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「楽しみそびれた夏」をVRで満喫しよう。VRChat初心者が,VR機器を使わずに「夏っぽいワールド」を体験してみた
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印刷2024/09/10 08:00

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「楽しみそびれた夏」をVRで満喫しよう。VRChat初心者が,VR機器を使わずに「夏っぽいワールド」を体験してみた

 夏が……夏が終わってしまいました。それも,「ぼくのなつやすみ」のような,さわやかな夏の終わりではありません。べとべととした,生ぬるい湿気に包まれた夏の終わりです。何という徒労感。何という無力感。

 今年の夏は過酷でした。連日30℃超えが続く猛暑……さらに新型コロナの再流行によって,なかなか外で遊ぶこともままなりませんでしたよね。

 そんな2024年の夏,消化不良になっている人も多いのではないでしょうか? どんなに暑くても,夏はやっぱり外で遊んだり,友達とワイワイしたいですよね。でももう夏季休暇は終わってしまったし,残暑やら台風やらで外へ出る気も起きない……。

 そんなときはVRChatで,涼しい冷房のかかった部屋からVR空間で納涼をしてみる,というのはいかがでしょうか?

 VRChatとは,言わずと知れたソーシャルVRプラットフォーム。ユーザーはワールドと呼ばれる3D仮想空間で,他のユーザーとの交流を楽しんでいます。2014年のリリース以降,多くのユーザーが集い,その世界を大きく広げてきたメタバースプラットフォームです。

 近年ではその人気が落ち着いてきましたが,最近ではTwitchの人気ストリーマーであるスタンミじゃぱんさんVRChat配信によって,その魅力が再注目され,アクティブユーザーも急上昇しているとの噂です。

 かく言うわたしも今までSteamのライブラリにはVRChatを入れていたものの,VR機器を持っていないこともあり,今まで食指が動きませんでした。しかし,「VR機器を持っていなくとも気軽にプレイできる!」と聞き,この機に始めてみることにしました。そう,実はVRChatは,PC,ディスプレイ,Steamアプリ及びそのアカウントがあれば遊べるんです。

 本記事では,そんなVRChat初心者の筆者が,夏らしい体験ができるワールドを紹介し,友人たちと遊んだ記憶を綴っていきたいと思います。

 それではVRChatをインストールして開いてみましょう! 詳しい手順はこちらの記事で解説しています。

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[2024/03/19 08:00]

 まずは友人たちと合流するために,日本語話者用のワールドである「フジヤマ」に入ってみることに。比較的セーファーな場所なので,VRChatで気軽に友達を作りたい場合はまずこのワールドがおすすめです。

 無事友人たちと合流。みんなパブリックで使えるアバターを使っていますが,とってもかわいい。

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向かって左が筆者。この写真は中央にいる友人が撮影

 友人たちとも合流したので,早速夏らしいワールドを満喫していきたいと思います。行くぞ!

東雲ヶ崎海岸


 最初に訪れたのは「東雲ヶ崎海岸」というワールド。スポーン地点はうす暗い路地で,少し先からオレンジ色の光が漏れています。その光の方へ進んでみると……。鮮やかな縁日の屋台通りが現れました。綿あめ,かき氷,たこ焼きなど,一通りの屋台が揃っています。なんだか懐かしい気分になりますね。

 このときはちょうど自分が使っていたアバターの身長が130cmぐらいだったので,視点が低くなったのも相まって,子供の頃のワクワクした気持ちを思い出すことができました。また,祭りに行ったときの煩わしさである,人ごみやむんむんとした熱気などは,VRChatでは一切感じなくて済むのもポイントです。ここではそういった煩わしさを感じずに,気軽に夏祭りの気分を味わえます。

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 屋台通りを抜けると,一面に美しい夜の海と,きらびやかな花火が広がっています。そしてなんだか場違いな自由の女神像と,高層ビルも……。個人的には「それっている?」と疑問を感じてしまいますが,こういった雑多さもある意味VRChatの醍醐味と言えるでしょう。また,自由の女神がいらないな……と感じる人には,設定からアバター表示領域の制限をかけると,自由の女神もたちまち消えてしまいます(自由の女神ってアバター扱いなんですね……)。

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 正面にはちょっとした浮島があり,そこでは花火を楽しめます。花火は線香花火から手持ち花火やロケット花火,果ては置き型花火まであり,バリエーション豊かです。ただVR機器を使っていない場合は,アバターのコントロールがやや難しくなり,火をつけるにはコツがいるので注意です。また,インスタントカメラも置いてあり,写真を撮るとそれがオブジェクトとしてワールドに残ります。夏の思い出づくりにぴったりといえるでしょう。

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 海の向こうには鳥居が見えます。花火や星空も相まって,とても幻想的な風景です。反対に街側の方を向いてみると,少し暗い路地裏などがあり,夏祭りからの帰り道のような,少し淋しげな情緒を感じることができます。多面的な夏の思い出を一気に体験できるのが,このワールドの醍醐味ですね。

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まろの港町


 次に紹介するのは,「まろの港町」というワールド。先ほどの「東雲ヶ崎海岸」とは打って変わって,こちらは昼下がりの風景です。その名の通り,港町の商店街をモチーフにしています。ワールドの片側には海が広がり,もう一方は懐かしい雰囲気のある商店街で構成されています。さわやかなBGMもかかっており,筆者は「秒速五センチメートル」の沖縄編や,「君の名は。」など,新海 誠作品を連想しました。

 概要には「お盆休みの2日で作った」と書かれているのですが,一見してそうとは思えないほど,密度の高いワールドでした。たとえば喫茶店や駄菓子屋など,ただそこに置かれているだけではなく,実際に中に入れたり,自販機でアイスを買えたりと,夏っぽさ満点です。
 
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 構造は一本道なのでシンプルですが,さわやかな空気感のおかげで走り出したくなる雰囲気があります。かけっこもしました。

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 また実際に入れるお店や路地があるので,かくれんぼも楽しめそう。子供の頃の気分に戻って,そういった遊びをするのも一興かもしれませんね。

 そんなこんなで遊んでいると,でっかいドラゴンのアバターが現れました。真夏の田舎町に突如出現する巨大ドラゴン……。もちろんVRChatユーザーのアバターなのですが,さわやかなワールドとのミスマッチ加減が面白かったです。謎の出会いがあるのも,VRChatの魅力だと言えるでしょう。

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石打ダム駅


 さて,次のワールドに向かうところで,わたし一人だけはぐれてしまいました。どうしよう……。そこで迷い込んだのが「石打ダム駅」です。

 スポーン地点は意味深な日本家屋の玄関。玄関先には可愛いヨークシャーテリアの写真が飾られていますが,暗めなライティングのお陰でどこか不穏な空気を感じさせます。注意書きをみると,「このワールドはジャンプスケアを含んでいます」とのこと。どうやらホラー系のワールドに来てしまったようです。

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 玄関先に置いてある懐中電灯を持ち,扉を開けると,外はものすごい雨で真っ暗。電灯の光がないと前に何があるかさえわかりません。どこが道なのか,辺りを見回してみると,木々の奥に青い光が……。どうやらそれに沿って進んでいくようです。ここから先の道中でもいろいろと怖い目に遭ったので,気になる人はぜひご自身の目で確かめてみてください。

 なんとか目的地である駅にたどり着くと,明らかに不穏な声色のアナウンスが。「列車が来ます……。ご注意ください……。列車が来ます……。ご注意ください……」。真っ暗な無人駅のホームで,列車のライトだけがこちらを照らしてきます。列車は停まりましたが,案の定誰かが乗っている気配もありませんし,どこへ連れて行かれるのかもわかりません。とはいえこのまま雨ざらしで立ち尽くしているわけにもいかず,とりあえず列車に乗ってみることに。

 列車が着いた先は,コンクリートで固められた地下。閉塞的な上に足元には水が溜まっていて,いかにも怖いことが起きそうな雰囲気です。ちょうど降り口の近くに通路があるので,そこをたどっていくと……物々しい雰囲気の神社が現れました。鳥居の前にはたくさん立て札が掲げられており,どうにもいわくありげです。

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 鳥居の奥をみると,なんだか不穏な影が。恐る恐る近づいてみると……。おっと,ここから先は口にできません。

 「石打ダム駅」は全体的に短めのワールドながら,こちらを怖がらせようとするサービス精神に満ち溢れており,とても満足できました。一人で困惑しながら遊ぶのもよいですし,フレンドとみんなでわいわい肝試し気分でプレイするのも面白いでしょう。

 さて,友人とも再び合流したところで,次のワールドに行ってみましょう。

ひなげし坂


 最後のワールドは「ひなげし坂」。海に面した田舎町をベースにしたこのワールドは,スケールは小さいながらも作り込みの高いものになっています。スポーン地点からすぐ近くの民家に入ってみると,ディスプレイや時計,ポテチなどが揃った居間が用意されています。友達と集まってなにか見ながらだべったり,ゆっくり庭のひまわりを眺めたりと,夏を感じたい時にロビーとして使えそうです。

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 スポーン地点の階段を降りてみると,海に面した無人駅が現れます。古びた雰囲気ながら,開放感がありますね。ベンチでは香箱座りをした猫が迎えてくれます。このワールドにはベンチ以外にも猫があちらこちらにいるので,ぜひワールドを見回して探してみてください。

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 最後に,友人と自撮り! 「夏っぽさ」は一通り満喫できた気がします。

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不慣れな友人(中央)が撮影したため,なんか偏っている記念写真

 わたしはこの取材がVRChat初体験だったのですが,特に苦労せず,気軽にプレイできました。実はVR機器がなくてもかなり遊べる,と分かったのは大きな収穫だったと思います。VRChatならではのコミュニケーションの雰囲気や身体感覚に戸惑うことはありましたが,それもまた味のある楽しい体験です。

 外で遊ぶことが難しい人や,面と向かってのコミュニケーションが苦手な人ほど,VRChatでの遊びは日常生活を豊かにするものになるのではないでしょうか。この記事で紹介したワールドは,すべていつでも誰でも遊ぶことができます。気になった人はぜひプレイして,涼しい部屋で改めて「夏の終わり」を楽しんでみてください!

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