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Steamで2019年にリリースされたPCタイトルは8396本を記録。過去最高ながらも前年比で微増にとどまる
SteamSpyは,PCゲーム市場の動向をより詳しく知りたいという同志によって,2015年4月から独自の統計手法により,Steamに関するさまざまなデータを算出している。2019年にリリースされた8396本は,2018年の8206本と比べると2.3%ほど多い。ちなみに,平均価格は5.99ドルで,平均売り上げ本数は2000本となっており,これまで同様に,モバイル向けアプリと同じ程度の価格帯となる無名インディタイトルが大量にリリースされたことがわかる。
2004年にβ版が公開されたSteamだが,2013年までの10年間は年間あたり数100本程度の新作リリースで推移していたが,2014年に前年の3倍となる1667本で年間1000本越えを達成したのを皮切りに,2015年は2622本,2016年は4459本,2017年は6335本,そして2018年の8206本と,急激にライブラリーを増やしてきた。
その理由として,Unreal Engineやゲームエンジン Unityなどの開発用ミドルウェアが一定の売上に達しない限りは無料で利用できるようになるなど,開発が安価で手軽にできるようになったことがあげられる。また,2017年からSteam Directの導入により,申請手続きがストリームライン化されたことも大きく起因しているだろう。
いっぽう,Steamのライブラリーに存在するソフト総数は,2019年末の時点で3万4216本にも上っており,2019年にリリースされたタイトルは全体の24.5%に達する。ここ数年は新作でも多くのユーザーの目に留まりにくいという“ディスカバラビリティ”の問題が顕在化しており,これによって「Epic Gamesストア」などの後発サービスにもスポットライトが当てられ始めているのは確かだ。
また,以前に掲載しているGDC 2018の記事でも詳しく紹介しているように,ヒットするタイトルはプレミアムタイトルや,十分なマーケティングが行われた作品に限られており,コツコツと作ったゲームをリリースしても,次の作品を開発していくための元手を回収しにくいといったゲーム市場の減退要素も無視できず,そうしたことが2019年の微増へつながったと見るべきかもしれない。
それにしても,SteamSpyの統計によるタイトルあたりの平均プレイ時間は7分44秒に留まっているというのが興味深く,いかに“積みゲー”が多いのかがわかる。恒例のウィンターセールでいくつもゲームを買っても,結局ほとんどプレイし切れないことが,PCゲーマーの年中行事になっている印象も受けるが,2020年のSteamのトレンドにも引き続き注目していきたいところである。
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