プレイレポート
「大逆転裁判1&2」プレイレポート。危機的状況から逆転を決めるシナリオの秀逸さに加え,個性豊かなキャラクターたちの魅力が1本に
「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」公式サイト
明治を舞台とした2本の法廷バトルがセットに。謎解きなしで物語を楽しめる「ストーリーモード」も実装
「逆転裁判」シリーズは,プレイヤーが弁護士となり,依頼人の無罪を証明するべく法廷で戦うアドベンチャーゲーム。裁判というテーマの珍しさ,絶体絶命の状態から逆転を果たす爽快さ,シリーズ生みの親である巧 舟氏によるユーモア溢れた設定や台詞が好評を博し,2001年からスタートしたシリーズも今年で20周年を迎える。
そんなメモリアルイヤーに発売された本作「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」は,ニンテンドー3DS向けに2015年に発売された「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」と,2017年に発売された「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-」を1本にまとめた移植作品だ。舞台となるのは明治時代の日本と倫敦(ロンドン)。主人公の成歩堂龍ノ介は,殺人事件に巻き込まれたことから自分の中に眠る弁護士としての才能に覚醒し,四苦八苦しつつもさまざまな難事件に挑んでいくことになる。
こうした移植作品を遊ぶときに気になるのは,既プレイの人に向けた追加機能などの有無だろう。再びゼロからプレイし直して新たな発見をしたり,かつてと見え方が異なるシーンを探してもいいが,特定のシーンだけを見返したいとか,忙しくて時間が足りないので手軽に遊びたい,といったニーズも存在するのは確かだ。
そんなときに役立つのが「話をえらぶ」と「ストーリーモード」である。「話をえらぶ」では最初からすべての話と章が開放されているため,お気に入りの章をいきなり遊ぶことが可能だ(なお,章の名前に一部ネタバレが含まれるため,初プレイで物語を楽しみたい人は選ばないことを強くオススメする)。
そして「ストーリーモード」をONにすると,自分で謎解きすることなく,映像作品を見るような感覚で物語を進められる。初プレイの人にはぜひ自力で謎を解いてもらいたいが,物語のみを楽しみたい人はこちらを活用するといいだろう。
また,特別付録として,「ミュージアム」「番外編」「衣装変更」「特別映像」が収録されている。ファンならピンときたかもしれないが,オリジナル版の有料DLCなど,さまざまなコンテンツが含まれている。
設定資料や楽曲を観賞できる「ミュージアム」とショートストーリーを見られる「番外編」は,DLC「ランドストマガジン」のもの。クリア特典のイラストが新規収録されているので,かつて購入した人も楽しめるだろう。早期購入特典として蔵出し設定画や楽曲も用意されているので,ファンはお見逃しなく。
「衣装変更」は「大逆転裁判2」用DLC「コスチュームパック」の再録だ。龍ノ介と彼を助ける法務助士・御琴羽寿沙都が英国風の装いとなり,逆に倫敦のシャーロック・ホームズは和風の服を着るという“逆転”が面白い。
そしてもっとも注目したいのが「特別映像」だ。東京ゲームショウなどのイベントで上映された「大特別法廷」「特別法廷2017」,そして発売前カウントダウンとして公開された「成歩堂龍ノ介の罪深き七日間」がゲーム内で閲覧できる。そのなかでも「大特別法廷」「特別法廷2017」については,ファンなら人で一杯のイベント会場で食い入るように観賞した記憶が蘇ってくるのではないだろうか。
収録タイトルの1話あらすじと見どころを紹介
■「大逆転裁判」第1話「大いなる旅立ちの冒險」
ある日,高級西洋料理店「ラ・クワントス」で英国紳士が何者かに殺害される事件が発生した。主人公の大学生・成歩堂龍ノ介はたまたま現場に居合わせてしまったがために事件に巻き込まれ,容疑者となってしまう。もちろん,これはえん罪であるのだが,日本政府はなんとかして罪をでっち上げ,龍ノ介を犯人に仕立て上げる必要があった。なぜなら日本と英国は条約締結を控えたデリケートな時期で,“英国人が殺されたうえ,犯人はわからず野放しになっている”という醜態を絶対に避けなければならなかったからだ。
龍ノ介は親友であり弁護士の亜双義一真の助力のもと,自らを弁護することとなった。法律にはまったく素人の龍ノ介だが,殺人の濡れ衣を着せようとする証人たちのムジュンを暴き,見事“逆転”することができるだろうか……。
「大逆転裁判」の記念すべき第1話。龍ノ介は法律の知識がまったくないうえ,法廷の恐ろしい雰囲気に呑み込まれており,発言すらまともにできないという有様だ。加えて証人たちは龍ノ介をなんとしてでも陥れようとしてくるのだから,まさに絶体絶命の危機と言える。
そんな1話の見どころは龍ノ介の変化と,危機からの逆転。すべてはここから始まるわけで,オリジナル版をプレイ済みの人にとってはとくに感慨深いものがあるだろう。また,龍ノ介の無実を一切疑わない熱血漢,亜双義の活躍もすばらしく,1話にして彼の魅力にやられてしまった人も多いのではないだろうか。
■「大逆転裁判2」第1話「弁護少女の覚醒と冒險」
大日本帝国と大英帝国が緊張した国交関係のなか,英国からの留学生が何者かに殺害される事件が発生する。容疑者とされたのは,龍ノ介をサポートする御琴羽寿沙都の親友である村雨葉織。寿沙都は親友を救うために女人禁制とされる法廷に男装をして乗り込むのだった。
いきなり法廷,いきなりクライマックスという,逆転裁判シリーズの魅力を煮詰めたような話となっている。凛々しい寿沙都の男装姿も見られるなど,ツカミはバッチリだ。「葉織が被害者を突き刺している」決定的シーンが写真に収められているという危機をいかにして乗り越えていくのか,思わず物語に引き込まれてしまう。
この話の面白いところは,「大逆転裁判」からの時間の経過だ。かの文豪を思わせる夏目漱石,線の細い美青年の細長 悟,検事の亜内武土,そして“とある人物”といった面々はいずれも「大逆転裁判」に登場した人物。時代が移り変わると共に彼らの境遇や心境にも変化が与えられているので,ぜひその部分に注目して遊んでほしい。
逆裁ファンはもちろん,シリーズ未プレイの人にもオススメしたい1本
本作は基本的に事件を調査する「探偵パート」と,法廷で対決する「法廷パート」からなっている。法廷パートでは,証人の発言からムジュンしている部分を見つけ出し,これを「つきつける」ことで偽証を崩すシステムが特徴的だ。どこがムジュンしているかはプレイヤー自身が判断しなければならないし,つきつけることができる回数にも制限がある。アドベンチャーゲームと推理をうまく組み合わせ,コマンド総当たりから脱したユニークなシステムと言えるだろう。
「大逆転裁判」のキャラクターたちはモーションキャプチャと3Dグラフィックスで作られており,まるでイラストがそのまま動いているかのように生き生きと描かれる演出も見逃せない。最初は目が泳ぎまくっていた龍ノ介が裁判のなかで凛々しくなっていく姿や,亜双義の熱血漢らしいキレのある動き,寿沙都の可愛らしさ,ヘンなポーズを決める漱石のユーモラスさなど見どころも多い。シーンごと活発に動くキャラクターたちから目が離せなくなるはずだ。
さまざまな演出がある本作だが,筆者がとくに面白いのと感じたのは龍ノ介とホームズの「共同推理」システムだ。ホームズは倫敦で手を貸してくれる(自称)名探偵なのだが,彼の観察力と推理力は卓越しすぎており,そのままでは真相から離れたブッ飛んだ結論が出てしまう。例えば,荒れた室内を見て「ライオンを飼っていたに違いない」と言い出すのだからとんでもない。そこに龍ノ介がツッコミを入れて修正していくのがこのシステムだ。
ここの演出は全体的に舞台っぽくなっていて,龍ノ介やホームズがキレッキレにポーズを決めるとスポットライトが灯って注目すべき場所を照らし出したり,ぐるりとカメラが動いてアングルが切り替わったりする。小気味よい動きとメリハリの効いた演出は見ていて飽きることがない。推理がまるでアクションゲームの合体技のようにも見えるのが面白いところだ。3Dグラフィックスとモーションキャプチャをアドベンチャーゲームに使ったユニークな手法であると同時に,キャラクターの魅力も引き出されており,要注目の演出と言える。
さまざまな伏線を張った「大逆転裁判」と,これを見事に回収した「大逆転裁判2」。前後編的な構成となっている2作品がセットになった本作は,すべて終わらせれば大きな満足感を味わうことができるだろう。逆裁ファンはもちろんのこと,シリーズに興味があったがいまだ未プレイという人にもぜひ遊んでもらいたい1本だ。
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