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インディーが元気なのはデジタルゲームだけじゃない。京都ならではの作品も見られた「BitSummit Drift」ボードゲームエリアをレポート
言われてみれば,ボードゲームはインディーの活動が非常に活発なジャンルだ。少人数で開発可能で,特別な技術を必要とせず,生産や販売の環境も整備されているため,インディー活動を経てプロになったボードゲームデザイナーの例も多い。
ほかならぬインディーゲームのイベントであるBitSummitにおいて,そんなボードゲームの専用コーナーが作られるのは,ある意味で必然と言えよう。というわけで,本稿ではそんなボードゲームコーナーの模様をお届けしていく。
「BitSummit Drift」公式サイト
ブース自体はそれほど多くなかったが,ボードゲームファンにとっては馴染み深い出版社が多く見られた。オインクゲームズやグランディング,遊陽ゲームズ,Saashi&Saashi,ittenと実に豪華な顔ぶれで,片っ端から買っていけば,大手のものを除く昨今の人気ゲームはだいたい揃いそうだ。
各ブースは中央の試遊台を囲むように設置されており,かなり手軽に試遊に参加できる環境が構築されていたのもうれしいところ。出展側に手慣れた印象もあり,ボードゲームエリアは「この区画だけゲームマーケット」といった雰囲気だった。
個人的に興味深かったのは,木箱のパッケージが特徴的な「マジカリグラフィ」と「マギワンダー」を販売していた,こぐま工房のブースだ。いずれもコンポーネントは手作りとのことで,味わい深い雰囲気を醸し出している。
マギワンダーは,磁石を内蔵した杖と,それに反応して動く石を使って遊ぶゲームだ。石を動かす際には,近づける角度や距離で向かう先を調整するのだが,杖と石の磁力が絶妙で,なかなか思うようにいかない。パッケージ内に複数のゲームが収録されたタイトルなので,1本でいろいろな楽しみ方ができる。
マジカリグラフィは,数本の糸が結び付けられた羽ペンを用いた協力ゲームで,各プレイヤーがそれぞれ糸を持つことになる。全員で協力して指定された文字を完成させれば勝利だ。ただし,プレイヤーの中で1人だけは妨害役がいるので,それを探し出さなければならない。
さらに,ブース一覧には「京都府ブース」も存在した。これは京都府から支援を受けたクリエイターのためのブースで,松栄堂の「くんくんくん」,講談社クリエイターズラボの「能舞神 〜NOH MY GOD!〜」が出展されていた。
松栄堂は京都において約300年もの歴史をもつ,老舗のお香専門店だ。「くんくんくん」は香りをテーマにしたカードゲームで,パッケージには異なる香りのカードと,それらを用いた複数のルールが収録されている。4Gamerでは,ゲームマーケット2023秋に出展された本作のレポート記事を記載しているので,そちらも参考にしてほしい。
創業300年のお香専門店「松栄堂」がゲームマーケットに参戦。3種の“香り”で遊ぶ新作カードゲーム「くんくんくん」を紹介
2023年12月9日と10日に開催されたアナログゲームイベント「ゲームマーケット2023秋」の一角に,なんだかいい香りを放つブースがあった。本稿では,約300年前から12代にわたって続くお香専門店・香老舗 松栄堂による新作カードゲーム「くんくんくん」のプレイレポートと,インタビューをお届けする。
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- ライター:蒼之スギウラ
続く講談社クリエイターズラボによる「能舞神 〜NOH MY GOD!〜」(以下,能舞神)は,タイトルの通り伝統芸能の能をモチーフにした作品だ。こちらは初お披露目となる作品で,販売は行っておらず,フィードバックを受けるために出展したものだという。
能舞神は,ランダムに表示される4枚の写真のうち1枚を連想させる「表現」を行い,ほかのプレイヤーに対象の写真を言い当ててもらうのが目的の協力ゲームだ。表現の内容は「音」「手触り」「感情」「香り」「動き」とさまざまだが,プレイヤーはこれらを“舞い”で表現しなければならない。
具体的には,能面を被って,体の動きでこれを表現するのだ。言葉を発することは禁止されているので,すべて動作の機微をもってこれを伝える必要がある。
言い当てる側のプレイヤーは,自分のコマを使って「これだ!」と思う写真を指定できる。早い段階で言い当てられれば高得点だが,行われる表現は最大3種類で,コマは各2個しか所持していないので,あまり早い段階で賭けに出ると機会を逃してしまうかもしれない。
いわゆる大喜利系は「喋り」や「言葉」を中核に据えることが多いが,動きをもって情報を伝えることに注力した作品はやや珍しいように思う。開発が進んだ場合は,京都の写真を活用したり,能面の製造を依頼したりと,京都市との連携を生かした製品を目指すとのことだ。いろいろな意味で唯一無二な作品になりそうなので,今後の動きに期待しておこう。
ボードゲーム関連のイベントは最近になって増えているが,開催地域は関東圏(とくに東京)に集中しており,関西圏で行われるものは非常に少ない。今回はBitSummitのいちエリアだったが,それでも小〜中規模なボードゲーム出版社が関西圏で作品をアピールする場ができたのは喜ばしいことだ。
また,これまでデジタルゲームだけを遊んできた人が,初めてボードゲームに触れる機会としても非常に良いものだと感じられた。両者にとって都合の良い場所なので,次回以降もボードゲームコーナーが続くことを願いたい。
「BitSummit Drift」公式サイト
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