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[プレイレポ]発売前に重版が決定した話題作「トロッコタウン」を試遊してきた。資源の生産・加工・消費のループを構築するタイル配置ボドゲ
「トロッコタウン」は,国内の老舗サークル・Studio GGが2023年に発表した「マイトロッコタウン」のリメイク版にあたるタイトルだ。海外向けに行われたクラウドファンディング(Kickstarter)では,目標額の334%にあたる1万6831ドルの支援を達成し,国内でもすでに重版が決定するなど,大きな注目を集めている。
JELLY JELLY GAMES「トロッコタウン」公式サイト
限られた資源を何に使う? 資源配分が悩ましいタイル配置ゲーム
本作のジャンルは,複数の建物タイルを接続して勝利点を稼ぐ“タイル配置ゲーム”だ。各タイルは「資源生産」「資源輸送」「資源加工」「資源消費(勝利点化)」のいずれかを実行する機能を持ち,プレイヤーはそれらを活用して街を発展させていくことになる。
ゲームの流れは非常にシンプルで,各ラウンドは「生産フェイズ」「建設フェイズ」「輸送フェイズ」「加工フェイズ」の処理を順番に行う形で進行する。そして全4ラウンドを終えた時点で,最も多くの勝利点を稼いでいたプレイヤーが勝利となる。
いずれのプレイヤーも,最初は「森」と「山」をセットにした初期タイルを持ってスタートする。森からは木材,山からは石材が生産フェイズに出力されるので,まずはこれらを使って新たなタイルを建設し,勝利点を生み出せる環境を整備しなくてはならない。
ただし,木材や石材をそのまま勝利点に変換してくれる建物タイルは,ほとんど存在しない。勝利点を獲得するには,加工施設による資源の変換などが必要で,そのための建物を用意するのも大切になる。もちろん,建物タイル同士で資源のやり取りを行うために,輸送路タイルで建物タイルをつなぐのも忘れてはならない。
初期に出力される資源は,当初けっこう余裕があるように思えたが,それらを「輸送路を作るための資源」「建物タイルを作るための資源」「加工して最終的に勝利点へと変換する資源」に振り分けなくてはならない。高得点を叩き出すにはなかなかシビアな計算が求められる。
さらに悩ましいのが,資源の輸送と加工を(最終ラウンド以外は)ラウンドごとに1度ずつしか行えないルールと,資源の貯蓄に関するシステムだ。
多くのタイルには資源を配置する“枠”が用意されていて,そこに置かれた資源は次ラウンドに持ち越せるのだが,各タイルには対応する種類の資源しか配置できない。例えば石材を加工するタイルには,石材と加工後の資源しか配置できず,木材を生産する施設には木材しか配置できない。
生産力が過剰でも,場に資源が余ってしまい,逆に加工の枠が多くても勝利点にはつながらない。そのうえで,建設できるタイルにはランダム性があり,共有の場から取り合う形となるので,状況によって適切な加工と消費を行えるタイルを取捨選択する必要がある。
基本的なルールはシンプルながら,資源輸送チェーンを考えるパズル的な要素と,資源の加工とやりくりを計算する経営的な要素がうまく組み合わされ,じっくりと考えながら遊べるタイトルと感じられた。
そのうえで,プレイ時間は通しで遊んでも45分ほどとコンパクトで,把握しなくてはならないルールの量に対しての満足度も高い。パーティーゲームや軽量級ゲームを主に遊んできたボードゲームファンが,中量級以上の作品に挑戦するにあたっての1本目として,とくにオススメできるタイトルと言える。
ちなみに,リメイクにあたってはイラストとコンポーネント(内容物)が一新されただけでなく,ルールのブラッシュアップやバランス調整も行われている。かなり大きな変更も加えられているので,オリジナル版をプレイ済の人も楽しめるだろう。
具体的な変更点とその経緯は,Studio GGのゲームデザイナーであるShun氏が,自身でnoteにまとめている。オリジナル版の制作ノートなども公開されているので,気になる人は合わせてチェックしてみるといいだろう。
note「JELLY JELLY GAMES版『トロッコタウン』のディベロップメント」
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