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「プリンセスメーカー Children of Revelation」に触れる。不遇な道を歩んだプリメQの主人公カレンが,新たに咲き誇る[TGS2024]
開発元は,韓国のゲームスタジオ・D-ZARDだ。同社は「プリンセスメーカー」(以下,プリメ)シリーズの権利元である米子ガイナックスとライセンス契約を締結し,ナンバリングタイトルではないものの,正統な最新作を作る権利を得た。
なお,プリメシリーズは現在,おそらく“日本よりも韓国人気が圧倒的に高い”。といっても,自国より他国で人気を博す例などコンテンツ業界ではありふれたもの。おかげで出てきた新作と喜ぼう。
本作は発表時から今日まで,2001年発売の「プリンセスメーカーQ」(以下,プリメQ)の設定を継承したことで,ファンをどよめかせている。
プリメシリーズは,プレイヤーが“自身の娘”を育てる育成ゲームだ。そのための方法は習い事,お仕事,そのほかいろいろ。食事を管理しないと体型は変化するし,ゴキゲンを取らないと非行に走ることも。でも稼いでくるのは娘だから致し方なし。そんな子育ての紆余曲折を体験しながら,やがて娘の門出に立ち会い,その成長っぷりに涙する。
それがプリメというものだ。
そして本作が設定を受け継いだプリメQについてだが,育成SLG路線ではなく,クイズアドベンチャーとして送り出された。
それこそ,シリーズ的にはライバル同士と言ってもよかったであろう,ナムコの「子育てクイズ マイエンジェル」的な舵取りだ。
さらにプリメQは当初,“次回作プリンセスメーカー4の序章的な扱い”で売り出された。だが,これが大人の事情で頓挫した。そのため,プリメQで場を温めて,プリメ4でドッカンドッカン言わせるはずだった日本人の主人公・大道寺カレンは,「私たちの旅はまだはじまったばかりよ」エンドのままあえなく放り出され,新たなヒロインにその座を取って代わられてしまった――のだが,23年経ってはい上がってきたのだ。
あらかじめ書いておくと,本作はカレンをはじめとする登場人物たちは共有されたが,「プリメQの世界観は一度リセットし,新たなファンタジー世界を舞台に,正統なプリメをやる」といった趣旨で開発が進められている。
ゲーム開始後,お母さんかお父さん(プレイヤーのことだ。どちらになるか選べる)は自分の姓名を決めたあと,娘の名前(デフォルト:大道寺カレン)を決めていく。そのあと,この瞬間までど忘れしていた自分と娘の誕生日が何月何日だったのかを思い出して記す。
プレイヤーと娘の執事は,魔族少年「キューブ」。これは恒例だ。
そして,プリメお決まりのゲームサイクルへ。
あなたは今日から,娘に1か月の「スケジュール」を言い渡すか,おこづかいを渡して「外出」するかを選んでいく。このほか「着替え」以外の要素については現在開発中のようであった。
なお,娘との会話はノーコストで行える。当たり前である。
ゲームの流れとしては,まずスケジュールを選び,10日で1コマ=毎月3回の用事を与えていく。種類は,音楽や料理を学ぶ「学習」,娘が自分のお金を自分で稼いでくる「アルバイト」,疲労を町やバカンスで回復する「休憩」,そして2Dドット絵の娘を操作して戦闘や探索,または未知のなにかと出会ってもらう「探検」の4つだ。本作は“戦闘面も充実”させるらしい。
これらの用事をとおし,娘は体験に即したパラメータが磨かれていく。美術ばかり習わせれば感受性豊かな子になるし,剣術ばかり鍛えれば剛健な子になるし,娘の見た目や将来性も徐々に変わっていく。この簡単な育成シムが,お母さんお父さんたちをとりこにした。
なお,プリメQは先ほど書いたとおりクイズゲームであったが,本作はシリーズ恒例の正統な育成シムを採用している。
そのため名残がないように思えたが,探検中に「クイズを出してくる山猫」に遭遇した。ちゃんと原作リスペクトも欠かしていない。
忙しい日々を過ごしていると,ときには出会いもある。それは友人であったり,将来の恋人であったりとさまざまだ。「ええい娘はやらん!」な遊び方はシリーズ内でいろいろあったので,とりあえずは彼女の成長のためにも豊かな経験をさせてあげよう。
1年のあいだには,国の優秀者を決める「大会」がある。大会の種類は武芸大会や料理大会といったように自分で選べるので,個性に合ったものを選んでいく。過去には“ある年の大会でのみ発生する出会い”もあった。
ビジュアル面については,往年のシリーズのタッチを踏襲しつつも,古く見られないよう最新の技術と細心の注意を払われているのが分かる。ただし,この感想は“過去作を知っているから”の感性かもしれず,現代の10代が見たときの印象については,正直分からない。
それでも韓国では,“これだからイイ!”と大多数が言えるほどの知名度を誇っているようだし,日本でもリアルお母さんお父さん世代で人気であっただろうから,少なくともマイナスなことはなさそう。
そして,試遊版では途中がサクッとスキップされてエンディングへ。あなたの娘が進む道を決め,最後にありがとうの手紙をくれる。
なお,1プレイの想定時間は製品版では“初代プリンセスメーカーやプリンセスメーカー2くらい”で考えているとのこと。おおよそ3時間,初プレイでも5時間といったサイクルは保たれていそうだ。
昨今はなんやかんやあって,プリメもリメイク作品を主軸にシリーズとしての息を吹き返している。過去にもリスペクト作品がチラホラと現れるなど,数々の娘たちが残した心の爪痕は大きい。
ドン底の暗がりから,まぶしい光のなかまではい上がってきたカレン。彼女がどんなお姫様になるのかは,あなた次第であり,彼女次第だ。
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