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メタルマックスのポチが大活躍する「METAL DOGS」は“伝説のご新規様”獲得のために!? 開発を行った24Frameの友野氏にその真相を聞く
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印刷2021/12/08 10:00

インタビュー

メタルマックスのポチが大活躍する「METAL DOGS」は“伝説のご新規様”獲得のために!? 開発を行った24Frameの友野氏にその真相を聞く

 角川ゲームスのRPG,「メタルマックス」シリーズのスピンオフ作品として,2021年8月にSteamでのアーリーアクセスが始まっている「METAL DOGS」は,同シリーズに登場する“戦闘犬のポチ”が主人公の,アクションゲームだ。

 2021年に「メタルマックス」が30周年を迎えたことを記念した作品であり,2022年4月8日には,PS4版Nintendo Switch版の発売が予定されている(PC Stema版は現在正式リリース未定)。

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 開発は,「メタルマックス3」以降のシリーズ作品を手がける24Frameで,シリーズ生みの親・宮岡 寛氏は直接制作に関わっていないものの,音楽は,シリーズの楽曲を作りあげてきた門倉 聡氏が担当。「メタルマックスゼノ リボーン」PS4 / Switch)の世界観を持つなど,ファンサービスに溢れた作品となっている。

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 一方で「メタルマックス」関連では初となるPC版の先行リリースや,24Frameによる同版のパブリッシングなど,ファンには気になる変化も多い。

 そこで今回は,宮岡氏とシリーズのプロデューサーである角川ゲームス・河野順太郎氏にも同席していただき,24Frameの代表取締役である友野祐介氏に,開発の経緯や,その目的を聞いてきた。

 「メタルマックス」シリーズの一ファンでもあった友野氏が,「メタルマックス」シリーズの開発に関わることになった理由や,シリーズ最新作「メタルマックス ワイルドウエスト」の話にも触れているので,こちらが気になる人も,ぜひ目を通してほしい。

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「メタルマックス3」から開発に参加した友野氏率いる24Frame。そのきっかけとは


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友野祐介氏(右)と,宮岡 寛氏(左)
4Gamer:
 「メタルマックス」シリーズのインタビューでも,何度かお話を伺ってはいますが,あらためて,友野さんの自己紹介をお願いします。

友野祐介氏(以下,友野氏):
 24Frameの代表取締役をしている友野です。以前は,レベルファイブに在籍していて,「イナズマイレブン」のシナリオをメインで書いていたのですが,販売数が100万本を超えたとき,それだけの人が読んでも大丈夫なシナリオをけるようになったと考えて,独立しました。会社は独立してすぐ,2009年に創設しています。


4Gamer:
 友野さんはそもそも,「メタルマックス」シリーズの開発に,どういった経緯で関わることになったのですか。

友野氏:
 会社ができたばかりの頃は,とにかく仕事がなくて……。そんなとき,大ファンである「メタルマックス」シリーズの最新作(「メタルマックス3」)が制作されているというニュースを見て,角川ゲームスに連絡をしたんです。

4Gamer:
 自分から売り込んだんですね。どういったつてを使って連絡を取られたんですか。

友野氏:
 いや,角川ゲームスの公式サイトにあった問い合わせフォームからです(笑)。
 仕事が欲しくて必死で,ということもあったのですが,「メタルマックス」は,一番好きなタイトルでもあるし,自分が関わって何ができるかもわからないけれど,同じ業界なんだから行っておくべきだと思ったんですよね。

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4Gamer:
 ちょっと想定外でした。次に,これは宮岡さんにお聞きしたいのですが,友野さんから連絡がきたタイミングで,「メタルマックス3」の開発はどれくらい進んでいたのですか。

宮岡 寛氏(以下,宮岡氏):
 かなり後半だったと記憶しています。当時のメタルマックスのプロデューサーから「こういう人から連絡が来ているけれど,どうだろう」みたいな感じで(友野氏を)紹介されましたね。
 ちょうど企画屋が欲しいと思っていたところだったので是非にとお願いしたんですが,実際に出してもらったアイデアは,時期もあってそのまま実現するには難しくて。
 即戦力の企画屋として,クエストだとかマップだとかを書いてもらうようなつもりでしたが,最終的には企画と開発をつなぐ現場監督みたいな立ち位置に落ち着いたという感じかな(笑)。

4Gamer:
 なるほど。宮岡さんの求めていた仕事の形とは少し違った方向性だったということでしょうか。

宮岡氏:
 いちユーザーとして,初代「メタルマックス」を遊んでくれていた人が,時を経て今度はスタッフに加わるという,長寿作品ならではの出来事が起きたわけです。
 それはうれしいことなんですが,初代「メタルマックス」のプログラマだった田内君(ディレクターの田内智樹氏)が,その後もずっと僕の右腕として仕様を決めたり企画を手伝ってくれていて,その過程で我々の間に独特の流儀みたいなものが形成されていたんですよ。
 友野くんから出てきたアイディアは,非常にメタルマックス愛に溢れていたのですが,それをその流儀に合わせて揉んで実装していくのは,少し効率が悪いかな……と。

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4Gamer:
 友野さんとしては,それまでと大きく仕事の進め方は変えていないんですよね。

友野氏:
 はい。宮岡さんのやり方はレベルファイブと大きく違うというのをまず感じました。でも,宮岡さんや田内さんのゲームの作り方の方が,少し特殊だと思うんですよ。
 “自覚なく周囲に対して狭き門を強いている”みたいな部分はあったと思いますね。ただ,それだけ濃いものが出来上がるのは間違いないんです。
 ですので,最初は,そのような言語化できない部分でのトーンやマナーを学ぶのに時間がかかったとは思います。

4Gamer:
 ゲーム業界に限った話ではないですが,職人的な気質の人の仕事方法は,すんなり理解しがたい部分がありますからね。

宮岡氏:
 僕は,24Frameさんという会社を当時よく知らず,企画の専門家たちで構成されている会社だと思い込んでいましたから。

友野氏:
 そうなんですか!? 当時の24Frameは,僕の個人事務所というか,フリーのはずが,ちょっと手違いで株式会社化してしまったような感じでした(笑)。 

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4Gamer:
 ゲームの作り方,仕事の進め方が,お互いにずいぶんと違ったわけですか。

友野氏:
 そうですね。今にして思えば,出来るだけ内容をシンプルに考えようというのが宮岡さんの考えだったと思うのですが,当時の僕としては,はたから見ていると「メタルマックス」はシンプルなものではないと思っていた。そこに齟齬があったのかな、と。
 結果として,複雑に見えるものを実現するにもある種の単純化が必要なんだな,というのをそのあたりで覚えていった感じですね。


「メタルマックス」シリーズ30周年記念作として生まれた「METAL DOGS」


4Gamer:
 そんなこんなで,「メタルマックス」シリーズの開発に関わってくることこなった友野さんと24Frameですが,スピンオフ作品の「METAL DOGS」を作ることになったきっかけは何なんでしょうか。

友野氏:
 2021年に,「メタルマックス」シリーズは30周年を迎えました。当初は,「メタルマックス ワイルドウエスト」(旧名:「メタルマックスゼノリボーン2」)を記念作品としてリリースする予定もあったのですが,スケジュールの都合などから,別の作品が必要になったんです。
 そこで,次回作の研究用に開発していたタイトルを,表に出すことにしました。

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4Gamer:
 以前,河野さんには,30周年記念企画として,ポチを主人公にしたミニゲームを考えているといった話は聞いていたんです。ただ,その頃はもっと小規模なゲームになる雰囲気でしたが。

友野氏:
 最初はそう考えていました。ターン制で,自分が一歩動いたら相手も一歩動く……みたいなコンセプトの試作品もあります。とにかく手探りの状態から始まっていて,アクションゲームにシフトチェンジしたり,さらに要素を膨らませてブラッシュアップしたのが,現在の形です。
 簡単なパズルゲームにするという案もあったんですが,ワンアイデアで思い切って作るというよりは,コンシューマ機用ゲームのテイストでいろいろと要素を入れていく感じになり,結果大分大きくなったところがありますね。

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4Gamer:
 24Frameとしては初のPCタイトルですが,プラットフォームは最初からSteamを想定していたのでしょうか。

友野氏:
 はい。Steamで販売されているゲームは,それこそ100円くらいのものから5000円を超えるようなものまであるので,ゲームの規模感や価格などが調整しやすいのかなと思って。また,開発チームとして,PCやSteamタイトルの経験を積みたかったこともあります。

4Gamer:
 30周年記念作として出すのであれば,シリーズ作品と同様に,コンシューマ機で先に出した方がいいのかなとは思いますが。その辺りの企画と監修は,宮岡さんが見ていたりするんでしょうか。

河野順太郎氏(以下,河野氏):
 宮岡さんより先に,自分が企画を見ています。角川ゲームスが「メタルマックス」シリーズを展開する中で,抱えている悩みのひとつとして,“新しいユーザーに興味を持ってもらえない”ことがあります。

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 1991年5月24日にデータイーストから発売された,FC用ソフト「メタルマックス」が今年で30周年を迎えた。権利関係などの理由で,紆余曲折の歴史を歩んできたシリーズを,開発に携わってきた宮岡 寛氏山本貴嗣氏門倉 聡氏などのコメントともに紹介していく。

[2021/08/31 00:00]

4Gamer:
 ファミコンやスーパーファミコン世代なら,名前くらいは聞いたことのあるシリーズですが,若い人は知らないですよね。

河野氏:
 過去のナンバリングタイトルも,一部ダウンロードできるものがあるくらいで,現在遊べる環境がない。レトロゲームとして興味を持ってもらうことさえ厳しいんです。

 そこで,「メタルマックス」を知ってもうための様々なアプローチを模索していたのですが,友野さんから「METAL DOGS」の話を聞いて,これはいいんじゃないかと。
 直感的に誰もが遊べるアクションゲームで,しかも犬がカワイイ(笑)。「メタルマックス」シリーズは,長く犬と寄り添ってきたゲームですし。初代では敵として出てきましたが,2からは味方として一緒に戦ってくれる。

 しかし,味方ではありつつも,そこまで頼もしいというわけではなく,みんなが「守りたい」と感じる存在です。そんなポチが活躍する……というゲームであれば,きっとファンの皆さんも喜んでくれるという可能性を感じました。
 そして,可愛い犬を前面に出すことで,シリーズを知らない人にも手に取ってもらえるのではないかなと。

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4Gamer:
 ファンサービスの作品でもあるが,シリーズの間口を広げるための作品に。ファンの間でもよく言われる,“伝説のご新規様”を獲得するために,あえてこれまでと違ったプラットホームにも挑戦したということですか。

河野氏:
 そうですね。

4Gamer:
 しかし,もともとは30周年のプロモーションとは関係なく開発していたんですよね。それを製品向けに手直しするとなると,必ず相応の時間を取られることにはなる。新規獲得のためとはいえ,最新作「メタルマックス ワイルドウェスト」の開発もあるなか,迷いはありませんでしたか。

友野氏:
 「メタルマックスゼノ リボーン」の開発を終えた後,そのまま次作に行かず,開発チームでマスターアップする経験を積みたいな,という思いがありました。マスターアップを経験したスタッフは,別人のように成長するんですよ。当時は新規のスタッフも多かったので,タイミング的にもやるべきかなと。

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河野氏:
 友野さんがやりたかった“開発者の育成”と,うちが求めた“30周年記念”と“新規にシリーズを知ってもらう”がちょうど噛み合ったんです。そのベースとなるタイトルも存在したので,進めない理由もないですし。

4Gamer:
 ファンのため,新規獲得を獲得しシリーズを盛り上げるため,そして最新作の開発のためといった,3つの目的があるんですね。
 「METAL DOGS」の開発が正式に進むようになってから,ゲームのジャンルや仕様はどのように決めていったのでしょうか。

友野氏:
 やはり,作るからには売れてほしいので,市場分析から始めています。いわゆるローグライクゲーム,ハクスラゲーム,クラフトゲーム,AIを駆使するゲームというトレンドがあるなか,ハクスラ要素というのはもともと「メタルマックス」にあるので,まずその方向を目指すことに。
 さらに,明快なアクションにすれば,シリーズのファンであるなしに関わらず手軽に楽しんでもらえるのではないかということもあって,アーリーアクセス版は,ハクスラアクションというジャンルで進めることにしました。

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4Gamer:
 RPGである「メタルマックス」シリーズとは,これまた随分違うジャンルやゲーム性の作品になりましたよね。そういえば,宮岡さんがスピンオフ作品を作るとしたら,こういうものにしたい,というアイデアはありますか。

宮岡氏:
 過去にも何回か考えたことはあります。戦車を擬人化した「戦車くん」が活躍するゲームとか(笑)。キャラクターを立てた,そういったものがあってもいいんじゃないかと思っているので。

 「METAL DOGS」も,ある意味,キャラクターを立てたゲームですよね。「メタルマックス」シリーズは,いわゆる日本式の,思考型のゲームということにずっとこだわって作ってきたわけですが,「METAL DOGS」は,間口を広げ,誰にでもとっつきやすいアクションゲームとして割り切っている。そういうところは大事にしていきたいですね。

4Gamer:
 少し話は変わりますが,「間口を広げ,新規ユーザーを獲得する」という方法のひとつとして,現在遊ぶことが難しい初代,2,3あたりを,現行のハードに対して移植,またはリミックスする,という話は出ていないのでしょうか。

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宮岡氏:
 いずれやりたいことのひとつです。遊びたいと思った人がいつでも手に取れるという状態にしたいというのはあります。特に2は,いま現在,中古のROMカセットを買う以外に入手する方法がない状態ですので。
 オリジナル版は,その時代にしかできないものですし,今風に作り直すことで失われるものもあると思うので,ベタ移植もアリだとおもいます。リメイクとなると,30年前のゲームということでかなり手を入れなければなりませんから,なかなか簡単ではないと思いますね。
 でも,一番面白いところを今のやり方で作り直してみたいという欲求は,作り手としては当然あります。

友野氏:
 過去作を遊んで欲しいということに関しては,私も宮岡さんと同じ考えです。

「METAL DOGS」の開発,そして自社によるパブリシティ


4Gamer:
 PC(Steam)向けの開発は初めてとのことですが,苦労した点はありますか。

友野氏:
 今までよりも自由になることが多かったです(笑)。家庭用でゲームを出すのは,色々とレギュレーションがあって大変なんだなっていうことに改めて気付きましたね。
 機種依存バグもありますし,同じことをするのに,PlayStation 4とNintendo Switchでは,作り方が違ったりするわけです。例えば名前入力の部分でも,ハード側の文字入力と仕様に合わせて,それぞれ用意しなければならないので。今回はそういうことがないのは楽なところです。

4Gamer:
 コンシューマ版でも発売されますが,移植するとなると,やはり手間がかかるんですよね。

友野氏:
 そうですね。ただ,パフォーマンスのチューニングをしていくなかで,ほかのハードにも応用の効く方法が発見されて,それが技術の底上げになることもあるので,やっただけのことは得られました。

4Gamer:
 その辺りは,次回作の開発にも活きてきそうですね。宮岡さんは,PC向けタイトルの開発をされたことはありますか。

宮岡氏:
 37年前に,ファミリーコンピューター向けに「ドラゴンクエスト」を作りましたが,実はその前にRPG風アドベンチャーを,PC向けに作ろうとしていた時期がありました。
 その作品は,完成するまでには至らなかったので,結果的にはずっとコンシューマ畑の人間なんですよ。

4Gamer:
 友野さんに先を越された感じですね。そういえば,「METAL DOGS」のPC(Steam)版では,パブリッシングも24Frameが担当しているんですよね。これもまた,新しい経験なんではないでしょうか。

友野氏:
 はい。ただ,僕は自主製作映画を作っていたのですが,そこはもう手売りの世界なんですよ。その当時やっていたのは,有名人にコメントもらいに行って,「この映画面白いね」とか言ってもらって,客を呼ぼうとする方法でしたし(笑)。

4Gamer:
 今だと,インフルエンサーやYouTuberにお願いする感じですね(笑)。

友野氏:
 そうなんです。なので,今回もそれに近いことまでは自分たちでやろうと思い,メディアやインフルエンサーにコメントをお願いするといった,手売りに近い方法で進めてみました。
 ある程度の手ごたえは感じたのですが,限界もあったので,アーリーアクセスを配信する時期には,角川ゲームスから,僕らと直接パイプがないところに展開してもらう,という形で助けてもらいました。


4Gamer:
 11月6日に放送された,インディーズゲームを扱う情報番組「INDIE Live Expo Winter 2021」でも紹介してもらっていましたよね。

友野氏:
 ああいった大きな番組やイベントなども有効ですね。当時の自主製作映画は,クリエイターにコメントをもらうっていうのが流行りだったから,僕もそれに乗っかりました。今回は,今のゲームはどうやって成功していったかということを調べて,それに乗っかっていくようにしています。
 コンベンションに出て話題になったとか,メディアに載せてもらってバズったとか,とにかくやれることは何でも試してみるのが大事かなと。

4Gamer:
 角川ゲームスとしては,これまでに宣伝のほかに関わった部分はあるのでしょうか。

河野氏:
 プロデュース的な関わりもありますね。ゲームが最終形に近づくなかで,「こういう要素はあったほうがいいんじゃない?」などの,アドバイスをさせてもらったり。
 PC(Steam)版のパブリッシングに関しては,24Frameがインディーズのスタイルでやった方が合うと思っているので,あまり口を出していません。ただ,ここからのコンシューマ向けのソフトのパブリッシングに関しては,こちらのノウハウを活かして,うちの会社でハンドリングしていきます。

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4Gamer:
 角川ゲームスは,コンシューマソフトのパブリッシング実績が多いですし,24Frameとしても頼もしいですよね。
 そういえば,宮岡さんは,開発やパブリッシングに何か関わったりしていないのでしょうか。

宮岡氏:
 基本的には応援です! 僕にできることはない!(笑)。今のPCには,Steamという素晴らしいプラットフォームがあって,そこが昔とは大きく違っています。
 この仕組みをどううまく使って,作品をゲーム好きの人々に届けるか……ということは,友野さんや24Frameさんはぜひ経験しておくべきだし,私自身の今後の仕事にも活きるだろうなと思っています。

「メタルマックス」シリーズの楽曲を手掛けた門倉 聡氏が本作の制作にも参加


4Gamer:
 では,BGMについても伺いたいと思います。「METAL DOGS」のサウンドコンポーザーは,「メタルマックス」シリーズを通して作曲を担当していらっしゃる門倉 聡氏ですね。

友野氏:
 はい。スピンオフとはいえ,「メタルマックス」の世界観を持つ作品ではあるので,門倉さんにオファーしました。
 過去曲のリメイクをメインにした,ファンサービスありきで考えていましたが,門倉さんが「全部作り直す」と言って,けっこう大変なことになりました(笑)。
 門倉さんは,かなりゲームをプレイする人なので,1ステージ何分くらいで,同じステージを何回くらいプレイするのか,などを考慮しつつ,色々とアイデアを出して作曲してくれています。

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4Gamer:
 門倉さんは,ゲームの世界観やシーンの雰囲気だけでなく,プレイ中の人の気持ちのまで考えて作曲しているんですね。

友野氏:
 ゲームと同じように曲もシンプルに,究極,FC音源でもいいかなくらいに考えていましたが,門倉さんと話して,シンセベースで,音色少な目のアンビエントで行こう,という話にまとまりました。
 シリーズファン向けに,アレンジ曲も用意してあります。「メタルマックス」のBGMは,フレーズがしっかりあって,曲自体の印象が強いんです。だから,変え過ぎるとユーザーの期待を裏切る部分があると思っていたんですが,作った本人は全然恐れず,変えはするけれどもユーザー満足度も下げない,というようなことを平気でやっていて圧倒されましたね。

宮岡氏:
 音楽は,門倉さんに任せておけば大丈夫,というところがありますね。いつも,「こういう曲が欲しい」という新曲イメージを2,3伝えて,それを膨らませていってもらう流れで作っています。
 「METAL DOGS」の曲も聞きましたが,相変わらず上手だなと。今回はアクションゲームということで,いつもと少し雰囲気が違っていて,門倉さんならではのこだわりを感じます。主人公は犬だし,もっとバカみたいに明るい曲があってもいいかなとか思ったりもしますが(笑)。

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4Gamer:
 門倉さんのファンにとっては,シリーズのアレンジ曲だけでなく,新曲まで聞けてしまうぞ,という嬉しさがありますね。

友野氏:
 そうなんです! 思い出を大事にしつつ,新しいものになっているので遊んで確かめてほしいですね。今回,門倉さんには効果音なんかも全部面倒を見てください,と無茶ぶりしているので,そこにも注目してください。

4Gamer:
 楽曲は,何曲くらいに用意しているのですか。

友野氏:
 けっこうありますね。20曲以上あるのかな。

河野氏:
 30弱くらいありますよ。今まさに製品仕様などをまとめているんですが,スピンオフのカジュアルゲームなのに,いつものメタルマックスなみだったので驚きました(笑)。

4Gamer:
 曲を含め,全体的な企画が当初の予定よりも大きいものになっているんですね。

友野氏:
 それもあって,システムなどを実装してバランスを取っていく時間が根本的に足りていないんです。24Frameとして自社開発をやり始めて,今まで自分の担当外であった仕事をすべてやることになって,今までお付き合いのあった会社さんにも,すごくお世話になっていたんだなと改めて感じました。

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コンシューマ版の発売に向けて


4Gamer:
 8月25日には,Steamでアーリーアクセスが始まって,プレイヤーからの反応も多く寄せられていると思うのですが,その辺りの話を聞かせてください。



友野氏:
 「METAL DOGS」ですが,Steamの評価グレードで85%以上の人が“いいね”をつけている状態である“非常に好評”を目標としていました。
 それは無事に達成できたので,まずは「メタルマックス ゼノリボーン」の一歩先にいけたなと思っています。ただ,「これはローグライクじゃない」という声も多く寄せられていて,そこは考えないといけないなと。

4Gamer:
 ジャンルで遊ぶゲームを選定するユーザーからすると,気になる要素ですね。

友野氏:
 毎回イチから始まって,自分のプレイが上手くなる,というのがローグライクの醍醐味だと考えていますが,本作はダンジョンの自動生成はありますがステージクリア制ですし,たしかにローグライク要素は薄いんですね。最初の打ちだし方を間違いました。

4Gamer:
 アーリーアクセス版ですが,宮岡さんは実際に遊んでみてどういう感想を持ったのでしょうか。

宮岡氏:
 聞いていた話と違うなと(笑)。最初は,犬が可愛らしく走り回ってバンバン大砲を打つだけのイージーシューターだと思っていたのですが,しばらくすると,ステージ制だったり,Dr.ミンチという謎のキャラクターがいたり,イメージしていたものとは違う方向性に走ってたんだなあと。
 思ったより「メタルマックス」している。せっかくのスピンオフなんだし,もっと本編から外れてお気楽にやってもいいんじゃないかと個人的には思いましたが,それと同時に,シリーズのファンが喜んでくれそうな作品とも思いました。

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4Gamer:
 時系列としては,「メタルマックスゼノ リボーン」の辺りですし,設定上は次作「メタルマックス ワイルドウエスト」につながる流れも出てくるので,ファンはたしかによろこびそうですね。
 とはいえ,新規を呼び込む作品にもしないといけないわけで。アーリーアクセスに対する声を受けて,正式版に反映される要素はありますか?

友野氏:
 改めて方針を固め直します。ローグライク性を補填する要素として,“ハードモード”を加えたりもしているのですが,当初の「犬が可愛いゲーム」であるべきだ,というところに立ち返ろうと思っています。
 犬のモデリングは,「メタルマックス ゼノリボーン」のときからかなりこだわって作っていて,ほぼ映らないんですが肉球も作ってあるんです。
 “ビューモード”だったり,アクセサリーを着けられたり,犬をより愛でることが出来るコレクション要素を散りばめているので,ステージを巡回していけば,どんどん犬が可愛くなる。これが主軸になるべきだろうと考えをまとめ直して,今そこにまい進しているところですね。

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4Gamer:
 キャッチコピーも少し変わる感じですか。

友野氏:
 そうですね。ローグライク要素もハクスラ要素もあるんですが,一番は,犬を操って敵をどんどん倒していく,そして犬を可愛らしく飾っていくという,カジュアルなゲーム性を楽しんでもらえればと思っています。
 今後の追加要素として,シリーズのファンにはおなじみの装備品なども鋭意制作中です。また,ビューモードでは,さまざまな背景・フレームも用意していますので,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 紆余曲折ありつつ“犬可愛い”に焦点を見定めたことについて,宮岡さんはどう見ていますか?

宮岡氏:
 犬を使って気軽に遊ぶ,という感じのカジュアルシューターはまだ世の中にないですから,その個性を大事にしていきたいですね。

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シリーズ最新作「メタルマックス ワイルドウエスト」に向けて


4Gamer:
 「METAL DOGS」で開発チームが得たノウハウは,「メタルマックス ワイルドウエスト」の進めるうえでどう生かせるのでしょう。

友野氏:
 「メタルマックス ゼノリボーン」のときは,数あるゲームと戦わなければいけない,ほかがやっていることはうちもやろう,というようなことがたくさんありました。
 フル3Dだとか,立体的なUIだとか。最新のゲームと志は同じなんだ……と(笑)。でも今回は,背伸びせず勇気をもって“後退”させて,ステージ制を採用したり,武器改造も緻密にカスタムするというよりはランダムにパラメータを振るということだったり,どちらかというとレトロなテイストに戻りつつあります。

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※「メタルマックス ワイルドウエスト」イメージビジュアル

4Gamer:
 原点回帰ですね。

友野氏:
 そうなんです。ファミコンやスーパーファミコンから続く他社のシリーズ作品が“トリプルA”タイトルになっていくなか,「自分たちも同じ位置にいかないと」と思うこともあったのですが,よくよく考えると,「メタルマックス」は,ここ最近の「ファイナルファンタジー」など,トリプルAのタイトルと争うようなゲームではないんです。

4Gamer:
 「竜退治はもう飽きた!」のキャッチもですし,1作目から,反主流を謳ってますからね。

友野氏:
 センスはあるけれど,高級ではなく,多くもない素材で料理するような,そんな作品だったはずです。ハードウェアの性能が上がり,グラフィックスを含めて上を目指さなければという気持ちもあるのですが,まずは原点を見つめ直し,そこに近づいていかなければならないと実感しました。
 やることを減らせば,作りたいものの精度は上がりますし,僕らなりの“オーソドックス”で勝負していこうと。

河野氏:
 「METAL DOGS」で得た感触,ノウハウは新作にも活きてくるはずです。

宮岡氏:
 シリーズが続いてきたところからは,少し外れる流れになりますけどね。単純に昔に退行するのではなく,昔ながらのよさに目を向けつつ,新しさを追求していくというような感じでしょうか。
 「メタルマックス」は,“映画のようなめくるめくスペクタクルがあって,魅力的なストーリーとキャラクターたちにぐいぐい引っ張られていく”みたいなゲームではないんです。

4Gamer:
 先ほどの友野さんの話と同じで,トリプルA系のタイトルとは違うってことですよね。

宮岡氏:
 そうです。ゲーム内で,自分のやりたいことを延々と掘り下げる魅力……。たとえば,最初はとても歯が立たなかったウォンテッドモンスターを倒せるようになるまでの過程などに血道をあげるものだ,ということです。我々が今後,どこを重視していくか,ゲームとしての面白さをどこに持たせるかを,見つめ直していきたい。

友野氏:
 そのほうが「メタルマックス」の本当の面白さを伝えられると思います。そうすれば,おのずと新規のユーザーも入ってくるのかなと。

4Gamer:
 「メタルマックス」のファンにとっても,それが一番うれしいことだと思います。では最後に,アーリーアクセス版をプレイしている人や,コンシュマー向けの発売後に購入を考えている人に,メッセージをお願いします。

友野氏:
 可愛い犬を操って,爽快に敵を倒しまくってください。見た目もカスタムできます。シューティングアクションとして,気軽にプレイできますので,「メタルマックス」のファンも,そうでない人も,ぜひ楽しんでみてください。

宮岡氏:
 ついにあのポチが単独で敵と戦うゲームが出来ました。犬がモンスターと戦うということ自体がもう,どうかしているので,そのばかばかしさを堪能して,笑っていただければと思います。

河野氏:
 ポチの登場から30年,味方になってからは27年。紆余曲折を経て,なんと主人公になりました。ポチ以外の犬も登場するので,好みのキャラで強大な戦車に挑んでみてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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