プレイレポート
「Expeditions: Rome」プレイレポート。古代ローマを舞台に繰り広げられる壮大なターン制RPG
つい先日には,旅の友となるコンパニオンキャラクターやトレイラーが公開され,より具体的に本作の世界をイメージしやすくなったが,本稿では実際に序盤をプレイし,気になるゲーム内容にさらに迫っていこう。
「Expeditions: Rome」公式サイト
仲間とともに戦い,信念を貫き,ローマの未来を切り拓け
主人公は,政敵に父親を殺され,家族と共にローマから落ちのびることになった若者だ。波乱に満ちた情勢の中で,ギリシャ反乱の鎮圧軍に身を潜めながら力を蓄え,野望のため軍団長を目指していくことになる。
主人公キャラクターの性別は,男女から選択できる。男性は名前のほか,姓とニックネームを設定できるのだが,古代ローマは女性にファーストネームを与えなかったという歴史に基づき,女性キャラクターは,姓とニックネームのみ設定可能となっている。
ただ,性別の違いで作中人物のセリフが変化することはあるものの,展開自体が大きく変わることはなさそうだ。
主人公の容姿もカスタマイズできる。顔や肌の色,髪型,身長のほか,会話シーンなどで表示される主人公のイラストもいくつかの候補から選ぶことが可能だ。髪の色も,当時の人たちがこぞって染めたという金髪や赤毛なども選択でき,時代考証に忠実な設定になっている。
ゲームの難度は,ローマの有名な人物になぞらえ,アウグストゥス(イージー),カエサル(ノーマル),ポンペイウス(ハード),クラッスス(インセイン)の4種類。最初からすべての難度が選択でき,プレイ中いつでも変更可能だが,難度によっては受け取れなくなる実績が出てくる可能性があることには注意したい。
また,難度設定とは別に選択できるモードとして,パーティメンバーが戦闘中に出血すると死亡し,ストーリー上密接にかかわるメンバーや主人公が死んでしまうと即座にゲームオーバーとなってしまう“戦闘死”と,手動セーブと複数のデータのバックアップが不可能になり,任意のデータからのやり直しが一切できなくなる“鉄人”の2つが用意されている。
いずれも,プレイ難度をさらに上げ,緊張感を高める要素なので,腕に自信のあるプレイヤーは挑戦してみるのもいいだろう。
プレイヤーの行動にゆだねられる物語の行方
ゲームプレイの主軸となるのは,ストーリーを進めるためのメインクエストと,世界をより深く理解し,楽しめるサイドクエストだ。サイドクエストのクリアは必須ではないが,メインクエストと同様に,アイテムやお金,EXPが報酬として得られるので,できるだけ挑んでおきたい。
カエサルやアグリッパなど,ローマを語るうえで欠かせない人物も登場する |
また,物語の行方は,プレイ中に出現する選択肢などで変化する。旅のさなかに起こるさまざまな出来事や,NPCとの会話のなかで発生するあらゆる対応・発言が,主人公の未来を徐々に作っていくのだ。
そして,その行動や結果に影響をもたらす要素として,主人公の持つ“パーク”がある。パークは,相手を説得するためのテクニックで,習得している種類によって,選べる選択肢の内容やその結果が変化する。
プレイ開始時に,自分の権威や能力を利用するパワープレイの“エートス”,論理的な会話運びで相手を納得させる“ロゴス”,刺激的なレトリックなどで人心を掌握する“パトス”の3種類から選択できるのだが,プレイを続けていくと,複数のパークを習得するチャンスもあるようだ。
習得しているパークによって,選べない選択肢も出てくる |
パークの種類によって,予想通りの結果を後押ししてくれるシーンももちろんあるが,怪しいふたりの人物どちらかに加担しなければならない時などは,“選びたい側と逆のほうに味方してしまう”といった,思わぬ結果になることも。そうそう都合よく物事が進まないところは,少しリアルだったりもするのだ。
プレイヤーの行動は,主人公だけでなく,仲間である親衛隊たちにも影響を与える。彼らは,それぞれの思想や思惑が異なり,盲目的に主人公を崇め肯定しているわけではない。例えば,反抗的な捕虜の処遇をどうするか迫られたとき,「殺してしまおう」と言えば,ある仲間は賛同するかもしれないが,嫌悪感を示す仲間もいるのである。
あまりにも仲間の忠誠度が下がってしまうと,パーティを離脱してしまうこともあるため,各キャラクターの忠誠度には常に気を配っておく必要があるのだ。
親衛隊を率いてフィールドを探索。戦闘に備えて戦意の維持やアイテムの収集も
ワールドマップ上の親衛隊たちは,プレイヤーの指示のもと,ロケーションを見つけながら移動する。移動をするとゲーム内の時間が経過し,8時間ごとに糧食を消費。水分補給の概念もあるので,あてもなくさまよっていると親衛隊は脱水状態に陥り,戦闘時の移動力が下がってしまう。
糧食は,自身が平定した居留地や戦いのなかで調達し,水はマップ上に点在する井戸や居留地でこまめに補給しなくてはならない。
ワールドマップの上部にはタイムラインが表示され,ゲーム内の時間経過を見ることができる。ここでいつ食料を消費するかを確認できるほか,傷ついた仲間の治療状況やミッション進行の残り時間,兵力の回復タイミングなども確認できるので,できるだけ良好な状態を保てるように行動したい。
まだ主人公と親衛隊が到達していないエリアは黒いもやがかかっている。探索を行ない,徐々に勢力を伸ばしていこう |
マップに散りばめられたロケーションには,居留地やクエストの舞台となる神殿や遺跡などのほか,占領すれば自身の居留地をアップグレードできる農場,採石場,製材所,皮工場などもある。
装備品や消費アイテム,クラフトや交易に役立つ回収品が手に入るかもしれないので,宝探し感覚で積極的に入手していきたい。
ストラテジー要素の高い戦闘は軍団による拠点制圧と白兵戦の2種類
プレイ開始直後にさしあたって行うべきは,周辺地域の平定だ。重要な人物との会話や,さきほど説明した探索なども進めたいところだが,まずは,マップ上にある敵の居留地を自軍のものにしなければ始まらないのである。
居留地を手に入れるには,任命した百人隊長の率いる自軍を目的となる拠点へと送り込む必要がある。自軍を派遣することで“軍団ミッション”が発生し,敵軍との戦いがスタート。戦闘はオートだが,交戦中に何度か戦略の指示を要求されるので,現在の戦局に適したものを選ぶ。
戦闘シーンは両軍のアイコンが並ぶだけのシンプルなものだが,明快かつテンポよく進むのが楽しい。
硬派なインタフェースである |
親衛隊を従え,自ら敵地へ潜入した場合などに発生する白兵戦は,本作の最も大きな楽しみのひとつだろう。戦闘はターン制で行われ,準備フェーズで戦闘に参加させる各ユニット(キャラクター)の立ち位置を設定したのちに開始される。
ユニット行動はポイント制で,それが尽きるまでは移動や攻撃を繰り返し実行できる。ポイントが残っていれば,一度行動を終えたユニットを再度指定して行かすことも可能だ。
ポイントはユニットごとに独立していて,さらに命令を実行している間に,別のユニットに指示を出すこともできる。慣れてくれば次々にユニットを動かし,更にテンポのいい戦闘を作り出すことができる。もちろん,敵も同じルールで行動をしてくるので,互いの自由度が高いぶん,気の抜けない戦いとなるだろう。
敵ユニットへの攻撃など,戦闘中のアクションは“スキル”と呼ばれる。武器の種類に紐づいているものもあるが,レベルアップすることで得られるポイントを使って,スキルパネルから開放できるものもある。ある程度は任意の順に開放できるので,今の自軍に必要なものを吟味するといいだろう。
スキルは,使用する際にポイントを必要とするもの,1回の戦闘のなかで使用回数が定められているものなど特性はそれぞれで,例外もあるが基本的に1ターンに1回のみ使用可能だ。
白兵戦は,各ユニットが持つスキルの組み合わせや,遮蔽物や高低差などの地形,クラス(兵種)と攻撃特性の相性などを考慮しながら戦わないと苦戦することが多い。何度も戦闘を重ね,よりよい構成をコツコツ作っていくことは大きなやり甲斐になるだろう。
大軍を指揮し地域の平定を目指す軍団ミッションと,よりテクニカルなストラテジー要素を楽しめる親衛隊を率いての戦闘は,ともに戦う仲間たちの強さも重要だ。そのため,探索によって得たアイテムなどを使用して,居留地の設備をアップグレードしたり,アイテムの改造も進めていく必要がある。そのため,何度も繰り返しプレイしたくなる。
また,先に述べた選択による物語の変化も,いろいろな展開を見てみたいところ。古代ローマ時代の人物になりきって行動し,自分の選択によって歴史が作られていくというドラマチックなストーリーは,ローマ史ファンなら特に惹かれるはず。
なお,Steamのストアページではデモ版が配信されているので,気になる人はまずこちらをプレイしてみるのもいいだろう。
「Expeditions: Rome」公式サイト
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