキストおよびUIなどの仕様が一部異なる可能性があります
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檻を進み,物語を読む
物語の舞台は“檻”(ケージ)と呼ばれる謎めいた場所。
誰が呼んだかこの檻は大きな塔らしいが,あたり一面には巨大建造物,さらに巨大生物もいるなど,その全体像はまるでつかめない。
そんな檻を旅するのが,なにかを求めてここにやってきた「白い少女」と,彼女に寄りそって優しく導く「ママ」。
白い少女は名称やその頭髪こそ真っ白であるが,個人的な印象で言うのなら“黒い少女”に見える。衣装が真っ黒であるからだろうか?
ただゲーム画面では黒々とした衣服も,メインビジュアル(記事冒頭)では白と黒のツートンカラーで描かれている。影の作りを見るに,光で照らされているだけとも解釈できるが,どうなのか。
まあ,いずれにせよ今の彼女は“白い少女”なのだろう。
一方でママは,服(?)の下から黒い触手を伸ばしてくる怪しげな生物にしか見えないが,白い少女に対しては実に献身的だ。
意味深ながらも,その名のとおり「私がサポートするから大丈夫」と,物言えぬ少女と私たちプレイヤーの代弁者となってくれる。
ママ自身,檻(ケージ)内にある檻(おり)のような場所にとらわれていたようにも見え,白い少女が扉を開けなければ外に出られなかったのでは。そうとも取れる立場をうかがわせる。真相はまだ謎であるが。
そしてママによると,白い少女は“多くのものを失った”らしい。
それから白い少女はママに導かれるまま,自身の失った欠片を取り戻すために,広大な檻の中を旅していくことになる。
白い少女は,檻に点在する「■■■■■」(原文も伏字)に触れることで,そこに込められた誰かの記憶を追体験できる。
同時に,それに触れると失ったものを取り戻せるらしい。
■■■■■に触れると,小さな別の物語がはじまる。
これらは「NieR:Automata」に登場した絵本のような雰囲気で,Automataのそれよりも長めに語られる。Automataの絵本と大きく違うのは,絵本の中で“キャラクターを操作する場面”があるところだ。
絵本で描かれる物語は一見すると,白い少女たちとはなんら関わりのない,どこか別の世界,別の時代で起きた物事に映る。
ただし,これらの絵本には「黒い鳥の群れ」が潜んでおり,絵本の中の登場人物たちは記憶を歪められ,不当な結末を迎えている。
そのため白い少女は,絵本に憑りついた黒い敵を倒し,彼らの生き様を“正しい姿に戻すこと”になる。それがママから言われた使命だ。
黒い敵と遭遇すると,お決まりのバトルに移行する。バトルの詳細は後述となるが,ここで勝利すると物語が進行する。
Automataの経験者なら察しがつくだろうが,それぞれの絵本は断片的な物語である。いずれも結末にたどり着くには,いくつもの■■■■■に触れて,登場人物たちの背景を追っていかなければならない。
本作では「檻の中で■■■■■を見つけ」「そこで誰かの記憶を追体験し」「バトルで記憶を修正して」「また失ったものを取り戻しにいく」――これらの流れを繰り返して,ストーリーを進めていく。
メインストーリーは章仕立てで,各章いずれも複数の物語で構成されており,最後の記憶を覗くことで白い少女の話も進展する。絵本パートは短くはなく長くもなくと,バトルを含めても手軽に遊べる範疇だ。
檻パートも基本的に複雑なことのない一本道で,進行中はママがいろいろとお茶目なちょっかいをかけてくれるので小気味いい。3Dマップの壮大な景観を旅する檻パートと,2Dマップで誰かの記憶に深入りする絵本パート。両方とも趣があり,メリハリもあって飽きがこない。
なお物語の構成は断片的なことから,時系列が前後していたり,絵本をまたいで登場する人物もいたりと,全貌を解き明かすのは容易ではない。絵本で描かれる欠片と,外の世界で見つかる欠片。小さな情報同士を頭の中で組み合わせる,シリーズ恒例の知的パズルの快感は健在だ。
CBTに登場する3人と1人のキャラクターたち
CBTで遊べるプロローグから第3章までの間,白い少女とママ以外に登場するキャラクターは3人だが,物語には登場しないもののガチャから排出される1人を加えて,計4キャラクターと出会えた。
ちなみにゲーム的な意味合いでは,白い少女とママがバトルに関与することはないので,これから紹介する彼ら彼女ら「絵本の登場人物たち」がバトルキャラクターであると,あらかじめ認識しておくといい。
■リオン/病弱の亡命者
■ディミス/使い捨ての射手
■フレンリーゼ/悔恨の狩人
■アケハ/隠牙の士人
以上の4人がCBTでお目見えするキャラクターだ。
以下,本稿では“最もニーアらしい”と思ったフレンリーゼの一部背景をまとめたので,CBTで遊べない人は目をとおしてみるといい。
ただし,冒頭で言ったとおり「CBTテスターにはネタバレ」でもある。物語に大きく関わりそうな場面は伏せているものの,これから遊ぶという人は下記の伸縮ボタンを押さないでほしい(それと実際の物語の描写は,もっと情緒的な仕上がりになっている)。
フレンリーゼの物語は,ゲーム進行上では時系列がバラバラだ。
そのほかのキャラクターも絵本の内容をはじめ,武器やアイテムにまつわる物語などを含めて,素性や活躍が四方八方に散らばっている。
フレンリーゼはその容姿からして,Automataに登場する「A2」を彷彿とさせるが,A2あるいはヨルハ部隊などとの関連は不明である。
それに彼女がいた世界はどことなくファンタジーっぽさがあり,地球を舞台とするNieRシリーズとの関連性も認めづらい。
とはいえ,DoDがファンタジー世界を舞台にしつつも●●の能力によって突如ラストで●●に飛んだこと。後続の「NieR Replicant/Gestalt」でも●●エンドの約1300年後と謳いつつ,●●とは無縁そうな世界であったこと(いずれも有名だが伏せておく)。そして,さらに数千年先の未来を舞台としているAutomataがあること。
一見つながりのなさそうな世界に見えつつ,実はどこかでつながっているかもしれない,そんな可能性。シリーズファンが吸い寄せられる世界観の魅力は,リィンカネ(本作の略称)でも相変わらずである。
もちろん,これらの推測は赤目の病に侵された筆者の戯言であるため,フレンリーゼとヨルハ部隊とはなんら関係なく,天使文字もたまたま会社にあったフォントを使った,などという可能性もある。
そもそもフレンリーゼの物語はまだ,白い少女が一部を追体験したに過ぎない。白い少女にしても謎しか抱えていない。
この物語の解明には,たくさんの時間が必要そうだ。
“檻”はスマホゲーム界に巻き起こす新風か
ここからは世界観や物語から離れて,RPG的なゲーム要素に触れていく。檻パートではNieRシリーズではなじみ深い,独特のカメラワークが踏襲されている。またキャラクターとマップの比率が絶妙で,ただ歩いているだけなのに「こういう場所を旅するためのゲーム」とも感じる。
もはや,謎めいた場所を歩いて進んで楽しむだけのゲームとして別個に存在していてもおかしくない。
檻パートでもバトルは発生するが,特定のオブジェクトに触れてからバトル開始となるため,ランダムエンカウントの煩わしさはない。
ついでに,道中ではさまざまなイベントも発生する。
恐らく,白い少女が失ったなにかと関連しているのだろう。
そしてリィンカネの大きな特徴だが,本作では「ゲーム進行とメニュー画面が自然すぎるほどに融合」している。
檻パートでは,白い少女が移動している最中はフィールドがいっぱいに映るが,少女が立ち止まると画面内にメニュー系のインタフェースが自動表示される。荘厳な景観を損なわない,嬉しい配慮だ。
さらにリィンカネは「RPGにおけるフィールド移動」を撤廃せず,限定的にしているわけでもないため,コンシューマRPGの「マップを移動して,メニューを開く」といった感覚を驚くほどに実現できている。
従来のスマホゲームでよく見られた,各コンテンツを静的な画面でつなげる手法とは抜本的に異なる,実に魅力的なデザインと言える。
その効果はCBT段階でもすでに明らかだ。理想像のまま構築できたかのように,今の時点で“RPGらしい静と動”を感じられる出来である。
ここまでRPGっぽいと逆に「どこでゲームを一区切りしようか」という気持ちになってくるが,そのあたりの仕様もバッチリだった。
わざとアプリをタスクキルして何度か立ち上げたが,ゲーム再開時も前回プレイ時とのずれがほぼなく,最近のゲームらしくセーブもまったく気にしないでよさそうであった。
ともすれば「セーブで区切れないからいつまでも遊んでしまうかも」という問題に直面するかもしれないが,幸いなことにこちらは大した問題にはならない。飽きるまで遊べばいいだけの話である。
キャラ付き武器のガチャ
多くのユーザーが気になるのは,やはりガチャの仕様だろうか。
本作では,絵本に登場するキャラクターたちは無条件で加入するが,そのレアリティは★2。ガチャから排出される最大レアリティは★4となる。★2でもストーリー進行に問題はないようだが,これに関わる強弱の違いのイメージについては各々が思ったとおりでもある。
当のガチャからは★2〜★4までの武器が排出され,特定の武器を獲得すると,それに付随するキャラクターが開放される。同社のスマホゲームではよく見るアレだ。レアリティの違いでその時々の衣装や立場も変化しているようなので,人によっては雰囲気もガラッと変わる。
これらに加え,ヨコオ作品ではおなじみ,個々の武器の成り立ちなどを記した小さな物語「ウェポンストーリー」も収録されている。
ウェポンストーリーはレアリティに関係なくすべての武器に備わっており,強化を重ねていくことで新たな物語が追記される。
そのほか,マスコット的なビジュアルでバトルでも役立つ「オトモ」,今回はダンジョンという攻略コンテンツで入手できた装備品「メモリー」など,キャラクターの能力を底上げするアイテム類もある。各々すべてに背景が記されているので,むさぼるように集めたくなってしまう。
このように,リィンカネでは(=リィンカネでも)あらゆる細かなところにフレーバーテキストが散りばめられている。
ヨコオ作品をプレイしたことのない人には,そのほかのゲームにもある辞典的なものに映るかもしれないが,それは見当外れだ。
DoDやNieRなど,歴代作品の魅力の一角を確実に担ってきたウェポンストーリーに込められたテキストは,(いろんな意味で)破壊力がまるで違う。そもそもリィンカネは,言ってしまえば“ウェポンストーリーをメインストーリーに持ってきた物語構造”とも評せるのだから。
これらの文章を見過ごして遊ぶのは厳禁,とだけ伝えておきたい。
バトルや編成は「おまかせ」をポチッ
ようやくといったところでバトルの説明だが,リィンカネでは一部の固定バトルを除き,プレイヤーは手持ちのキャラクターを編成して挑む。
再度になるが,バトルに白い少女とママは関与しない。
バトルはほぼオート進行である。
敵味方のアクティブ順で行われる通常攻撃は自動発動で,プレイヤーは自動でたまる「ウェポンスキル」,ダメージを与えるか受けるかでたまる「キャラスキル」をタップし,各種スキルを発動させる。
属性の概念のほか,コンボをつなげる爽快感もあるものの,バトルシステム自体に奇をてらった仕組みはない。シンプルでオーソドックスなスマホ向けRPGそのままなので,特別考えなければいけないこともない。
なお「バトルは正直面倒」な人もいるだろう。そんな読者に朗報だが,バトル中に画面右上のボタンでオートスキル,倍速モードへと気軽に変更できるので,基本的に無操作でもバトルを不自由なく進められる。
オートも倍速も1度選択すれば,次回以降のバトルでも自動で適用されるため,この点もストレスフリーで好印象である。
さらに,バトル中は編成したキャラクターの活躍を背後から見守ることになるが,どのキャラの動作も“実にNieRらしい”のだ。
3Dモデルの出来栄えは,ケチをつけようと思わなければケチのつけようがないほど美麗であり,挙動もハイスピード,演出もスタイリッシュ,エフェクトもド派手と,見ているだけでうっとりしてしまう。
というより,眺めるだけでいいからこそ集中して見てしまう。そんな風にも思える。ゲームスピードを落としがちなカットイン系の演出も排除されているため,心地よいバトルテンポはずっと維持されていた。
――が,その一方で。
編成画面を開くと「メイン武器」「サブ武器」「オトモ」「メモリー」と装備項目が豊富であり,一目で煩雑な印象を受ける。
また武器だけでも「レベル」「スキル強化」「限界突破」「進化」と強化要素があり,当然ながらキャラクターやオトモやメモリーにも独自の育成が存在する。そのための素材系アイテムも多種多様である。
これを「複雑で嬉しい!」と捉えるには,じっくり遊んでその先でドハマりする必要がある……かと思われる。まず少なくない数の初見プレイヤーは「面倒くさい……」と感じることだろう。これは言い切れる。
だが,そんなズボラな筆者でも,編成画面の右下にある「おまかせ」ボタンをポチっとすれば,なんと一瞬で最強編成に!
今では当たり前の機能であるが,それが当たり前についていることがとても幸せである。大多数のプレイヤーは攻略コンテンツなどに勤しむようになるまで,このワンボタンをポチっで済ませるのが最善だ。
ちなみに一部コンテンツは「周回モード」に対応しており,これを設定しておけば最大10回まで自動でクエスト周回をしてくれる。しかもスタミナ(本作はオーソドックスなスタミナ性である)が切れても自動で回復してくれる機能も備わっており,スタミナ調整にも悩まされない。
経験値稼ぎや素材稼ぎなど,こういった点も最適化された仕組みだ。
なおサブコンテンツについては,非同期型のPvP「アリーナ」や,まさかのシューティングを楽しめるミニゲーム「探索」なども存在する。これらはCBT版では触れられなかったものの,気になるところだ。
ついでに耳寄り情報だが,本CBTでは【CBT開始から数日後に追加コンテンツが配信】されるとのこと。初日に遊び倒すつもりの気合の入ったプレイヤーも,これだけは覚えておくといいだろう。
思っていた以上にニーアっぽい!
NieRの雰囲気を表現するのに必要不可欠なもの。そのひとつは音楽だと言いたい。と言うからには,本作のBGMの魅力も語りたい。
リィンカネには繊細な調べの曲から,荒廃感の漂う曲まで,ファンがNieRらしさを感じられる音楽がたくさん詰め込まれている。
これだけ生み出すのは相当大変だったのでは……と岡部啓一氏をはじめとする作曲陣を拝みつつ聴いたが,作中の曲はどれもワンコーラスで終わる短めなものばかりだ。倍速バトルでも味わいが一瞬で駆け抜けてくれる疾走感があるため,「美しいコーラス入りのボス曲も,あえてワンコーラスで終わるよう工夫してくれているのだろう」と感じられた。
しかし,楽曲の全貌が見えたのはバトルリザルトで放置していたときと,強敵とのバトルで時間がかかるダンジョン攻略中であった。
ボス戦の楽曲をずっと流していると,ワンフレーズで終わっていると思っていた曲のその先が流れてくる。そのコーラスは,Automataの「終ワリノ音」と同じフレーズを刻んでいた。
本音だと「NieRのソシャゲか……」と少なからず不安があった筆者だが,思いがけないところに丁寧なNieRらしさを見つけられて,その気持ちもすぐに払拭された。ついでに作中の言葉選びもそうだし,細かいところだとフォントや素材のアイコンもそうだ。
リィンカネはAutomata,Replicant,Gestalt。これらが持つ魅力をしっかりと隠し持ちながらも,新たなNieRの世界を見せてくれる。
檻とは,■■■■■に記憶された物語とは,一体なんなのか。
白い少女はなにを取り戻し,取り戻したとき,なにが起こるのか。
これらの物語は,かつての作品たちとのつながりがあるのか。
NieR Re[in]carnationは,数多くの死を見届ける物語である。そこに清涼感を求めるのは難しく,目の前に横たわるのは残酷で凄惨な結末ばかり。けれども,それゆえに人を引きつけるものがある。まだまだ謎だらけのこの世界だから,配信されるその日が待ち遠しくて仕方ない。
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