プレイレポート
「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」インプレッション。新たな少年スパイダーマンが,雪のニューヨークで奮闘する
「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」は,「もう一人のスパイダーマン」である少年・マイルズ・モラレスが主人公だ。
マイルズは,前作「Marvel's Spider-Man」の終盤で,元祖スパイダーマンのピーター・パーカーと同じ能力を獲得。ピーターを師として修行に励んでいる。ニューヨークの街は,マイルズとピーターという,2人のスパイダーマンに守られることになったわけだ。
その後の物語を描くのが本作「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」である。高校生となったマイルズは,ピーターから一時的にニューヨークを任されることになる。
尊敬するピーターの代わりに,ちゃんとヒーローの任務を果たせるのか……と緊張するマイルズの前に,謎の犯罪集団「アンダーグラウンド」が現れる。アンダーグラウンドはハイテク装備を持つ強敵で,どうやら世界に新エネルギーをもたらそうとする企業・ロクソンと敵対しているようだ。孤立無援となった新米スパイダーマンのマイルズは,果たしてニューヨークを守ることができるのだろうか。
本稿ではPlayStation 5版を解像度優先のモードでプレイしたインプレッションをお届けしよう。
ゲームシステムは「Marvel's Spider-Man」を引き継いでおり,実写のようなニューヨークの街を,簡単な操作で駆け巡れるのが魅力である。[R2]ボタンで特殊素材の“クモ糸”をビルや電柱に貼り付け,押しっぱなしで振り子やブランコのようにスイングする。これがスパイダーマンを象徴するアクション「ウェブスイング」だ。憧れのウェブスイングを自分の操作で体験できる気持ち良さは前作と同様。スイング中にトリックを決められるシステムも続投されているので,宙返りしたり,急降下したりといろいろ試せる。
今回は解像度の上がったグラフィックスによって,ニューヨークがさらに魅力的に映る。昼は冬の冷えた空気の心地よさまでも伝わってくるようで,雪化粧されたビルが美しい。夜ともなればイルミネーションが煌めく中に雪が舞い散ることも。何気なくコントローラの[CREATE]ボタンを押しているだけで,見応えのあるスクリーンショットが何枚も撮れるのが嬉しいところ。
ニューヨークの名所も再現されており,マーベルファンおなじみのアベンジャーズタワーも存在。残念ながらとくにイベントは無いようだが,フォトモードを使って自撮りするのもいいだろう。
また,地面に降りればニューヨーク市民がいて,記念撮影やハイタッチでスパイダーマンを歓迎してくれる。実在の街に密着した“ご当地ヒーロー”という,原作の魅力が再現されている。
バトルは今回も爽快だ。[□]や[△]ボタンで攻撃,[×]ボタンでジャンプ,[○]ボタンで回避といったアクションを組み合わせることで,縦横無尽に動き回って悪党どもを翻弄できる。
敵の股間をくぐって後に回り込んだり,空中に吹っ飛ばした敵をウェブで捕まえて叩きつけたり,マンホールや木箱を振り回したり……と攻撃パターンは非常に多彩だ。この辺りは「Marvel's Spider-Man」と同じなので,経験者はすぐにでも活躍できるだろう。
今回の戦いも,やはり1対多が基本である。常人なら袋叩きにされるが,マイルズに備わっている特殊能力「スパイダー・センス」があれば戦いを有利にできる。敵が攻撃態勢に入ると頭に独特のサインが出るので,すかさず[○]ボタンを押せば避けられる。画面外からの銃撃を華麗に避けられれば気分は爽快だ。
とはいえ,敵から攻撃を受けるとマイルズとて無事では済まず,中でも銃は非常に危険だ。目の前の敵を殴ってコンボを決めつつも,周囲にいるほかの敵の動向も冷静に観察し,銃を持った者がいれば優先的に処理していく。つまりは前作同様に爽快感と緊張感が同居したバトルであり,あらめてその楽しさを確認できた。
マイルズ独自の能力は,生体電気を放出するというもの。この力を使った「ヴェノム・パンチ」([L1]+[□])や「ヴェノム・ジャンプ」([L1]+[×])といった技を当てると,敵は痺れて「ヴェノム・スタン」状態となる。ヴェノム・スタンした敵はしばらく動けなくなるため,一方的に追撃できるのだ。
これらの技には,前作の「フォーカス」ゲージに相当する「ヴェノム・パワー」ゲージが必要で,攻撃や回避を決めると溜まっていく。前述のように,本作のバトルでは敵の攻撃が結構油断ならない。加えて,アンダーグラウンドのメンバーはハイテク装備で武装しており,地面から屋根へジャンプで登るなど,人間離れした能力を発揮するため,動きを封じられるヴェノム・スタンの存在は大きい。同時に,ヴェノム・パワーは回復にも使えるため,技と回復のどちらを優先するかの状況判断が求められる。
また,一気にトドメを刺す「フィニッシュ・ムーブ」は,前作のようなゲージ消費ではなく,コンボを一定以上決めると使えるように変更された。つまり,回復とフィニッシュ・ムーブのリソースが別々にされたことで,より攻撃的なプレイが可能になった。
スキルツリーの構成も前作のピーターとは異なっている。例えば,敵から武器を奪う「ピストル&バトンプル」や大きく跳ぶ「チャージジャンプ」,ウェブスイングしつつトリックを決める「エア・トリック」などの技は,前作ではレベルを上げてスキルポイントを振り分ける必要があったが,マイルズにとっては基本技となっている。
マイルズ場合は,独自の能力であるヴェノム系の技を強化する「ヴェノム・スキル」や,ヴェノム・パワーを溜めやすくしたり,技にヴェノム・スタンを付与したりする「バトル・スキル」といったスキルツリーで強化していけるのだ。
物語の節目ではボスが登場するが,アクションゲームとしてのプレイシーンと,映画さながらのカットシーンがシームレスになっているのも魅力だ。例えば,サイのようなアーマーに身を包んだ悪漢・ライノとの戦いでは,ライノとの肉弾戦や,背中にしがみついて建物の中を突っ走るシーンを実際にプレイできる。
後者では,背中からライノの進行方向をうまく調整しないと,建物や柱にぶつかってマイルズがダメージを受けてしまうのだ。そして,ライノが建物から飛び出すと,映画を思わせるカットシーンで場面転換が表現される……といった具合で,まさに“映画のようなゲーム”といえるだろう。
本作は58年の歴史を持つ「スパイダーマン」シリーズを原作としているが,物語はゲームオリジナルとなっているので,本作や前作「Marvel's Spider-Man」からプレイしても大丈夫だ。今回は“師匠であるピーターに憧れるマイルズ”という少年の物語であり,感情移入もし易い。マイルズが実家暮らしの高校生ということで,ヒーローと一般人の二重生活に伴う苦労も,よりコミカルになっている感がある。
PS5版はグラフィックスがより高解像度になっているのに加え,プレイ中はロード画面で待たされることがなかったのも嬉しいところだ。この冬は,PS5が描く雪景色のニューヨークを観光しつつ,映画のようなアクションを楽しむのも乙なものかもしれない。
「Marvel's Spider-Man: Miles Morales」公式サイト
- 関連タイトル:
Marvel's Spider-Man: Miles Morales
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(C)2020 MARVEL (C)Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Insomniac Games, Inc.
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