プレイレポート
「ソニックカラーズ アルティメット」プレイレポート。ハイスピードアクションを楽しめるシリーズ屈指の名作がパワーアップして帰ってきた
本稿では,11年の時を経て30周年のアニバーサリーイヤーに復活した名作の,PlayStation 4版プレイレポートをお送りする。
「ソニックカラーズ アルティメット」公式サイト
11年前は任天堂のWiiが既に円熟期に入っていた頃で,「ソニックカラーズ」よりも前にリリースされたWii向けのソニックシリーズ作品は,バーチャルコンソールを除いても7タイトルにのぼっていた。「ソニックと秘密のリング」や「ソニックと暗黒の騎士」など,Wii独自のプレイスタイルを提示したものもあったが,この「ソニック カラーズ」は,本来のハイスピードアクションへと回帰した内容でリリースされた。
一方,ソニックシリーズにおける新たなゲームデザインにもチャレンジしていて,それが後のタイトルにも継承される「カラーパワー」だ。「ウィスプ」と呼ばれる小さな宇宙人の力を借りることで,ソニックに特別なパワーが宿り,独自のアクションを行えるというもの。ステージ上で助けたウィスプによって異なるパワーを得られ,アクションの幅が大きく広がり,行けなかった場所への移動を可能としてくれるのだ。
カラーパワーによってソニックが多彩なアクションを行えるので,本作はメインキャラクターを主人公のソニックとサポート役のテイルスのみとしているのも,シリーズとして興味深い点だ。
舞台となるのは,ドクター・エッグマンが作り上げた遊園地「エッグプラネットパーク」。エッグマンが何かを企んでいるのは間違いないが,事前のストーリーなどでは明かされていない。エッグマンはこのパークの運営にかなり乗り気のようで,ゲーム中では自らアナウンスを担当している。ちなみにWii版とDS版に付属した説明書は,エッグプラネットパークのガイドブック風の装丁で作られていた。
さて本題となるこの「ソニックカラーズ アルティメット」だが,改めてプレイすると,オリジナルの「ソニック カラーズ」の完成度が非常に高かったことを感じさせてくれる。
現在の3Dソニックシリーズの定番である,画面奥や手前に進むフォワードビューシーンと,2Dライクなサイドビューのシーンが融合したハイスピードアクションで,ソニックのアクションもおなじみのスピンアタックジャンプやホーミングアタックに加え,スライディング,ストンピング,クイックステップ,ドリフトなど,前作の「ソニックワールドアドベンチャー」から受け継いだ進化形のアクションも健在だ。
各ステージは設定通り遊園地そのもので,巨大観覧車が美しい「トロピカル リゾート」を筆頭に,巨大なお菓子が山岳地帯となった「スイート マウンテン」,SFライクな宇宙空間「スターライト カーニバル」,ウィスプ達の母星「プラネット ウィスプ」など,見た目だけでなく,個性的なギミックも楽しいステージが複数のアクトに分かれて存在している。
本作の開発では「何が起こっても不思議じゃない楽しい舞台」として,このようなファンタジックな世界観を設定したと,飯塚 隆プロデューサーは当時の4Gamerのインタビューで語っている。
セガのソニックアクション集大成として制作されたWii/NDS「ソニック カラーズ」。その制作秘話をプロデューサーの飯塚 隆氏とディレクターの岸本守央氏に聞いてきた
本日(11月18日),セガの看板キャラクターであるソニック・ザ・ヘッジホッグが主人公のアクションゲーム「ソニック カラーズ」(Wii / NDS)が発売された。今回4Gamerでは,Wii版/NDS版のプロデューサーである飯塚 隆氏と,Wii版のディレクターである岸本守央氏にインタビューを実施し,いろいろと話を聞いてきた。
そんなステージの要所には,ウィスプが入ったカプセルが置かれている。最初に出会う「ホワイトウィスプ」はソニックが急加速する「ブースト」のエネルギーとなるわけだが,それ以外の8色は,まったく違ったカラーパワーを発揮できるようになる。
壁やクリスタルに反射して高速移動する「シアン・レーザー」,地面やカラーブロックを掘り進む「イエロー・ドリル」,衝撃波を与えるのと同時に特定の障害物を入れ替える「ブルー・キューブ」,ロケットになって急上昇する「オレンジ・ロケット」,空中を浮遊する「グリーン・ホバー」,天井や壁を走れる「ピンク・スパイク」,狂ったように暴走する「パープル・フレンジー」に加え,本作では新たに宙に浮いて壁の向こうにいる敵も倒せる「ジェイド・ゴースト」が登場した。
目にも止まらぬスピードで反射移動をするシアン・レーザー。発動時のボイスも熱い(ボイス担当は立木文彦さん) |
地面を掘り進んでいくイエロー・ドリル。水中でも移動が可能 |
オレンジ・ロケットはまっすぐ上に大ジャンプ。飛んだ先には何かがあることが多い |
ブルー・キューブは周囲の「ブルーブロック」と「ブルーリング」を入れ替える性質がある |
ゆっくりと滑空飛行をし,ボタンで浮遊するグリーン・ホバー |
スパイクのある球体となって壁を伝って動けるピンク・スパイク |
パープル・フレンジーは凶暴な生物となってブロックなどを食べて大きくなっていく |
新たなカラーパワー,ジェイド・ゴースト。浮遊して移動し,壁の向こうの敵を倒せる |
普段のソニックにはできない特別なアクションを行えるこれらのカラーパワーは,ステージの特定の場所で使うことで,新たなルートを開拓できるようになる。ここで面白いのは,多くのステージで,初回プレイ時にこれらのウィスプ達が開放されていないこと。別のステージをクリアすることで,特定のウィスプ達が開放され,その後リプレイをするとウィスプによって新たなルートが開放されるという仕組みだ。
このようなゲームシステムが構築されていることから,各ステージを最初にプレイするときは,怪しいと思えるところもあえてスルーし,目に付いたギミックなどに任せてクリアして,ウィスプの開放後にリプレイしてみるのがいいだろう。実際に,ウィスプの開放後にリプレイをしてみると,思いもしなかったところにルートが存在したということもあった。
ステージ中に隠された「レッドスターリング」や「パークトークン」の探索,クリアまでのアクションによってランクが決まるシステムなど,同じステージを何度もプレイして極めていく感覚は,ある意味レースゲームにも近いように思えた。
この「ソニックカラーズ アルティメット」では,いくつかの新要素が追加されている。前述の新しいカラーパワー「ジェイド・ゴースト」は,2019年発売の「チームソニックレーシング」で登場したもので,効果中の見た目や宙に浮かぶ感覚がグリーン・ホバーと似ているが,こちらは自由に飛行できるという特徴を持っている。また壁の向こうにいる敵などをロックして攻撃することで,その壁を通り抜けることも可能だ。
このウィスプの登場により,Wii版では行くことのできなかった場所にも新たなルートが構築されている。ジェイドウィスプが配置された場所は覚えておいて,周囲の様子を色々探索してみるといいかもしれない。
操作ボタンやソニックの見た目を変えるカスタマイズ要素も実装されている。Wii版ではボタンが固定だったため,意外にボタンをたくさん使う本作でのカスタマイズ機能追加は嬉しい。また本作をWii版のアサインでプレイしたい人にも向いている。
そして見た目のカスタマイズは,ゲームプレイ中のソニックのグローブ,シューズ,オーラ,ブーストの4項目を変更できるもの。ゲーム自体に直接の影響はないが,通常とは違う印象のソニックでプレイができる遊び要素だ。カスタマイズにはゲーム中で入手できる「パークトークン」が必要になる。ゲームを普通にプレイするだけでもそこそこの数が手に入るが,たくさん手に入れたいと思うなら,ステージのリプレイが必須となるだろう。
そして「ソニック カラーズ」といえば,クオリティの高いサウンドがファンの間でもよく知られた作品である。大谷智哉氏,床井健一氏,熊谷文恵氏を筆頭とする,ソニックシリーズを支えてきたサウンドクリエイターが参加し,プレイした人の耳に残るサウンドを作り上げている。特にオープニングテーマの「Reach For The Stars」は,ソニックシリーズのベストサウンドの1曲として数えられ,この「ソニックカラーズ アルティメット」では,新規アレンジを施したものが収録されている。
その他にも,Wii版からリミックスされた楽曲が採用されており,サウンドがゲームプレイのモチベーションを上げてくれるのは間違いない。もちろんサウンドテストも入っているので,そちらもあわせて楽しんでほしい。
他のソニックシリーズと比べると,仲間が登場しないことなどもあって,全体的にシンプルなゲームデザインとしてまとまっている。リプレイを意識したステージのレベルデザインにより,1回目のプレイは短く感じることもあるが,リプレイ時に規定の場所でのアクションやカラーパワーを使うことにより,想像もしなかったルートの開拓ができるやり込みの部分はかなり力を入れて作られているように感じられた。
また,ゲームオーバーの廃止やテイルスセーブなど,ビギナーに向けたフォローもあるので,初めてソニックシリーズを触る人にも薦められるタイトルでもある。
オリジナルは11年前に発売されたゲームとなるが,リマスターにより現代のタイトルと遜色のないクオリティに仕上がっている。リミックスされたサウンドとともに,ソニック生誕30周年を祝福する気持ちで楽しもう。
※9月8日19:00追記。ソニック・ザ・ヘッジホッグ公式Twitterアカウントにて,プレイヤーから報告されている不具合について,現在調査中であり,修正対応に向けての確認作業を進めていることがアナウンスされました(リンク)。
「ソニックカラーズ アルティメット」公式サイト
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