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[TGS2022]今年の神奈川工科大学はオンラインゲームを展示。“みんなで盛り上がる”ためのゲーム「EmojiQuiz」とは
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印刷2022/09/20 20:19

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[TGS2022]今年の神奈川工科大学はオンラインゲームを展示。“みんなで盛り上がる”ためのゲーム「EmojiQuiz」とは

 東京ゲームショウではさまざまな大手メーカーの新作ゲームが試遊できるほか,近年ではインディーズゲームも大人気となっている(作品によっては60分待ちの試遊も)。だが,これが東京ゲームショウのすべてではない。大学や専門学校のブースで展示されている学生作品にもまた,注目すべきものが隠れていたりするものだ。

今年は独自のハードウェアが展示されていないので,一瞬「ブースを間違えたのかな?」と思ってしまった
画像集 No.020のサムネイル画像 / [TGS2022]今年の神奈川工科大学はオンラインゲームを展示。“みんなで盛り上がる”ためのゲーム「EmojiQuiz」とは

 というわけで,毎年のように注目作をリリースすることから,その筋では有名な存在である神奈川工科大学ブースで試遊できたゲームを紹介したい。神奈川工科大学(中村研究室)はこれまでに「アオモリズム」「はげピッ!ピッ!」「ハイスピードヌードルアクション 湯切りの頂」といった怪作を生み出している特異点的な存在だが,果たして今年は何をしでかしてくれたのだろう?

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 東京ゲームショウ2014には,企業だけでなく。多数の学校が出展している。神奈川工科大学のブースでは,ハゲ頭をバーコードリーダーでスキャンするなど,理屈抜きで「面白い」ゲームが展示されていた。こうした作品はどのようにして生まれたのかを,学生の指導者に聞いてみた。

[2014/09/21 00:00]
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 TGSには専門学校や大学などの学生が作ったゲームも展示されている。中でも毎年のように異色の問題作を世に問うてきたのが神奈川工科大学だ。数々の"前科"がある同学中村研究室の面々が生み出してしまった今年の新作は「ハイスピードヌードルアクション 湯切りの頂」。ほぼ疑いなく人類史上初となる,湯切りゲームである。

[2019/09/13 19:23]


絵文字を見て,顔芸で意思疎通せよ!


 TGS 2022に神奈川工科大学は4作品を投入していたが,今回はいずれもノートPC(とヘッドフォン)で完結するゲームだった。従来のようにゲーム専用のハードウェアを開発する方向に進まなかったのが,まず興味深いところ。リアル開催のゲームイベントが本調子には戻っていない状況を鑑みれば,オンラインでも試遊できるゲームに寄せてきたのは妥当な判断だろう。
 そして実際,今年の神奈川工科大学はオンライン対戦(ないし協力)を前提とした作品を完成させている。スタンドアロンのゲームに比べ,オンラインゲームは技術的なハードルが高く,これだけでも学生作品としては(あるいはインディーズゲームとしても)かなりの挑戦と言える。

画像集 No.021のサムネイル画像 / [TGS2022]今年の神奈川工科大学はオンラインゲームを展示。“みんなで盛り上がる”ためのゲーム「EmojiQuiz」とは
 さて,本来であれば展示されていた4作品すべてを紹介したいところだが,今年の神奈川工科大学ブースには明らかに傑出した完成度の作品があったので,こちらを詳しく紹介したい。

 その作品とは「EmojiQuiz」。ルールはいたって簡単だ。
 プレイヤーは出題側(1名)と解答側(最大4名)に分かれる。出題側になったプレイヤーは,画面に表示された顔文字を見て,その顔文字に近い表情を作る。
 一方,解答側プレイヤーの画面には正解の顔文字を含む候補が5つ表示されるので,出題側が作っている表情をWebカメラ越しに見て,正しいと思う顔文字を選ぶ。正解すれば,1ポイントを獲得する。
 ゲームは5ラウンド続き,ラウンドごとに出題者は交代していく。2人プレイであれば交互に出題者を務めることになり,5人プレイなら1人1回,出題者になるという仕組みだ。

出題側の画面。中央の顔文字を見て,顔真似する
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解答側の画面。上に並ぶ参加者のうち,(このラウンドは)中央が出題者なので,その表情を見て正解を当てる
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 一見するとそれほど難しくなさそうだが,解答側の画面には類似した顔文字が複数表示されるようになっているため,「運ゲーだ!」と叫びたくなる状況が頻繁に発生する。出題側が笑顔を作っていたとしても,それを手がかりに「眉毛のある笑顔」なのか「眉毛のない笑顔」なのかを判別するのは,ほぼ不可能だろう。
 また出題側も,表情を作り難い状況に追い込まれることが珍しくない。とくに顔色が紫や緑の顔文字がお題となると,これを表情で表現するのは極めて難しい。

上2つを表情から見分けるのは,まず無理
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 一方,「EmojiQuiz」はまったく言語依存しないマルチプレイヤーゲームなので,言語の壁を越えて楽しめるという特徴もある。学生が主体となるゲームジャムやワークショップがオンライン開催されることも珍しくない昨今,国際的なチームのアイスブレイクとして,本作は高いポテンシャルを有すると言える。


ゴールは「参加者みんなが盛り上がる」こと


 さて,本作が真に面白いポイントは「ゲームでありながら,勝利条件が非常に曖昧」という点だ。

 実際,本作では正解者に得点が与えられるものの,その得点と勝利との関係は明示されない。
 また,「表示された顔文字を真似る」ことになっているが,プレイヤーが表情以外を使ってはならないというルールはない。制作者の公式見解として「手や指を使っても構わない」ようだが,「どこまでやっていいのか」「どこからはダメなのか」は明示されていない。つまり,ゲーマーであれば「こういうズルができる」というネタを,瞬時にいくつも思いつくはずだ。

左下が正解。出題者が頭上に手で「もくもくとしたもの」をジェスチャーで表現すれば,正解は1つに絞れられる
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 だが,本作ではそういった「ルールを厳密に定めない」というゲームデザインが意図的になされている。というのも,本作の目的は「参加者みんなで盛り上がる」ことだからだ。そのために必要のないルールは,あえて明示されていない。
 むしろ,出題側が「それはズルだろう!」と思わず笑ってしまう行動を取ることは,場の盛り上がりに貢献する。また,参加者が獲得した点数にしても,「点数が高いとなんとなく嬉しい」という効果こそが重要というわけだ。

 ゲーマー(とくにコアゲーマー)は「こんな悪意を持ったプレイヤーが,こんな行為でゲームを壊してしまったらどうするんだ」という視点で,ゲームシステムの良し悪しを判断しがちだ(そこにはゲームに長時間を投じてきた者ならではの,無数の苦い経験も影響している)。
 だが,微に入り細に入り例外を網羅し,ゲームを楽しもうとしないプレイヤーの悪意ある行動を完璧に遮断することに対して情熱を傾けても,それだけでは多くの人が笑顔で楽しむゲームにはならない。神奈川工科大学中村研究室の作品は,そんな当たり前のことを教えてくれるゲームとして仕上がっているように思える。

パネル1枚で遊び方を完全に把握できる
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得点は「高いと嬉しい」程度の意味のみを持つ
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