イベント
「メガドライブミニ2」発売記念トーク&DJライブ“メガセレブの宴”レポート。メガドライバーを魅了したセレブな一夜に
当日は,東京・文京区のライブハウス大塚Deepaに100名近くのメガドライバーが集結。メガドライブやメガドライブミニにゆかりのあるゲストのDJ&トークライブという,一夜限りのイベントを大いに楽しんだ。本稿ではその模様をレポートする。
イベントはRAM RIDER氏のDJプレイからスタートした。子供の頃にメガドライブユーザーだったというRAM RIDER氏は,1995年12月に発売された「ドラゴンクエストVI 幻の大地」が欲しくてたまらず,いち早く買ってクリアしたという友人の工藤君にゲームソフトの交換を持ちかけたという。だが,同年発売の激レアソフト「コミックスゾーン」と交換してしまったことを大いに後悔しているそうだ。「工藤君に連絡が付いたら,ドラクエI〜VIまで全部あげるから返してほしい」と,メガドライバーとしての思い出を語っていた。
そのDJプレイは,メガドライブミニ2に収録された「スペースハリアー」や「ファンタジーゾーン」を筆頭に,「ぷよぷよ」「コラムス」「ヘルツォーク ツヴァイ」「アフターバーナーII」などのサウンドをミックス。最新のアルバム「Mega Drive Mini 2 -Multiverse Sound World-」に収録された光吉猛修氏のボーカル入り「スペースハリアー」も流れていた。本人のツイートによれば,DJプレイに使用した音源は,メガドライブミニ2実機からサンプリングしたものもあったそうだ。ゲストのHiro氏が「ライブハウスの音響でメガドライブの曲を大音量で聴けてよかった。2時間やってほしい」と賞賛するオープニングアクトとなった。
トークパートは2部構成になっており,第1部では「ザ・スーパー忍」や「ベア・ナックル」のサウンドを手がけた古代祐三氏,メガドライブミニ2の収録タイトル「スーパーロコモーティブ」のBGM「RYZEEN」を作曲した細江慎治氏,そしてセガの数ある名作タイトルの楽曲を作っているHiro氏が登壇した。トークはオフレコの内容もあり,かなりディープなところまで語られたが,詳細は来場者だけの特権ということで,ここではダイジェスト的にお届けしたい。
まずはメガドライブのサウンド関係者ならではの“FM音源”がトークテーマに。その魅力を語ると思われたが,Hiro氏は“YM2612”のノイズについて言及。「ヴァーミリオン」の楽曲制作時にドライバーを作って鳴らしてみると,ノイズが乗るのでドライバーのバグかと思ったが,調べてみると実はDACのせいだったことが判明したという。古代氏もなぜ最初はノイズが入るのか疑問に思っていたが,そういうものだと知って慣れていき,今ではユーザーの間で“味”として認識されているそうだ。また古代氏は,メガドライブのバージョンによって出力される音が微妙に異なる点にも触れ,「全てのバージョンを集めて聞き比べてみたい」とHiro氏が返答すると,壇上の全員が「やってみたいね(笑)」と大きく頷いた。
メガドライブの楽曲制作には直接携わっていない細江氏は,今回メガドライブミニ2の「スーパーロコモーティブ」で初めてサウンドが採用されることとなった。しばらく前のイベントでエムツー社長の堀井直樹氏と出会って相談されたとのことで,最近になって急に話が実現化したそうだ。しかし「どうしようもないほどの忙しい時期だった(笑)」ため,元データだけ作り,打ち込みはエムツーに任せたそうだ。細江氏はサウンドを作るにあたり「スーパーロコモーティブ」のオリジナルのソースデータを資料として渡されたが,収録された原曲の打ち込みデータは非常に完成度の高いもので,それを解析した人のドキュメントも強い愛を感じたと語った。
古代氏は現在開発中であることを発表したメガドライブの新作タイトルについても触れた(関連記事)。実機で動くシューティングゲームをエインシャントにて開発しており,現状では画面がスクロールしてザコとボスが現れ,武器も2種までできているとのこと。
サウンドは未着手だが,開発環境は昔よりも良く,作りやすくなっているので,少人数かつスピーディに開発が進められているとのこと。まだ見せられる段階ではなく,販売方法なども未定だが,進捗は古代氏のTwitterで随時発表していくそうだ。
メガドライブミニ2の開発者にバトンタッチをした第2部では,セガの奥成洋輔氏,エムツーの堀井直樹氏が登壇した。最初の話題は「セガマークV」の実機だ。以前にも4Gamerのインタビューやメガドライブミニ2配信番組で触れられているが,堀井氏が趣味の範囲で「いつか動く実機を披露したい」という野望(!?)のもと開発を進めている。その開発中の写真が場内のスクリーンにて公開された。
前述の配信番組でのお披露目が予定されていたセガマークV。宿泊先のホテルでも開発し続けていたそうだが,ボードやメガドライブの故障により,番組では披露されることはなく,仕出し弁当が「(涙で)しょっぱかった」と悔しさをあらわにしていた。
セガマークVを披露する次の機会として,この日を目標としていたが,残念ながらそれは叶わなかった。しかし,セガから許可は下りており,機会があればどこかのイベントで必ず見せると約束した。
そして,トークテーマは収録タイトルの話題へ。奥成氏によると,メガドライブの文化は30年前に一度潰えたが,その後,世界の有志の尽力により開発環境は当時以上に充実。そのおかげでメガドライブミニの「ダライアス」や「ファンタジーゾーン」のような作品が完成したそうだ。
メガドライブ版「スペースハリアー」についても,開発初期の段階ではもっとキャラクターが小さかったが,奥成氏がNGを出したことで,アーケード版に近いキャラクターの大きさが実現。その分,スプライトの表示限界数による描画オブジェクトの点滅も増えてしまったが,そこは味としてあえて残しているという。
なお,堀井氏の頭の中には,「スペースハリアー」はメガドライブでも開発が進められていたがお蔵入りになり,「スペースハリアーII」になったという史実と異なるストーリーがあり,ロマン的な要素が強いタイトルとのこと。だからこそ,プラスαのオマケ枠だということを奥成氏は強調した。
メガドライブミニ2は見事完売したが,クリスマスの時期に買えないのも寂しいということで,北米版の「SEGA Genesis Mini 2」の日本販売枠を増やして,現在Amazonにて販売中だ。また12月23日には「M2 Shot Triggers」の生配信が予定されており,新たな発表があるとのこと。
ラストは古代氏によるDJライブが行われた。古代氏が作曲を手がけたたメガドライブミニとメガドライブミニ2のメニュー楽曲のリミックスや「ベア・ナックル」の楽曲など,約20分のDJプレイで来場者を魅了し,ライブを締めくくった。
「メガドライブミニ2」公式サイト
- 関連タイトル:
メガドライブミニ2
- この記事のURL:
(C)SEGA