インタビュー
[インタビュー]「DYSCHRONIA」は本来,Switchのゲーム!? 岸上健人氏,梅田慎介氏に聞くEpisode III&Switch版の魅力
今回4Gamerでは,本作の総合プロデューサーかつMyDearestの代表である岸上健人氏と,Switch版のプロデューサーを務めるイザナギゲームズの代表,コン梅田こと梅田慎介氏にインタビューを行う機会を得た。Episode IIIの魅力はもちろん,Switch版についてもいろいろと聞くことができた。
「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
それではまず,7月14日に配信が予定されている,「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」のEpisode IIIの見どころや,注目ポイントなどを教えてください。
岸上健人氏(以下,岸上氏):
Episode IIIはこれまでの総決算というか,1と2でやったことがすべて詰め込まれています。開発期間が一番長く,かなり丁寧に作ったので,パズルやステルス,ストーリーもこれまでで一番完成度が高いです。
ストーリーで言うと,Episode IIIが全体の7割と言っても過言ではないです(笑)。プレイヤーの方が動揺してしまうくらい,いろいろなことが明かされていきます。
4Gamer:
プレイ時間もなかなか増えていそうですね。
岸上氏:
そうですね,パズルの解き方などを分かっていて,スムーズにプレイしても5時間くらいかかったので,普通にやると7時間前後は遊べると思います。
4Gamer:
Episode IIIでストーリーは1度完結ということになりますが,今後スピンオフや後日談というような追加ストーリーを配信する予定はありますか。
岸上氏:
できたらいいなと思っています。できたらいいなぁ……(笑)。
梅田慎介氏(以下,梅田氏):
実は,Switchのほうでオリジナルのストーリーがあるんです。
4Gamer:
そうなんですか。それはどの時系列のお話になるんですか。
岸上氏:
説明が難しいですが,完全に本編に関わってくるお話です。たぶんVR版とSwitch版を両方プレイしてくださる人もいると思うのですが,そういう人たちには嬉しい内容だと思います。
単純に継ぎ足したストーリーではなく,物語に大きく関わるものになります。MyDearestさんの作品ってキャラクターももちろんですが,やっぱり世界観とかストーリーが魅力だと思うので,ストーリーにおいてSwitch版をプレイするメリットがあるようにしています。
4Gamer:
なるほど。では,続いてSwitch版についての質問をさせてください。
Switch版は,VR版を作る時に最初からリリースを決めていたのですか。
岸上氏:
実は,前作「ALTDEUS: Beyond Chronos」を発売した時に梅田さんからDMをいただいて,「よかったら共同開発をしませんか」と提案があったんです。なので,そもそもSwitch版は作ろうという考えで開発がスタートしています。
MyDearestがVRメイン,イザナギゲームズさんがSwitchメインで,VRらしさとSwitchらしさを両立できる内容を話し合って決めてきました。
梅田氏:
「ALTDEUS: Beyond Chronos」をプレイした時に「めちゃくちゃ面白いな」と思ったんです。世界観やストーリーを大事にしているのが伝わってきて,もし次の作品を一緒にできたら,きっと何か面白いことを起こせると思いました。そうして声をかけさせて頂いたんですが,いろいろ意気投合して,トントン拍子に話が進みましたね(笑)。
4Gamer:
では最初からSwitch版を前提として開発がスタートしていたんですね。
岸上氏:
はい。梅田さんにはゲームシステム部分はもちろんですが,ストーリー作りにも参加してもらってます。
梅田氏:
あくまでVRで先行してリリースされているというだけで,コンセプトから全部共有して,完全に共同開発です。契約上のリスクリターンも折半なので,運命共同体ですね(笑)。
あ,でもストーリー部分に関してはほんとに一部分だけですよ。
岸上氏:
ストーリー会議の時に,梅田さんが末岡(ディレクター/シナリオライター)をすごい尊重してくださったんです。口を挟むにしても,Switchプレイヤーにとって分かりやすいかとか,そういった内容がほとんどでしたね。クリエイティブを大事にしてくださって,すごいプロデューサーらしいなと思いました。
ただその上で,「ケイス」にはめちゃくちゃ口出ししてくるんですよ(笑)。“イケおじ”にだけうるさくて,会議の時スタッフみんなで爆笑してました。
梅田氏:
いやぁあの(笑),LAMさんのキャラクターデザインの中で,“イケおじ”って珍しいじゃないですか。このパーツの解像度を高めてあげることは,すごい大事だなと思ったんです。
岸上氏:
もともとケイスは末岡の頭の中でも重要なキャラクターだったようなんですが,梅田さんが入ってより輝きましたね。“イケおじ”としても(笑)。
一同:
(笑)
4Gamer:
Switch向けの開発で大変だったことはありますか。
梅田氏:
Switchというプラットフォームへの最適化ですね。
岸上氏:
コントローラが違うのが1番難しかったです。操作感の違いをどう良くしていくのかは,けっこう打ち合わせに熱が入りました。
梅田さんがよくおっしゃってたんですが,VRのプレイヤーって基本“コアゲーマー”なんですよね。操作方法など,ある程度のことはプレイヤー自身でなんとかできてしまう。ただ,Switchのプレイヤーとなるとそうはいかない。
梅田氏:
Switchでは,次に何をすればいいのか分からなくなると途端にプレイヤーが離れてしまうことがあるので,分かりやすくする,というのは意識してました。
4Gamer:
Switchでリリースするにあたって,変化した部分はありますか。
梅田氏:
1番大きいのは,サイドクエストや住人たちへのメンタルケアなどのミニゲーム的な部分を,全部Switchならではのものに変えたことです。VRでしか実現しづらかったシステムを,根本的に変えてますね。
岸上氏:
いい意味で全く違うゲーム性になってます。メンタルケアなんかは本当にSwitchならではですね。
VRだと手で操作“できてしまう”部分を,いかにボタンで操作するかをしっかりやってくれてます。作り手の意図を汲みすぎているくらいです(笑)。
4Gamer:
それは楽しみですね。
梅田氏:
ほかにも,VR版とは画面の見え方がかなり異なるので,その辺りも気を付けています。
岸上氏:
でも,カットシーンというか,動きを止めて見せたいものを見せるシーンってあるじゃないですか。普通コンシューマでそういうシーンは画面が動かせないんですが,あえてVRっぽく画面が動かせるようになっていて,すごい行き届いてるなぁと思いました。
正直,キャラクターとの会話はSwitch版のほうが向いてますね。Switchでの会話シーンはキャラクターの上に吹き出しが出るようになっているので,とても読みやすいです。
梅田氏:
そもそもSwitch版は,VR版の移植ではないですね。最初からSwitchで出すものとして作ってますので。
岸上氏:
確かに。それぞれVRらしい部分,Switchらしい部分がありますが,どちらもプラットフォーム関係なく“面白い3Dのアドベンチャーゲームを作ろう”という目標で開発していますね。
梅田氏:
というか,イザナギゲームズからしたら「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」はSwitchのゲームですよ(笑)。コンシューマ向けのアドベンチャーゲームとして,最高のものを作りました。
どうしても開発の流れ的にVRが先に発売されましたが,VR版はSwitch版をVR化したものと言っても過言ではありません。ディスクロはSwitch向けゲームと書いておいてください!(笑)。ねぇ岸上さん??
岸上氏:
いやいや,さすがにそこは譲れないです(笑)。VR版はVR版で,僕らは唯一無二の体験をつくりに行ってますから!!
でも実際,Switch版はかなりの部分で調整してくださっていて,相当のクオリティですね。
4Gamer:
なるほど……。どちらかがどちらかの移植ではなく,同じ題材で,それぞれのプラットフォームで開発を進めたタイトルという認識なんですね。そんなSwitch版のリリース時期は,もう決まっているんでしょうか。
梅田氏:
現在、年内にリリースできるように全力で準備を進めています。
4Gamer:
期待しています。
ところで,まだ早いとは思いますが,次回作の予定はあるんでしょうか。
岸上氏:
今は「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」で精一杯ですね。Episode IIIとSwitch版に全力投球です。
4Gamer:
そうですよね。
梅田氏:
「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」で今後,何かしらの動きがある可能性はもちろんですが,実は,それ以外にもMyDearestさんとはいろんなことをやろうと考えています。これくらいはいいですよね(笑)。
岸上氏:
いいですね。いい匂わせです(笑)。
4Gamer:
では最後に,読者へ向けてのメッセージをお願いします。
岸上氏:
「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」,やっと完結します。Episode IIIが本作の7割なので,これまで遊んでいなかった人も,この機会にぜひ通して遊んでみてほしいです。
「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」がMyDearest作品で1番好きって言ってもらえるように,ゲームプレイもストーリーも全てを詰め込みました。ぜひプレイして“動揺”してほしいです。ぼくはしました(笑)。
梅田氏:
先ほどもお伝えしましたが,「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」はSwitch向けのゲームです。VR版もありますが(笑)。Switchのアドベンチャーゲームとして,キャラクター,ストーリー,ミニゲームなど,現状で最高峰のクオリティに仕上げましたので,ぜひSwitchのアドベンチャーゲーム好きな方に遊んでいただきたいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」公式サイト
- 関連タイトル:
DYSCHRONIA: Chronos Alternate
- 関連タイトル:
DYSCHRONIA: Chronos Alternate - Definitive Edition
- 関連タイトル:
Dyschronia:Chronos Alternate Episode I
- 関連タイトル:
Dyschronia:Chronos Alternate Episode II -終局の銃弾-
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