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MicrosoftとBethesda Softworksのキーパーソンが集合したラウンドテーブルが開催。3月13日には,Xbox Game PassにBethesda関連の12タイトルを新規収録
MicrosoftのサブスクリプションサービスであるXbox Game Passには,「Fallout 76」や「The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition」などのBethesda Softworks作品8作がすでに収録されているが,今回の追加で合計20作品というラインナップになる。タイトルは以下のとおりだ(緑色が新規収録タイトル)。
「Dishonored: Definitive Edition」(Xbox, PC, Cloud)
「Dishonored 2」(Xbox, PC, Cloud)
「DOOM」(1993) (Xbox, PC, Cloud)
「DOOM II」(Xbox / PC / Cloud)
「DOOM III」(Xbox / PC / Cloud)
「DOOM 64」(Xbox / PC / Cloud)
「DOOM Eternal」(Xbox / PC / Cloud)
「The Elder Scrolls III: Morrowind」(Xbox / PC)
「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(Xbox / PC)
「The Elder Scrolls V: Skyrim Special Edition」(Xbox / PC / Cloud)
「The Elder Scrolls Online」(Xbox / Cloud)
「The Evil Within」(Xbox / PC / Cloud)
「Fallout 4」(Xbox / PC / Cloud)
「Fallout 76」(Xbox / PC / Cloud)
「Fallout: New Vegas」(Xbox)
「Prey」(Xbox / PC / Cloud)
「RAGE 2」(Xbox / PC / Cloud)
「Wolfenstein: The New Order」(Xbox / PC / Cloud)
「Wolfenstein: The Old Blood」(Xbox / PC / Cloud)
「Wolfenstein: Youngblood」(Xbox / PC / Cloud)
Xbox Wire:20 Bethesda Games from the World’s Most Iconic Franchises Available in Xbox Game Pass Tomorrow
ラウンドテーブルが行われたのはBethesda Softworksの本社オフィスで,お互いに質問したり,答えたりするといった形で進行した。最初から最後まで参加したのは,Bethesda Softworksのグローバルマーケティング&コミュニケーションズのシニア副社長であるピート・ハインズ(Pete Hines)氏と,同部門の副社長を務めるエリン・ロシ(Erin Losi)氏。MicrosoftからはXbox部門のヘッドとしておなじみのフィル・スペンサー(Phil Spencer)氏とXboxマーケティング部門のゼネラルマネージャーであるアーロン・グリーンバーグ(Aaron Greenberg)氏だ。
そこに,Bethesda Softworksのエグゼクティブプロデューサーで創業者の1人でもあるトッド・ハワード(Todd Howard)氏と開発シニア副社長であるトッド・ヴォーン(Todd Vaughn)氏が加わり,Microsoftからは,Xboxパートナーシップ&エコシステムのヘッドでXbox Game Passを担当するサラ・ボンド(Sarah Bond)氏と,Xbox Game Studiosのヘッドを務めるマット・ブーティ(Matt Booty)氏がオンラインで参加した。
まるでE3のプレスカンファレンス後の座談会を思わせるメンバーだが,ゲーマーの間で賛否のある「独占販売」についての話題なども,ざっくばらんに語られている。以下,重要なポイントを抜粋して翻訳してみよう。
――今回のパートナーシップについて,どのように考えますか。
フィル・スペンサー氏:
多くのゲーマーコミュニティが,XboxチームとBethesdaが何を生み出すのかにワクワクしているでしょう。我々が力を入れているのはファーストパーティを強化することで,Xboxファンにとっては,我々の現状と,どこに向かっていくのかを示すことになると思います。Bethesdaとの長年の会話と協力が現在のXboxを築いたのは疑いがなく,その関係を進めて未来に向かうための買収が実現したのは,すべての面で素晴らしいことです。MicrosoftとBethesdaはこれまでも,同じ方向に向かってゲーム産業の発展に努めてきました。これからはそれが(今回のラウンドテーブルのように),席を同じくしながら進められるようになったのです。
トッド・ハワード氏:
35年間,共に歩んできたBethesdaがXboxファミリーの一員になるとのは,すごく感傷的ですし,同時にエキサイティングなことです。シュールにさえ思えますね。我々がこれから,どのようなゲームを作り出すことになるのかを考えるとワクワクしてくるんです。
フィル(スペンサー氏)とは長年の友人であり,(「Fallout 76」のローンチでつまずいたときなど)常に連絡を取り合ってきた関係ですが,お互いの将来像について話し合ううちに,Bethesdaにとって何が良いことなのかが明白になってきたのです。
サラ・ボンド氏:
我々が新しい計画を進めるにあたっては,常にデベロッパならどう反応するかを考えますが,その際「Bethesdaならどう反応するか」を1つの指標としてきました。ゲーム産業についてのビジョンやXboxの未来について考えるとき,いつも最初に連絡する間柄でもあったのです。
BethesdaはXbox Game Passの初期からのサポーターであり,ゲーマーとクリエイターにとって良いサービスでありシステムであり続けるための,さまざまなフィードバックや助言を与えてくれました。今回のパートナーシップは,ごく自然な進化であるといえるのではないでしょうか。BethesdaにとってXboxのない未来が存在しないように,我々にとってもBethesdaのいない将来像は描けなかったのです。
――独占について,ファンが懸念しているようですが。
フィル・スペンサー氏:
私の立場で,「今後のBethesdaタイトルはすべてXboxフランチャイズの独占になる」とは言えません。それは真実ではないし,すでに取り交わしている契約上の義務もあります。ほかのプラットフォーム専用のBethesdaタイトルもいくつかありますが,今後は,それらもサポートしていく予定です。それぞれのプラットフォームにコミュニティが存在し,我々は彼らに対する投資を惜しむことはありません。
その一方,遠い未来ではエクスクルーシブ作品が開発されることもあるでしょう。断言できるのは,Bethesdaの素晴らしい作品をXbox Game Passをサポートするプラットフォームにお届けするということで,今回のパートナーシップは,まさにそれを目的としています。Bethesdaの可能性を最大限に引き出せるように協力しつつ,Xboxのサービスの質を高めていくことを願っているのです。
サラ・ボンド氏:
MicrosoftとBethesdaの新しい関係は始まったばかりですが,明日からBethesda Softworks傘下の8スタジオの20タイトルがXbox Game Passに対応します。非常にエキサイティングなことですが,これは我々のパートナーシップの第1歩に過ぎません。
トッド・ハワード氏:
消費者にとっては「新しいゲームがライブラリに増えるだけ」と思うだけかもしれませんが,クリエイターという立場で考えると,これまで存在しなかった新たなゲーマー層を開拓できるという,大きな意味を持っています。(コアゲーマー向けの作品などでは)ゲームを作る側が方向性を見誤ってしまうこともしばしばあるものです。Xbox Game Passのように,広い層にアピールできるチャンネルが存在することは,我々が常に求めている「より多くの人々に遊んでもらいたい」という欲求を満たしてくれますし,ゲームに対する,それまで思いつくこともなかった考え方を与えてくれるのです。
Xbox Game Passですでにリリースされた「Fallout 76」は,MicrosoftとBethesdaの関係を考えるうえで非常に重要で,ローンチのひどい有様で多くのゲーマーを失望させたことに戸惑い,どのように改善するか,どこから手をつけるべきかを知りたくて,最初に連絡をとったのがフィルでした。Xboxチームは,運営が成功している数々のゲームのデータから,具体的に手ほどきしてくれることを惜しみませんでした。「Fallout 76」はXbox Game Passで最もプレイされているタイトルにあがったこともありましたが,これは我々開発チームにとって本当に嬉しく,幸運なことだったのです。
――現在,パートナーシップの次のステップについて,何かが進んでいますか。
アーロン・グリーンバーグ氏:
同じチームになったことでさまざまなアイデアが取り交わされていますが,発表するまでには,何か月もかかります。今はまだ,計画を煮詰めているという段階です。
エリン・ロシ氏:
この夏には,イベントを開催して新しいことを発表できるはずです。
――Xbox Game Studiosが開発スタジオを買収する際の指標はありますか。
マット・ブーティ氏:
過去5,6年の間に,Xbox Game Studiosには15ものスタジオが加わりましたが,これらのスタジオのDNAを見ると,その多くが創業者自身がクリエイターだったり,ゲーム開発を熟知している人がチームを率いていたりします。これらのスタジオの企業文化は,クリエイター達の思いによって形作られているのです。トッド(ハワード氏)が話したように,ゲームは遊ばれるために存在するもので,そうしたBethesdaの考え方も我々と非常にマッチしていると感じています。また,Bethesdaはコミュニティサポートにも長けており,クリエイターにフォーカスすると同時にファンにフォーカスしているという点も,我々がこれまで行ってきたことや,思い描く今後のゲーム業界像に似ているところがあります。
「Minecraft」のMojangとパートナーシップを結ぶ際,先方のCEOは「我々がMicrosoftから学ぶことが多いのと同様に,あなた方が我々から学べるものも多いでしょう」と話していたことが記憶に残っています。開発者達が,それぞれの文化のもとでゲームを作り出していく作業は非常に繊細で,まるで温室で植物が丁寧に育てられるようです。我々は,その温室に踏み込んでかき乱すようなことはしたくありません。我々のすべきことは,繊細な温室を外部から守りながら,ゲーム開発者が何を考え,何を作り出そうとしているのか,しっかり目を見開いて学ぶことだと思っています。
――Bethesdaの企業カルチャーを要約すると,どうなりますか。
トッド・ヴォーン氏:
トップダウンの中央集権的な開発プロセスではないことだと思います。Bethesdaは,もともと小さなスタジオから出発し,必要な人材を必要に応じて増やしていくことで成長してきました。新しく入った人達が新しい知識を持ち寄ってゲームを作ってきたのです。それは,我々の傘下スタジオも同じことで,とくにMachine Gamesは過去にさまざまなプラットフォーム向けにゲームを開発してきたという経験があります。買収の話し合いを始めたとき,「The Elder Scrolls: Skyrim」の開発にも彼らが関係していたという事実を知って,私自身が驚いてしまいました。
また我々は,開発チームのメンバーがゲーム開発を終えて何もしていないときなど,直接ほかのメーカーと会って,新作のアイデアや開発技術について話をするという独特のカルチャーを持っています。例えば,2016年のTango Gameworksとのパートナーシップ契約も,そんな会話から生まれたもので,ピート(ハインズ氏)やエリン(ロシ氏)らビジネスサイドの人間さえ,決定するまで知らなかったほどです。
エリン・ロシ氏:
「Wolfenstein: Youngblood」では,Machine GamesとArkane Studiosが協力してゲーム開発していますが,ノウハウをシェアしていくという家族のようなカルチャーがあると思います。Bethesdaの各スタジオは1年に1度集まって,それぞれが今,何をしているのかプレゼンテーションし,新作の開発状況を発表する「ミッド・ウィンター」というイベントを開催します。ただプレゼンテーションするだけでなく,お互いがそれぞれのプロジェクトについて知り,ストーリーや開発技術についてのアイデアを出し合ったりして,開発者としての能力を高め合っているんです。
――Arkane Studios,Machine Games,Tango Gameworksのラインナップを見て,どのように感じますか。
フィル・スペンサー氏:
各スタジオが信頼と自信で結ばれていることを実感します。Bethesda Softworksがゲーム開発をサポートすることで,傘下スタジオのクリエイティビティが発揮できているのではないでしょうか。トッド(ヴォーン氏)が言ったように,これは我々Xboxチームが学べることだと考えます。多様なバックグラウンドを持つスタジオが,保守的になるのではなく新しいことに挑戦している。それをサポートするのは,我々プラットフォームホルダーのゴールでもあります。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が落ち着いたら,ぜひ東京のTango Gameworksの皆さんが何をしているのか見に行きたいですね。ファーストパーティのスタジオを日本にも持ち,日本でXboxのプレゼンスを高めていくというのは,我々にとって長年の夢でした。「若いクリエイター達にもチャンスを与える」という彼らのプレゼンテーションを聞きましたが,そんな彼らが何をしようとしているのか,ぜひ聞いてみたいです。
エリン・ロシ氏:
まだ詳しいプロジェクトについてお話しできる段階ではないので紹介していませんが,昨年我々のパートナーになったウィスコンシンのRoundhouse Studios,そしてカナダのノバスコシアに本拠を置くAlpha Dog Gamesについても,続報を楽しみにしてください。
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