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舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-ゲネプロ公演レポート。声とフィジカルにあふれる原作リスペクトを見た
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印刷2023/12/18 19:16

イベント

舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-ゲネプロ公演レポート。声とフィジカルにあふれる原作リスペクトを見た

 芥見下々氏による漫画作品「呪術廻戦」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)を原作とした舞台「呪術廻戦」-京都姉妹校交流会・起首雷同-。その東京公演が天王洲 銀河劇場にて2023年12月15日に幕を開けた。東京公演は31日まで上演され,兵庫公演は2024年1月6日から14日まで行われる。12月29日18:00公演と,2024年1月14日12:30公演/18:00大千秋楽公演のライブ配信も実施予定だ。

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 「呪術廻戦」は,人々の負の感情から発生する“呪い”とそれを祓う呪術師たちの戦いを描く作品。舞台化第2弾となる今回は,主人公・虎杖悠仁をはじめとする呪術高専東京校のメンバーが京都校の面々との交流会に挑む“京都姉妹校交流会”と,東京校の1年生たちが八十八橋で起きている異変の調査に向かう“起首雷同”の2編が前後半,計160分をかけて描かれる。

 本稿では,関係者・マスコミ向けに行われたゲネプロ公演の様子をレポートしていく。一部,物語や演出に関するネタバレとなる記述,公演写真が含まれているので,観劇予定の人は注意してほしい

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舞台「呪術廻戦 -京都姉妹校交流会・起首雷同-」

■公演期間・劇場
東京:2023年12月15日〜12月31日 天王洲 銀河劇場
兵庫:2024年1月6日〜1月14日 AiiA 2.5 Theater Kobe

■キャスト
虎杖悠仁:佐藤流司

伏黒 恵:熊沢 学
釘崎野薔薇:山口乃々華

禪院真希:高月彩良
狗巻 棘:定本楓馬
パンダ:寺山武志

夜蛾正道:南 誉士広
冥冥:立道梨緒奈

東堂 葵:小柳 心
加茂憲紀:梅津瑞樹
西宮 桃:久家 心
禪院真依:長谷川 愛
三輪 霞:竹内 夢
究極メカ丸:塩田康平

庵 歌姫:平湯樹里
楽巌寺嘉伸:陰山 泰
    
組屋鞣造:北村 海
重面春太:益川和久
高田ちゃん:小貫莉奈

壊相:青柳塁斗

五条 悟:三浦涼介

■映像出演
七海建人:和田雅成

■声の出演
禪院直毘人:田中しげ美
伏黒津美紀・九十九由基:露詰茉悠
両面宿儺:五十嵐拓人
脹相:和泉宗兵

アンダースタディ・アンサンブル:阿部昂生

※伏黒 恵役は泰江和明に代わり、熊沢 学が出演。

■スタッフ
原作:「呪術廻戦」芥見下々(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
脚本:喜安浩平
演出:小林顕作
構成補佐:伊藤マサミ(進戯団 夢命クラシックス)
作詞・作曲:小林顕作
劇伴・編曲:遠藤ナオキ
振付:伊藤キム 足立夏海 後藤健流
制作:ネルケプランニング




原作の魅力が目の前で描かれる,
まさに舞台「呪術廻戦」


 前半の“京都姉妹校交流会”では,呪術高専の生徒同士による交流会,そこに乱入する呪霊や呪詛師たちと高専生たちとの戦いが展開する。アニメで言えば第1期の8話と,14話から20話までの内容となっている。さまざまな組み合わせでのバトル,そしてその戦いのなかで各キャラクターの背景が描かれていく。

 アニメで計8話かけて描かれた内容を約80分にまとめているためテンポは速いが,それでいて詰め込んだ感はなく,連続する名シーンを見ていたらあっという間に幕が下りていた印象だ。原作をまったく知らずに見るとやや理解が追い付かない部分もあるかもしれないが,アニメや漫画を見た人であれば「呪術廻戦」の面白さをあらためて堪能できるはず。

 筆者はアニメから「呪術廻戦」を見始め,かついわゆる2.5次元的な演劇は今回が初体験だったのだが,多くのキャラクターに対し声の演技でかなりアニメに近い印象を受けたことに驚かされた。単に声色が近いというだけでなく,喋り方にもそれぞれのらしさがしっかりと出ており,予想以上に違和感なく作品に入り込めたのだ。

「故人の虎杖悠仁くんでーす!」のサプライズで盛大にスベるシーンは,生の舞台ならではの空気感
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筆者は自分のなかのイメージとズレなく見られたので,「呪術廻戦」の世界を純粋に楽しめた。禪院真依役の長谷川 愛さんによる熱演はかなりクるものがあった
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 交流会には数多くのキャラクターが登場するが,そのなかでもひと際濃い存在感を放つのは,やはり東堂 葵だろう。あの異様なまでに濃いキャラクターを舞台でも再現できるものかと思っていたのだが,幕が上がれば舞台上にいたのはまさに東堂 葵。いろいろな意味で東堂オンステージだった。

 とくに驚かされたのは,肉体(フィジカル)の面だ。伏黒 恵と一戦交えるべく上裸になった東堂(を演じる小柳 心さん)の肉体はバキバキに仕上がっており,声の演技と併せて強烈な存在感と説得力を生み出していた。また,東堂が術式・不義遊戯(ぶぎうぎ)を発動する場面の演出はかなりはっちゃけたことになっており,本公演における目玉のひとつと言っても過言ではないだろう。こちらはぜひ劇場で確かめてほしい。

観客席から見てもひと目でレベルの違いを感じさせる肉体。つよい
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 前半はハイテンポかつ登場キャラクターも多いが,東堂の存在しない記憶に登場する高田ちゃん含め,どのキャラクターも自然と印象に残る。五条 悟による虚式“茈”発動シーンを筆頭に演出面にも力が入っており,前半の80分だけでも十分に楽しめるだろう。

アイマスクを外した五条が登場したシーンでは,(ゲネプロ公演だったため)メディア席からのシャッター音がすごいことに
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 怒涛の勢いで展開する前半を終え,20分の休憩を挟んだ後には後半の幕が上がる。後半ではまず交流会後のボーナストラックとも言える野球シーン,いわゆる呪術甲子園の場面がミュージカルで描かれる。ここではキャスト一同がとても楽しげな表情をしていたのが印象的だった。キャスト陣が客席に降りてくる演出もあり,観客としても非常に楽しく見られる一幕だ。

 その後は,原作でも“起首雷同”と銘打たれている,呪霊による連続死亡事件に端を発する虎杖,伏黒,釘崎たち3名の戦いが展開する。多数のキャラクターが入り乱れる前半とは異なり,後半ではこの3名と特級呪霊,特級相当の受肉体である壊相(えそう),血塗(けちず)との戦いに焦点が絞られており,より密度の高い内容となっている。

 前半では東堂のフィジカルがすごかったと述べたが,後半に登場する壊相(を演じる青柳塁斗さん)もまた再現度の高い肉体美を見せつけてくれた。肘関節を軟体動物のようにグニャリと曲げる,いわゆるボーンブレイクダンス的な動きもあり,その奇怪さは一見の価値ありだ。

まさにバチ殺しな肉体。背中も見事なのでぜひ劇場で確認してほしい
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窮地のなかで覚醒する伏黒,みずからの腕に釘を打ち込んで反撃する釘崎野薔薇など,見せ場がしっかり見せ場として印象的になっている
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 コミカルに幕を開け,敵との遭遇でシリアスになったかと思えばまた唐突にギャグを入れ込んでくる,その情緒の忙しさはまさに「呪術廻戦」らしいもの。演出面で言えば,前半・後半とも天井から下ろすスクリーンを使った見せ方も面白い。スクリーンにアニメーションなどのエフェクトを投影して見せる場面もあれば,スクリーンを目隠しに使ってその裏で早着替え的にキャラクターのビジュアルを切り換えるシーンもあった。

 場面によっては舞台上に立つキャラクター(演者)の影がスクリーンに落ちるのだが,その影が作るシルエットにも目を惹かれた。ビジュアルの再現度が高いのは言わずもがなだが,シルエットで見るとその完成度の高さがより際立ち,まるでアニメの絵をシルエットにしたものが投影されているかのような錯覚さえ覚える。実際に劇場へ足を運んだ際にはキャラクターの影にも注目してほしい。

 傾斜のある舞台を使ったアクションや距離感の演出も全編を通して見ごたえのあるものになっており,アクション面でも退屈しないだろう。前半では高月彩良さん演じる禪院真希の長物や三節棍を使ったバトル,後半では覚醒した伏黒や敵である壊相の力を表現する際の舞台全体を使った演出が大きな見どころだ。

 記事前半でも触れたが,本公演は「呪術廻戦」の魅力をあらためて体験できるものとなっている。観劇前後にアニメと見比べてみるのも面白いので,興味がある人はぜひチェックしてほしい。

 なお,ゲネプロ公演では終演後の挨拶でキャスト陣が礼をするタイミングがばらけ,虎杖約の佐藤流司さんが「本番までには合わせられるようにがんばりたい」といった旨のコメントをして場内を笑わせていたので,最後の礼が綺麗に決まるかにも注目だ。

舞台「呪術廻戦」ポータルサイト

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