テストレポート
サーモグラフで見る「PlayStation 4」の熱処理の実際。縦置きと横置きで少し違いが?
まずは,起動してメニュー画面が出ているだけの状態で温度を測定してみよう。下に示した画像は,ソニー・コンピュータエンタテインメント純正のスタンドを使って縦置きにした状態におけるPS4の熱分布を可視化したものだ。20℃以下を黒く,42℃以上を白く表示するよう表示設定したうえで,それぞれ縦置き状態のPS4を左側から見たものと右側から見たものを示してある。
左サイド(右が前面,左が背面) |
右サイド(左が前面,右が背面) |
左サイドから見た熱分布では,まさにAPUからの廃熱と電源ユニットが交差するあたりの発熱が著しいことが分かる。
それに対して右サイドから見た熱分布は,APU付近を中心に熱が基板全体に回っていることが分かる。
CPUコアとGPUコアをまとめたAPU部分は,メモリチップに取り囲まれているのですぐに分かるだろう。その右に並んでいるのが4+2フェーズの電源回路部だ。右上の切り欠きになった部分には2.5インチHDDが入り,その下にBlue-ray Discドライブが配置される。
ちょっと雑で恐縮だが,下に示した,冒頭で紹介した熱設計の講演レポートから,やはり左サイドから見た場合の,基板の上に置かれる冷却構造(など)を示したものだ。
下側にはブロワーファンとヒートシンクが配置されている。左側に縦になっているのは電源ユニット |
実際のエアフローはこんな感じ(水色:吸気,紫色:排気) |
今回は,ある程度コンスタントに負荷の高そうなゲームとして「KILLZONE SHADOW FALL」を選択し,序盤をプレイしている最中の温度測定を行ってみた。あまり激しいシーンではないので,描画負荷はそこそこだがCPUコア自体にはあまり負荷はかかっていないと思われる。
この状態で外面から観測できる最高表面温度は45℃以下で,システムは冷却動作に入ったものの,空冷ファンの音はちょっと大きくなったかなという程度だった。
左サイド |
右サイド |
左サイドからの画像だとあまり大きな違いはないが,APU周りからと思われる高熱部分がさらに広がっていること,右サイドからの画像では,実際にヒートシンクがあるであろうあたりにも熱が広がっていることが分かる。
これを横置きにするとどうなるだろうか?
横置き状態にしてKILLZONEをプレイ状態で起動したまま,しばらくした経過した状態で再度熱測定をしてみた結果が以下の図となる。
これは縦置き時での右サイドからの構図を90度横にしたものと同じになるのだが,縦置き時よりも基板全体への拡散は少なめというか,冷却効果が少し高くなり,熱の蓄積が減っているように思われる。これは横置き時に上面にくる基板を覆っている金属シールド板が冷却を促すためだろうか。
むしろ気になったのは,本稿の主題とは何の関係もない部分における,あんまりな完成度の部分である。
とくに閉口させられたのは,セットアップからシステムソフトウェアのアップデートで「アップデートする」(○で決定)の○ボタンを押したあと,まったく操作不能になること。これは別記事で触れられているように,プログレスバーの画面が出る人もいるらしいのだが,22日の編集部で稼働していた4台のうち,2台で,この症状が発生したのだ。画面には,再起動でアップデートが行われると書いてあるのだが,ダウンロードが終了したかどうかも分からないというのは……。
いずれファームウェアのアップデートなどで修正されるのではないかと思われ,この症状になった場合でも,電源スイッチを押して再起動すればアップデートが始まるのだが,さんざん待たされたうえでこの挙動だったので,最後にあえて苦言を呈しておきたいと思う。
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