バンダイナムコアミューズメントが2021年春に稼働予定の「
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト」(以下,エクストリームバーサス2 クロスブースト)。2020年11月7日と8日には東京のバンダイナムコ未来研究所にて,事前抽選形式のクローズドβテストが実施されたが,これに先駆けて11月5日に
メディア向けの体験会が行われていた。
モビルスーツを操り,2対2のチームバトルを楽しむ「機動戦士ガンダム VS.」シリーズ。その最新作となるのが本作「エクストリームバーサス2 クロスブースト」だ。長い歴史を持つ人気シリーズなだけに稼働を心待ちにしているというファンは多いのではないだろうか。本稿ではそんな本作の新システムや新機体の
試遊レポートと,
開発チームへのミニインタビューの様子をお伝えしていこう。
また,本稿の内容は体験会及びクローズドβテスト時点でのものであり,今後変更される可能性があることをあらかじめご了承いただきたい。
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まず筐体は,現行作「
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」のものが続投となっている。レバーとボタンに加えて,筐体備え付けのゲームパッドも用意されており,家庭用ゲーム機でパッド操作に慣れているというユーザーも安心してプレイできる。
公開された新機体は,
スタービルドストライクガンダム(コスト3000:「ガンダムビルドファイターズ」),
ガンダム・フラウロス(コスト2000:「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」),
ユニコーンガンダム3号機 フェネクス(コスト2500:「機動戦士ガンダムNT」)の4機。体験会とクローズドβテストではスタービルドストライクガンダムとガンダム・フラウロスのみがプレイ可能となっていた。
また,
既存の機体は1機も欠けることなく参戦し,そのうち
150機以上に新技の追加等のリニューアルが行われるという。
左からスタービルドストライクガンダム,ガンダム・フラウロス,ユニコーンガンダム3号機 フェネクス
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対戦プレイのマッチング関連と,対CPUモード「トライアドバトル」についても変更が行われている。
対戦プレイのマッチングは「ランクマッチ」「カジュアルマッチ」「店内優先」の3つに再編された。ランクマッチは階級によるマッチングを廃止,オンライン対戦のプレイ経験を表す専用ランクが近い者同士をマッチングする。カジュアルマッチはランクや階級関係なしの無差別マッチングが行われる。店内優先では,同じ店(同一ライブモニターに紐づけられた筐体)でプレイする友達や仲間同士でチームを組みやすくなる。
CPUモードのトライアドバトルでは,新たなボスやCPU専用機体が登場するのに加えて,2人のプレイヤーがチームを組む「2on2コース」が新設されている。また,トレーニングモードについては,武装ゲージにコマンドが表示され,より効果的に練習できるようになっているという。
そして,注目の新要素となるのが,2人の協力がさらなる強化をもたらす
「EXバーストクロス」,そして新たな機体強化
「レイジングバースト」「カバーリングバースト」だ。
いずれも,攻防を通してゲージを溜め,一定時間機体をパワーアップする,通称“覚醒”こと「エクストリームバースト(以下,EXバースト)」関連の要素となっている。
「EXバーストクロス」は,僚機がEXバーストを発動中,自分も同じようにEXバーストを発動させると発生し,どちらか片方のEXバーストが切れるまで,追加効果が発生するというもの。僚機とEXバーストを“クロス”(交差)させれば,自機がよりパワーアップする……と覚えておこう。
追加効果は,自分がどのEXバーストを選んでいるかによって異なるが,クローズドβテストの時点では各EXバーストの長所を伸ばす,尖った効果が揃っていた。使いこなせばかなり有利に立ち回れるだろう。各EXバーストの効果やEXバーストクロスの追加効果は以下の表の通りだ。
「シューティングバースト」「ファイティングバースト」「モビリティーバースト」は前作から続投となる。すべてのEXバーストはゲージ100%で発動すると,耐久力50回復+発動時間延長のボーナスがつく
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2人が協力する要素といえば,
「機動戦士Zガンダム エゥーゴVS.ティターンズ」の「覚醒」や
「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム」の「Gクロスオーバー」が思い出される。これらのシステムは,味方2人が同時にコマンドを入力しなければならなかったのに対し,EXバーストクロスは,2人がバラバラにEXバーストを発動させても良い。
2人が同時にEXバーストを発動させれば,追加効果を得られる時間もそれだけ長くなるし,僚機のEXバーストの終わり際に自分が発動させたとしても,“クロス”している少しの間だけ追加効果を得られるというわけだ。
いうまでもないが,EXバーストゲージの溜まり方は機体のコストや役割によってさまざまなので,どこでどのようにゲージを使っていくのかというEXバースト絡みの戦略もより深くなりそうだ。
新規EXバーストのレイジングバーストとカバーリングバーストについても説明しよう。
レイジングバーストは,強引な攻めを可能とする,攻撃型のEXバーストだ。攻撃中によろけにくくなり,被ダメージが減少するとともに,格闘攻撃が中程度,射撃攻撃と機動力が小程度アップする。
カバーリングバーストは,エクステンドバーストとリンケージバーストが統合された,防御・連携系のEXバーストだ。機動力が小程度アップし,発動中に僚機のEXゲージを少しずつ増やし続け,EXゲージが50%あれば,被弾時でもEXバーストが使用できる。
試遊して特に印象的だったのが,僚機との連携要素を含むEXバーストクロスとカバーリングバーストだ。
EXバーストクロスについては,僚機がEXバースト中に自分も発動させるだけでよく,特にタイミングを合わせなくても使えるのが便利だった。EXバーストの発動にはテンションが上がるものがあったが,追加効果も得られるということで戦いがさらに盛り上がりそうだ。今回の試遊では数回プレイしただけだったので,追加効果については充分効果量を検証できなかったが,使い方によっては猛威を振るう予感がする。
カバーリングバーストは,前作にあったエクステンドバーストのように身を守る目的で発動させても僚機のEXゲージが増えていくため,とりあえず使えばチームに貢献できるのが嬉しい。前作と同様,画面には僚機の耐久力とEXゲージの溜まり具合が表示されているため,リンケージバーストのように,僚機への補給目的で使えるのも面白いところだ。
新機体の使用感もお伝えしていこう。
スタービルドストライクガンダムは,コスト3000の万能機。機動性が良好なうえ,
「ビームライフル」や
「スタービームキャノン」といった攻撃面もクセがなかった。また,
「ディスチャージ スピードモード」を使えば一定時間機動性を強化することが可能(武装欄のアイコンが,原作のコンソールで表示されていたのと同じマークになっている辺り芸が細かい)。自分の攻撃をバシバシ当てつつ,相手の攻撃は食らわないという,高コスト機らしい活躍ができそうだ。
特徴的な装備であるビーム吸収盾
「アブソーブシールド」は,ビームの射撃攻撃を防ぐと“アブソーブシステム”が発動し,“ディスチャージ スピードモード”のリロード時間が短縮される。また,格闘チャージで発動させると“どこからともなく放たれたビームをアブソーブシールドで吸収する”アクションとして表現されていた(シールドガードでは普通に攻撃を防ぐだけのようだ)。
ガンダム・フラウロスはコスト2000の射撃機。
「マシンガン」を主武器に,
「背部レールガン(ロングバレル)」や,四足歩行形態に変形しての
「ギャラクシーキャノン」など,豊富な実弾武器が「鉄血」機体らしくて渋い。バーストアタックの
「スーパーギャラクシーキャノン」は,原作通りに腕を吹っ飛ばされた状態で発射する技で,アニメを観ていた人なら胸が熱くなること間違いなしだ。
ガンダム・フラウロスは,「ギャラクシーキャノン」使用時や勝利ポーズで四足歩行形態に変形する
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現行作「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」についても,2020年11月26日にアップデートが行われる。マスクが操る漆黒の機体・
カバカーリーがコスト3000で先行実装されるのに加え,
12機を対象にバランスが調整される予定だ。2021年春に稼働を控えた「エクストリームバーサス2 クロスブースト」に備えて,腕を磨いておこう。
最後にプロデューサーの
中館 賢氏(バンダイナムコアミューズメント)と,制作プロデューサーの
大久保 人氏(バンダイナムコスタジオ)へのミニインタビューをお届けしよう。新システムの実装など本作における狙いを聞くことができた。
写真左から,「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト」の制作プロデューサーである大久保 人氏,プロデューサーの中館 賢氏
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4Gamer:
よろしくお願いします。まずは本作「エクストリームバーサス2 クロスブースト」のテーマについて教えてください。
中館 賢氏(以下,中館氏):
テーマは「エクストリームバーサス」シリーズ10周年記念タイトルという位置づけの
「王道進化」です。現在遊んでいただいているユーザーさんを裏切らないようにしつつ,EXバーストクロスやレイジングバースト,カバーリングバーストといった新要素を追加し,新たな気持ちで遊んでいただけるようにしています。
また,家庭用の「機動戦士ガンダム EXTREME VS. マキシブーストON」で遊んでいただいている方にも,アーケードデビューしていただけるような内容にしたいです。
4Gamer:
「王道進化」というワードが出ましたが,「エクストリームバースト」シリーズにおける王道とはどういうものだと考えておられますか。
中館氏:
2 on 2の対戦ゲームであること,さまざまなガンダムシリーズから機体が集結しているところ,そしてテンポ良く戦えるハイスピードバトルであることだと思います。
大久保 人氏(以下,大久保氏):
これまで培ってきたテクニックを使いつつも,EXバーストをはじめとするいろいろなシステムによって,前作とは違った遊び方ができるというところは「王道進化」と言えると考えています。
4Gamer:
エクステンドバーストとリンケージバーストが進化したカバーリングバーストと,2人が協力することで追加効果を得られるEXバーストクロスが印象的で,プレイヤー同士の連携を重視しているように感じられました。
大久保氏:
EXバーストに関する新要素を追加する際に,選択肢が多すぎても混乱するだろうということで,リンケージバーストとエクステンドバーストを統合した支援型としてカバーリングバーストが作られました。
EXバーストクロスについては,2人がともにEXバーストを発動している間だけ,自分が選んだEXバーストに基づいた追加効果を得られます。
現在の対戦シーンにおける1つのセオリーとして,決着間近に,2人が揃ってEXバーストを発動し,敵を一気に追い込むというやり方があるんですが,初心者の方ほどEXバーストを使うタイミングを掴めずに,ゲージを溜めたままやられてしまうということが多いんです。そうした中で,
初心者の方に分かりやすくゲージ関係のセオリーを提示するという側面を持っているのがEXバーストクロスですね。
ただ,ゲージについてはさまざまな戦略があるため,同時に発動させなければならないというものにはしていません。同コスト同士なら一緒に溜めて同時に発動させてもいいですし,低コストが複数回発動させる中で高コスト側が合わせるなど,遊び方も変わってくると思います。この辺りについては,これからのバランス調整次第ですが,いろいろなセオリーが作られていくんじゃないでしょうか。
4Gamer:
クローズドβテストに登場する新機体,スタービルドストライクガンダムとガンダム・フラウロスについて教えてください。
大久保氏:
スタービルドストライクガンダムは,分かりやすい万能系主人公機ですね。射撃や格闘もクセがなく,派手な技もあっていろいろな活躍できると思います。ガンダム・フラウロスは,後衛から撃ち込める高速の実弾や,変形しながらトリッキーに動く射撃などを持つ,使っていて楽しい機体となっています。
4Gamer:
既存の機体に新武装を追加するなど,さまざまな調整が施されるということですが,詳しく教えていただけますか。
大久保氏:
ユーザーさんに喜んでいただくために,150体ほどの機体を対象に,新武装の追加や調整を施しています。基本的には“既存ユーザーさんの楽しみ方がより幅広くなるようにする”ということをコンセプトにしています。
新武装については,今までゲームで使われていなかったものを持ってきたり,アクションの幅を広げるために設定にのみ存在していたものを採用する,といったことをしています。
中館氏:
どういう新武装が追加されるかという具体的な内容については,続報をお待ちください。
4Gamer:
ちなみに,これまでのシリーズで,設定から技を作るような取り組みが行われたことはあるのでしょうか。
大久保氏:
アストレイレッドフレームのバーストアタックである「150ガーベラ【パワー】」は,こうした取り組みの良い例ですね。バンダイさんが「METAL BUILD ガンダムアストレイ レッドフレーム」という商品を作る際,新規に起こした設定から考案されたものなんです。部署同士の交流の中で,「この設定,ゲームで使えない?」という話になり,そこから技を作っていきました。
中館氏:
アニメ用に設定された武装だけでは技が足りなくなってしまった場合は,ほかのガンダムゲームの表現を参考にすることもありますね。
4Gamer:
いろいろな商品やゲームを開発しているメーカーならではですね。ちなみに,武装や技の強さや取扱いについて,あるゲームで凄く強かった武装が,別のゲームだとそうじゃない,という“解釈違い”みたいなものが出てくることはあるのでしょうか。
大久保氏:
武装を使う際の動きや,実弾かビーム兵器かといった武装の属性などの基本設定はサンライズさんとしっかりお話をして扱いを統一しています。そのうえで,強さや能力については,ゲームごとに自由な解釈を任されているというところがありますね。ほかのゲームにおける強さの序列が,別のゲームに影響を及ぼすようなことはないです。
4Gamer:
長年,ガンダムゲームを作り続けてきたノウハウと信頼関係があるからこその体制といえそうですね。では,最後に読者へメッセージをお願いできますか。
大久保氏:
クローズドβテストに参加された方は,EXバーストの変更や,EXバーストクロスに注目していただき,そのうえで,忌憚のないご意見をいただければ幸いです。クローズドβテストに当選できなかった方も,ゲームセンターの「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」をプレイしていただきつつ,11月8日に配信した「クローズドβテスト後夜祭」のアーカイブ映像などで新情報をチェックしていただければと思います。
中館氏:
自分の機体がどう変化したか,そして新しい機体やシステムについての新情報をチェックして下さい。チーム一同,総力を挙げて開発を進めていきますので,今後の継続した情報発信にもご注目ください。
4Gamer:
ありがとうございました。