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印刷2022/09/21 19:33

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[TGS2022]唯一無二の個性を放つ“ヒップホップ死にゲー”。同化政策に立ち向かう反骨の主人公を描いた「SONOKUNI」を紹介

画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS2022]唯一無二の個性を放つ“ヒップホップ死にゲー”。同化政策に立ち向かう反骨の主人公を描いた「SONOKUNI」を紹介
 TGS 2022のインディーゲームブースに,「SONOKUNI」なるタイトルが出展されていた。BGMにヒップホップが採用されているという時点でユニークだが,それ以外の各種システムも個性的で,個人的には今回のゲームショウ全体を通じて最もインパクトを受けた作品である。本稿で詳しくレポートしよう。

 本作は,バイオテクノロジーが極限まで発達した日本神話の世界を舞台にした,トップビューのアクションゲームである。ゴア表現もたっぷりとあり,ぱっと見た限りでの雰囲気は「Hotline Miami」に通じるものがある。

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 プレイヤーキャラは移動のほか,回転しながらのパンチ攻撃と,敵からの遠距離攻撃を跳ね返すバリアの2種類のアクションを行える。また,短時間ながら画面全体をスローにすることも可能だ。これらを状況に応じて使い分け,先へ先へと進むのである。

 敵からの攻撃を1度でも受けると即死してしまい,初見殺しのギミックも当たり前のように登場する。だが,たとえやられてしまっても,その直前から即座にリスタートが可能だ。ゲームの難度は全体的に高く,ひたすら挑戦を繰り返して針穴に糸を通すような攻略法を見いだす,俗に言う死にゲーである。
 そして,このように独特なゲームのBGMがヒップホップという部分が,その個性に彩りを添えている。

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 本作を開発する佐川ドンさんにあれこれ聞いたところ,突拍子がないように見えて,実はめちゃくちゃ深く作り込まれているゲームだということが判明し,思わず聞き入ってしまった。

 彼は元々,ヒップホップグループのDON YASA CREWを率いて活動していたが,コロナ禍によりライブ活動が行えなくなってしまった。どうしようと悩んでいたところ,ニュースで任天堂の株価が上昇しているのを見て,ゲーム開発を志したそうだ。そうして佐川ドンさんはプログラムを勉強し,グループの仲間もグラフィックス等で手伝い,そしてゲーム開発をサポートする「iGi」(indie Game incubator)の第二期生として作り上げてきたのが,このSONOKUNIである。

開発者の佐川ドンさん(左)とその仲間たち
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 SONOKUNIの独特な世界観にも,明確なコンセプトがあるという。
 バックグラウンドストーリーを説明すると,主人公のタケルが住まう熊襲(くまそ)という国は当時,隣接する大国の大和から同化政策(要するに併合)を強いられていた。そういったなかタケルは熊襲を守るべく,村に代々伝わる秘術を手に,単身本拠地へと乗り込むのである。

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 歴史上において熊襲は最終的に大和に同化され,つまり後の世における“日本”の一部となってしまう。しかし,たとえ熊襲は滅んでも,その文化や魂は失われず,後の世にもきっと伝わると彼等は信じている。そういった彼等の生き様のようなものを,本作を通じて伝えたいのだそうだ。
 そして,タケルらが持つ反骨心は,ヒップホップにおけるルーツのひとつでもある。だからこそ,本作のBGMとしてヒップホップが採用されているのだ。

 ちなみにゲーム内で流れるBGMは,すべてDON YASA CREWが手掛ける楽曲である。彼等にとってはヒップホップグループとしての活動も,ゲーム開発も,アーティストとして同列なのだそうだ。

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 ゲーム開発が初であるにもかかわらず,滞りなく行われていることにも驚かされる。それに関しては,上述のiGiのサポートを受けているほか,佐川ドンさんが過去に楽器メーカーで製品開発のプロダクトを担当した経験が大きいとのこと。プロダクト全体の進行管理という面において,製品開発とゲーム開発で共通する部分が多いそうだ。

 個人的には大変驚かされたゲームだが,今回佐川ドンさんが語ってくれたような内容は,ゲームショウを訪れた来場客が数分間プレイしただけでは,なかなか伝わりにくいだろう。個性的なゲームに興味のある人は,ぜひ以下のムービーをチェックしてほしい。なお本作のリリースは2024年を予定しており,現在はパブリッシャを募集しているとのことだ。



「SONOKUNI」公式サイト

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