インタビュー
[インタビュー]プレイヤーがピクミンと歩いた2年間の総歩数は6兆2555万歩以上! 2周年を迎えた「Pikmin Bloom」のこれまでとこれから
本作は,動物のような植物のような不思議でかわいい生き物“ピクミン”たちと街の探索が楽しめるアプリだ。配信後にプレイヤーが歩いた2年間の総歩数は6兆2555万歩以上,総距離は20億km以上で,なんと地球から火星まで5往復できるほどの距離になると発表されている。
4Gamerは,2023年11月12日に開催されたリアルイベント「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」にて,シニアプロデューサーの小山 顕氏と,シニアプロダクトマネージャーの中島りか氏にインタビューする機会を得た。2周年を振り返りつつ,「Pikmin Bloom」開発やリアルイベントへの熱い想い,初心者に向けてのアドバイスなどを聞いてきたので,本稿にてたっぷりとお届けしよう。
1人でも皆でも楽しめるようになった
「Pikmin Bloom」
4Gamer:
2周年おめでとうございます。今の率直なお気持ちをお聞かせください。
小山 顕氏(以下,小山氏):
皆さんに遊んでいただき,おかげ様で2周年ということで,感謝の言葉しかございません。とくに「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」のようなイベントでは,小さなお子さんも家族と楽しまれている様子を見られることが多く,日々感謝しています。これからも,よろしくお願いします。
中島りか氏(以下,中島氏):
リリースしたばかりのころは,1年後,2年後がどうなるのか,うまく思い描けていない部分がありました。2年が経って多くの皆さんに遊んでいただき,しかも温かく応援してくださる雰囲気のなか運営できるとは想像できていなくて,すごくうれしく,光栄なことだなと思っています。
4Gamer:
この2年間で「Pikmin Bloom Tour」のようなリアルイベントや,アプリ内イベントなど,さまざまな出来事がありました。プレイヤーの皆さんの反応などを含め,とくに思い出に残っていることはありますか。
小山氏:
本作には,1日3回まで街の各所に点在するキノコにピクミンを送って,報酬としてピクミンに花を咲かせるのに必要なエキスがもらえるチャレンジがあります。そのキノコが満員になっているのを見たときは,本当に皆さんがプレイし,楽しんでくれているんだと実感しました。キノコの参加上限を5人から,“キノコおかわりチケット”が必要になりますが最大20人まで拡大したところも含めて,手ごたえを感じています。
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」開催中ということもあり,周囲のキノコはどこも満員になっていましたね。見ていても「こんなに仲間がいるんだ」と,テンションが上がってしまいました。
小山氏:
それにチャレンジしたキノコに合わせたポストカードがもらえるんですよ。京都なら京都,アメリカならアメリカのポストカードがもらえて,しかもフレンドにも送れるという。ソーシャルな楽しみ方もしていただいているなと思います。
中島氏:
ソーシャルという面では,私はウィークリーチャレンジが登場した際に,アメリカの方など,国内外の近くにいないフレンドとも一緒に遊べる楽しさを感じます。この要素はゲーム体験の1つの大きな柱になっていて,やりがいを感じますし,作ってよかったと,うれしさがこみ上げました。
4Gamer:
確かにアプリリリース当時はソロプレイが中心でしたが,ここ最近はフレンドや名も知らぬご近所のプレイヤーと,皆で遊ぶという要素も強化されている印象があります。本作はピクミンたちと散策できる日常に根ざしたアプリですが,継続してもらいやすさは意識されているのでしょうか。
小山氏:
それは,もうね。
中島氏:
意識しまくりです(笑)。
小山氏:
「Pikmin Bloom」は,ピクミンたちと歩いた歩数がカウントされる万歩計としての機能があります。万歩計は1日だけのものではなく,昨日は何歩,今日は何歩と,振り返ることも大事だと思っているため,トップ画面にカレンダーを用意し,中島たちと相談して,何をしたのか見たくなる工夫をしました。実際にその日付の部分を確認したら,頑張った自分が褒めてもらえるという体験を大事にしていますし,それを気楽に見られるアプリになっているのが本作ならではの特徴だと思っています。
中島氏:
また,プレッシャーを与えすぎないことにも気をつけています。気楽にも遊べますし,やりこむ方はとことん楽しめる,プレイヤーのニーズの幅を広く押さえられるようにということを意識しているんです。
4Gamer:
お休みされていた方が,復帰しやすい仕組みなどはあるのでしょうか。
中島氏:
デコピクミンという大きなコンテンツがありますので,「このピクミンに会えるなら,もう1回遊ぼうかな」と思ってもらえるような魅力的なデコピクミンに登場してもらっています。ほかにもアプリがさくさく動くなど,日常のプレイで意識することはなくても,皆さんに快適に遊んでもらえるような縁の下の力持ち的な改善を,この1年はとくに集中して取り組みました。
4Gamer:
デコピクミンは,すべて会いたいと思うほど,かわいいものばかりですよね。
小山氏:
そう言っていただけると,本当にうれしいです。
中島氏:
何種類増えましたっけ?
小山氏:
2023年だけで,175種類ですね(2023年11月12日時点)。イベントと日常で出会えるロケーション含めて,1年間途切れず,いろいろなデコピクミンとの出会いを提供できたと思います。
■2023年に登場したデコピクミン一例
2月:「ピザ」デコピクミン:イタリア料理店付近
3月:「コイン」デコピクミン:みちばたから
4月:「ラーメンのキーホルダー」デコピクミン:ラーメン屋さん付近
5月:「スニーカーのキーホルダー」デコピクミン:5月のお題のクリアによって
5月:「橋のバッジ」デコピクミン:橋付近
7月:「ピクミン4 の宇宙船」デコピクミン:任天堂の「ピクミン4」の発売を記念したイベントのお題のクリアによって
8月:「麻雀牌」デコピクミン:イベントのお題のクリアによって
8月:「ホテルのアメニティ」デコピクミン:ホテル付近
9月:「アイスクリーム」デコピクミン:イベントのお題のクリアによって
9月:「コスメ」デコピクミン:コスメショップ付近
10月:日本限定「おみくじ」デコピクミン:神社仏閣近
4Gamer:
私自身,新ロケーションの追加が発表されるたびに,どんなデコピクミンに会えるのかすごくワクワクしています。やはり開発スタッフの皆さんとしても,プレイヤーを盛り上げたい,楽しんでもらいたいという思いがあるのでしょうか。
小山氏:
もちろんです。それに僕たち開発陣もプレイヤーなので,スタッフが「温泉旅行に行ったんだよ」って話をしたら,「温泉のピクミンに会いたい」という話題になるんです(笑)。いろいろなところを訪れたときに,皆が会いたいピクミンは何だろうと常に話し合っています。
中島氏:
そうですね。出かけた場所で新しいピクミンに出会うというのは,本作のベースでもあるので,大事にしています。できるだけ多くの場所で,違ったピクミンに出会えるようにしていきたいなと思って場所を選定したり,デコピクミンを追加したりしています。
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」の開催前に“おみくじ”が追加されたり,夏休みシーズンに“ホテルのアメニティ”が登場したり,「ここが来るか!」と感じるロケーションが多いですよね。
小山氏:
夏休みや秋の旅行,年始の初詣など出かける方も多いでしょう。皆さんがお出かけする機会が増えるなか,その思い出になるデコピクミンとの出会いを作ることが僕らは大切だと思っています。デコピクミンを含めて,お出かけを楽しみ,振り返っていただきたいです。
4Gamer:
旅先や日常のお出かけに寄り添って,外に出るきっかけを作ってくれるアプリですよね。開発するうえで,気をつけたこと,意識されていることはありますか。
小山氏:
本作に限らずですが,スマートフォン向け位置情報アプリの宿命で,プレイ時に移動する必要があります。安全にプレイしていただくため,危険な場所で立ち止まることがないように,突然走り出したくなることがないようにというのを第一に考えていますね。
先ほどの話でも出たように,その場その場で楽しんでもらえるように,多様なデコピクミンを追加していくことも意識しています。まだまだ足りないと思っているので,そこは期待していただきたいです。
中島氏:
デコピクミンもそうですが,もともとのコンシューマゲームとして展開している「ピクミン」シリーズの世界観を踏襲しつつ,「Pikmin Bloom」らしさをどう表現していくかも日々考えています。ただのモバイル版では,物足りないといいますか,プレイヤーも違うワクワク感が欲しいと思うので,「Pikmin Bloom」ならではの発見があるデザインをクリエイターさんたちが考えて作ってくれています。
4Gamer:
2023年7月21日には,シリーズ新作となるNintendo Switchの「ピクミン4」が発売となりました。その発売時に,「Pikmin Bloom」はコンシューマ版と違って,ピクミンがずっと一緒にいてくれるというのが話題になっていましたね。
小山氏:
僕自身も「ピクミン4」をプレイして,楽しみました。そのなかでピクミンに名前がつけられることは,「Pikmin Bloom」ならではの要素だと,あらためて感じましたね。思い出があって,名前をつけた子が,原生生物(「ピクミン」シリーズにおけるピクミンの天敵)に食べられて魂になる姿を見るのは,誰も喜ばないし,望んでいません。逆にコンシューマ版の「ピクミン」にはドキドキ感や切なさもあって,いい差別化ができたと思いました。
4Gamer:
未知の惑星を冒険できるコンシューマ版に対して,「Pikmin Bloom」はうちの子たちといいますか,ホームに戻ってきた安心感があります。「ピクミン4」の体験版をプレイすると「Pikmin Bloom」でMiiコスチュームをもらえるキャンペーンが行われていますが,それを着た新規プレイヤーが増えた印象を受けました。
小山氏:
そうですね。「ピクミン」IP全体の盛り上がりを強く感じていて,本編と「Pikmin Bloom」の両方にいい効果が出ているなと感じています。
中島氏:
久しぶりにアプリへ戻ってきてくださった方や,CMなど「ピクミン4」のキャンペーンを通じて,新しく始めたという方が多いです。
コロナ禍をこえて,
届けたかったゲーム体験を提供できるように
4Gamer:
日々挑戦の連続だと思いますが,本作の開発や運営で,苦労されたエピソードなどもあれば教えてください。
小山氏:
一番苦労したのは,コロナ禍ですね。お散歩アプリとして外で楽しんでほしいという思いと,安全に過ごしていただきたい気持ちで,ジレンマがありました。現在のようにイベントもできず,プロモーションでもコミュニティでも,伝えたいことをプレイヤーにお届けしきれない部分はたくさんありました。そんななか機能改善していき,2023年は年間をとおしてリアルイベントが開催できるようになったので,本当によかったです。
4Gamer:
アプリの性質上,どうしても外に出るというのは外せない要素ですからね。
中島氏:
「Pikmin Bloom」は,ピクミンと毎日出かけて作る思い出,皆で遊ぶソーシャル性など,複数の要素で成り立っています。どうバランスをとれば,オリジナリティがあってピクミンたちが生き生きした作品になるのか,日々議論を重ねながら進んでいる感じですね。
4Gamer:
そんな試行錯誤して開発・運営されているなかで,手ごたえを感じた瞬間はどんな場面でしょうか。
小山氏:
4月23日に開催した「Pikmin Bloom Tour 2023:札幌」は,我々も大きな手ごたえを感じました。開催地と密着しつつ,参加者の皆様が街歩きを楽しまれている。自分も歩いてみて参加者に無理のない範囲で開催できましたし,回を重ねるごとに,よりよくしていっています。
中島氏:
「Pikmin Bloom」は,ご意見やご感想をSNSで発信する方がほかのアプリに比べて多くはなく,どのように楽しんでくださっているのか知ることが難しい部分もありました。しかしリアルイベントを開催すると,想像以上の熱量を持ったファンの方とお話したり,キノコが満員になっている様子を見たりすると,やってきたことがファンに伝わっているんだなと手ごたえを感じます。
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」も,プレゼントとして配布されたピクミンのサンバイザーやグッズを身に着けて,「ピクミン」を全面に押し出してイベントに参加される方がたくさんいましたね。
中島氏:
我々もサンバイザーの制作時は,あんなに頭につけてもらえるなんて思っていませんでした(笑)。腕や鞄につけたり,もしかして捨てられたりするのでは,と懸念していたんです。ところが皆さん抵抗なく,むしろ楽しそうに被って歩いてくださって,うれしかったです。
4Gamer:
街にピクミンが溢れている様子は,楽しいし,インパクトがありますよね。そんな熱量が高いファンが多い反面,リリースから2年になり,デコピクミンも増え,これから始めるのはハードルが少し高いと感じる方もいるかもしれません。新規の方に向けた施策も,考えられているのでしょうか。
小山氏:
具体的にはお伝えできないのですが,新規の方に向けた施策は,いろいろ計画しています。新規でプレイしようと思ってくださった方が,ダウンロードで長時間拘束されるなんてことはあってはいけませんし,説明も分かりやすく改善しようと話し合っています。
中島氏:
「ピクミン4」をきっかけに新規や復帰者が増えたあたりから,「新規の方が分からないよね」とディスカッションすることが増えました。現時点でできていない部分もありますが,なるべく多くの方に直感的に遊んでいただけるように,改善していきたいなと思っています。
4Gamer:
最近でも,10月にホーム画面などがリニューアルされました。慣れてくると,操作しやすくて驚きました。
小山氏:
UIの操作性もそうですし,アプリの手触りをよくしていきたいです。新規の方たちに楽しんでいただくのはもちろん,リリースから遊んでくださっている方々にも喜んでもらえるように,イベント開催などを含めて頑張っていこうと思っています。
絆を上げ,デコピクミンになる喜びを
早く体験してもらえるように
4Gamer:
始めたばかりの方は一緒に歩けるピクミンが少なかったり,エキスを集められなかったりと,戸惑うことも多いと思います。プレイのアドバイスや,ここを楽しんでほしいというポイントを教えてください。
小山氏:
まずは隊列(一緒に歩ける)ピクミンにエキスをあげて,花びらを回収し,花びらを使って花植えを楽しんでいただきたいです。花植え中はピクミンの苗も育ちやすくなりますし,エキスのもとであるフルーツをピクミンが見つけやすくなります。bloom=花,開花と名前についている通り,花を植えて楽しんでいただくのがいいかなと思います。
中島氏:
プレイヤーのレベルを上げることで,隊列に入れられるピクミンの数が増えます。ただ日常生活のなかで,スムーズにレベルを上げられないタイミングもありますよね。そんなときは,ピクミンとの仲よし度を上げることを頑張ってみてください。ピクミンにエキスを上げることで,仲よくなり,キノコに挑戦するときの強さもアップします。なかには,ハート1つ分いっきに仲よくなれるスペシャルエキスもあります。そうやって絆をあげたピクミンたちと,キノコに挑戦するのも,1つの楽しみ方かなと思います。
4Gamer:
ピクミンとの絆を上げるのは,大事ですよね。私もプレイ当初にエキスを与えていたら,初めてハート4つまで仲よしになったピクミンがいて……。そのピクミンがプレゼントを受け取るために,苗を入手した場所に里帰りしたんです。里帰りから戻ったら,デコピクミンになって,そのときは本当にうれしかったです。
小山氏:
今おっしゃった体験を,新規の方にもスムーズに味わってほしいと,社内でも話しています。一度その体験をしてもらえたら,いろいろなピクミンにより会いたいと思ってもらえますよね。
4Gamer:
最近はイベントの報酬で,少ない歩数で確実にデコピクミンが入手できる金の苗がもらえるようになりました。初心者の皆さんは,イベントに参加して,その苗を育てるところから初めてもよさそうですね。
小山氏:
そうですね。また毎月開催されるコミュニティ・デイも,季節の花のエキスが入手でき,初心者のプレイの一助になっているのかなと思います。うまく毎月のサイクルを生活に取り入れ,イベントや日常のロケーションにいるピクミンと出会っていただきたいなと思います。
大盛況の「Pikmin Bloom Tour 2023:京都」。
幅広い層に楽しんでもらう工夫も
4Gamer:
「Pikmin Bloom Tour」も3回目となりました。ファンの皆さんの反響はいかがですか。
小山氏:
開催するたびに,熱量の高いファンが増えているなと,僕も参加していて思います。すごく楽しんでいただけていますし,先ほど話にも出たように,バイザー姿のピクミンたちがたくさんいます(笑)。その方たちに街を散策していたたくことで,このイベントや「Pikmin Bloom」を知らない方にも「何だろう?」と思ってもらえるので,大きな反響があるいいイベントだなと思います。
中島氏:
第1回の札幌から始まり,どんなイベントか分からないことも多いなか,関東圏などから参加してくださる方もいました。その体験がコミュニティのなかで広がり,第2回の横須賀,第3回の京都も開催することができました。そして「いつになったら,うちに街に来てくれるの?」といううれしい声が届いたり,「次のイベントの抽選申し込みもしなきゃ」と意欲ある感想が届いたりするようになりました。2023年に3回開催したことで,ツアーが皆さんになじみのあるイベントになったのは,大きな収穫です。またプレイヤーと,リアルでの接点ができたこともよかったなと思います。
4Gamer:
ゲームイベントは開催地のファンが集まるイメージですが,「Pikmin Bloom Tour」はピクミンとの思い出作りに,いろいろな地域の方が参加されているんですね。
中島氏:
そうですね。実は今回,私の母も参加しています(笑)。カジュアルに体験できるイベントで,旅行の理由づけにもなるので,遠方からでも参加しようという方が多いですね。
4Gamer:
事前の抽選制ですが,フレンドを誘えるのもいいですよね。一緒にアプリでウィークリーチャレンジをしているフレンドさんと,オフ会感覚で参加して,リアルのコミュニティが広がっていくのも楽しみの1つだなと思いました。
小山氏:
そうですね。僕は今日のイベントで,新しいフレンドも増えました。そうやって交流の輪が広がっている光景は,見ていて心が温かくなります。
4Gamer:
一方,1人でのんびり散策もできて,コミュニティへの参加が強制されていない環境もステキだなと感じています。アプリ内でもキノコチャレンジを近所の名も知らぬプレイヤーと協力したり,11月20日からウィークリーチャレンジで誰とでもグループが組めるようになったり,ゆるくつながる環境づくりをされているのがよく分かります。
小山氏:
その部分も,常に気をつけている部分ではあります。
中島氏:
注意していますね。
小山氏:
職場や自宅の近くにあるキノコに挑戦したり,近所で花を植えたりすることは,プライバシーとの結びつきが強く,気にされる方も多いです。機能を作る際は,プライバシーについてよく議論し,制作するようにしています。
4Gamer:
位置情報ゲームの宿命ですね。今回の開催地となった京都の魅力や,スペシャルスポット選定の意図を教えてください。
小山氏:
京都は日本でも有数の観光都市で,魅力的な場所がたくさんあるので,どのエリアでも開催できるなと思いました。一方で協力してくれる京都市は,オーバーツーリズムが問題になっているので,清水寺や三年坂など観光客がたくさんいる場所で開催するのは,市のためにも参加者のためにもならないと考えました。そのなかで岡崎エリアは,名所がたくさんあり,さらに道も広いということで,総合的な判断で選ばせていただきました。
4Gamer:
京都は名所が多すぎて,どこに行くか悩むほどですよね。今回のスペシャルスポットをまわって,「発電所なんてあるんだ」「和歌に詠まれている場所はここなんだ」なんて発見があって,とても興味深かったです。
中島氏:
地元の方でも発見があるというのもポイントの1つです。実際に暮らしていると生活圏の場所には行きますが,その外には足を伸ばさないという方も多いです。今回も京都在住の方に,「こんな風になっているなんて,知りませんでした」と言っていただけました。誰でも新しい発見があるというのは,スペシャルスポット選定で意識しています。
4Gamer:
動物園など,日常ではなかなか行けない場所も選ばれていて,そのロケーションの金の苗がもらえるのも個人的にうれしかったです(笑)。そこも意識されているんでしょうか。
小山氏:
もちろんです。あと気をつけているのは,移動距離ですね。イベント参加をきっかけに,京都なら有名なお寺さんに行ってみるとか,開催地のいろいろな場所を訪れてほしいと思っています。そのため,スペシャルスポットをまわるだけで1日が終わって,へとへとになるなんてことはないようにしています。第2回の横須賀は真夏で全部回るのは大変でしたが,今回は時期もよく,いい感じにチューニングできたと思います。
4Gamer:
秋の京都なんて,最高の場所ですからね。スペシャルスポットは12個ありますが,特別なお題は7つ訪れるだけでクリアできます。お題クリアだけなら移動距離も短めで,小さな子ども連れの家族でも挑戦しやすそうに感じました。
小山氏:
小さな子やお年寄り,車いすの方も楽しんでくださっているので,距離のバランスも意識しています。歩きなれた方には,全然物足りないかもしれないですけど。
4Gamer:
お話いただける範囲で,今後の展望を教えてください。
小山氏:
これまでどおり,イベントを開催していきます。繰り返しになりますが,僕らが発見できていない場所にピクミンはいて,その出会いをもっと提供していきたいです。これから3周年に向けて,どんなニーズがあり,機能を追加すべきかというのも常に検討していきたいと思います。
中島氏:
1周年から2周年にかけての期間は,大きい目玉がドンとあるわけではなく,小さな改善を重ねたり,リアルイベントを開催したり,総合的な力でプレイヤーの皆さんに楽しみを提供していく方針でした。来年は皆で楽しめ,なおかつ新しい要素もお届けしたいです。きっと,違った色合いの3周年になるんじゃないかなと,私たち自身もワクワクしているところです。これからも楽しく遊んでいただき,忌憚のない意見をSNSやサポートコミュニティ(https://community.pikminbloom.com/jp)で聞かせていただけたらなと思います。たくさんの社員がすごい頻度で皆さんの意見を見ていますので(笑)。ぽろっと言った意見が,実装されることもあると思います。
4Gamer:
「あのデコを身につけたピクミンに会いたい」とか(笑)。
小山氏:
なかには,もう僕らが見つけていて,プレイヤーに紹介するだけになっているピクミンもいるかもしれないですね(笑)。皆さんの意見を大事にしていますので,いつでも,どこでも,ご意見を書き込んでください。
4Gamer:
この2周年に向けては小さな改善をされたというお話で,プレイヤーとしてすごく納得しました。1周年は遊びに慣れることが中心でしたが,2年目はより日常に組み込みやすくなったと感じていたんです。
小山氏:
そう言っていただけるとうれしいです。僕らとしても日々触れていただくのはうれしいですが,できれば朝と夜,少なくとも週の始まりと終わりに見てもらって「頑張って歩いたな」と思ってもらう距離感で楽しんでもらえたらと思っています。その間に,「ピクミンたち,何しているかな」と見に来てもらえたら。
4Gamer:
動いている姿を見るだけで,癒されますからね。また,遠方へおつかいに行ったピクミンの様子を見守る愛情深い方もいます。
小山氏:
海外の方で,あまりにも遠くにおつかいに出してしまって,自ら飛行機に乗って移動して途中まで迎えに行った方がいました。あまりにも長旅になると,心配になってしまうんでしょうね(笑)。
中島氏:
海外の場所によっては,戻ってくるのに130日かかるなんてことも(笑)。
4Gamer:
国内でも旅行先で見つけた苗のピクミンが里帰りすることになって,往復5日間,里帰りさせるとかありますからね。
小山氏:
それも,醍醐味ということでご了承いただきたいです(笑)。
4Gamer:
それでは,締めの質問に入らせていただきます。これだけは,語っておきたい点はありますか?
小山氏:
ぜひメニューのピクミンで,デコ一覧を見てください。2周年イベントに登場した「パズル:2021年秋の思い出」や「パズル:2022年夏の思い出」「麻雀」は,「コレクションを見る」で集めたピースや牌を見られます。パズルだったら,どんな絵柄がそろっているか確認できるんです。我々の説明不足で,気づいている方が少なく……。「コレクションを見る」を知ると,さらにデコピクミンを集めたいと思っていただけると思いますし,集められたときの感銘もひとしおだと思います。
4Gamer:
最後に,ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
小山氏:
いつも,ありがとうございます。2周年の節目を迎えましたが,これからも「Pikmin Bloom」は続いていき,ピクミンたちも増えていきます。これからも,楽しんでいただけたらうれしいです。
中島氏:
プレイヤーの皆さんに見守っていただいている雰囲気を,ヒシヒシと感じております。すべてのプレイヤー様にご満足いただける,スムーズで,分かりやすい運営とは必ずしも言えず,至らない部分もたくさんありますが,その解決を待ってくださったり,プレイヤー同士でフォローしてくださったり,そんなコミュニティを構築できたことは幸せなことだとあらためて思います。これからも,よりよい体験を提供できるように頑張りますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2023年11月12日収録
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