インタビュー
Meta Quest 2版「マーベルアイアンマン VR」プレイレポ&開発者インタビュー。無線化でより“アイアンマン”になりきれるタイトルへ
2020年7月にPlayStation VR向けにリリースされたタイトルと同じ作品で,Quest 2への移植にあたり,より“アイアンマン”になりきれるタイトルになったという。
4Gamerでは,そんなマーベルアイアンマン VRを手掛けるCamouflajのスタッフへ,インタビューを行う機会を得た。本稿では,本作の紹介とともに,そのインタビューの内容をお伝えする。
※記事内のゲーム画面はすべて開発中のものです
気分はトニー・スタークそのもの! アイアンマンとなって大空を飛び回ろう
本作の主人公は,マーベル・コミックのヒーロー“アイアンマン”もとい,そのパワードスーツを操縦する“トニー・スターク”だ。アイアンマンとなって敵と戦うアクションはもちろん,助手のペッパーやサポートAIのフライデーなど,さまざまなキャラクターたちが登場するストーリーも楽しめる。
物語はトニーの回想という形で進行し,まずは操作のチュートリアルとなるプロローグが始まる。
本作のアクションパートは,基本的に空中を飛び続けることになる。そこで飛行の制御をするのが,両手に装備されたリパルサーだ。
コントローラのトリガーを引くとリパルサーが噴射し,手のひらを下に向けると上へ,後ろに向けると前へ,といった具合に移動できる。やや特殊な移動方法だが,まさに自身がアイアンマンになった雰囲気を感じられる。
次に攻撃の練習だ。初期装備では,手のひらをターゲットに向けて,射撃ボタンを押すことでリパルサーを発射できる。リパルサーは両手に装備されているので,片手で飛行しながら,もう片方の手で射撃を行うということも可能だ。
また,トリガーとグリップボタンを同時に押しこみ,腕を勢いよく前に突き出すと,ロケットパンチを行うこともできる。目標を攻撃しながら一気に近づくことができるので,上手く使いこなしたい。
一通りの操作を練習したら,プロローグでのアクションパートは終了だ。その後,アドベンチャーパートへ移行し,第1章へと進んでいく。本作はいくつかの章に分かれており,それぞれの章でアクションパートと,物語やキャラクターへの理解を深めるアドベンチャーパートが用意されている。
また,プロローグで練習した装備以外にも,第1章クリア時に開放される装備の開発を行うことで,ロックオン方式のミサイルを装着したり,リパルサーをレーザーに変更したりすることが可能だ。装備によって戦い方も変わってくるので,自分の思い描くアイアンマンへとカスタマイズしていこう。
筆者はPS VR版をプレイしたことがないため,画質や操作感の変化を比較できなかったが,本作をプレイしていて違和感のある部分はまったくなかった。チュートリアルも丁寧で,VRは初めてという人でも問題なく遊べるだろう。
それでいて,手のひらを使うといったアイアンマンらしい独特な操作を楽しめるため,VRゲームに慣れている人も新鮮な気分で楽しめるゲームだと感じられた。
「マーベルアイアンマン VR」は,これでまでPS VRでしか遊ぶことができなかったタイトルなので,移植を心待ちにしていたVRゲームプレイヤーは少なからずいるのではないだろうか。アイアンマンのファンはもちろん,VRゲームが好きな人も,ぜひチェックしてみてほしいタイトルだ。
VRでしかできない体験を楽しんでほしい。アイアンマン VR開発者インタビュー
続いて,本作の開発をしているCamouflajのRyan Payton氏とMatt Walker氏へ行ったインタビューの内容をご紹介しよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
Ryan Payton氏:
CamouflajのスタジオディレクターをしているPaytonと申します。もともと「マーベルアイアンマン VR」のディレクターを担当していて,今回の移植にあたりMattさんのサポートという形で関わっています。
Matt Walker氏:
Walkerと申します。「マーベルアイアンマン VR」ではエグゼクティブプロデューサーと呼んでいただいておりますが,まぁプロデューサーですね(笑)。
4Gamer:
ありがとうございます。
それでは,本作をPS VRからQuest 2へと移植した経緯や意図を教えてください。
Metaさんのほうから「移植してほしい」という打診がありました。我々としてもQuest 2の色んな利点や,良い経験になるという点に魅力を感じたので,移植を決定しました。
Ryan Payton氏:
お話をいただいたときには他のプロジェクトも進行中だったので,難しいと思ったのですが,「マーベルアイアンマン VR」はとても愛情のあるタイトルだったので,ぜひ色んな人に遊んでほしいという想いもあり,苦労しましたが頑張りました(笑)。
4Gamer:
Quest 2ならではの特徴などはありますか。
Matt Walker氏:
一番感動するのは無線で遊べるという点ですね。有線だとどうしてもコントローラで方向転換する必要が出てしまうんですが,無線では身体を自由に動かせるので,本当にアイアンマンになりきるという体験が可能になりました。また,ロード時間も非常に速くなりました。
Ryan Payton氏:
ロード時間は移植にあたりどうにかしなければと考えていた部分の1つだったんです。ただ,実際にQuest 2で動かしてみると「えっ,こんなに短くなるの!?」と大変驚きました。
もう1つは解像度ですね。Quest 2のレンズはとてもスペックが高いので,純粋なアイアンマン VRの映像を体験することができます。
Matt Walker氏:
あとは,操作性も良くなりました。PS VR版ではアナログスティックが無かったんですが,Quest 2のコントローラはアナログスティックを使えるので,しっかりと活用しました。
4Gamer:
移植の際に苦労したことなどはありますか。
Matt Walker氏:
やっぱり期間が短かったというのもありますが,技術的な部分ですと,ライティングの調整が大変でした。PS VRだと動的なライティングが使用できたんですが,Quest 2でそのまま動かすとフレームレートが基準に満たなくなってしまうので,動的なライトを使わずにクオリティを維持する工夫が必要でした。
Ryan Payton氏:
今年の1月2月くらいのスタッフたちはほとんどが発売日に間に合わないだろうと考えていたと思います(笑)。ただ,Quest 2での開発は非常にやりやすくて,新しいバージョンのビルドを,家でもホテルでもすぐにプレイできて,さらに録画や録音までできてしまうというのは,とてもありがたかったです。
Matt Walker氏:
「これが2022年のゲーム開発か」と思いましたね(笑)。
4Gamer:
なるほど(笑)。
では,次の質問です。Camouflaj社がOculus Studiosの加入したとのことですが,それによる今後の展望をお話しいただけますか。
Matt Walker氏:
そうですね……さきほどRyanさんが少し言いましたが,もう1本開発を進めています。……それしか言えないんですけどね(笑)。まだしばらくかかるとは思います。
Ryan Payton氏:
Camouflajは設立してからずっと“意味のある”コンテンツを作りたいと考えています。今回の「マーベルアイアンマン VR」も次のタイトルも,それは続けていきたいと思っています。あとはもちろんVRのタイトルなので,VRだからこそできる新しい体験を作りたいですね。
4Gamer:
最後に読者へ向けてのメッセージをお願いします
Matt Walker氏:
「VRってこんなにすごいんだ」っていうのを本作で感じてほしいです。実際にアイアンマンになりきって空を飛んで戦うなんて,VRでしかできない体験だと思います。Quest 2を持っていない人は,電気屋さんなどに体験コーナーがあると思うので,そこでぜひ「マーベルアイアンマン VR」を体験してみてください。もしインストールされてなかったら店員さんにお願いしてください(笑)。
Ryan Payton氏:
本作は,日本語のローカライゼーションにとても自信を持っています。大変クオリティが高いものになっていますので,日本のみなさんにぜひ楽しんでいただきたいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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