プレイレポート
ブレイブルーのアクションゲーム「BlazBlue Entropy Effect」プレイレポ−ト&開発者インタビュー。シリーズファンに新たな体験を届けるスピンオフを目指す
本作は,“スタイリッシュ・ローグライトアクションゲーム”を謳う,ブレイブルーシリーズのスピンオフタイトルだ。アークシステムワークスからライセンスを受けて,91Actが開発を行っている。
7月14日〜16日に京都みやこめっせで開催されたイベント「BitSummit Let's Go!!」には,本作が初プレイアブル出展しており,試遊のために多くの人がブースに詰めかけていた。
4GamerはBitSummitの会場で本作をプレイする機会とプロデューサー兼ディレクター姜 磊氏へインタビューを実施する機会を得たので,本稿でプレイレポートとインタビューをお届けしよう。
本作においてプレイヤーは,「ACE」と呼ばれる意識訓練装置に選ばれた“意識訓練者”だ。プレイヤーは「ACE」を介することで,ブレイブルーシリーズのキャラクターの姿や能力を借りることができ,与えられた試練に挑みゲームを進めていくことになる。
デモ版でのプレイアブルキャラクターは,「ヒビキ=コハク」「マイ=ナツメ」「ノエル=ヴァーミリオン」「Λ-No.11」「ココノエ」「ハクメン」の6人で,「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」は使用できなかった。
ゲームの基本は,ステージクリア型の2D横スクロールアクションで,通常攻撃やスキルを組み合わせて,敵を倒していく。すべての敵を倒すとクリアとなり,次のエリアへの扉が開く仕組みだ。
“スタイリッシュ・ローグライトアクションゲーム”と謳われている通り,ステージがランダムで生成されるほか,レベルアップ時に習得できるスキルもランダムで提示される3つの中から1つをチョイスしてキャラクターを強化していく。
スキルは通常攻撃に追加効果を付与するものや,プレイヤーが倒れても1度だけ自動蘇生してくれるようになるものなどがあり多種多様で,キャラクターの特性とスキルの組み合わせを考えながら,ビルドを考えていく必要がある。
突破後には,次に挑戦するエリアを決める中間部屋へと転送され,敵の強さも普通で報酬も並な「トレーニング」,敵はかなり強いが,報酬は良い「特訓」といった項目から選択して挑戦する。ちなみに「特訓」は必ずしも出現するわけではなく,場合によっては「トレーニング」しか選択肢がないこともある。
この中間部屋は次のエリアを決める以外にも,プレイヤーの体力を回復するアイテムや後述する「ポテンシャル」がランダムで手に入る「確率」や,道中で拾ったポイントと引き換えに経験値や体力の回復を行う「引換といった項目が出現することがある。
これらはプレイヤーが有利になる選択に見えるので,ついつい選びがちだが,中間部屋では1行動ごとに「エントロピー」という値が増大していく。エントロピーの値が大きくなると,次に挑戦するエリアでプレイヤーが敵から受けるダメージが増大するなどのデメリットが発生しやすくなるのだ。
体力を回復させようと「確率」ばかり選んで,エントロピーを増やしていると,結局次のエリアで大ダメージを食らってしまうということになりかねない。中間部屋での行動は慎重に選ぶ必要があるのだ。
「トレーニング」と「特訓」のエリアをいくつかこなすと,ステージのボスと戦うことになる。ボスはかなり強力な敵で,体力が少なくなればなるほど攻撃が苛烈になっていく。慣れてしまえば攻撃パターン自体は見切れるのだが,攻撃力がかなり高いので,1発食らっただけで大ダメージを受けてしまう。
ボスを倒すとそのステージはクリアとなり,次のステージへと進めるようになる。ボスは「ポテンシャル」と呼ばれるキャラクター固有の能力を開放するアイテムを持っているため,これによりさらなるパワーアップが図れる。
ローグライトアクションらしく,戦闘で力尽きるとプレイヤーは拠点に戻され,また最初からステージを攻略していく必要がある。この際にキャラクターの習得したスキルなどはすべてリセットされるが,道中で手に入れたポイントを使うことで,次の攻略に役立つパッシブスキルを開放することが可能だ。
また,本作では一度使用したキャラクターの固有スキルを他のキャラクターに継承できるため,繰り返し遊ぶことによって,プレイヤーに有利な状態で次のゲームを始められるようになっている。
ストーリーについては現段階では謎が多く,プレイヤーが「ACE」に選ばれた「ACER」と呼ばれる存在であること,こちらのプレイが誰かに監視されていることなどが会話シーンから読み取れた。これらの謎は繰り返しプレイすることによって,徐々に明らかになっていくそうだ。
プレイ終了後には,「BlazBlue Entropy Effect」プロデューサー兼ディレクターを努める姜 磊氏に話を聞くことができた。開発の経緯やプレイアブルキャラクター追加の可能性などについて聞いているので,最後まで目を通してほしい。
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。「BlazBlue Entropy Effect」が発表された際には,日本のファンからも大きな驚きの声がありました。まずは本作を開発することになった経緯を教えてください。
姜 磊氏(以下,姜氏):
まず,会社として「ブレイブルー」のIPを活用したアクションゲームを作りたかったということが挙げられます。私自身「ブレイブルー」シリーズはとても好きで,2008年の初代から遊んでいます。
本家は対戦格闘ゲームですが,私たちが得意としているのはアクションゲームを作ることだったので,ブレイブルーの世界やキャラクターの魅力をアクションゲームという形でユーザーたちに届けたいと考えていたんです。
かつて,アークシステムワークスからライセンスを得て「BLAZBLUE REVOLUTION REBURNING」(iOS /Android)をリリースし,グローバルで1000万ものユーザーを集めたことがありました。しかし,アクションゲームとして,もっと良いゲームが作れる可能性を感じていたことから,その想いを実現させるアクションゲームとして「BlazBlue Entropy Effect」を開発しました。
4Gamer:
対戦格闘ゲームであるブレイブルーをアクションゲームに落とし込む際にこだわったポイントはどこでしょうか。
姜氏:
ブレイブルーはすべてのキャラクターが個性的なので,アクションやモーションを作る際には,そこを崩さないように気をつけながら作っています。
例えば,ハクメンは一発が非常に重たいキャラクターにしていますし,ノエルは素早く動いて遠距離攻撃をバラまけるキャラクターになっています。こうした各キャラクターが持つリズム感やイメージを崩さないようにしています。とはいえ,対戦格闘ゲームの技をそのまま持ってきたらアクションゲームとしておかしなことになってしまうので,バトルスタイルを見直しているキャラクターもいます。
4Gamer:
本作は“スタイリッシュローグライトアクション”と銘打たれていますが,ローグライトのスタイルを採用した理由を教えてください。
姜氏:
私たちは常に「アクションゲームの究極」を追求して開発に臨んでいるのですが,“ローグライトアクション”という比較的新しいジャンルにその可能性があると思い採用しました。
ステージを進めていく最中に得られるスキルによって,バトルに変化が加わったり,複数のスキルが組み合わさることにより,新たな可能性を生み出すような仕組みになっています。他のキャラクターのスキルを借りることもできるので,膨大な組み合わせによって,1プレイごとにゲーム体験が変化していくのです。
4Gamer:
本作には「ゴール」のようなものはあるのでしょうか。
姜氏:
ステージのゴールは存在し,さまざまなステージに存在するボスを倒していくことでラスボスが出現します。そして,ラスボスを倒すとエンディングを迎えます。本作はマルチエンディングを採用しており,すべてのエンディングを見ることでストーリー上ではクリアにということになると思います。
ただ本作は,エンディングを見た後も繰り返し遊べるように設計していますので,ゲーム上のゴールはありません。
4Gamer:
本作のストーリーは,現段階では謎に包まれた部分が多いと思います。主人公が意識訓練装置に選ばれた存在であったり,ブレイブルーのキャラクターの能力を借りて戦っている設定だったりと,本編とは違うテイストになっていますが,なぜこういった設定にしたのでしょうか。
姜氏:
かつて「BLAZBLUE REVOLUTION REBURNING」を作ったときには,ブレイブルーシリーズのストーリーをそのまま使用したのですが,やはり少し不足感がありました。
しかし,本編に合わせて新しいストーリーを作る場合は,整合性を取る必要がありますし,原作に失礼な部分も出てきてしまうかもしれません。そこで今回はブレイブルーシリーズのコアのコンセプトと新しい世界設定を組み合わせて,オリジナルのストーリーを考えたんです。
4Gamer:
コアのコンセプトというのはどういったものでしょうか。
姜氏:
1つ目は「選択」,2つ目は「ループ」になります。ブレイブルーシリーズもループをすることによって誰かを救うストーリーになっているので,今回の「BlazBlue Entropy Effect」も同じように,「ループをし,選択をして何かを救う」というのをテーマに掲げています。
ゲーム上に出てくる小さなロボットは設定上だとプレイヤーの分身で,ゲームの主人公は実際プレイヤーそのものなんです。プレイヤーはゲームを進めていくと,自分が誰なのか,この世界はどうなっているのか知ることになります。
4Gamer:
メタ視点から物語が進んでいくんですね。
姜氏:
はい。行きついた先でプレイヤーの取った「選択」が世界の運命を左右することになります。
4Gamer:
なるほど。発売はいつごろを予定していますか。
姜氏:
現在はSteamにて,8月16日に早期アクセスを開始するべく準備を進めています。正式リリースの時期はまだ言える段階ではありませんが,プレイヤーからのフィードバックをもらいつつ,開発を進めていければと思っています。今はクオリティアップに注力していますが,プレイヤーの意見によっては,プレイアブルキャラクターを増やすことも検討しております。
4Gamer:
それは嬉しいですね。個人的にはアラクネを出してほしいなと思っています。
姜氏:
実はアラクネはボスキャラクターとして既にゲーム中に登場しているんですよ。プレイアブルキャラクターになるかはプレイヤーの意見を聞きながら考えていきたいと思います。
4Gamer:
ちなみに姜さんはブレイブルーシリーズのキャラクターは誰がお気に入りですか。
姜氏:
私はライチが好きですね。彼女もまだプレイアブルキャラクターとして出てはいませんが(笑)。
4Gamer:
彼女のプレイアブル化にも期待しております(笑)。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。
姜氏:
ブレイブルーシリーズのファンにとっても本作は,新しいゲームジャンルを体験できるスピンオフだと思いますし,この作品がきっかけでシリーズにもっとたくさんの可能性を広げられたらいいなと考えています。
私も開発者としていちファンとして,ブレイブルーシリーズがこれからも皆さんに愛され続けるように努力したいと思いますので,応援よろしくお願いします。
「91Act」公式サイト
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