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  • 発売日:2023/02/21
  • 価格:スタンダードエディション:8800円(税込)
    ゴールドエディション:1万3800円(税込)
    プレミアムエディション:1万5800円(税込)
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Atomic Heart
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印刷2023/01/17 18:00

プレイレポート

[プレイレポ]レトロフューチャーな1950年代のソ連が舞台の「Atomic Heart」を先行体験。“ここではないどこか”に誘ってくれる世界観が魅力だ

 新興デベロッパのMundfishが開発を進める「Atomic Heart」PC / PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One)は,パラレルワールドのソビエト連邦を舞台としたシングルプレイのアクションRPGだ。

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 日本国内では,2023年2月21日のPC版とXbox Series X|S / Xbox One版のリリースののち,4月13日にPS5 / PS4向けパッケージ版とダウンロード版のリリースが予定されている本作。最新科学で理想郷を作り上げようとする1950年代の“ありえたかもしれない(?)ソ連”という舞台設定,敵となる奇妙なアンドロイドやクリーチャー,一人称視点のコアなアクションといった事前情報を見て,興味を抱いているゲーマーも少なくないだろう。

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 そんな本作のPC版のメディア向け体験会が,1月12日に東京・池袋のeスポーツ施設「LFS 池袋 esports Arena」にて行われた。4Gamerもこれに参加したので,実際にプレイして分かった本作の世界観やゲームプレイについてお伝えしよう。

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ぶっ飛んでいるけど妙な説得力で“ここではないどこか”へ誘ってくれる世界観が魅力


 Atomic Heartの世界設定において,ソ連は強大な科学技術大国として繁栄を見せていた。第二次大戦後にドイツの科学力を吸収することで急速に発展。特殊なポリマーを人体に注入し,神経ネットワークをグローバルなネットワークに接続する情報技術「Kollektiv」(コレクティヴ)によって,情報化 / オートメーション化を成し遂げている。

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 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)ならぬ“KoT”といったところであろうか。我々の世界でいうインターネットに近いコレクティヴと,同じく発展したロボット技術を組み合わせたシステムの運用によって,ソ連は経済力でも西側諸国を圧倒。世界各国にそれらを輸出するまでに至っている。

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 スターリン様式のような権威的な巨大建築物がそびえ立つ,人工的な空中都市。その街では西欧“風”なソ連製の小型乗用車が走り,人々の往来に交じって多くの作業用ロボットやアンドロイドの“労働者”が各々の業務に従事している姿が見られる。
 現実の1950年代と比べるとかなり技術は進んでおり,またその進歩の形も奇妙かつ“ぶっ飛んだ”もので実に興味深い。いわゆる“レトロフューチャー”な世界観で,ビジュアル面もたまらないものがある。

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国民たちの豊かな生活を支えるのが,さまざまな仕事に従事するアンドロイドやロボットだ
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地上には,科学大国の権威を誇示するかのように巨像が並ぶ一角も。実際の建築年より早いが,「母なる祖国像」らしきものもすでに建てられていた
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 ソ連というと,主にゲームの舞台となっている1950年代以降に,アメリカとの宇宙開発で競っていたほどの国である。情報統制によって隠されていたところもあり,実際には過大評価されている部分はあれど,高い科学技術力を持っていたのは事実だ。
 そういった現実的な背景もあるからだろうか。Atomic Heartの世界のソ連は,単に荒唐無稽なものではない,“ありえたかもしれない”と思わされるような奇妙な説得力と“勢い”を感じられる。

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こちらは街中の各所で見かけることになるテレシコヴァ型のアンドロイド。元宇宙飛行士の国民的女優であるヴィオレッタ・テレシコヴァ(モデルはおそらく,女性初の宇宙飛行士として知られるワレンチナ・テレシコワ氏)がその名の由来になっている
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 そんなAtomic Heartの物語は,最新技術の結晶であるコレクティヴ2.0の稼働を翌日に控えた空中都市チェロメで始まる。祝賀パレードや式典で賑わうチェロメだが,その“お膝元”である地上の研究施設にて大きな事件が発生する。国家のさらなる発展を支えるはずのアンドロイドたちが,突如として人民へと牙を剥いたのだ。

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 この事態に巻き込まれたのが,主人公である特別捜査官のP-3だ。彼はこの事件の真相を解明するべく,チェロメから“空飛ぶ車に”乗って地上へと向かい,連邦の最高機密施設「3826番施設」に潜入することになる。

さまざまなアクシデントに見舞われながら,チェロメから地上へとたどり着いたP-3。ちなみにチェロメだが,名前の由来はおそらくソ連のロケット工学者であるウラジーミル・チェロメイ氏だろう。ヴィオレッタ・テレシコヴァやこのチェロメのように“ソ連ネタ”もたくさんあるようだ
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 科学技術によって支えられた豊かで平和な日常が,機械の暴走によって一転するという,クラシックなSFの定番と言える導入部分が終わると,場面は地下施設の探索へと移る。施設の各所には攻撃的になったアンドロイドが徘徊しており,人間の姿を見つけると襲い掛かってくるので注意が必要だ。

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 ここに至るまでの武器は斧だけで,少し進めるとショットガンを手に入れるが弾は一発のみ。しかもアンドロイドはかなりタフで,動きも速いため序盤はなかなか苦しい戦いを強いられることになる。複数の敵を相手にしたり,退路のない狭い場所で戦ったりするとあっという間にピンチになるので,なるべく戦いを避けるか,動きやすい広さのある場所に一体ずつ誘い出して仕留めるのがよさそうだ。

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キレと重みのあるパンチや高いジャンプから繰り出す飛び蹴りなど,武術家のような動きを見せるアンドロイドたち。動きは機敏で回避も素早いので,しっかり動きを見て攻撃しないと手痛い反撃を食らうことになるだろう
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赤い光を発したときは要注意。体力の大半が奪われる強力な攻撃を放ってくるので,距離を取り,回避アクションでそれをかわそう。フェイスパーツをオープンしてビームを放つ敵もいるので,遠くにいても気は抜けない

 ブリキ人形のような顔のアンドロイドが無表情のまま,ときに複数の“同じ顔”で襲い掛かってくるところは,とても不気味でホラー感をたっぷり味わえるだろう。
 攻撃がヒットした場所に傷がついたり,首や腰などの関節部分からバラバラになったりと,ダメージ描写もなかなか細かい。実際に研究されているパーフルオロカーボン乳剤や映画「エイリアン」の描写にあったような白色の人工血液が流れるところもリアルで雰囲気がある。

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渾身の一撃で身体が上下真っ二つに!
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ショットガンで撃ったときの血煙は白い

 パイプをよじ登って足場から足場へと飛び移る。ピッキングで閉ざされた道を進むといったように,こういったシングルプレイのアクションRPGでは定番と言えるシーンや謎解き要素も。ゲームは基本的にリニアに展開していくが,建物内の複数のフロアを行き来したり,庭園のような場所を調べながら次の目的を探したりといった,広い範囲を探索するパートも存在する。
 
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 探索と謎解き,そしてバトルの全てにおいて欠かせないのが,“相棒”のチャールズ。P-3の左腕に装着された人工知能を備えたグローブだ。探索時のナビゲーション役であり,謎解きやバトルのときの心強い仲間であるだけではなく,かなりクセの強い人物であるP-3の発言や振る舞いを懇切丁寧にたしなめる“ツッコミ役”としても楽しませてくれる。
 そんなチャールズとの会話や,彼のナビによって体験できる“マーカーを追って進むだけでは生まれない探索の楽しさ”は,Atomic Heartの大きな魅力の一つと言えるだろう。

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 チャールズの性能やカスタマイズ要素にも触れておこう。本作では,倒した敵,戸棚や机のなかなどから入手したクラフト用のアイテムを使い,武器の作成や強化,チャールズの機能のアンロックができる。
 今回の試遊ではあまり使えなかったが,電気ショックで敵の動きを止めたり,ソフトウェア的な意味ではなく文字どおりフリーズ(凍結)させたり,念動力で空中に持ち上げて地面に叩きつけたりと,さまざまな特殊機能(スキル)がある。クラフトやカスタマイズで,武器だけではなくチャールズも強化していくことが,ゲームを進めるうえで重要なものとなりそうだ。

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スキルセットの画面では,「Fallout」シリーズへのリスペクトを感じるアニメーション風演出が
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武器やチャールズの強化は,ノラという名前のマシンで行う。“彼女”には個体差があるのか,ベッドルームに設置されていたノラは言い回しが妙に色気があり,普段はどういった用途で置かれていたのか興味深い。……いや,やはり知らないほうがいい気もする
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 アクション,クラフト,探索,アドベンチャーといった各要素からは,さまざまなアクションRPGの名作の影響を感じられる。世界観やストーリーの奥深さを感じられるカットシーン,スリリングな展開での場面転換といった演出は,映画や連続ドラマを見ているかのように楽しめた。

90'sエレクトロにロシアの伝統的な音楽が入り混じったようなカオスな楽曲など,音楽も個性的でゲームを盛り上げてくれる。ノルウェーのエレクトロデュオ・ロイクソップ,「DOOM」(リブート版)や「Wolfenstein II: The New Colossus」の音楽を手がけた作曲家のミック・ゴードン氏も楽曲を提供しているとのことだ
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 また,SFモノというところで設定の深さは感じられるものの,小難しい話にはなっておらず,絵的に伝えてくれるところも好印象だ。
 無表情でカタコトの言葉を話すアンドロイドに,流線形や球で構成された丸っこいメカやオブジェ。建物のあちこちにあるミッドセンチュリー風な調度品と木目調の家具,リノリウムの床。現実の1950年代(ソ連に限らず西欧も)をベースとしたレトロフューチャーな世界観は,プレイヤーを“ここではないどこか”へと誘ってくれるような魅力がある。同時代のカルチャーやSF好きはもちろん,こういった雰囲気のゲームに初めて触れるという人も楽しめるはずで,リリース後の反響が楽しみなタイトルだ。

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最後に,日本語字幕のついたゲームシーンをいくつか紹介しよう。字幕は現在対応中ということで,デモ版ではまだオリジナル言語のままだった箇所もあったが,会話だけではなく設定などの情報量も多い作品だけに,こちらの仕上がりも気になるところ
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