プレイレポート
「ファルコニア ウォリアーエディション」プレイレポート。愛する鷹と大空を駆けるファルコニアたちの人生を体験しよう
「ファルコニア ウォリアーエディション」は,オランダの個人ゲーム開発者であるトーマス・サラ(Thomas Sala)氏が手がけた「The Falconeer」をPS5/PS4/Switch向けに移植したものだ。ゲーム本編と,新たな武器などを追加する「The Hunter」,3つのキャンペーンを楽しめる「Edge of the World」という2つのDLCがセットになっている。
本作の舞台は,広大な海に点々と島が浮かぶ「アーシー」という世界。そこでは,人の思い出や魂を空飛ぶ「ファルコン」が運ぶと信じられている。このファルコンを操るのがタイトルにもなっている「ファルコニア(ファルコン使い)」なのだ。
現在のアーシーは強大な帝国が治めているが,貿易を行う「フリーハウス」,テクノロジーを独占する「マンサー」,見境なく人々を襲う「海賊」など,さまざまな勢力がしのぎを削っている。文明レベルは地球でいうところの大航海時代に近いイメージだろうか。帆船や飛行船が軍事利用されているのに加え,ファルコンなどの飛行生物「ウォーバード」が戦争の要となっており,軍人や民間人などさまざまな立場のファルコニアが存在している。プレイヤーは人々の記憶を渡り歩く「スプリンター」となり,激動の時代を生きる複数のファルコニアたちの人生を追経験していくのだ。
トゥーン調のグラフィックスで描かれるアーシーの世界は,重苦しい雰囲気を漂わせながらも美しい。プレイしているとゲーム内でも時間が流れていくが,ぼんやりとした太陽が昇る不吉な夜明け,薄暗い昼間,オレンジ色の空が不気味な夕方,雲の切れ目に星が輝く夜……と移り変わっていく景色に目を奪われる。まるで,滅び行く世界をじっと眺めているような気分になる。
本作はゲームを通して1人の主人公を操作するのではなく,チャプターをクリアするごとに新たな主人公を選ぶ形式となっている。プレイヤーは,主人公たちの人生の一部を体験しては,チャプタークリアとともに別の主人公に視点を移すということを繰り返していくのだ。
主人公たちは能力値の違いはあれど,強烈に個性を主張しているわけではないので,プレイしていると,どこか遠い所から歴史の流れを見る傍観者のような気持ちになってくる。ア−シーで巻き起こる戦いには,ある種の無常感もあり,歴史小説を読んでいるようにも感じられる。
そんなアーシーで任務をこなして経験値やお金を獲得し,レベルを上げ,パワーアップアイテムである「突然変異源」でウォーバードの能力を高めたら,さらに困難な任務へと挑む……というのが,本作の大まかな流れだ。ファルコニアが乗れるウォーバードは,ファルコンやドラゴンなど多種多様。それぞれ能力が異なっているので,好みのものを選ぼう。
主人公が受けられる任務には,物語が進む「ストーリー任務」と,経験値やお金を稼げる「フリー任務」の2つが存在する。内容は,敵を撃墜したり,味方を護衛したり,ウォーバードで荷物を運んだりとさまざま。ストーリー任務で詰まった場合も,フリー任務でお金を稼ぎ,ウォーバードの能力や武器を強化して再挑戦すればクリアできるバランスになっている。
本作のゲームジャンルを一言で表現すると,“フライト系アクションRPG”といったところだろう。ウォーバードに乗っての空中戦がメインに据えられており,PC版はフライトスティックにも対応している。
フライトスティック対応なんて話を聞くと「ガチなフライトシムのように難しいやつなのだろうか……」と思う人もいるかもしれないが,心配は無用だ。ウォーバードは,かなり自由に飛べるし,無茶な動きをしても失速や墜落しない。垂直に水面へ突っ込んでもペナルティがないどころか,場所によっては魚を捕まえて体力回復も行える。思う存分飛び回って,敵を撃墜していこう。
空中戦では,敵の動きを予測して背後に食らいつき,機銃で狙い撃つドッグファイトが楽しめる。もちろん,敵も同じように後方へ回り込んでくるので,連続で攻撃を受けてしまえばあっという間に撃墜されてしまう。
ここで重要になるのが青いゲージで示される「エネルギー」を使った特殊行動だ。ウォーバードはエネルギーを使って高速飛行の「ダッシュ」や,きりもみ回転しながら軸をずらす「ロール」といったアクションが行え,これを使って敵の攻撃を巧みにかわしていける。エネルギーは時間経過でゆっくりと回復するが,高い所から急降下すれば一気に増やすことも可能だ。戦闘機同士の空中戦でも,相手よりも高い所に位置取り,降下しながらスピードをつける戦法があるが,こうした“位置エネルギーを速度に変換する”という空中戦のセオリーをゲーム的にうまくデフォルメしている。
空中戦では,機銃でのドッグファイト以外にも,海面に漂っている敵の機雷をウォーバードの足で拾い上げてぶつけたり,海にいる魚を捕まえて体力を回復できたりする。一般的なフライト系ゲームではただの背景になりがちな海面に意味を持たせているのが面白い。また,機銃を撃ちきったら,雷雲に飛び込んで充電する必要があり,その光景は豪快で迫力がある。
一方でプレイしていていくつか気になる点もあった。
チャプターを終えると主人公が変わるのは前述の通りだが,レベルは次の主人公に引き継がれるものの,ウォーバード用の装備や突然変異源はリセットされてしまう。再びフリー任務で稼いで買い直せばいいとはいえ,せっかくの稼ぎがふいにされてしまうことに抵抗を感じる人もいるかもしれない。
また,敵との空中戦は勝つにしろ負けるにしろ極端な状況が多い。敵が多いのに加え,後方や側面から撃たれていても分かりづらく,戦闘機のようにチャフやフレアで攻撃を無力化するといったこともできないため,基本的には近い間合いで機銃を撃ち合うことになる。コンティニューを繰り返すので,ミッション中にチェックポイントがあって,クライマックスの戦闘からすぐに再挑戦できるほうがよかったと思う。
ともあれ,世界の終焉を感じさせる幻想的なアーシーは印象的で美しいし,大空をウォーバードでフライトしているだけでも楽しい。任務を受けずに世界各地を自由に飛び回り,遺跡や島を見つけるのも,フォトモードであちこち写真を撮影するのもいいだろう。広大な空を相棒のウォーバードと飛び回りたい人は,本作をチェックしておこう。
PS5版「ファルコニア ウォリアーエディション」(PlayStation Store)
PS4版「ファルコニア ウォリアーエディション」(PlayStation Store)
Switch版「ファルコニア ウォリアーエディション」(My Nintendo Store)
「ファルコニア ウォリアーエディション」公式サイト
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ファルコニア ウォリアーエディション
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The Falconeer(C)2021 Tomas Sala. Published by Wired Productions Ltd and developed by Tomas Sala. The Falconeer and The Falconeer logo are trademarks of Tomas Sala. All rights reserved. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
The Falconeer(C)2021 Tomas Sala. Published by Wired Productions Ltd and developed by Tomas Sala. The Falconeer and The Falconeer logo are trademarks of Tomas Sala. All rights reserved. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
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