［プレイレポ］荒廃した“アメリカ共和国”を舞台になんでもアリな旅を楽しめるロードトリップアクション「Dustborn」は自由かつカオスすぎる!?

　荒廃した“アメリカ共和国”を舞台に，バトルやドラマ，ロック，暴動，詐欺，密輸，ダイナー，キャンプ……などなど，なんでもアリな旅を楽しめるロードトリップアクション「Dustborn」（PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One）の序盤プレイレポートをお届けする。


　本作はノルウェーのデベロッパRed Thread Gamesが開発を手がけ，「Detroit: Become Human」「Beyond: Two Souls」などで知られるQuantic Dreamが販売を担当する。Steamや各プラットフォームのストアでは2024年8月20日にリリース予定。日本ではNetEase Gamesより，8月22日にPS5版パッケージの発売が予定されている。


　なお，今回プレイしたビルドはアメリカのゲームイベント，PAX Eastに出展されたものと同じ内容だ。実際の製品とは異なる可能性があるので，その点はご了承を。

「Dustborn」公式サイト

　前述のとおり，本作の舞台はアメリカ。……だが，我々の知るアメリカとはだいぶ違う歴史をたどったらしく，J・F・ケネディとマリリン・モンローが実際に夫婦になっていたような，ある意味でリベラルな世界線だ。ちなみに，作中ではモンローは102歳で存命中らしい（物語の伏線かも？）。
　ただ，社会の分断はとんでもないことになっているようで，主人公パックスや仲間たちのようなグランジな連中もいれば，マッドマックス的な武闘派集団が暴れ回っていたり，さらには未来的なピッチリスーツを着た勢力「ジャスティス」がロボットを使って人々を統制したりと，なかなかにカオスな状態だ。


　主人公のパックスは言葉を「現実」に変える能力「VOX」を武器に，ひとクセある仲間たちと共に西海岸のパシフィカから，カナダ東海岸のノヴァスコシアを目指して大陸横断の旅に出る……というのが大まかストーリーになっている。


　ちょっとメタな視点の話になるが，VOXという能力は「アドベンチャーゲームのコマンド選択」を作中の人物が使っているような意味合いにもなっていて，パックスがどんな展開を望むのかと，プレイヤーがどんな展開を望むのかが「重なる」関係になる。
　今回の試遊では，仲間と協力してバスに潰されかけている人を助けるシーンや，ルート99を走るバスの中で仲間たちと会話するシーンをプレイできたが，パックスがVOXを持つ理由，そしてVOXがあるがゆえの葛藤などが，この先どう描かれていくのかを興味深く感じた。

　物語を進める中で，仲間たちとはさまざまなやり取りをすることになる。ドライな関係が良ければどんどん物語を進めてもいいし，彼らのパーソナリティに興味が湧いたらあれこれ干渉してもいい。プレイヤー次第で，旅の一行のムードが大きく変わりそうだ。

多様なパーソナリティを持つ仲間たち。怪力やハッキングなど，それぞれが特殊能力を持つ

　パックスたちはどうやら「ヤバいブツ」を運びながら旅をしているのだが，ジャスティスの取り締まりロボに嫌疑をかけられたとき，自分たちをロックバンド「The Dustborn」であると偽り，旅の理由を「演奏ツアー」だとごまかしている。
　ただし，毎回信じてもらえるわけではなく，本当にバンドなのかを証明するために演奏を求められることも……。もちろん，本作はQuantic Dream作品のような「プレイヤーの操作によって物語を進めていくゲーム」なので，ここで演奏するのはプレイヤー自身だ。演奏をしくじったら，どうなってしまうのか？

実際に音ゲーが始まった！

　バンド演奏のパートは，身分を偽るためだけの要素ではないはずだ。映画「ボヘミアン・ラプソディ」のような，ロックミュージカル的なドラマの盛り上がりにも期待したい。


　敵と直接バトルを行うシーンでは，パックスはバットを振るって相手の集団をなぎ倒す。攻撃ボタンの連打でコンボを繰り出せるが，攻撃一辺倒だとこちらもダメージを受けやすい。敵の攻撃を見極めて，しっかり回避することも必要だ。


　また，不思議なグローブの力を手にすると，「フォースの使い手」のようにバットを引き寄せられる。放り投げてもすぐ手元に引き戻せるので，バットは投げ放題。ただし，威力はあまり高くないので，補助的な役割や相手の行動を邪魔するような使い方になるだろう。

　画面左上の「SHOUT」ゲージが溜まれば，スペシャルな衝撃波を繰り出して相手を攻撃できるが，これはしっかり狙って使わないと外れてしまい，悲しい思いをすることに……。物語がメインのゲームだと思われるが，バトルに関してはあまり手加減なしのようだ。

　バットでヘリ……正確にはオスプレイのような回転翼機を撃墜することも可能なので，きっとこの世界ではラケットでロケット弾を撃ち返せるかもしれない。実際にはなかったとしても，似たようなノリのシーンはありそうな予感がする。

仲間を操作して戦う場面もあるようだ。強烈なラリアットが炸裂！

　物語を楽しみながら，登場人物の行動にプレイヤーが操作することで介入し，そこに深く感情移入していく。本作の開発スタジオはRed Thread Gamesだが，Quantic Dreamのアドベンチャーゲームを彷彿とさせるフォロワーであることは間違いないだろう。


　主人公たちは無事にブツを運びきれるのか，それとも破滅が待っているのか。そして，パックスの物語にプレイヤーが自身を「重ねた」とき，どんなものが見えてくるのか──。本作は2024年のアドベンチャーゲームにおける，ダークホース的な存在になるかもしれない。

「Dustborn」公式サイト