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ローラースケート×シューティング「ローラードローム」先行プレイレポート。時は2030年,人々は暴力にあふれる残虐なスポーツに熱狂した
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印刷2022/08/16 22:00

プレイレポート

ローラースケート×シューティング「ローラードローム」先行プレイレポート。時は2030年,人々は暴力にあふれる残虐なスポーツに熱狂した

 Private Divisionが2022年8月16日に発売を予定している「ローラードローム」PC / PS5 / PS4)は,70年代を彷彿とさせるレトロ感とローラースケートアクションにシューティング要素が組み合わさった3人称視点のアクションシューティングゲームだ。コミック調のグラフィックスも印象的で,開発は爽快感あふれるスケートボードアクションで好評を博した「オリオリワールド」で知られる,ロンドンの開発スタジオ,Roll7が担当している。

画像集#001のサムネイル/ローラースケート×シューティング「ローラードローム」先行プレイレポート。時は2030年,人々は暴力にあふれる残虐なスポーツに熱狂した

 荒廃的な世界観にシューティング,レトロフューチャーと,好きな人にはたまらない要素を詰め込んだ本作のプレイフィールはどのようなものなのだろうか。今回,先行プレイする機会を得たので,そのインプレッションをお届けしたい。



暴力あふれる残虐なスポーツ「ローラードローム」を勝ち上がれ


 舞台となるのは2030年。企業が世界を支配し,虚構と現実の区別があいまいになった時代に,人々は暴力にあふれる残虐なスポーツ「ローラードローム」に熱狂していた。プレイヤーは新人選手の「カーラ・ハッサン」となり,邪悪な陰謀が渦巻く中で「ローラードローム」次期チャンピオンの座を目指す――というのが本作の大まかなストーリーだ。

 本作のタイトルでゲーム内の競技でもある「ローラードローム」は,アリーナをローラースケートで駆け巡り,出現する敵を殲滅していく新しいスポーツだ。ストレートに言ってしまえば「血しぶき飛び交う物騒な殺し合い」だが,ゲーム内には「国際ローラードローム連盟」なる組織が存在し,世界各地(地名は実在のものが使われている)を巡る選手権が開催されていることを考えると,この世界ではかなり人気の高いスポーツのようだ。

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 軽くゲームの背景に触れたところで本作の肝となるアクション部分を紹介しよう。ローラードロームは「アリーナで殺し合いをするスポーツ」なので,ゲーム内容もこれに沿ったものになっている。ステージ内をローラースケートで駆け回り,2丁拳銃,ショットガン,グレネードランチャー,レーザーライフルといった武器を駆使して敵を殲滅し続け,ステージごとに定められた一定数の敵をキルすればクリア。クリアタイムや行動によってポイントが加減算され,最終的なスコアが決まる。

各ステージにはチャレンジ要素が用意されている
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 これだけでは「アリーナを駆け回って敵を撃つだけのゲーム」だが,これにスケートアクションが加わることで,本作ならではの独特なアクションが生み出されている。本作には「リロード」は存在せず,「ローラースケートでトリックを決める」ことで弾薬が補充される。調子に乗ってドカドカ撃ちまくっているだけだと,アッという間に弾切れを起こしてしまうため,要所でトリックを決め,弾薬を補充する必要があるわけだ。
 トリックも操作は難しくなく,簡単に派手なアクションが取れるので(着地に失敗して転ぶなどの動作はなく,ガンガン挑戦していける),手ごたえのある「トリック&シュート」が楽しめる。

並みいる敵を撃破してクリアを目指せ
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トリック中ももちろん射撃は可能。テクニックを極めてハイスコアの高みへ
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 本作には「リフレックスタイム」と呼ばれる一時的に時間の流れをゆっくりにする強力なシステムが用意されている。空中に飛び上がり,トリックを決め,相手を正確にエイムするのはなかなかに難しいので,リフレックスタイムを有効に活用し,効率よくダメージを与えていきたい。

 また,リフレックスタイム中は攻撃アクションが強化される恩恵もあり,例えばショットガンであれば,タイミングをうまく合わせて発射することで,通常の散弾が強力なスラッグ弾に変化する。発動中の時間制限はあるが,任意にオンオフの切り替えが可能かつ,一定時間経過で再使用可能となる。温存するのでなく,ある程度積極的に回していくといいだろう。

ゲームを進めるうえで重要なリフレックスタイム。時間の流れをゆっくりにする効果がメインだが,それだけではないさまざまなアドバンテージを得られる
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 本作は基本的に難度が高い。敵の攻撃は苛烈で,ダメージも大きめだ。操作に慣れないプレイ当初はあっけなくやられてしまうことも多いだろう。敵を倒せば「ヘルス」と呼ばれる回復アイテムをドロップするが,それだけでは回復が間に合わないので,そもそも敵の攻撃に当たらないことが重要になってくる。

 これに大きく関わってくるのが回避動作の「ドッジ」。適切なタイミングであれば,ほぼすべての攻撃を避けられる本作唯一にして最強の回避技だ。本作では,敵からの攻撃はほぼすべてに警告表示が出る。スナイパーに狙われればレーザーが照射され,敵が散布する地雷の爆発(感知)範囲も分かるのだ。

 これらの「撃たれる瞬間」「爆発する瞬間」は警告表示が赤色から白色に変化するのだが,このタイミングで「ドッジ」を繰り出すと「パーフェクトドッジ」となり,スコアが加算され,弾薬も回復する。ハイスコアを狙いたい場合は,よりシビアなパーフェクトドッジを積極的に狙っていきたい。

敵に狙われても落ち着いてしっかりと回避。終盤に差し掛かかると3体以上のスナイパーに同時に狙われることもザラだ
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 出現する敵は「ハウスプレイヤー」と呼ばれ,ステージが進むごとにその顔触れも増えていく。最初は簡単に倒せる敵ばかりだが,追尾ミサイルを撃ってくる「ウォーヘッド」,強固な盾を持ち,地雷を周辺にばらまいて接近を拒む「ライオットガード」など,一癖も二癖もある敵が登場し,プレイヤーを苦しめる。一見すると「これ無敵じゃん! どうやって倒すんだよ!」となるヤバいボスも出現するが,しっかりと攻略法は用意されている。試行錯誤して撃破していくのも本作の楽しみのひとつだろう。「駆けて,キメて,撃つ」という「ローラードローム」の基本を思い出し,少しずつ丁寧に攻略していこう。

空を飛んだりレーザーを照射してくる危ないヤツらが次々に登場
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レトロなビジュアルとクールなサウンドが織り成す世界観に惚れる


 本作は2030年を舞台としているが,派手なライトとネオンの中を駆け回り,サイバー的な音楽が流れるような“サイバーパンクな近未来”ではなく,そのコミックテイストなビジュアルも,ゲーム内の楽曲も,どこか懐かしさを感じさせるレトロフューチャーなものだ。企業の力が国を上回るというテーマはよくあるものだが,この独特のビジュアルのおかげで,ほかの近未来作品とは違う新鮮な雰囲気を楽しめる。

 殺し合いのスポーツ(どちらかというとスポーツよりはショーといったほうが近いが)という根幹のテーマも,この暗く,退廃的な世界にマッチしている。そして筆者の個人的な体感としてだが,ゲーム内でこと細やかに“この世界の設定”がプレイヤーに提示されないのもいい点だと感じた。

 もちろん,ゲーム内の世界でどのような出来事が起きているのかといった最低限の要素は分かるようになっているが,「ゲーム制作者が練り上げた設定群がプレイヤーにドカンとくる」ようなタイプではなく,謎に包まれた本作の世界観を,新人選手「カーラ・ハッサン」の視点で体験していく。情報が少なすぎて物足りないと感じてしまう節もあったが,こうした面はある意味“映画的”と言えるかもしれない。

ゲームは大きく「予選」「準々決勝」「準決勝」「決勝」にチャプターが分かれるが,それぞれのチャプター開始時にはロッカーや移動中の電車内を探索できる。なにか重要なヒントが隠されているかもしれない
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キルされれば画面は赤く染まり,デカデカと撃破と表示される。何度でも挑戦したくなる中毒性はプレイヤーを「ローラードローム」へと引き込んでいく
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遊びごたえのあるシューターアクション


 本作は「しっかりと手応えのあるシューターアクション」であることは間違いないだろう。全体的な難度は高めでありながら,シューターとローラースケートアクションが互いに邪魔をすることなく,綺麗に融合している。操作がシンプルかつ,奥深いのもポイントだ。ステージ上を駆け回り,華麗なトリックを決め,狙いを定めて撃ち,敵の攻撃はかわし……,という流れに難しい操作は必要ないが,状況に応じた行動はしっかりと求められる,実にいいバランスである。

 その反面,残念に感じる場面も見受けられた。ステージが進むにつれて顕著になっていくのだが,プレイヤーの行動を阻害する&高耐久タイプの敵キャラクターが増えてくるので,トリックが「楽しむもの」ではなく「弾薬を補給するだけのもの」になりがちだ。トリックどころではなく,ドッジを連打して敵の攻撃を避けまくる状況も増えてくる。敵の攻撃も熾烈を極めるのでひたすらヒット&アウェイ&トリックを繰り返すことになり,実質的に行動パターンが固定化されることもあった。

 とくに敵の「ライオットガード」は存在自体がストレスで,ただでさえ耐久力が高いのに加え,威力の高い地雷をとんでもない距離までバラまいてくる。地雷は射撃して破壊できるのだが,後方視点シューターという関係上,踏むと即起爆(ドッジで回避可能だがタイミングは一瞬)の地雷を視界外からいきなり足元に設置されると,ストレスがたまる。「倒しづらい強敵」ではなく,「ただ単純にストレスがたまる敵」が多く出現するのは評価が分かれるポイントになってしまうだろう。

 なお,本作に難度設定は存在しないのだが,オプションで「敵の攻撃力」「リフレックスタイムの時間制限」などが設定可能で,これが実質的な難度変更の役割を果たしている。この設定を変えるとスコアが記録されなくなるが,爽快感のあるシューターにすることも可能だ。カーラを無敵にしてみたり,全体のゲームスピードを半分にしてみたりと,ユーモアのあるプレイも楽しめる。苦戦するようであればひとまず難度を下げ,慣れてきたら標準設定でプレイするのもオススメだ。

 謎に包まれた「ローラードローム」に挑み,レトロフューチャーな世界を味わい,トリックとショットをキメまくる。プレイ中に感じる一種の理不尽さ,無力さは“一昔前のゲーム”を彷彿とさせるが,これをテクニックで乗り越えた時の喜びは非常に大きいものがある。人によっては不満を感じる部分があるかもしれないが,本作が放つ個性的な魅力は,不満に感じる部分を十分に上回るだろう。少しでも興味があるなら,チェックして損はないタイトルだ。

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