プレイレポート
[プレイレポ]プレイヤーの選択が,悲しみを背負った青年の未来への歩みを変える。ナラティブADV「Afterlove EP」を試遊してきた
Afterlove EPは,フルリモートで制作活動を行うインドネシアの独立系スタジオ・Pikselnesiaによるナラティブ・アドベンチャーだ。販売は,ストーリー性の高いゲームのパブリッシングで知られる,インディーパブリッシャのFellow Travellerが担当する。
物語の舞台は,インドネシアの首都ジャカルタ。主人公はRamaという若いミュージシャンで,1年以上前に恋人のCintaをなくし,それ以来気持ちが塞がったまま。バンド活動には身が入らず,手助けをしてくれようとする友人やバンドメンバーとの関係も複雑な状況だ。
物語は,Ramaのバンドのギグを1か月後に控えた日から始まる。プレイヤーはRamaの物語を追いながら彼の進む道を選択していくのだ。
目的地に向かって街を歩き,その道すがらでなにかにインタラクトしたり思考したり,友人やバンドメンバーとの会話を交わしたりすることで,Ramaの過去の出来事を知り,今の心境を垣間見ることができる。またときおり,Cintaが話しかけてくることも。これはRamaの心の中でのことなのか,それとも……とても気になるところだ。
それらの会話や出来事を追いながらプレイヤー自身が選んだ選択が,果たしてRamaの歩みにどのような影響を与えていくのだろうか。
ゲームはビジュアルノベルにちょっとした探索めいた街歩きが入っていて,さらにギターやバンドの練習シーンでリズムゲームが始まるというなかなかユーモアある作りになっている。
本作のアートはインドネシアのアーティストSoyatu氏によるもので,日本の漫画にも似た雰囲気もあってとても親しみやすい。日本でも人気のアーティストなので,この絵を見てピンときた人も少なくないだろう。
また音楽にはインドネシアのインディーバンド・L’Alphalphaの楽曲も使用されており,それらのビジュアルや音楽がこれまた作品のエモーショナルな雰囲気に欠かせないものになっている。
そして,筆者がとくに注目したのが,現代のインドネシアの暮らしの表現だ。インディーゲーム,とくにこういった個人の物語を描くゲームは,その土地に生きる人たちの“リアル”を描くうえでも地域性の表現が重要だと思う。
そのあたりで本作は,序盤をほんの少しプレイしただけでも,Ramaの部屋の感じや友人との会話,街並みといったいろいろなところから,彼らの暮らしが丁寧に描かれている印象を受けた。
本作には「コーヒートーク」や「What Comes After」のモハメド・ファーミ氏が深く関わっている。ジャカルタの都市生活を垣間見つつ,Ramaの物語を通して,国や地域は関係なく共感できるような悩みや葛藤も感じられる雰囲気もあるのは,さすがファーミ氏という印象だ。
2022年3月に亡くなったファーミ氏のビジョンの実現を誓い制作されたという本作。Steamではデモ版が配信されているので,日本語化を期待しつつ作品に触れてみるのもいいだろう。
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