プレイレポート
「GUNDAM EVOLUTION」クローズドβテストレポート。ヒーローとしてのモビルスーツが活躍し,チームシューターの連携も楽しめる
本作は,個性豊かなモビルスーツが6対6で戦う,いわゆる「チームシューター」で,競技性を重視したゲームとして開発が進められている。詳しいコンセプトについてはインタビューを参考にしてほしい。
新作FPS「GUNDAM EVOLUTION」はチームシューターファンのガンダムIPへの入口に。高い競技性の“ガンダムFPS”を開発する狙いについて聞いた
「ガンダム」をモチーフにしたバンダイナムコオンラインの新作FPS「GUNDAM EVOLUTION」が7月15日に発表された。6対6の高い競技性を持つ「ガンダムチームシューター」として展開するという本作について,その狙いやどのような作品となるのかをプロデューサーとバトルディレクターの2人に聞いた。
冒頭でも紹介したように,本作はチームシューターであり,同一チームで重複する機体を使うのは不可能だったり,モビルスーツに「コスト」といった概念はなく,撃墜されること自体にペナルティもなかったり(もちろん撃墜されると再出撃までチームが数的不利には陥るが),HPがゼロになっても「中破」状態になるだけで仲間から回復してもらえたりと,既存のガンダム系対戦ゲームとは一味違った作品となっている。
用意されているルールは3つ。攻撃側と防御側に分かれて2つの地点を争う「ポイントキャプチャー」。破壊兵器を起動する側と,それを阻止する側が戦う「デストラクション」。時間経過で開放される3つの目標エリアを制圧する「ドミネーション」だ。
今回のテストで使えたモビルスーツは「ガンダム」「ガンタンク」「ザクII[射撃装備]」「ジム」「メタス」「アッシマー」「サザビー」「ジム・スナイパーII」「∀ガンダム」「ドムトルーパー」「ペイルライダー」「ガンダム・バルバトス」の12機となり,それぞれが使い勝手の異なる,さまざまなメインウェポンとスキル,ゲージを溜めて使える必殺技「Gマニューバ」(いわゆるult)を持っている。
●「ガンダム」
クセのない性能。中〜遠距離を制する「ビーム・ライフル」,敵にスタンやノックバックを与える「ハイパー・ハンマー」,こちらから攻撃できなくなる代わりに敵の攻撃を防ぐ「ガンダム・シールド」といったスキルを持ち,攻撃から防御までマルチに活躍できる。
Gマニューバは「スーパー・ナパーム」。原作2話にのみ登場した焼夷弾で,本作では広範囲を攻撃する爆弾のように扱われる。弾の周囲に警告範囲が表示されるのに加え,システムボイスで「広範囲攻撃だ!」と警告されるためバレやすい。
●「ガンタンク」
クローズドβテストの時点では唯一オートエイムを持つ機体。「ボッブ・ミサイル」はオートエイムのおかげで当てやすいうえ,リロードする必要がない(撃ち続けているとオーバーヒートするが,止めるとすぐに冷却が始まる)。そして中破した味方を素早く回復できる「高速リカバリー」を持ち,HPもそこそこある。エイムに慣れていなくてもダメージを与えられ,かつやられにくく,味方のサポートも覚えられる……と,初心者向けにキッチリまとめられた機体だ。
Gマニューバは「コア・ファイター射出」。戦闘機を自分で操作して適宜自爆するというもので,決まれば爽快。一年戦争のゲームではないのでリュウさんは乗っておらず,気兼ねなく撃てる。
●「ザクII[射撃装備]」
弾道がばらける「ザク・マシンガン」や煙幕の「スモーク・ディスチャージャー」,敵を斬り付けるGマニューバ「ヒート・ホークスラッシュ」を持った,近距離向けの機体だ。敵に近づいて戦わなければならない割りにHPが少なめ,かつシールドを持たないため,やや通好みか。裏取りや奇襲で敵陣を引っかき回したいところだ。3回と多いステップ回数をフルに使い切ってできるだけ長く生き延びるのが理想で,操作量も多い。
●「ジム」
シールドを構えつつ「ビーム・スプレーガン」を撃てるため,粘り強く戦える。地形に仕掛けて任意で爆発させる「起爆式爆弾」,範囲内の味方を回復できる「リペアグレネード」といった小技も効いており,防衛側で光る機体だ。
Gマニューバの「ホーミングマイン」は,敵を追尾してダメージを与える小型爆弾をまくという,こちらも防衛向きという印象。シールドを構えた際のへっぴり腰にキャラクター性が表現されており,ロボット表現よりもキャラクター性を重視していることがうかがえる。
●「メタス」
回復用の「リペアケーブル」や,攻撃力と防御力を強化するGマニューバ「エネルギーケーブル」を持つ,サポート要素の強い機体。モビルアーマー形態に「変形」すると飛行できるのも特徴だ。
「アーム・ビーム・ガン」や「ツインショット」で中距離戦をこなせ,さらには自動砲台「ガンターレット」を設置できるため,サポートのみに留まらない戦い方ができる。シールドを持つ仲間の後ろでリペアケーブルを使い,いざとなればMA形態で逃げ,できるだけ長く生き残って戦線を支えたい。
●「アッシマー」
3点バーストの「大型ビーム・ライフル」にタメ撃ちの「チャージショット」,手榴弾風に使える「ナパーム弾」など中距離の武装が揃うが,これだけでは真価が発揮できない。キーとなるのは円盤型なって空を飛ぶ「変形」だ。
変形中は静止できないうえ,高度を自分で調整しなければならないが,スピードが速いために狙われにくく,地形を飛び越えて奇襲できるなどメリットも多い。
Gマニューバは突進しつつ殴る「パンチ」。突進中は正面からの射撃を防げるため,できるだけ敵の近くで使うのが理想か。
●「サザビー」
高いHPと丈夫なシールドを持つ,近距離向けの機体。シールドを構えるととにかく固く,敵にプレッシャーを与えられる。「ホーミングブースト」は,範囲内の味方か,自分が投げた「ビーム・トマホーク」の場所へジャンプ移動するという渋みのある性能で,工夫すればさまざまな活用ができそうだ。「索敵」を使えば,しばらく壁越しに敵を確認できたりと,こちらもなかなかに渋い。Gマニューバの「ファンネル」は,範囲内の敵にダメージを与えられる。
●「ジム・スナイパーII」
「スナイパー・ライフル」で敵を狙撃する機体。遠距離戦を徹底すれば安全だが,それだけでは勝てないだろう。自分の撃破数だけを考えるのではなく,仲間と協調して動くチームシューターらしい立ち回りが求められる。中破状態の仲間を回復できる「リカバリーガン」が使える位の距離を保つのが重要だ。ジャンプ台「ジャンプブースター」をマップの要所に仕掛ければ展開速度も上がるため,マップの理解度も重要になる。
Gマニューバ「センサー・バイザー」は敵がどこにいても壁越しに確認でき,空中でもスコープが使えるようになる。
●「∀ガンダム」
タメ撃ちで威力が上がる「ビーム・ライフル」に,HPを回復する「ナノスキン」を併せ持ち,シールド持ちほどではないが生存力が高い。スキルの「巴投げ」は,∀ガンダムの突進にヒットした敵を投げ飛ばしてスタンさせるというもの。見た目に面白いが当てるのはなかなか難しく,それだけに立ち回り含めて研究のしがいがありそう。
Gマニューバはもちろん「月光蝶」。飛行しつつ範囲内の敵にダメージを与えるというものだが,調子に乗って飛びすぎると敵陣のただ中で孤立しかねない。
●「ドムトルーパー」
味方にアーマーを付与する「アーマーガン」,そして突進しつつ範囲内の仲間にアーマーと移動速度上昇を与えるGマニューバ「スクリーミングニンバス」を持ち,仲間との連携が重要。とくにスクリーミングニンバスは,気心が知れた仲間同士でのパーティプレイで猛威を振るいそうだ。弾速が遅いバズーカ,敵が近づくと爆発する「感知式吸着地雷」と,範囲系の武器が揃っているのも面白いところ。最前線の味方からつかず離れずアーマーガンとバズーカで援護し,敵が通りそうな所に感知式吸着地雷を仕掛ける,渋い立ち回りが求められる。
●「ペイルライダー」
スタンダードな射撃系機体。サイトをのぞき込むADSも使える「ブルパップ・マシンガン」に,ダメージやスロウ効果を与える「ハンド・グレネード」「EMPグレネード」と,FPSプレイヤーにとっては非常に分かりやすく,本作の入門に持ってこいだ。範囲内の味方を回復する「リペアポッド」は前線を支える頼もしいスキルで,まずは射撃戦をこなしつつリペアポッドもしっかり使えるようになるのが目標か。
Gマニューバ「HADES」は移動速度とブルパップ・マシンガンの性能が上がるが,それを過信して突出しすぎないように注意したい。
●「ガンダム・バルバトス」
飛び道具を一切持たず,Gマニューバ「阿頼耶識システム」も近接系という極端な機体。シールドもなく,HPも平均程度しかないため,ジャンプする「太刀」や「ブーストジャンプ」といったスキルによる,三次元的な機動が求められる。裏取りや奇襲で敵陣を混乱させるのが理想だが,敵からマークされやすく,単に猪突猛進するだけではいいカモにされてしまう。自分がやられる前にどれだけ撃破できるかを考えた立ち回りが重要だろう。敵のガンダム・バルバトスがうまい場合,いかにして追い返すかも意識したい。
ジムが原作では持っていないはずの機雷をまいたり,仲間を支援する「リカバリーガン」や「アーマーガン」「リペアポッド」といったゲーム的な装備も多く,原作再現よりはチームシューターとしての側面が強いのは,インタビューで語られているとおりだ。モビルスーツの挙動についても,機械的な重厚さよりも軽快さが強調されており,チームシューターを遊んだ経験のあるプレイヤーならすぐに慣れるだろう。
チームシューターといえば「タンク」(防衛役),「ダメージ」(攻撃役),「サポート」(補佐役)といった役割(ロール)付けをされたキャラクター同士の連携が肝だが,本作の機体はロールがそこまで明確には分けられていない。例えばサポート色の強いメタスであっても銃撃や砲台設置で攻撃に貢献できるし,タンク的なサザビーも索敵で仲間を助けられるといった塩梅で,好みで選んで問題ないように感じられた。サポート専門ではないにしろ,なにがしかの形で仲間に貢献できる機体も少なくなく,個人戦とチーム戦の両方を同時に楽しめるという印象だ。
一方で機体ごとに得意分野が明確に異なっており,チームシューターにおける,キャラクターの個性的なアクションを堪能する面白さが表現されている。とくに,FPS初心者へ向けたガンタンクは,本作のコンセプトを象徴している機体であると感じられた。
今後の研究で,マップごとの必須機体は出てくるかもしれないが,編成のセオリーをそこまで意識しなくていいというのは初心者にも入りやすく,本作の長所として伸ばしてほしい方向性だろう。
チームシューターという性格上,個人個人が自身の生き残りや撃破数に固執していたのではチームの勝利がおぼつかず,仲間の動きを意識し,自らが撃破されることを視野に入れつつ前線を押し上げ,機体がやれることをこなしていくという,チームとしての戦いが求められる。テストの1日めでは,こうしたチームシューターのセオリーを知らないと思しき動きも見られ,経験者の数がそのまま勝敗に直結するという印象があった。
チュートリアルでは中破状態の回復など,連携について最低限を学べるものの,機体別,状況別のサポート系スキルの使い方やこれに伴うゲーム内報酬など,チュートリアルと導線のさらなる充実が求められるところだ。
さて,個性的な機体とチームでの連携を楽しめた一方,いくつか気になる点も存在した。
まずは,ネットワークに関して。8日はサーバー側のエラーによる切断が何度か起こり,最終的にはメンテナンスが行われることに。テストではトラブルが付き物とはいえ,正式サービス時にこうした事態が起こらないことを祈りたい。
続いて,戦闘中に原作のパイロットではなく,本作オリジナルのボイスでさまざまな状況を報告してくれるのだが,ボイスは男女数種類ずつしかなく,誰が報告しているか分からないことがあった。
そして,とくに問題だと感じられたのが,人数差についての対策がなされていなかったことだ。機器のトラブルか故意の退出かは不明だが,1人,2人とメンバーが抜けていくのは珍しくなく,極端なときでは6対2という状況もあった。マッチングに約1分,1試合約20分というのは決して短い時間ではない。こうした状況を防止するため,人数差が付いた時点でのシステムによる試合中断や,プレイヤー投票での降参といった対策が欲しいと思えた。
ガンダムシリーズとしての機体のカッコ良さと,チームシューターとしての連携が楽しめた今回のクローズドβテスト。「GUNDAM EVOLUTION」が,ここからどのように進化していくのかに期待したい。
「GUNDAM EVOLUTION」公式サイト
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