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ボードゲーム版「桃太郎電鉄」は,“原作”に忠実なだけに,けっこう大変! 昭和・平成レトロボードゲーム大百科 第12回
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遅筆に定評のある筆者は,前倒しのさらに前倒し進行でこの原稿を書いておりまして,ただいま2025年の12月なワケですが,この時期,やたら桃太郎電鉄(以下,桃鉄)のCMを見るんですよ。
ただ,昭和世代の筆者からすると,今の桃鉄に登場するキャラはちょっとスタイリッシュすぎるというか……。もちろん令和のちびっこ&若者はいまのキャラでいいと思うんですが,「ジャンプ放送局」世代のおっさんからすると,やっぱり土居孝幸氏がキャラデザインを担当した桃鉄のほうがしっくりくるんですよ。
ということで,今回の「昭和・平成レトロボードゲーム大百科」は,そんな時代の桃鉄をベースにした「桃太郎電鉄ボードゲーム」を紹介したいと思います。
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ってことでパッケージを見ますと,中央にはエンブレムのような桃太郎,そしてそれを陰から見つめるかのように配置されたキングボンビーという,みごとなコントラスト。
なお,本作は平成11年(1999年)にトミー(当時)から発売されました。家庭用ゲーム機版でいうと,PlayStation向けの「桃太郎電鉄7」や「桃太郎電鉄V」が発売された時期なので,おそらくその頃の桃鉄をベースにしていると思われます。
家庭用ゲーム機版桃鉄を知っていれば
それほど違和感なし
ゲーム盤には,日本地図にびっしりと鉄道の路線図が。桃鉄はもともと“家庭用ゲーム機向けボードゲーム”ですので,逆輸入という表現でいいのかどうか分かりませんが,そのままアナログ化というか,想像の範囲内です。ゲームのルールも多くの点でオリジナルに忠実で,違和感がありません。なので,家庭用ゲーム機版をプレイしたことがある方なら,すんなり楽しめると思います。
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というわけなので,4Gamer読者のみなさんなら説明は不要かもしれませんが,一応,桃太郎電鉄の概要を簡単にご紹介しましょう。
プレイヤーそれぞれが社長さんとなって,東京駅からスタートし,ランダムで決定された目的地を目指して,サイコロによるすごろく形式で移動していきます。その道中,各地で物件を購入して資産を増やしつつ,決められた年数の間に一番多く資産を増やしたプレイヤーが優勝となります。
なお,家庭用ゲーム機版は各プレイヤーの手番が一巡したら1か月が経過し,1年ごとに決算を行ないますが,このボードゲーム版では目的地にプレイヤーが到着したところで1年とし,そこで決算が行なわれた後に次の新たな目的地が決定。あとは開始時に設定した年数分,ゲームを繰り返す流れです。
再現率が高いぶん
カードもパーツも超多い
さて,ゲームを始める前には当然ながらセッティングが必要ですが,本作はとにかくカードが多い! 特に合計205枚もある物件カードの配置には少々手間がかかります。
物件カードは,全部で41もある駅に5枚ずつ配置していくのですが,物件はそれぞれの駅(土地)に合わせたものなので,カステラ屋は長崎,カツオ漁船団は高知といったように,置く場所が指定されています。この準備作業だけで,日本の地理や名物などの知識がけっこう身につくんじゃないでしょうか。
ほかにもアイテムカードが92枚,イベントカードが90枚ありまして,それぞれの山はなかなかの高さになります。以前紹介した「キャッツアイ 最後のビッグゲーム」(関連記事)のカードもかなりの枚数でしたが,本作はその上を行きます。
と,そんなカードをすべて所定の位置に配置し,そのほかにもお金やもろもろのパーツをゲーム盤まわりにセッティングするのに約10分。その後,各プレイヤーにスタート資金の1億円を配り,さらに目的地カードから1枚引いて目的地を決定したところで,いよいよゲームスタートとなります。
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まずは桃鉄の基本
マス目の意味をしっかり理解しよう
スタート地点の東京からサイコロの出目に合わせて目的地に向かうわけですが,そのルート上に存在する駅(マス)について紹介すると,ザッと以下の写真の通りとなります。
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これである程度は分かると思いますが,上から順にちょっとずつ補足していきましょう。
東京のように駅名がしっかりついている,いわゆるネームド駅には,前述のように5枚の物件カードが置かれていて,止まったときにお金があれば購入できます。また目的地となった場合はゴールになり,最初に到着すれば援助金(サイコロの出た数×2億円)が得られます。
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お金がもらえる青マス(プラス駅),またはお金を支払う赤マス(マイナス駅)に止まったら,「キャッシュサイコロ」を転がして,出た金額を銀行からもらったり,払ったりします。なお,どちらの金額も最高は1億円で最低は500万円となっています。
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黄色マスは,便利系,妨害系,進行形が多めのアイテムカードをもらえる駅となります。
さらに星マークのマスはカード売場の駅となっていて,確実に役に立つ進行形,便利系のオレンジのアイテムカードを購入したり,不要なアイテムカードを売り払ったりできます。
ちなみにアイテムカードは最大5枚待つことができ,それ以上になった場合は取ったあとに1枚捨てることになります。アイテムカードの詳細はのちほど。
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丸マスは止まると全国に6か所ある丸マスのどこか(サイコロで決定)に行けるワープ駅。そしてこちらも後ほど詳しく説明しますが,マスに「イ」と書かれたマスはイベントカードを引く駅です。最後にイカリのマークの駅は海へのルートの入口となるフェリー乗り場駅となっています。
当然だけどマスは自分で数えて
最適ルートを見つけ出せ!
そういったマス目が配置されたルートを,サイコロの出目に合わせて進んでいくわけですが,ここでボードゲーム版ならではの手間,同時に楽しみが発生します。
家庭用ゲーム機版の場合,目的地への最短ルートが表示されるわけですが,このボードゲームでは(当たり前ですが)自分でマス目を数えて最適ルートを見つけることになります。なので,ルートを目で追ううち,目的地にぴったり到着できることが分かったときには,アナログだからこそのちょっとした感動も。
見事に目的地へ一番乗りできたら,前述のように援助金(サイコロの出た数×2億円)をもらえます。また,寄付金(詳細は後述)が貯まっていたときはそのお金もゲット。もちろんその駅の物件カードも購入可能です。
所持金に余裕があれば,5枚すべての物件カードを購入することもでき,その場合はその駅に自分のコマの色の「独占駅フラッグ」を立てられます。この独占フラッグが立っている間は,その駅を通過したプレイヤーから,通行料として2000万円をもらうことができます。
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そしてボンビーがやって来る
取り憑かれたらとにかく擦り付けろ!
さて,誰かが目的地に到着するとその年が終了し,決算へ。そのときまでに手に入れた物件カードの右下に書かれている「利益」の額を各プレイヤーそれぞれ銀行から受け取ります。
なお,独占している駅の物件は,2倍の額を受け取れますので,そういう面からも独占しておいたほうがゲームを有利に展開できます。逆に,ほかのプレイヤーに独占させないために,安くてもいいから物件カードを1枚買っておくというのも,1つの戦略です。
1年目の決算が終わると,貧乏神の“ボンビー”がやってきます。家庭用ゲーム機版のプレイヤーにとってはおなじみですが,ボードゲーム版にも当然ボンビーは存在するんです。誰かが目的地に到着したとき,目的地からもっとも遠くにいるプレイヤーに。ボンビーが取り憑きます。
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ボンビーに取り憑かれたプレイヤーは,自分の順番が終わるたびに「ボンビールーレット」を回し,その指示に従わなくてはなりません。
気になる指示の内容ですが,物件カード(農林系以外)の強制売却は当たり前,ほかにも目的地に寄付金を送る,アイテムカードをほかのプレイヤーにプレゼントする,等々……。
そしてドキドキの「ボンビーの変身」。比較的ゆるめの「ミニボンビー」なら可愛いものですが,大災厄の「キングボンビー」になったら……。
変身の際は,プレイヤーのコマに取り憑いたボンビーヘッドの交換に加えて,ルーレットの盤面も変更に。さすがにボンビラス星に連れて行かれることはありませんが,キングボンビーは「サイコロ10回振って出た数×1000万円捨ててやる」とか,「手持ちのアイテムカードを全部捨ててやる」ぐらいのことは平気でやります。
キングボンビーに取り憑かれたら,手遅れになる前に,ほかのプレイヤーを追い抜いてなすりつける,またはいち早く目的地にゴールするというのが,基本的な対策になりますが,それだけではないので,以下で詳しく説明しましょう。
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ゲームの流れを変えるなら
アイテムカードを有効活用
ピンチのとき,圧倒的に役に立つのがアイテムカード。移動を有利にする進行形カードと状況を有利にする便利系カード,そして妨害系カードがあります。
進行形カードは「急行カード」(サイコロの出目+3),「特急カード」(サイコロを2回振れる),「新幹線カード」(サイコロを3回振れる)などがあり,移動力アップ。これでほかのプレイヤーを追い抜きましょう。
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便利系カードでは,サイコロの出目×2000万円がもらえる「福の神カード」や,指名したプレイヤーにボンビーをなすり付ける「あっちいけカード」,さらにそれを防ぐ「ブロックカード」などがあります。
妨害系カードは自分のマスに全員集める「サミットカード」や今いるマスにうんちを置いて通行できないようにする「うんちカード」など。状況に応じて上手に使えば,ゲームを有利に展開できます。
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なお,うんちカードを使ったときは,そのマスにうんち(フラッグ)を置きます。撤去するにはお掃除カード,もしくはバキュームカードが必要です。
スリの銀次も登場!
桃鉄を盛り上げるイベントマス
イベント系のカードはすべてイベントマスで引けるようになっています。いくつか例を挙げると,桃鉄名物の所持金を奪っていく「スリの銀次」や,毎回自分の番のときにお小遣いをくれる「エンジェル」,さらに「台風直撃」や「農林から小判!!」など。ピンチつづきでゲームの流れを変えたいときには,あえてこのマスに突っ込むのもありかもしれません。
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これも桃鉄あるあるですが,所持金が底をつき,農林以外の物件を全部売ってもお金が足りなくなることも。もちろん家庭用ゲーム機版同様,この場合もプレイは続行できますが,その際は「破産カード」で9000万円を銀行から借りられます。
ただし,これを持っていると,決算時はマイナス1億円で計算することになるので,急場をしのいだら手放したい。銀行に利子1000万円を加えた1億円を返済することで,このカードを返却できます。
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ということで,最後にゲームの勝敗について。仮に3年設定でプレイした場合は,3回目的地にゴールしたところでゲームは終了となり,目的地での決算を終えたところで締めくくりの総決算を行ないます。
総決算は独占駅1つにつき1億円がもらえ,さらに特別賞として,観光物件をもっとも多く所有したプレイヤーにホテル王(賞金10億円)。同様に各分野でもっとも多く物件を所有しているプレイヤーが農林王,水産王,食品王(各賞金5億円)となります。それらをすべて合算して一番総資産が多かったプレイヤーが優勝です。
こういった計算もすべてアナログでやらなくてはいけないので,それなりに手間はかかるんですが,自分でマス目を数えてコマを進め,金額を計算し……という作業は,桃鉄をリアルでプレイしている感を味わえます。じっくりと桃鉄を楽しみたい方にはオススメのボードゲームではないでしょうか。
なお,今回紹介した「桃太郎電鉄ボードゲーム」も,筆者が経営している「Book CAFE ヨミヤスミ」のイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」にてプレイできますので,よかったらご参加ください。
■■Book CAFE ヨミヤスミ■■
京王線の京王多摩川駅から徒歩6分ほどの場所にあるブックカフェ。1980〜90年代の本や雑誌,漫画に加えて,パソコン雑誌やゲームブックなども揃っています。
毎週末開催されるイベント「8時だョ!レトロボードゲーム」では,本連載で紹介したものをはじめとしたレトロボードゲームをプレイできますので,下記のイベントサイトでお申し込みのうえ,ぜひご来店ください。
公式サイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi
公式イベントサイト:https://sites.google.com/view/yomiyasumi-8jidayo
公式X:https://x.com/yomiyasumi
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