プレイレポート
PS5専用ソフト「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」プレイレポート。美しいグラフィックスで新たな冒険が繰り広げられる
「ラチェット&クランク」といえば,PlayStation 2世代には思い出深いアクションゲームだろう。2002年にスタートしたこのシリーズは,伝説の種族「ロンバックス」の生き残りであるやんちゃなラチェットと,物知りロボット・クランクのでこぼこコンビが,個性的な装備「ガラメカ」を駆使して大暴れするという内容だ。日本ではマンガ化,海外では映画化されるなど人気も高く,1作目をリブートした「ラチェット&クランク THE GAME」(前述の映画版も同梱)が2016年にPlayStation 4で発売されている。
そしてPS5では初となる「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」は,「ラチェット&クランク THE GAME」ではなく,2013年にリリースされた「ラチェット&クランク INTO THE NEXUS」の続きを描く物語だ。つまり続編シリーズとしては8年ぶりの新作となる。
今回の舞台は,おマヌケ科学者であるはずのドクター・ネファリウスが「皇帝」として君臨し,人々を圧政で苦しめている世界だ。この世界では,次元転移装置「ディメンジョネイター」が暴走したことにより,さまざまな次元が入り乱れて混乱の極みに陥っている。
ラチェットとクランクは,次元を修復すべく,さまざまな惑星を巡って大冒険を繰り広げていく――はずだったが,ディメンジョネイターのせいで二人は離ればなれに。そして,クランクと成り行き上コンビを組むのは,ロボット不信の女性ロンバックス「リベット」だ。
実はこのリベット,クランクの別次元の姿である。2人の関係はどうなるのか,そしてラチェットとクランクは再開できるのか。ストーリーは序盤から目まぐるしく展開していく。
本作をプレイしてまず目を惹くのがグラフィックスの美しさだ。高精細のグラフィックスはまるでCG映画のようで,さすがは新世代機といったところ。カットシーンとプレイがローディング画面なしにつながるので,まるで映画のように場面が転換していく。
ステージ内には暴走したディメンジョネイターが開けた空間の穴があり,その先には別次元が広がっている。穴に飛び込めば別次元を冒険できるのだが,移り変わりはシームレスに行われる。もちろんどこかでロードはしているはずなのだが,今回プレイできた範囲ではロード画面が出たり,ロードで待たされたりといったことはなかった。
ゲーム自体は,ラチェット&クランクシリーズの伝統を受け継いだものになっている。地形を踏破するジャンプアクション的な楽しさと,お馴染みのレンチ(リベットはハンマー)による近接攻撃と,ガラメカによる遠距離/特殊攻撃を駆使した激しいバトル,その両方を楽しめるのだ。
本作では探検する惑星によってラチェットとリベットのいずれかを使うことになるが,パラレル・ツインズだけに2人の操作方法は同じ。そして,所持しているガラメカやその強化状況も共通だ。リベットが登場したからといってゲームが複雑になるということはない。
惑星のフィールドでは,さまざまなアクションを駆使して踏破していくのが面白い。高い位置に足場があれば2段ジャンプで飛びつき,壁と壁の間を三角跳びで跳ね回り,テザーを撃ち出すスイングショットでターザンのように振り子ジャンプするなど,なかなかに爽快である。
次元を越えての謎解きも印象的だ。ステージのなかには紫色の「ブリゾンクリスタル」があり,これを叩くことで別次元にある同地点へと転移できる。例えば,壁に進路を塞がれている状況でも,ブリゾンクリスタルを使って同じ地点の別次元へ転移すれば,そこには壁がないので先へ進めるといった感じだ。「これ,どうみても行き止まりじゃないか?」という場所があれば,ブリゾンクリスタルを探せばいいわけで,プレイ中の良いアクセントになっている。
惑星によっては,クランクを操作するショートステージも存在する。スタート地点から無限に湧いてくるクランクのアバター(分身のようなもの)がゴールへたどり着けるように道を整えてやる,という内容。アバターの行く手には,巨大なノコギリや崖といったトラップが待ち構えているが,“物体を重く/軽くする”“物体の速度をアップさせる”といった不思議な「スフィア」をトラップに取り付けることで進路を確保するのだ。スフィアの数は限られているため,状況に応じてうまく付け外しするパズルっぽい思考が必要で,こちらも良いスパイスになっている。
バトルはいわゆる3Dアクションの作法に忠実だ。レンチやハンマーで敵をブン殴り,武器ガラメカでハチの巣にしてやればよい。武器ガラメカは,今回も銃器や補助攻撃などバラエティ豊かだ。敵の気を引くパリピなキノコ「ミスター・ファンガイ」を囮に設置してから,手榴弾「シャッターボム」で一掃する。敵を植物化する「グリーンスプリンクラー」で動きを止め,溜めビーム「ネガトロンコライダー」のチャージ時間を稼ぐ,といった感じで,複数の武器ガラメカを組み合わせるのが楽しい。
武器ガラメカは,アダプティブトリガーの半押しと全押しで機能が変わるのもポイントだ。「バーストピストル」は半押ししても普通に弾が飛ぶだけだが,全押しすれば複数の弾が速射される。「エンフォーサー」は2つの銃身が並んだショットガン風の武器で,半押しで片方だけの発射,全押しで精度を犠牲にして両銃身から斉射,といった具合でスタンダードな銃器系でも使い分けができる。
新たな武器ガラメカはステージのあちこちにいる武器屋で買うが,お金になる「ボルト」はいつもいい感じに足りない。そのくせどんどん新品が入荷されるので,ガッチリ稼いでやろうという気にさせられる。
新登場の「リフトテザー」「ファントムダッシュ」といった技は探索にも使えるが,戦闘でも目立った活躍をしてくれる。ステージ内には小さな次元の裂け目があるが,ここにスイングショットを撃つとリフトテザーとなってワープできる。敵が高所に陣取っているそばに次元の裂け目が開いていることも多いので,周囲をしっかり観察してリフトテザーを見つければ,バトルを有利に進められる。次元を行き来する本作の設定を活かした,面白い要素といえるだろう。
ファントムダッシュは無敵状態での前方ダッシュ。2段ジャンプとファントムダッシュを組み合わせれば,敵の攻撃をひらりひらりと避けまくるのも夢ではない。
敵との間合いや残弾数に応じてレンチや武器ガラメカを切り替え,その間にも2段ジャンプやファントムダッシュで攻撃を避け,周囲を見回して次元の裂け目を見つけてリフトテザーで急襲する……というバトルは,いい意味で指先が忙しい。前述したグラフィックスの美しさも相まって,まさに“プレイできる映画”のよう。失敗しても,映画のギャグシーンのように思えてくるのが不思議だ。
CG映画がそのまま操作できるような不思議な体験と,良好な操作感。PS5の機能に寄り添いつつも遊びやすいゲームになっているのは,さすがファーストパーティのタイトルといったところか。今回もキャラクターたちは魅力的で,吹き替えボイスのおかげで軽妙洒脱な会話の魅力も際立っている。個人的には武器ガラメカのPVについたナレーションがお気に入りで,お馴染みズーコンジュニアが通販番組風に武器の魅力を語るのだが,幼児のような声なのに物騒な単語がバンバンでてくる辺りがクレイジーで良い。
とくに印象深かったのはリベットだ。“クールでタフだが中身は熱く,困っている人を放っておけない女の子”というキャラクター性を,カットシーンでくるくると変わる表情が彩っており,強い存在感を放っている。皇帝へのレジスタンスとして戦う過去を語る外伝なども見てみたいと感じられた。このほかにも,過去作に登場したキャラクターの別次元バージョンが登場するので,シリーズファンは楽しみにしつつ,プレイを進めてほしい。
「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」公式サイト
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ラチェット&クランク パラレル・トラブル
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