プレイレポート
[TGS2023]水彩画で描かれた仕掛け絵本のような世界を旅し,自然に隠されたアーチを見つけ出せ。「Echo of the Waves」プレイレポート
水彩画のような世界を旅し,自然に隠されたアーチを見つけ出す
「Echo of the Waves」は,スイスのOneira Gamesが開発中のPC向けアドベンチャーゲーム。配信日について,Steamページには近日登場と予告されている。
本作の主人公は,地図制作者にして音楽家のゼファー。祖先との絆を見つけ出すため,色とりどりの島々を巡る旅に出る。本作の世界は,水彩画のスタイルで描かれており,色鮮やかでありつつも透明感のある画面となっている。珊瑚の生えた島は地上でありながらまるで海底のよう。この幻想的な場所をゼファーとなってさ迷い歩くのは不思議な体験だ。
手描き風のアートをフィーチャーしたタイトルも多いが,本作の特徴は「2.5Dレイヤー」を謳う独特な遊びにある。この世界は水彩画のようでありつつも平面ではなく,実はいくつかのレイヤー(層)が重なった奥行きのあるものだ。マウスで視点を動かすと,角度を変えて世界を見ることができるが,その様はまるで飛び出す絵本のよう。レイヤーは平行に走るいくつかの線路のようなもので,通常はレイヤー間の行き来はできない。
しかし,島に立つ柱や珊瑚がアーチ状に見えるよう視点を調整すれば,ゼファーはこのアーチを伝ってレイヤーを移動できる。例えば,前のレイヤーと奥のレイヤーにそれぞれ柱が立っているとする。2本の柱がアーチ状につながるよう視点を動かせば,ゼファーはレイヤーからレイヤーへ行き来できるのだ。もちろん,実際に柱や珊瑚がつながったわけではなく,視点を動かしたことによる錯覚だ。「自然界に存在するアーチを見つけ出すことで,レイヤーからレイヤーへと移動できる能力」と表現した方がイメージしやすいだろうか。
手前の岩山にいるゼファー。奥へと進みたいが道がない。よく見ると,アーチになりそうな2本の柱が立っている |
上手く視点を動かすと,2本の柱が重なってアーチのように見える。ここで巻き貝の笛を吹くと,アーチを伝って奥へと進むことができた |
奥の珊瑚の根元に立つゼファー。手前に行きたいが水に隔てられている |
視点を動かすと,張りだした珊瑚の枝がつながってアーチのように見える |
巻き貝の笛を吹くと,アーチを伝わって移動可能に |
ある種の謎解きというかパズルではあるのだが,水彩画の世界を観賞しつつさ迷う際のムードを妨げないのが面白いところ。世界の美しさを楽しみつつ視線を動かしていくと,思わぬところにアーチが見つかってハッとさせられる。アーチ伝いにレイヤーからレイヤーへと移動する際はゼファーが巻き貝でできた笛を吹くのだが,この演出も世界観とマッチしている。
ゼファーが歩を進めるためにはアーチの他にも探さなければならない図形があり,その大きさもさまざまだ。ときには空に浮かんだ月を使って図形を作ることもあり,スケールの大きさに感嘆させられる。ゼファーの行く手にどんな島々と幻想的な光景が待っているのか,楽しみに感じられた。
パズル的な要素がありつつも直感的であり,加えて戦闘がないため,ゲームに慣れていない人でも安心して遊べそうだ。興味のある人はSwiss Gamesブースへ行ってみよう。
今までゼファーが旅してきた島は,実は大きな亀の甲羅だった |
東京ゲームショウ2023公式サイト
4Gamer「東京ゲームショウ2023」掲載記事一覧
- 関連タイトル:
Echo of the Waves
- この記事のURL: