インタビュー
新たな動きが見え始めた「BREAKERS : UNLOCK THE WORLD」。期待のアニメーションRPGのキーパーソン3人に聞く[TGS2024]
ちょうど1年前の2023年9月に“アニメーションRPG”として発表され,直後の東京ゲームショウ2023にプレイアブル出展された本作。2024年8月にはNCSOFTによる投資とパブリッシング権の獲得が発表され,リリースまでの道のりは順調そうに見えた。だが,今回の試遊バージョンでは,特にバトルシステムに関して,1年前から大きな変更が加えられているという。
本稿では,開発を手がけるVIC GAME STUDIOSの事業統括,兼,日本支社代表であるイ・ドンギョ氏,本作の統括プロデューサーであるイ・ドンジュン氏,本作の世界設定やストーリー,キャラクターデザインを手がけるアート総括のハン・ソクジュン氏へのインタビューをお届けしよう。
左からイ・ドンギョ氏,イ・ドンジュン氏,ハン・ソクジュン氏 |
ハンティングアクション風のボス戦を堪能できた「BREAKERS:UNLOCK THE WORLD」プレイレポ[TGS2024]
VIC GAME STUDIOSは,東京ゲームショウ2024に,開発中の新作RPG「BREAKERS:UNLOCK THE WORLD」をプレイアブル出展している。昨年もプレイアブル出展されていた同作が,どのように変わったのか,プレイレポートでお届けしよう。
4Gamer:
「BREAKERS」はちょうど1年前に発表されて,東京ゲームショウとG-Starに試遊出展されましたが,その後はあまり新しい情報が出てこなかったように思います。その間,どのような変化があったのでしょうか。
一番大きな変更は,マルチプレイモードの実装です。プレイヤー同士が一緒に楽しめるものとして,ハンティングアクションのバトルにしました。
4Gamer:
1年前のインタビューで,マルチプレイとしては協力モードを考えているとうかがいましたが,それが具体的な形になったんですね。ハンティングアクションになったのは,TGSやG-Starでの反応を踏まえての決定だったのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
いえ,あくまで開発チームが,「プレイヤーのみなさんが楽しめるもの」を考えた結果としての実装です。
4Gamer:
ハンティングアクションを作るうえで意識したところはどこでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
マルチプレイでのハンティングアクションの楽しさは,やっぱりボスを倒すための役割分担だと思うんです。どこの部位破壊をするか,誰が回復をするのか,などを考える面白さが高まるように,システムやキャラの特徴を設計していますし,ボスから得た素材での武器作りも楽しんでほしいです。また,シングルプレイでも,それに近い楽しみ方ができるようにしたいと考えています。
4Gamer:
シングルプレイとマルチプレイではゲーム性も変わってくるのではないかと思っているのですが,いかがでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
シングルプレイとマルチプレイでは難度が変わりますし,同じボスでも違う印象を受けると思います。シングルプレイではキャラクターの切り替えが楽しめます。マルチプレイなら1人のキャラクターや役割に専念するところを,1人で3人分やることになります。
4Gamer:
となると,最初にマルチプレイでキャラクターや役割をつかんだ後で,シングルプレイに挑戦という流れがいいのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
いえ,ストーリーモードはすべてシングルプレイなので,まずはそこでボスや仲間キャラの特徴をつかむのがいいと思います。マルチプレイではボスが強くなりますし,ほかのプレイヤーの動きに合わせて技を決めたり,3人それぞれがバトル中に条件を満たすとチームアクションが使えるようになったり,といった複雑な要素もありますので。
4Gamer:
マルチプレイはやり込みがいがありそうですね。
「BREAKERS」に関する最近のニュースとしては,2024年8月にNCSOFTによる投資とパブリッシング権獲得の発表がありました。これによって開発に変化はありましたか。
開発作業自体に変化はありません。実はNCSOFTさん以外のパブリッシャからもお声がけをいただいていましたが,弊社がパブリッシャを選ぶうえで一番大事だったのは,「完成まで自分たちの方針で開発することを尊重してくれるかどうか」だったんです。
ですので,NCSOFTさんには開発以外のサポートをしていただいています。
4Gamer:
より開発に集中できる環境が整ったわけですね。
TGS 2024のティザートレイラーでは,冒頭でカイトがこれまでと異なる剣を手にするシーンがありました。あれはキャラクター設定の変更なのでしょうか。
イ・ドンジュン氏:
あのシーンには開発の意図が込められています。ハンティングアクションというのは,手に入れた素材でさまざまな武器を作って,戦う敵に効果的な装備で挑みますよね。それを表現しているんです。
4Gamer:
なるほど,ジャンルを表していたんですね。シオンの帽子もなくなったようですが,これにはどんな意図があるのでしょうか。
シオンの性格や,ストーリーに合わせた変更です。シオンは本作における重要なキャラクターですので,より性格やストーリーに合うものを追求しました。ただ,シオンの性格やストーリーに変更があったわけではありません。シオンは活発で勝ち気なキャラクターですが,帽子はそれを弱めてしまうと判断したんです。
4Gamer:
ブレイカーたちが,すべての知識が集積された最果ての地「神の書庫」を目指すという,ストーリーの一端も明かされましたが,個人的にはメイントレイラーに登場した天使と悪魔のようなキャラクターが気になっています。
ストーリーに関わる話なので細かいところまでは明かしていただけないかと思いますが,可能な範囲で教えてください。
ハン・ソクジュン氏:
「BREAKERS」のストーリーは,基本的に明るくて軽いのですが,お話が進むにつれて,世界の裏に隠された秘密も見えてきます。その部分に関係するのが,あの2人のキャラクターです。
4Gamer:
昨年「BREAKERS」を初めて見たときに感じたのが,「物語の展開やキャラクターが分かりやすい」ということでした。アニメではある種のお約束になっている展開や,明るくて格好いいけれど,どこかコミカルな主人公のカイト,といった要素からは,「王道の冒険もの」といったような印象を受けます。
ただ,ゲームでは“尖った設定”がもてはやされる傾向もあります。王道的な設定にしている理由は何でしょうか。
ハン・ソクジュン氏:
開発チームの好みであるとか,最近のゲーム,特に中国のデベロッパさんのタイトルには,尖ったストーリーやキャラクターが多いと感じてはいますが,クラシックで分かりやすいデザインが「BREAKERS」の方向性に合っていると考えました。
まずはこれでベースを作ってから,アップデートなどでユニークな設定やキャラを追加していきたいと思っています。
4Gamer:
少々気が早いのですが,ローンチについてうかがいたいと思います。リリースから1年やそれ以下でサービスが終了してしまう運営型タイトルは以前からありましたが,最近は大作と呼ばれるようなタイトルでそれが目立つように感じます。「それが分かったら苦労はしない」という話ではありますが,成功と失敗を分けるのはどこだとお考えですか。
イ・ドンギョ氏
弊社もこれまで「ブラッククローバーモバイル 魔法帝への道 The Opening of Fate」などのタイトルをリリースしてきましたが,「ロードマップ通りに進めたか」が大きく影響するのではないかと感じています。
リリース直後であっても,売り上げが予想を下回ってしまうと,アップデートの頻度が落ちるタイトルが多いんです。
4Gamer:
厳しいですね。
イ・ドンギョ氏
ただ,そうなるとプレイヤーはどんどん離れていきます。何があってもアップデートできるような量のコンテンツを積んでからリリースしたほうがプレイヤーは安心できるので,そういったゲームが生き残るのではないかと思っています。
逆に言うと,最初の売り上げがよくなくても「次のアップデートで挽回しよう」と力を入れられるゲームは,やはり強いと感じます。
4Gamer:
それでは時間も残り少なくなったようですので,今後の意気込みを聞かせてください。
イ・ドンジュン氏:
現在,さまざまなアクションゲームがリリースされていますが,その中で「BREAKERS」がどんな楽しさを提供できるかを考えて,プレイヤーのみなさんの期待に応えられる作品を作り上げることを心がけて開発しています。
ハン・ソクジュン氏:
ストーリーや世界観,キャラクターデザインを含め,プレイヤーのみなさんの記憶に残るものを目指して,最後まで頑張りたいです。
イ・ドンギョ氏
開発は順調で,テストの準備も進めています。日本のみなさんの反応はとても気になりますし,楽しみでもあります。ご意見をいただければそれをゲームに反映させて,いいものを作り上げたいと思っていますので,期待してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「VIC GAME STUDIOS」公式サイト
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